JPS6140894Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はデイーゼルエンジンの排気ガス処理装
置に関し、更に詳しくは、排気ガス中に含まれる
カーボン粒子及びそれと同様な粒状物（以下、排
気微粒子またはパテイキユレートという）を物理
的方法によつてフイルタエレメント等の適切な捕
集材に捕集し、捕集された排気微粒子を周期的に
焼却し、捕集材を再生するに適したパテイキユレ
ートトラツプの構造に関する。

この種の排気微粒子はカーボン粒子のように可
燃性のものがほとんどで、このような可燃性の微
粒子を捕集し、捕集された微粒子を焼却して捕集
材を再生するデイーゼルパテイキユレートトラツ
プは種々公知である。そして捕集パテイキユレー
トを燃焼してトラツプを再生させる手段として一
般に電気ヒータが用いられている。即ち、電気ヒ
ータを捕集材の前端面に取り付け、このヒータに
より捕集材の表面に付着した排気微粒子を燃焼さ
せ、それを熱源として下流の微粒子を自燃させる
ものである。しかしながら従来の斯かるパテイキ
ユレートトラツプにおいては、いずれもヒータは
捕集材の前端面（上流側端面）に取付けられてい
るため、ヒータと捕集材との密着性の良否がパテ
イキユレートの燃焼性の良否に大きな影響を与え
ていた。即ち、捕集材の上流側では下流側に比し
て排気ガスの流速は早く、ヒータを捕集材に密着
させないと捕集材の着火がなかなか困難であつ
た。そのため従来からヒータを捕集材に押し付け
るためのばね等の押圧手段が必要であり、しかも
この押圧手段は排気ガスの流れを邪魔しないよう
に工夫して取付ける必要があり、トラツプ全体の
構造の複雑化あるいはコストアツプの大きな要因
となつていた。

一方、近年ヒータとしてセラミツクヒータが開
発実用化されているが、これは高電気絶縁性アル
ミナセラミツクスの内部にタングステン・モリブ
デン等の高融点金属を導体としてパターン印刷し
一体焼結しヒータ構造としたものである。このセ
ラミツクヒータは形状、幅、厚さなどが自由に選
択できるので例えば多孔板形状（ハニカム形）の
ヒータを容易に製造できる。

本考案は上述の如き多孔板形のヒータを用いる
ことに着眼し、従来とは全く逆にヒータを捕集材
前端面から意図的に離して配置することによりヒ
ータと捕集材との間に循環部（recirculation
zone）を形成しそこに排気ガスの渦を発生させ
得るようにしたデイーゼルパテイキユレートトラ
ツプを提供せんとするものである。

本考案によれば循環部に発生する渦流により排
気パテイキユレートが捕集材の前端面近傍に容易
に付着するので冒頭に述べた如き問題点は解消さ
れる。

以下、図面に従つて説明する。

第１図は本考案に係るパテイキユレートトラツ
プの全体構造を示すものでトラツプ容器１内には
捕集材（トラツプ材）３がある。このトラツプ材
３としては、公知の発泡セラミツクおよびこれに
類似する材料を用いることができる。即ち、トラ
ツプ材３は三次元の網目構造で、その内部を排気
ガスが流通可能でありかつ排気ガスに含まれてい
る排気微粒子をその網目間に捕集することができ
るようになつている。

トラツプ容器１はデイーゼルエンジンの排気管
路（図示せず）中に配置される。排気ガスは第１
図に矢印方向に流れるものとする。

トラツプ容器１の入口側（上流側）端部には必
要に応じてトラツプ材３に捕集された排気パテイ
キユレートを着火燃焼してトラツプを再生するた
めの電気ヒータ１０が設けられる。

電気ヒータ１０は第２図に示す如き多数の貫通
孔を有する多孔板状のヒータである。尚、第２図
には右半分の多孔は図示を省略されている。図示
の実施例ではヒータとしてセラミツクヒータが用
いられているが多孔板状のヒータ構造を有するも
のであれば何らそれに限定されない。セラミツク
ヒータ２０は円板状の多孔アルミナセラミツクス
１３に導体層１５をパターン印刷し、円板状の多
孔絶縁アルミナ１７に埋設して一体焼結したもの
である。導体層１５は当然のことながら多孔１１
を避けてパターン印刷されリード線（図示せず）
を介して電源に連結される。

ヒータへの通電時期、即ちトラツプの再生時期
は公知の如くエンジンの回転数、負荷、エンジン
水温、背圧等の種々の制御パラメータに基いて適
切に制御される。

本考案によればヒータ１０はトラツプ材３の前
端縁から所定距離ｌだけ隔てて配置され、その間
に循環部（recirculation zone）２１が形成され
る。その結果排気ガスが第３図において矢印の如
く多孔１１内を流れてくると多孔を形成するヒー
タ材料部の後面部２３には渦２５が形成される。
何となれば後面部２３は瞬間的に真空領域となり
そこに排気ガス流が巻き込まれるからである。こ
の意味において後面部２３は渦形成空間を形成す
る。この渦流の発生により排気ガス中のパテイキ
ユレートは有効にトラツプ材３の前端縁近傍に堆
積、付着せしめられ、従つてヒータ１０に通電す
ればトラツプ材に捕集されたパテイキユレートは
確実に着火燃焼せしめられる。尚、トラツプ材前
端縁近傍の火炎は伝播によつてトラツプ材後端
（下流端）まで伝えられる。

以上の如く本考案によれば多孔板状のヒータを
用いてかつこのヒータをトラツプ材層の前端縁か
ら所定距離ｌだけ隔てて配置することによりヒー
タ後面に排気ガスの渦流が発生し、それによりト
ラツプ材前端部に多量の排気パテイキユレートを
有効に付着させることができるものである。

尚、ｌはｌ≒２mmが最適であることが実験的に
確かめられている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るパテイキユレートトラツ
プの全体構造を一部断面して示す側面図、第２図
は本考案において用いられるヒータを一部省略し
て示す正面図、第３図は第１図のＡ部拡大図。 １……トラツプ容器、３……トラツプ材、１０
……ヒータ、１１……多孔、２３……渦形成空
間、２５……渦流。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. デイーゼルエンジンの排気管路中に取付けるべ
   きトラツプ容器内にデイーゼルパテイキユレート
   を捕集するトラツプ材を充填すると共に該トラツ
   プ容器の入口側端部にトラツプ材に捕集されたパ
   テイキユレートを着火燃焼させるための多孔板状
   の電気ヒータを取付けて成るデイーゼルパテイキ
   ユレートトラツプにおいて、上記電気ヒータをト
   ラツプ材層の入口側端縁から所定距離だけ隔てて
   配置し該ヒータとトラツプ材層との間に該パテイ
   キユレートトラツプを通るべき排気ガスの渦形成
   空間を形成したことを特徴とするデイーゼルパテ
   イキユレートトラツプの構造。