JPS6140296B2

JPS6140296B2 -

Info

Publication number: JPS6140296B2
Application number: JP57015239A
Authority: JP
Inventors: Tatsuhiko Fukuoka; Takeshi Muraki; Shoji Kamya
Original assignee: Taiho Kogyo Co Ltd
Current assignee: Taiho Kogyo Co Ltd
Priority date: 1982-02-01
Filing date: 1982-02-01
Publication date: 1986-09-08
Also published as: JPS57188640A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はアルミニウム（Al）を母材とするア
ルミニウム―スズ（Sn）系軸受材料に関するも
のである。さらに詳しくは、Al―Sn系軸受合金
中に含まれる低融点材料を改良し、かつ、硬質物
を合金中に多量に分散させてなる耐摩耗性にすぐ
れたAl―Sn系軸受材料を提供することにある。従来のアルミニウム軸受材料としては、主とし
てAl―Sn系軸受材料が使用されているが、この
軸受材料は最近の自動車用内燃機関がより高速、
高荷重の条件下で使用されると軸と軸受との間に
介在する潤滑油膜が薄くなつて軸と軸受の直接接
触が生じやすくなり、その結果軸受の摩耗量が多
くなつたり焼付にいたることがある。そこで本件発明は軸と軸受が直接接触を起して
も充分な耐摩耗性を持つと同時に耐荷重性にもす
ぐれたAl―Sn系軸受材料を提供することにあ
る。すなわち、Alを実質上残部としてSn3〜40
％、鉛（Pb）0.1〜9.0％、アンチモン（Sb）3.5
〜10％、銅（Cu）および（または）マグネシウ
ム（Mg）を0.1〜3.0％でなる合金に裏金鋼板を
圧接してなる軸受材料（材料１）。材料１にシリコン（Si）、ニツケル（Ni）、マン
ガン（Mn）、チタン（Ti）、鉄（Fe）、ジルコニ
ウム（Zr）、モリブデン（Mo）、パナジウム
（Ｖ）、コバルト（Co）、ニオブ（Nb）の１種また
は２種以上を合計で0.2〜10.0％添加した合金に
裏金鋼板を圧接してなる軸受材料（材料２）を提
供するものである。次に本件合金に添加した各種元素の特性を示す
と、 Sn：潤滑を主目的として添加される元素である。こ
のSnはAl中に微細に分散する程に潤滑性を確保
しながら全般の機械的強度を保つ。３％未満では
潤滑の効果がなく、40％を越えると全般が軟らか
くなつて耐荷重性がなくなる。 Pb：潤滑を主目的として添加される元素であるが、
Sn以上に潤滑性にすぐれた材料である。またSn
とともに存在させると一部Sn―Pbの合金元素を
作り、Sn，Pbより融点の低い合金が存在するこ
とになつて金属接触が生じた場合には、特に潤滑
性の効果が発揮される。 0.1％未満では潤滑の効果がないし、9.0％を越
えると重量偏析のため鋳造が困難になる。 Sb： Sn，Pbを比較的微細に分散させる効果があ
り、またSnとPbとともに存在させるとSn―Pb―
Sbの合金を作つて融点及び硬度の高い軟質金属
を存在させる。このことは軟質材の耐荷重性、高
温特性を改良することになる。また、余分なSbはAl―Sb等の析出物を作り、
この析出物は非常に硬いため、これが適度に分散
すると耐荷重性の向上と耐摩耗性の向上につなが
る。この意味で3.5％以上添加すれば上記を満足
し、10.0％越えると析出物が多くなりすぎるた
め、硬くなりすぎる欠点がある。 Cu，Mg： Al地を耐荷重性、疲労強度の点で強化し軸受
が高温（200℃以上）にさらされた場合の硬さの
低下を防止する。 0.1％未満では効果がないし、3.0％越えるとAl
地が硬くなりすぎてもろくなる。 Si，Ni，Mn，Ti，Fe，Zr，Mo，Co，Ｖ，
Nb：これら元素を（一般的に母合金で添加）Alと
ともに鋳造することにより晶出物、析出物等を生
じさせ、これらはすべて硬質的（ビツカース硬さ
で数百以上）であるため合金全体の硬さの向上、
Al地の強化と耐摩耗を向上させる。この意味で0.2％未満では効果がなく、また
10.0％越えると硬くなりすぎて相手軸を摩耗させ
てしまう欠点がある。尚これら添加物元素の互の
合金化した合金またはAlと合金化した合金を添
加させてもよい。ここで好ましい範囲は Sn：６〜20％、Pb：0.5〜4.0％、Sb：3.5〜６
％、Cu，Mg：0.2〜2.0％、Si等：0.5〜4.0％である。次に実施例によつて本発明を説明する。次表は
本発明に係る合金１〜１５、比較用として１６〜
１８の化学成分値を示すものである。

