JPS6138991Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、主として山間部道路等の路面への
落石防止を図る目的で、崖等の法面に張設される
落石防止網を取り付けるための羽根付アンカーの
改良に関するものである。

従来の羽根付アンカーは、長尺状軸部の中央部
に板状羽根を固着すると共に、その軸部上端に落
石防止網を吊持させるためのワイヤーロープ掛止
用金具を固着したもので、使用時には、法面上部
の土砂地中に上記ロープ掛止用金具部分を残して
その軸部の略全長を圧入すると共に、落石防止網
を吊持するワイヤーロープの上端部を上記掛止用
金具に掛着するように構成されている。即ち、こ
の種アンカーにおいては、落石防止網の自重と、
該網に加えられる積雪・落石等による荷重をワイ
ヤーロープを介して軸部上端にて支受させるもの
であり、また、軸部における板状の羽根は土砂地
中において土圧を増大させるため、これによつて
軸部の屈曲防止及び引き抜き防止を図るものであ
る。

ところが、上記した従来のアンカーにおいて
は、軸部上端に加えられる上記荷重が、板状羽根
の上端位置を支点として軸部上端側を折り曲げる
ように作用することとなるため、上記荷重の増加
に伴つて軸部が羽根の上端部から屈曲変形しなが
ら軸部全体が上方へ引き抜かれるといつた重大な
欠点を有していた。

この考案は、上述したような実情に鑑みて、軸
部の屈曲、特に、板状羽根の上方側における軸部
の屈曲防止を図ると共に、ワイヤーロープを介し
て加えられる軸部上端への荷重を、軸部全体の土
砂地中への圧入力、若しくは接地力として応用す
ることにより、軸部全体の完全な引き抜き防止を
図ることを目的とするもので、以下これを実施例
図に基づいて説明する。

本考案羽根付きアンカーは、中央部に板状羽根
１を固着した軸部本体２と、該軸部本体の板状羽
根１よりも上方となる外周に密嵌状に嵌合させた
軸部本体２の屈曲防止用部材３と、該部材と上記
軸部本体２との両者の止着用ナツト４とから構成
されている。また、上記軸部本体２の下端には下
向きの先鋭部２ａが形成されると共に、その上端
部には上記屈曲防止用部材３の止着ナツト４を螺
装させるための螺子部２ｂが形成されている。ま
た、上記板状羽根１は所要の幅を有すると共に、
その下端部には下向きの先鋭部１ａが形成されて
いる。また、上記屈曲防止用部材３は軸部本体に
おける板状羽根１の上方外周に対して着脱可能に
形成された基管３ａと、該基管の外周に固着され
たＬ字型の羽根３ｂと、上記基管３ａの上端部外
周及びＬ字型羽根３ｂの上面側に固着されたＶ字
型の補強リブを兼ねるワイヤーロープ５の掛止具
３ｃとから成り、上記Ｌ字型羽根３ｂは軸部本体
側の板状羽根１と略同じ幅を有すると共に、基管
３ａ側における垂直羽根６の下端部は基管３ａよ
りも下方へ長くなるように設けられており、ま
た、基管３ａの長手方向に対して直交する方向に
突設された水平羽根７の先端部には基管３ａの長
手方向と平行する下向きの折曲部７′が設けられ
ており、更に、基管３ａの外周附近における上記
掛止具３ｃの両側部にはワイヤーロープ５の上端
部を挿通掛着させるためのワイヤーロープ掛着用
孔部８・８が設けられている。

従つて、ワイヤーロープ掛止具３ｃ側を上向き
として屈曲防止用部材３における基管３ａを軸部
本体２の上部側に嵌合させると共に、該基管側の
垂直羽根６における下端部分を軸部本体における
板状羽根１の上端部１ｂに重合させ、且つ、軸部
本体の上端螺子部２ｂに止着ナツト４を螺着させ
ることによつて、羽根付アンカーの組み立てを行
なうことができ、このとき、軸部本体２上には、
その板状羽根１とＬ字型羽根３ｂとによつて、中
央部から軸部上端側に向う長尺の板状羽根１・６
部と、該軸部上端から水平方向に突設される板状
羽根７部とが構成されると共に、両羽根１・３ｂ
は板状羽根の上端部１ｂと垂直羽根６の下端部分
との重合によつて軸周方向への回り止めが図ら
れ、且つ、屈曲防止用部材３はナツト４によつて
軸部本体２への止着一体化が図られている。

なお、軸部本体における螺子部２ｂの上端部に
被嵌させた嵌合体１１は、軸部本体２の土砂地中
への圧入時において螺子部２ｂを保護するために
用いられる保護キヤツプ、或は、ナツト４の弛み
止め部材であつて、夫々の必要時に装設されるも
のである。

