JPS6140580Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車に使用されるスタビライザ
に関する。

一般に、この種のスタビライザは、ばね鋼、中
炭素鋼などから略Ｕ字状に形成されたスタビライ
ザ・バーよりなり、そのスタビライザ・バーは、
自動車のシヤシ側に横方向に配置され、かつ、両
端方において、そのシヤシ側に回転可能に支持さ
れ、さらに、そのスタビライザ・バーのアーム端
がその自動車の車軸側に取り付けられて、その自
動車の走行時における車体のローリングを少なく
し、走行安定性を向上するように構成されてきて
いる。

そのようなスタビライザ・バーは、近年、自動
車の軽量化に起因して、中空状に形成される傾向
にある。

従つて、通常、その中空状のスタビライザ・バ
ーのアーム端を自動車の車軸側に取り付ける場合
には、そのアーム端を潰し、その潰されたアーム
端が、その車軸側に連結されてきている。

しかし、その中空状のスタビライザ・バーが、
乗用車に使用されるもののように、外径が細く、
かつ肉厚が比較的薄い場合はともかく、トラツク
に使用されるもののように、外径が太く、かつ、
肉厚が比較的厚い場合には、プレス加工によりそ
のアーム端を潰すことは困難であつた。

この考案の目的は、スタビライザ・バーのアー
ム端を自動車の車軸側に容易に、かつ、十分な強
度をもつて確実に連結し、その自動車の走行時に
おける車体のローリングを少なくし、走行安定性
を向上する自動車に使用されるスタビライザの提
供にある。

それらの課題のために、この考案の自動車に使
用されるスタビライザは、自動車のシヤシ側に横
方向に配置される中空スタビライザ・バーよりな
るものにおいて、連結ブラケツトが、その中空ス
タビライザ・バーのアーム端に固定され、さら
に、一対の挾持プレートが、その連結ブラケツト
に互いに向い合うように取り付けられていること
を特徴としている。

以下、この考案に係る自動車に使用されるスタ
ビライザの望ましい具体例について、図面を参照
して説明する。

第１および２図は、トラツクに適用されたこの
考案の自動車に使用されるスタビライザの具体例
10を示している。

そのスタビライザ１０は、トラツクのフロン
ト・サスペンシヨンよりも前方の位置で、シヤシ
１８の下方に横方向に配置される中空スタビライ
ザ・バー１１よりなり、連結ブラケツト１３が、
その中空スタビライザ・バー１１のアーム１２端
に溶接され、さらに、一対の挾持プレート１４，
１５が、その連結ブラケツト１３に互いに向い合
うようにボルト締めされている。

中空スタビライザ・バー１１は、機械構造用炭
素鋼管からなり、両端方にアーム１２をそれぞれ
一体的に形成するように、所定の曲率をもつて略
Ｕ字状に曲げられている。

その中空スタビライザ・バー１１の中央部分
は、いわゆる、トーシヨン・バーとして作用し、
それぞれのアーム１２端の相対的な変位に応じて
捩られ、一方のアーム１２端の変位によつて生じ
る捩りトルクを他方のアームに伝達する。

勿論、その中空スタビライザ・バー１１の外
径、内径、その中空スタビライザ・バー１１にお
ける中央部分、および、アーム１２の有効長さ
は、そのトラツクの車体重量に応じて決定され
る。

また、その中空スタビライザ・バー１１の曲げ
部分内側には、詰め物２６が配置されている。そ
の詰め物２６としては、その中空スタビライザ・
バー１１の軽量化を考慮して、比較的軽いもの、
例えば、中空状の捨てパイプを使用することが望
ましい。勿論、その詰め物２６は、その中空スタ
ビライザ・バー１１を上述のように曲げ加工する
以前に、予め、その中空スタビライザ・バー１１
内の所定の位置に配置され、その中空スタビライ
ザ・バー１１が所定の曲率をもつて曲げられると
き、その詰め物２６もほぼ同様に曲げられる。

連結ブラケツト１３は、金属、例えば、鉄から
なり、一方がその中空スタビライザ・バー１１の
アーム１２端に重ね合わされるように円形状に形
成され、他方の両側が段付けされ、平坦なプレー
ト取付け面２７，２８をそれぞれ形成している。

その連結ブラケツト１３は、一方の円形状部分
をその中空スタビライザ・バー１１のアーム１２
の端面に重ね合わせるようにして、そのアーム１
２端に溶接されている。

勿論、その連結ブラケツト１３をそのアーム１
２端に固定する手段として、摩擦溶接がなされれ
ば、溶接部分の強度が高められ、かつ、作業時間
が極めて短縮される。

そのように構成された中空スタビライザ・バー
１１は、トラツクのフロント・サスペンシヨンと
してのリーフ・スプリング２２の前方の位置で、
シヤシ１８の下方に横方向に配置され、その中空
スタビライザ・バー１１の中央部分の両端方にお
いて、ブラケツト２４を介して、そのシヤシ１８
に回転可能に支持されている。

勿論、そのブラケツト２４において、その中空
スタビライザ・バー１１を回転可能に支持するボ
アの内側には、ラバー・ブツシユ（図示せず）が
配置されている。

さらに、その中空スタビライザ・バー１１のア
ーム１２端に溶接された連結ブラケツト１３に
は、一対の挾持プレート１４，１５が、互いに向
い合うようにしてボルト締めされている。

すなわち、その挾持プレート１４，１５は、鋼
板から折り曲げられたもので、一方を互いに向い
合わせるようにして、他方をその連結ブラケツト
１３のプレート取付け面２７，２８にそれぞれ重
ね合わせ、ボルト締めされている。

