JPS6139878B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

この発明は、水面をかき乱し、あるいは水面か
ら水滴をはね飛ばして、気液の接触を増し、溶存
酸素を水中に供給すると同時に、水処理に必要な
水の流れを水槽内に生起せしめる表面曝気装置に
関するものである。 従来、この種の表面曝気装置は、単に、タービ
ン型、プロペラ型あるいは平羽根型等の各種翼を
その軸を縦方向または横方向にして備え、そのよ
うな翼によつて水をかき回わしている。 ところで、このような表面曝気装置の優劣の判
断は、単位消費動力当たりの酸素溶解量および水
循環量の多少を尺度としている。 この考案は、従来のものに比して、上記優劣の
判断の尺度となる両点においてきわめて優れてい
る表面曝気装置を提供することを目的とする。 以下、この発明を図示する実施例並びにそのデ
ータを参照して説明する。 第１図乃至第３図はこの発明の第１実施例を示
し、第１図および第２図はその要部たる回転体の
拡大図である。その回転体１は、板材によつて成
形された胴部２を主体としている。この胴部２
は、その上端が閉塞され、かつ下方に向かうにし
たがつて漸次拡開されて、その下端が開口するい
わゆるラツパ状とされている。そして、その母線
は内側に湾曲するようになつている。 胴部２の周壁部には、その母線と所定の角度を
成すように傾斜する複数（本実施例では４つ）の
切欠き部３が胴部２の下端に向かつて切欠かれて
いる。また、この複数の切欠き部３は、胴部２の
周方向に沿つて等間隔的に位置されている。各切
欠き部３において、回転体１の回転方向となる矢
印Ａ方向寄りの一側縁には、外方に突出する外側
翼部４が設けられ、またその一側縁と反対の他側
縁には内方に突出する内側翼部５が設けられてい
る。したがつて、外側翼部４は回転体１の回転方
向（矢印Ａ方向）に対して前方側に位置し、内側
翼部５はその方向に対して後方側に位置すること
となる。また、外側翼部４は、胴部２の表面に直
立する面に対し回転方向Ａ側に若干傾斜され、一
方、内側翼部５は、外側翼部４と反対に回転方向
Ａの反対側に若干傾斜されている。 このような回転体１の上端にはモータ軸取付け
ボス６が取付けられ、そしてこのボス６は、第３
図に示すように曝気槽７の上方外部に位置するモ
ータ（駆動源）８の駆動軸に連結される。これに
より、回転体１は、それ自身が曝気槽７内の液中
に浸漬するような状態で配置される。 次に上記構成装置の作用について説明する。 モータ８を回転させ、回転体１の翼部４，５の
中間部までを液中に浸漬させるようにして、この
回転体１を縦方向の軸線を中心として回転させる
と、下方に開口する回転体１の凹状内部９が外部
に対して負圧となる。このため、その内部９へ外
部から空気が流れ込む。その際、切欠き部３は、
空気の流れ、および回転中心から外側へはじき飛
ばされる水流を切り、それらを混合接触させて微
細な泡を液中に効率良く溶解させる。 このように、回転体１は空気の流れを起こし、
切欠き部３で気液接触を促進すると共に、翼部
４，５の回転によつて液を効率良く拡散および循
環させる。 そこで、この発明の有効性を(1)酸素供給能力、
(2)液体の循環、(3)消費動力についてのデータを基
に説明する。 (1) 酸素供給能力 本装置の酸素供給は、前述の通り空気の流れ
と液体の流れが、切欠き部３によつてきられ、
気液接触が促進されるため、著しく効果的にな
つている。表−１に実施例を示す。同表からも
わかるように、従来の表面曝気装置に比べて、
消費動力当たりの酸素供給量は著しく改善され
ており、1.3〜1.6倍の能力に達している。 また、切欠き部３の上端を静水位とほぼ同じ
レベルに設置する場合が最も効果的であり、回
転体１全体を液中に浸した場合はその廻りにキ
ヤビテーシヨンによる気泡が若干生起するが、
切欠き部３での気液混合が少なくなるため酸素
吸収量は激減する。 (2) 液体の循環 液体の循環量Ｑは、式−(1)により近似でき
る。ここで、ペラ定数Nqは回転翼の形状によ
り定まる。式−(1)より、一定の回転数Ｎ及び翼
径Ｄにおいて、循環量を増すためには、ペラ定
数Nqが大きい方が当然有利となる。本装置に
よるペラ定数Nqの実施結果からの計算値は、
表−１に示す通り、従来からの他の翼に比べて
30％〜50％大きく、本装置の有効性を示してい
る。 Ｑ＝Nq×Ｎ×D³（m³／分） ……(1) Ｑ；循環量（m³／分） Ｎ；回転数（r.p.m） Ｄ；翼径（ｍ） Nq；ペラー定数 (3) 消費動力 消費動力Kwは、式−(2)により近似できる。
即ち、回転数Ｎ、翼径Ｄ、及び動力数Npによ
つて決定される。従つて同一回転数（Ｎ）及び
同一の翼径(D)であれば、動力数Npの小さいも
の程効率の良い表面曝気装置といえる。 ここで、本法による動力数Np及び、従来法
