JPS6140576Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車に使用されるスタビライザ
に関する。

一般に、この種のスタビライザは、ばね鋼、中
炭素鋼などから略Ｕ字状に形成されたスタビライ
ザ・バーよりなり、そのスタビライザ・バーは、
自動車のシヤシ側に横方向に配置され、かつ、両
端方において、そのシヤシ側に回転可能に支持さ
れ、さらに、そのスタビライザ・バーのアーム端
がその自動車の車軸側に取り付けられて、その自
動車の走行時における車体のローリングを少なく
し、走行安定性を向上するように構成されてきて
いる。

そのようなスタビライザ・バーは、近年、自動
車の軽量化に起因して、中空状に形成される傾向
にある。

従つて、通常、その中空状のスタビライザ・バ
ーのアーム端を自動車の車軸側に取り付ける場合
には、そのアーム端を潰し、その潰されたアーム
端が、その車軸側に連結されてきている。

しかし、その中空状のスタビライザ・バーが、
乗用車に使用されるもののように、外径が細く、
かつ、肉厚が比較的薄い場合はともかく、トラツ
クに使用されるもののように、外径が太く、か
つ、肉厚が比較的厚い場合には、プレス加工によ
りそのアーム端を潰すことは困難であつた。

この考案の目的は、スタビライザ・バーのアー
ム端を自動車の車軸側に容易に、かつ、十分な強
度をもつて確実に連結し、その自動車の走行時に
おける車体のローリングを少なくし、走行安定性
を向上する自動車に使用されるスタビライザの提
供にある。

それらの課題のために、この考案の自動車に使
用されるスタビライザは、自動車のシヤシ側に横
方向に配置される中空スタビライザ・バーよりな
るものにおいて、クレビス連結部が、その中空ス
タビライザ・バーのアーム端を軸方向に切り欠
き、さらに、その切り欠かれたアーム端を潰し、
かつ、重ね合わせることによつて形成されている
ことを特徴としている。

以下、この考案に係る自動車に使用されるスタ
ビライザの望ましい具体例について、図面を参照
して説明する。

第１および２図は、トラツクに適用されたこの
考案の自動車に使用されるスタビライザの具体例
10を示している。

そのスタビライザ１０は、トラツクのフロン
ト・サスペンシヨンよりも前方の位置で、シヤシ
１９の下方に横方向に配置される中空スタビライ
ザ・バー１１よりなり、クレビス連結部１３が、
その中空スタビライザ・バー１１のアーム１２端
を軸方向に切り欠き、さらに、その切り欠かれた
アーム１２端を潰し、かつ、重ね合わせ、溶接す
ることによつて形成され、そのクレビス連結部１
３にボルト締めされるクレビス１４を介して、そ
のアーム１２端がそのトラツクの車軸側、すなわ
ち、そのフロント・サスペンシヨンとしてのリー
フ・スプリング２３側に、回転可能に連結されて
いる。

中空スタビライザ・バー１１は、機械構造用炭
素鋼管からなり、両端方にアーム１２をそれぞれ
一体的に形成するように、所定の曲率をもつて略
Ｕ字状に曲げられている。

その中空スタビライザ・バー１１の中央部分
は、いわゆる、トーシヨン・バーとして作用し、
それぞれのアーム１２端の相対的な変位に応じて
捩られ、一方のアーム１２端の変位によつて生じ
る捩りトルクを他方のアームに伝達する。

勿論、その中空スタビライザ・バー１１の外
径、内径、その中空スタビライザ・バー１１にお
ける中央部分、および、アーム１２の有効長さ
は、そのトラツクの車体重量に応じて決定され
る。

また、その中空スタビライザ・バー１１の曲げ
部分内側には、詰め物２７が配置されている。そ
の詰め物２７としては、その中空スタビライザ・
バー１１の軽量化を考慮して、比較的軽いもの、
例えば、中空状の捨てパイプを使用することが望
ましい。勿論、その詰め物２７は、その中空スタ
ビライザ・バー１１を上述のように曲げ加工する
以前に、予め、その中空スタビライザ・バー１１
内の所定の位置に配置され、その中空スタビライ
ザ・バー１１が所定の曲率をもつて曲げられると
き、その詰め物２７もほぼ同様に曲げられる。

そのように構成された中空スタビライザ・バー
１１のそれぞれのアーム１２端には、クレビス連
結部１３が形成されている。

そのクレビス連結部１３は、その中空スタビラ
イザ・バー１１のアーム１２端付近の周囲におい
て、互いに向い合う上下部分を所定の長さをもつ
て軸方向にそれぞれ切り欠いて、そのアーム１２
端を左右に分割し、その分割されたアーム１２端
を互いに重ね合わせるように、プレス機械によ
り、左右両側から押し潰し、さらに、そのように
重ね合わされたアーム１２端を溶接することによ
つて形成されている。

勿論、そのようにしてアーム１２端が切り欠か
れた状態において、そのアーム１２の端面は、左
右に分割されて、一対の半円弧状をなし、さら
に、そのアーム１２端が左右両側から押し潰され
れば、その半円弧状部分がほぼ平坦状に変形され
て、互いに重ね合わされる。