また、その挾持プレート１４，１５の一方にお
いて、互いに向い合う位置にはピン孔１６，１７
がそれぞれ形成されている。

そのようにして中空スタビライザ・バー１１の
アーム１２端に連結ブラケツト１３を介して固定
された一対の挾持プレート１４，１５は、そのト
ラツクの車軸側、すなわち、リーフ・スプリング
２２に回転可能に連結されている。

そのリーフ・スプリング２２は、複数の重ね板
ばねの最下段に一対のＵボルト２５を介して固定
された連結プレート２３を備えるもので、そのリ
ーフ・スプリング２２の前方の目玉部が、シヤシ
１８に固定されたフロント・ブラケツト１９に回
転可能に連結され、また、後方の目玉部が、その
フロント・ブラケツト１９よりも後方に所定の間
隔をもつて離され、そのシヤシ１８に固定された
リア・ブラケツト２０に、シヤツクル２１を介し
て、回転可能に連結されている。

勿論、そのリーフ・スプリング２２に固定され
た連結プレート２３は、先端に目玉部を備えてい
る。

従つて、上述した中空スタビライザ・バー１１
のアーム１２端に、連結ブラケツト１３を介して
固定された一対の挾持プレート１４，１５は、そ
の連結プレート２３の目玉部に回転可能に連結さ
れている。

次に、上述のスタビライザ１０が適用されたト
ラツクの走行について述べるに、先ず、走行中に
そのトラツクの車体の左右側において、荷重の均
衡が保たれ、車軸側の振動に起因して、左右のリ
ーフ・スプリング２２がほぼ同一の条件下で変形
する場合には、中空スタビライザ・バー１１は、
実質的に捩られることなく、そのリーフ・スプリ
ング２２の変形に追従して回転される。

また、そのトラツクが旋回し、車体にローリン
グが生じる場合には、左右のリーフ・スプリング
２２の変位量が異なることから、その中空スタビ
ライザ・バー１１の中央部分が捩られ、さらに、
その中央部分の復元力によつて、左右のアーム１
２がほぼ同一の位置に戻される。

すなわち、捨てパイプ２６を嵌め込んで曲げら
れたスタビライザ１０によつてそのトラツクの走
行時における車体のローリングが少なくなり、走
行安定性が向上する。

第３図は、この考案の自動車に使用されるスタ
ビライザの他の具体例30を示している。

そのスタビライザ３０は、トラツクのフロン
ト・サスペンシヨンよりも前方の位置で、シヤシ
の下方に横方向に配置される中空スタビライザ・
バー３１よりなり、連結ブラケツト３３が、その
中空スタビライザ・バー３１のアーム１２端に嵌
め込んで固定され、さらに上述した具体例10にお
ける挾持プレート１４，１５と同様の挾持プレー
トが、その連結ブラケツト３３に互いに向い合う
ようにボルト締めされている。

中空スタビライザ・バー３１は、上述の具体例
10における中空スタビライザ・バー１１と同様に
構成されるため、その構成の説明は省略する。

連結ブラケツト３３は、その中空スタビライ
ザ・バー３１のアーム３２端に嵌め込まれ得る外
径をもつて、鉄から円柱状に形成されている。そ
の連結ブラケツト３３は、一方がそのアーム３２
端に嵌め込まれるが、他方の両側は段付けされ、
平坦なプレート取付け面３８，３９をそれぞれ形
成している。

そのように形成された連結ブラケツト３３は、
一方をその中空スタビライザ・バー３１のアーム
３２端に嵌め込み、さらに、そのアーム３２端を
波形に変形し、かしめることによつて、そのアー
ム３２端に固定されている。

挾持プレートは、上述の具体例10の挾持プレー
ト１４，１５と同様であり、連結ブラケツト３３
への取付け方法も同様であるため、その構成およ
び取付け方法の説明を省略する。

そのように構成されるスタビライザ３０をトラ
ツクに取り付ける方法も、上述の具体例10の場合
と同様になされるため、その方法についての説明
を省略し、また、そのスタビライザ３０によつ
て、その具体例10において説明した効果と同様の
効果が得られることは勿論である。

如上のこの考案によれば、自動車のシヤシ側に
横方向に配置される中空スタビライザ・バーより
なる自動車に使用されるスタビライザにおいて、
連結ブラケツトが、その中空スタビライザ・バー
のアーム端に固定され、さらに、一対の挾持プレ
ートが、その連結ブラケツトに互いに向い合うよ
うに取り付けられているため、そのスタビライ
ザ・バーのアーム端を潰すことなく、そのアーム
端が自動車の車軸側に容易に、かつ、十分な強度
をもつて確実に連結され、その自動車の走行時に
おけるローリングが少なくなり、走行安定性が向
上し、極めて実用的になる。

【図面の簡単な説明】

第１図はトラツクに適用されたこの考案の自動
車に使用されるスタビライザの取付け状態を示す
部分斜視図、第２図は第１図に示されたスタビラ
イザのアーム端に連結ブラケツトを介して挾持プ
レートが取り付けられた状態を示す部分横断面
図、および、第３図はトラツクに適用されたこの
考案の自動車に使用されるスタビライザの他の具
体例を示す部分横断面図である。 １０，３０……自動車に使用されるスタビライ
ザ、１１，３１……中空スタビライザ・バー、１
２，３２……アーム、１３，３３……連結ブラケ
ツト、１４，１５……挾持プレート、１８……シ
ヤシ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動車のシヤシ側に横方向に配置される中空ス
   タビライザ・バーよりなるものにおいて、 連結ブラケツトが、その中空スタビライザ・バ
   ーのアーム端に固定され、さらに、 一対の挾持プレートが、その連結ブラケツトに
   互いに向い合うように取り付けられている ことを特徴とする自動車に使用されるスタビライ
   ザ。