によるNpの一例を示せば表−１に示すごとく
である。 同表からわかるように、動力数Npが小さ
く、前述のように、消費動力当りの酸素供給能
力（O₂Kg/Kwh）が従来法より著しく改善され
ていることが裏付けられている。 一方、消費動力当りの循環量（m³/Kwh）は
式−(1)及び(2)より、式−(3)のように表わすこと
ができる。従つて式(3)より、同一回転数（Ｎ）
及び同一翼径(D)においては本装置のように、ペ
ラー定数Nqが大きく、かつ、動力数Npが小さ
い程消費動力当りの循環量（m²/Kwh）を大き
くできることとなり、本装置の有効性を示して
いる。 Kw＝Np×Ｎ^３×Ｄ^５×ρ／７６×ｇｃ×0.746（Kw）
……(2) Ｑ／Ｋｗ＝Ｎｑ／Ｎｐ×７６×ｇｃ×３．６／Ｎ^２×
Ｄ^２（m³/Kwh）……(3) Kw；電力（Kw） Ｎ；回転数（r.p.s）Ｄ；
翼径（ｍ） Np；動力数 ρ；密度（Kg/m³）

【表】 しかして、本装置は、所期の目的、つまり小さ
な消費動力で大きな酸素供給量および大きな液体
循環量を得るという目的を達成する。 ところで、回転体１の胴部２の形状は何ら上記
実施例に限定されず、例えば第５図ａに示すよう
に上端の閉塞部から下端の開口部に向つて、外方
に膨らむようにして拡開する形状、あるいは同図
ｂに示すように上端の閉塞部から下端の開口部に
向つて、一定の割合で拡開する形状等任意であ
り、また、この胴部２の切欠き部３に代えて孔を
形成してもよい。 また、翼部４，５は、上記実施例のように胴部
２の内外の両方についていることが効果的であ
り、かつ切欠き部３に沿つて設けられていること
が一層効果的である。また、切欠き部３の上端と
曝気槽７の静位水がほぼ同じレベルにある時が最
も効果的であつた。気泡の発生は、切欠き部３で
の気液の混合に起因するものが大勢を占めるが、
その広がり方は液表面が中心であるため、第４図
に示すように回転体１の直下の中心にドラフトチ
ユーブ１０を設けた場合にその広がりの現象が一
層促進される。このとき、微細気泡は、曝気槽７
中にまんべんなく拡散し、長時間液中に滞留す
る。 以上説明したように、この発明に係る表面曝気
装置は、回転体の内外に出入りする空気の流れ、
および水流を切り、それらを混合接触させて微細
な泡を液中に効率良く溶解させる構成であるか
ら、酸素供給能力、液体の循環および消費動力の
観点から明らかなように、きわめて優秀な表面曝
気装置であるといえる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図はこの発明の一実施例を示
し、第１図は回転体の平面図、第２図は回転体の
側面図、第３図は装置全体の概略構成図、第４図
はこの発明の他の実施例装置の概略構成図、第５
図ａ，ｂはそれぞれ回転体の変形例を示す側面図
である。 １……回転体、２……胴部、３……切欠き部、
４……外側翼部、５……内側翼部、７……曝気
槽、８……モータ（駆動源）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 曝気槽と、この曝気槽内に少なくともその一
   部が配置される回転体と、この回転体を回転駆動
   させる駆動源とを具備してなり、前記回転体は、
   一端が開口し、他端が閉塞され、その周壁部に切
   欠き部または孔が形成された胴部と、この胴部の
   周壁部外面に外方へ突出するように形成された外
   側翼部と、この胴部の周壁部内面に内方へ突出す
   るように形成された内側翼部とを有してなり、こ
   の回転体を、その胴部の開口する側を下方に向け
   て少なくとも前記切欠き部または孔、外側翼部、
   内側翼部が前記曝気槽内の液体中に浸漬されるよ
   うに配置すると共に前記駆動源により胴部の中心
   軸線を中心として回転させるようにしたことを特
   徴とする表面曝気装置。 ２ 前記外側翼部と内側翼部とを前記切欠き部ま
   たは孔の縁部に沿つて形成してなることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載の表面曝気装置。 ３ 前記外側翼部を前記胴部の回転方向に対して
   前記切欠き部または孔の前側に形成し、前記内側
   翼部を同方向に対して前記切欠き部または孔の後
   側に形成してなることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項または第２項記載の表面曝気装置。 ４ 前記曝気槽内に流入させる液体の静水位を前
   記切欠き部または孔の上端位置に設定してなるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項ないし第３
   項のいずれかに記載の表面曝気装置。