JPS6142198B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 近年、空調機器の低騒音化に伴なつて熱交換器
の前面風速を１m/s以下にする設計傾向が強まつ
ており、このような低風速域における熱交換器の
性能向上が課題となつている。

本発明は上記のような要望にかなう熱交換器の
構成を提示するものであり、特に伝熱管後流の死
水域と伝熱面の温度境界層をフイン形状によつて
減少させ、空気側伝熱面における熱伝達率の著し
い向上を図るものである。

従来、この種の熱交換器は、第１図ａに示すよ
うに、一定間隔で平行に並べられた平板フイン群
１とこのフイン群１に直角に挿入された管群２か
ら構成され、空気はフイン間を白ぬき矢印方向に
流動して管内流体と熱交換を行う。そして、フイ
ン１間の管２まわりの熱流体動性は、第１図ｂに
示すように、管２に白ぬき矢印方向の低風速気流
が流動する場合、管表面のよどみ点からの角度θ
が70〜80゜で流れが剥離し、管後流部に斜線で示
す死水域３が生じ、そのために、この死水域での
空気側熱伝達率が著しく低下するので、熱交換器
としての伝熱性能が低いという欠点を有してい
た。

さらに、第１図ｃに示すように、フイン１の伝
熱面上の温度境界層４の厚さは、気流の流入部か
らの距離の平方根に比例して厚くなるために、空
気側熱伝達率は気流の流入部からの距離が増加す
ると共に著しく低下し、熱交換器としての伝熱性
能が低いという欠点を有していた。

本発明は、以上のような問題点を考察し、これ
を解決したものである。

以下、第２図に示す一実施例により詳細に説明
する。

第２図ａは平面図であり、平板フイン１に一定
間隔でバーリングされたフインカラー部２に伝熱
管（図示せず）が挿入されており、白ぬき矢印方
向に流動する気流と直交する方向、すなわち段方
向で隣接する伝熱管の間隙部のフイン１にはルー
バ状の切り起し３を設けている。切り起し３は気
流と対面する上流側辺部４と下流側辺部５を切り
起し、ｂ図に示す一部断面図からわかるように、
平板フイン１の面上に起立させて設けた開口部４
ａ，５ａを有し、開口部４ａと５ａは平板フイン
１に対してそれぞれ表裏側に位置しており、他の
二側辺部６，７は立上げ、全体としてルーバ状を
形成している。

また、白ぬき矢印方向に流動する気流方向、す
なわち列方向の間隙部のフイン１の各フインカラ
ー部２周辺にフインカラー部２とほゞ同心の略円
孤状の突起８，９をそれぞれ気流と対面する上流
側、下流側に設けている。すなわち、円弧状の突
起８，９は、列方向に最寄のフインカラー部２を
はさんで、いの字を形成している。

さらに、切り起し３の立上げた側辺部６，７と
略円弧状の突起８，９の端部８ａ，９ａは近接さ
せている。

つぎに効果を説明する。

まず、平板フイン１の面上に気流と対面する側
辺部４，５を開口して設けたルーバ状切り起し３
により、平板フイン１は気流方向に短かいフイン
が並んだ状態になり、切り起し３の開口部４ａ，
５ａも気流が通過し、平板フイン１および切り起
し３にそれぞれ気流の境界層が形成されるので境
界層厚さが薄くなり、しかも、切り起し３の開口
部４ａ，５ａを通過した気流は、別のフイン間に
流入するので気流の混合および乱れが促進され熱
交換器の伝熱性能が大幅に向上する。

また、伝熱管周りの気流は、伝熱管に衝突した
のち、気流と対面する上流側の突起８により、伝
熱管から離れて拡がるのを防止され、しかも、切
り起し３の立ち上げた側辺部６，７によつて伝熱
管壁に沿つて流動する。そして、流れをせき止め
る作用を有する下流側の気流と対面する突起９に
より、気流は伝熱管後流域にも入りこみ、死水域
を減少させる。以上のように伝熱管周りの気流
は、伝熱管に沿つて流動するので熱交換器の伝熱
性能が大幅に向上する。

さらに、段方向の伝熱管群の間隙部のフインに
は比較的流動抵抗の大きいルーバ状切り起し３
を、伝熱管群周りのフインには流動抵抗の小さい
略円弧状の突起８，９を設けているために、気流
の段方向流速分布が一様化され、伝熱管群の間隙
部における境界層厚さを薄くし、気流の混合、乱
れを促進させる効果と伝熱管周りにおける死水域
を減少させる効果が均等に生かされるので熱交換
器の伝熱性能が大幅に向上すると共に、騒音も大
幅に低減できる。

以上のように、本発明のフイン付熱交換器は一
定間隔で平行に並べられ、その間を気流が流動す
る平板フインとこれの平板フインに直角に挿入さ
れ、内部を流体が流動する伝熱管から構成され、
前記伝熱管の段方向の間隙部の前記平板フインに
気流と対面する二側辺部をそれぞれ表裏側に位置
して開口した切り起しを設け、前記伝熱管の列方
向の間隙部の前記平板フインに前記伝熱管と同心
の略円弧状の突起を気流と対面する上流側および
下流側に設けたものであるため、気流の境界層厚
さを薄くし、流れの混合、乱れを促進し、さら
に、伝熱管後流の死水域を減少させて伝熱性能を
大幅に向上させると共に、気流の流速分布の一様
化を計ることにより騒音も大幅に低減させる。

さらにまた、伝熱管と同心で、かつ周りに気流
と対面する下流側だけでなく、上流側にも略円弧
状の突起が平板フインにあるので、伝熱管に衝突
した気流は上流の突起により伝熱管から離れて拡
がるのを防止されて伝熱管に沿い積極的に流れ、
死水域の減少を一層助長できるとともに気流の流
れが逆になつても熱交換性能に変りなく、よつて
設置しやすいものにできる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃはそれぞれ従来のフイン付熱
交換器の斜視図および死水域の説明図および温度
境界層の説明図、第２図ａ，ｂはそれぞれ本発明
の一実施例におけるフイン付熱交換器の平板フイ
ンの一部平面図および一部断面図である。 １……平板フイン、２……フインカラー部、３
……切り起し、４，５……切り起し３の開口部、
８，９……略円弧状の突起。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一定間隔で平行に並べられ、その間を気流が
   流動する平板フインと、これの平板フインに直角
   に挿入され、内部を流体が流動する伝熱管から構
   成され、前記伝熱管の段方向の間隙部の前記フイ
   ンに気流と対面する二側辺部をそれぞれ表裏側に
   位置して開口した切り起しを設け、前記伝熱管の
   列方向の間隙部の前記平板フインに前記伝熱管と
   同心の略円孤状の突起を気流と対面する上流側お
   よび下流側に設けたことを特徴とするフイン付熱
   交換器。