従つて、トラツクに使用される中空スタビライ
ザ・バー１１は、乗用車に使用されるものより
も、通常、肉厚が厚く、アーム１２端の押し潰し
が困難であるが、上述のような手段によつて、そ
のアーム１２端が容易に押し潰され、かつ、十分
な強度が得られる。

そのように構成された中空スタビライザ・バー
１１は、トラツクのフロント・サスペンシヨンと
してのリーフ・スプリング２３の前方の位置で、
シヤシ１９の下方に横方向に配置され、その中空
スタビライザ・バー１１の中央部分の両端方にお
いて、ブラケツト２５を介して、そのシヤシ１９
に回転可能に支持されている。

勿論、そのブラケツト２５において、その中空
スタビライザ・バー１１を回転可能に支持するボ
アの内側には、ラバー・ブツシユ（図示せず）が
配置されている。

さらに、その中空スタビライザ・バー１１のア
ーム１２端に形成されたクレビス連結部１３に
は、クレビス１４がボルト締めされている。

そのクレビス１４は、鋼板から折り曲げられた
一対の挾持プレート１５，１６よりなり、一端を
互いに向い合わせるようにして、他端がそのアー
ム１２端のクレビス連結部１３の両側面に重ね合
わされ、ボルト締めされている。

また、その挾持プレート１５，１６のそれぞれ
の一端において、互いに向い合う位置には、ピン
孔１７，１８がそれぞれ形成されている。

そのようにして中空スタビライザ・バー１１の
アーム１２端に固定されたクレビス１４は、その
トラツクの車軸側、すなわち、リーフ・スプリン
グ２３に回転可能に連結されている。

そのリーフ・スプリング２３は、複数の重ね板
ばねの最下段に一対のＵボルト２６を介して固定
された連結プレート２４を備えるもので、そのリ
ーフ・スプリング２３の前方の目玉部が、シヤシ
１９に固定されたフロント・ブラケツト２０に回
転可能に連結され、また、後方の目玉部が、その
フロント・ブラケツト２０よりも後方に所定の間
隔をもつて離され、そのシヤシ１９に固定された
リア・ブラケツト２１に、シヤツクル２２を介し
て、回転可能に連結されている。

勿論、そのリーフ・スプリング２３に固定され
た連結プレート２４は、先端に目玉部を備えてい
る。

従つて、上述した中空スタビライザ・バー１１
のアーム１２端に固定されたクレビス１４は、そ
の連結プレート２４の目玉部に回転可能に連結さ
れている。

次に、上述のスタビライザ１０が適用されたト
ラツクの走行について述べるに、先ず、先行中に
そのトラツクの車体の左右側において、荷重の均
衡が保たれ、車軸側の振動に起因して、左右のリ
ーフ・スプリング２３がほぼ同一の条件下で変形
する場合には、中空スタビライザ・バー１１は、
実質的に捩られることなく、そのリーフ・スプリ
ング２３の変形に追従して回転される。

また、そのトラツクが旋回し、車体にローリン
グが生じる場合には、左右のリーフ・スプリング
２３の変位量が異なることから、その中空スタビ
ライザ・バー１１の中央部分が捩られ、さらに、
その中央部分の復元力によつて、左右のアーム１
２がほぼ同一の位置に戻される。

すなわち、捨てパイプ２７を嵌め込んで曲げら
れたスタビライザ１０によつてそのトラツクの走
行時における車体のローリングが少なくなり、走
行安定性が向上する。

如上のこの考案によれば、自動車のシヤシ側に
横方向に配置される中空スタビライザ・バーより
なる自動車に使用されるスタビライザにおいて、
クレビス連結部が、その中空スタビライザ・バー
のアーム端を軸方向に切り欠き、さらに、その切
り欠かれたアーム端を潰し、かつ、重ね合わせる
ことによつて形成されているため、そのスタビラ
イザ・バーのアーム端が、自動車の車軸側に容易
に、かつ、十分な強度をもつて確実に連結され、
その自動車の走行時における車体のローリングが
少なくなり、走行安定性が向上し、極めて実用的
になる。

【図面の簡単な説明】

第１図はトラツクに適用されたこの考案の自動
車に使用されるスタビライザの取付け状態を示す
部分斜視図、および、第２図は第１図に示された
スタビライザのクレビス連結部にクレビスが取り
付けられた状態を示す部分断面図である。 １０……自動車に使用されるスタビライザ、１
１……中空スタビライザ・バー、１２……アー
ム、１３……クレビス連結部、１９……シヤシ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動車のシヤシ側に横方向に配置される中空ス
   タビライザ・バーよりなるものにおいて、 クレビス連結部が、その中空スタビライザ・バ
   ーのアーム端を軸方向に切り欠き、さらに、その
   切り欠かれたアーム端を潰し、かつ、重ね合わせ
   ることによつて形成されている ことを特徴とする自動車に使用されるスタビラ
   イザ。