【表】

【表】合金１から１５迄は、ガス炉においてAl地金
を溶解し次にAl―Sb母合金やAl―Cu母合金、Al
―Mg母合金、Al―Si母合金、Al―Mn母合金、Al
―Ni母合金、Al―Ti母合金、Al―Fe母合金、Al
―Zr母合金、Al―Co母合金等を目的成分に応じ
て溶解し最後にSnおよびPbを添加したのち脱ガ
ス処理をし、金型に鋳造（厚さ18mm）を行つたも
ので、その後２mmまたは１mmずつの圧延と焼鈍
（350℃・４時間）を繰り返して合金厚さ３mmの試
料（圧延率83％）を作り、硬さの測定を行なつ
た。次にこの試料をさらに圧延して厚さ１mm（圧
延率94％）とし、その後これらの合金と裏金鋼板
とを接着してバイメタル材とし、これを焼鈍
（350℃―４時間）した後平面軸受に加工して摩擦
試験を行つた。また合金１６〜１８は、比較材の
合金を上記合金と同一製造法で作成して試料と
し、同一の試験を行つた。第１図は、上記合金１ないし１８の硬さをヴイ
ツカース硬度で測定した結果を示すものである。
これらのグラフから明らかなように、本発明に係
る１〜１５は比較材合金１６〜１８に比してすべ
て同等または以上に硬度が高い。これは析出物等の硬質物のためである。また特
にCuおよび（または）Mgを添加した合金は、温
度を上昇させて硬さを測定した第２図で明らかな
如く、高温度になつても硬さの低下が少ないこと
が認められる。このことは軸受が高温度で使用さ
れても耐荷重性、耐摩耗性を有することになるの
である。次に第３図は、本発明に係る合金３，７，９，
１２と比較材の合金１６，１７，１８について摩
擦試験を行なつたときの結果を示すものである。
この実験は、軸回転数1000rpm、軸材としてS55
℃焼入れ材を使用し、軸表面粗さを１μｍとし、
一定油温（120℃）の強制潤滑下において、荷重
を増加させた場合の摩耗量の変化の状態を測定し
た結果を示すグラフである。このグラフによれば
比較材の合金１６，１７，１８と比し、３，７，
９，１２は摩耗量が極めて少ないことが認めら
れ、優れた耐摩耗性を示している。これはAl地中に分散している硬質物の効果で
あることが認められる。なお、本発明に係る合金組成において、Al中
には通常の精錬技術ではどうしても避けられない
不純物が含まれることは勿論である。以上の通り本発明に係るAl―Sn系軸受合金
は、SbのSn、Pbに与える微細化、強度向上効
果、折出物による耐摩耗性向上効果、またSi，
Mn，Ti，Ni，Fe，Zr，Ｖ，Nb，Mo，Co等の添
加による耐摩耗性の向上に加え、Pb、によりな
じみ性の向上、耐焼付性の向上を図ることがで
き、さらにCuおよび（または）Mgを加えれば温
度強度がより向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係るAl―Sn系軸受合金と
比較材の同種軸受合金の硬度をブロツトしたグラ
フ、第２図は、温度変化に伴う硬度変化の様子を
ブロツトしたグラフ、第３図は、鋼軸に対して同
じく荷重を増加させた場合の摩耗量の変化の状況
を示すグラフ。

Claims

【特許請求の範囲】１重量で錫３〜40％、鉛0.1〜９％、アンチモ
ン3.5〜10％、銅および（または）マグネシウム
0.1〜３％と残部が実質的にアルミニウムからな
るアルミニウム合金に裏金鋼板を圧接してなるア
ルミニウム軸受材料。２重量で錫３〜40％、鉛0.1〜９％、アンチモ
ン3.5〜10％、銅および（または）マグネシウム
0.1〜３％、シリコン、ニツケル、マンガン、チ
タン、鉄、ジルコニウム、モリブデン、コバル
ト、パナジウム、ニオブの１種または２種以上を
合計で0.2〜10％と残部が実質的にアルミニウム
からなるアルミニウム合金に裏金鋼板を圧接して
なるアルミニウム軸受材料。