上記した構成を有する羽根付アンカーを使用す
る場合は、第１図及び第４図に示すように、ま
ず、法面９の上部位置に水平状の施工面１０を設
ける。次に本考案羽根付アンカーにおける軸部本
体２のみを上記施工面１０の所定位置から土砂地
中に主として入為的に圧入し、次に、前記したア
ンカーの組立手順に従つて屈曲防止用部材３を圧
入する。なお、このとき、軸部本体２の圧入方向
及び圧入深さ度合は、施工面１０に対して直交す
る略垂直方向であつて、その軸部本体の上端螺子
部２ｂは施工面１０よりも若干突出されている必
要があるが、要するに、板状羽根１とと垂直羽根
６とが重合されると共に、水平羽根７の下面と施
工面１０とが略合致する状態で、前記ナツト４に
よる軸部本体２と屈曲防止用部材３との止着一体
化が図られておればよいのである。

上記した状態で、落石防止網１２の上縁部に係
着したワイヤーロープ５の上端部を、第３図に示
すように、水平羽根７の上面から掛止具３ｃにお
ける左右の孔部８・８に挿通し、且つ、該ロープ
上端部を基管３ａの周面に適宜掛着させることに
よつて、落石防止網１２の法面９に対する張設を
行ない得るのである。従つて、本考案羽根付アン
カーにおいては、落石防止網１２の自重と、使用
時に該網に対して加えられる積雪・落石等による
荷重が、基管３ａを介して軸部本体２側に加えら
れると共に、水平羽根７の上面には上記荷重が、
ワイヤーロープ５を介して該水平羽根を下方へ押
圧する力としても作用することになる。即ち、軸
部本体２側には、長尺の板状羽根１・６部におけ
る大きな土圧、及び、板状羽根１と垂直羽根６と
の重ね合わせ構造による強大な曲げ応力が得られ
るため、従来アンカーのように、軸部本体２が羽
根の上部から折れ曲がり、土圧を確保すべき羽根
部分が地表へ引き抜かれるといつた弊害を未然に
防止し得るのであり、また、水平羽根７側に加え
られる上記荷重は、該羽根の先端部に設けた下向
きの折曲部７′を土砂地中に圧入させると共に、
水平羽根７の下面を施工面１０側に圧接して、本
考案羽根付アンカーの土砂地中への圧入力若しく
は接地力として作用するのである。

以上のように、本考案は、下端に先鋭部を形成
すると共に、その上端に螺子部を形成し、且つ、
その中央部に板状羽根を固着した軸部本体と、該
軸部本体の上部に着脱可能に嵌合させた軸部本体
の屈曲防止用部材と、該部材と上記軸部本体との
両者の止着用ナツトとから成り、上記屈曲防止用
部材は軸部本体上部への嵌合用基管と、該基管側
に設けた垂直羽根及び該基管の側方に設けた水平
羽根から形成されたＬ字型羽根と、基管の上部に
設けたワイヤーロープ等の挿通掛着用の孔部を有
する掛止具とから構成されていることを特徴とす
る落石防止網取付用の羽根付アンカーに係るもの
であり、このような本考案アンカーを用いるとき
は、軸部本体の上部に荷重が加えられても、該本
体上部の折れ曲りを確実に防止し得ると共に、上
記荷重を、アンカー全体の土砂地中への圧入力若
しくは接地力として応用し得て、アンカーの完全
な引き抜き防止を図ることができるといつた優れ
た実用的効果を奏するものである。また、本考案
羽根付アンカーは、簡易構成を有すると共に、軸
部本体の圧入と屈曲防止用部材の圧入及びこれら
両者のナツトによる止着一体化といつた極めて簡
易は手順によつて設置作業を行なうことが可能で
あり、しかも屈曲防止用部材の圧入作業は軸部本
体の上部にその基管を嵌合させて行なうものであ
るから、該作業に要する時間及び労力は極めて少
なく、従つて、この種製品に要求される信頼性
と、施工の容易性を著しく向上させ得ると共に、
低価なアンカーを提供することができる等の効果
を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は本考案羽
根付アンカーの施工状態図、第２図及び第３図は
該アンカーの正面図及び平面図、第４図は該アン
カーの施工状態を示す側面図、第５図は該アンカ
ーの上部を拡大して示す一部切欠截側面図、第６
図は該アンカーの分解斜視図である。 １……板状羽根、２……軸部本体、２ａ……先
鋭部、２ｂ……螺子部、３……屈曲防止用部材、
３ａ……基管、３ｂ……Ｌ字型羽根、３ｃ……掛
止具、４……ナツト、５……ワイヤーロープ、６
……垂直羽根、７……水平羽根、７′……折曲
部、８……孔部、１２……落石防止網。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 下端に先鋭部を形成すると共に、その上端に
   螺子部を形成し、且つ、その中央部に板状羽根
   を固着した軸部本体と、該軸部本体の上部に着
   脱可能に嵌合させた軸部本体の屈曲防止用部材
   と、該部材と上記軸部本体との両者の止着用ナ
   ツトとから成り、上記屈曲防止用部材は軸部本
   体上部への嵌合用基管と、該基管側に設けた垂
   直羽根及び該基管の側方に設けた水平羽根から
   形成されたＬ字型羽根と、基管の上部に設けた
   ワイヤーロープ等の挿通掛着用の孔部を有する
   掛止具とから構成されていることを特徴とする
   落石防止網取付用の羽根付アンカー。 (2) Ｌ字型羽根における垂直羽根の下端部を基管
   の下端部よりも長くなるように延設したことを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第(1)項記載
   の羽根付アンカー。