JPS6136879Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は低温タンクの内壁構造に係り、特に低
温タンク内に収容される貯液によつてメンブレン
コルゲーシヨンに加わる液圧荷重を分散させて、
メンブレン下の保冷材層に伝え保冷材層を保護す
るようにした低温タンクの内壁構造に関する。

一般にLNG，LPG等の低温液化ガスを収容す
る低温タンクとして地下式、半地下式タンクが用
いられている。この種低温タンクはコンクリート
製の槽体に保冷材層を介してメンブレンが張設さ
れており、このメンブレンで被われた槽体内に低
温液が収容されることになる。このメンブレンに
は収容乃至貯蔵される低温液によつて熱収縮を許
容させるために、各所に断面山形状でタンクの内
側に隆起するように屈曲形成されたコルゲーシヨ
ンが設けられている。このコルゲーシヨンをメン
ブレンに設けることにより、メンブレン全体の熱
収縮を吸収することができるものである。

しかるに、従来、メンブレンにコルゲーシヨン
を有する内壁構造にあつては、貯蔵される液圧に
よつてメンブレン下に設けられた保冷材層が変形
あるいは破壊されることがあつた。

以下に、この点について第１図に従つて詳しく
説明する。

図示するごとく、コンクリート製槽体１の内壁
２上には硬質ポリウレタンフオームのごとき保冷
材層３が形成され、この保冷材層３上には実質的
なタンク内壁面を構成するメンブレン４が張設さ
れることになる。このメンブレン４は適宜大きさ
に区画されたメンブレンパネルによつて形成され
且つそれぞれが接合されて槽体内壁に張設されて
いる。コルゲーシヨン５は図示するごとくメンブ
レン４相互の接合乃至結合部やその中間部に設け
られる。このコルゲーシヨン５は断面が略山形状
に屈曲形成され且つタンク内側に隆起して保冷材
層３間に中空室６を形成して、メンブレン４の熱
収縮を吸収する機能を発揮する。即ち、コルゲー
シヨン５はメンブレン４の熱収縮に伴い、コルゲ
ーシヨン５が引張されて緩衝されつつメンブレン
４全体の熱収縮をスムーズに吸収することにな
る。

しかしながら、以上の構成からなるコルゲーシ
ヨン５には貯液による大きな圧力が掛る問題があ
つた。つまり、低温タンク内の貯液は特にコルゲ
ーシヨン５は上記中空室６を形成するため、その
裾野部及至結合部７に集中的に荷重を加えること
になり、タンクの液深が深くなるにつれてコルゲ
ーシヨン５はその下方の保冷材層３に対して仮線
で示すごとく働きより大きな荷重を加えることに
なる。このように、保冷材層３に集中荷重が働く
と、保冷材層３の圧縮強度が問題になり、保冷材
層３が変形を起こし易くなる。

そこで、本考案は従来のメンブレンコルゲーシ
ヨンの問題点に鑑みて、これらを有効に解決すべ
く創案されたものである。

本考案の目的は低温タンク内に収容される貯液
によつてメンブレンのコルゲーシヨンに加わる液
圧荷重を分散させてメンブレン下の保冷材層に伝
達させ、保冷材層の保護を達成し、安全且つ保冷
性の良好な低温タンクを製作し得る低温タンクの
内壁構造を提供するものである。

次に本考案の好適一実施例を添付図面に従つて
詳述する。

第２図に示すごとく、メンブレン４にはコルゲ
ーシヨン５が断面略山形状に屈曲されて形成さ
れ、低温タンクの内壁板としてのメンブレン乃至
メンブレンパネル４を結合するものであり、保冷
材層３上にこれに沿つて設けられている。

特に本考案の特徴とするところはメンブレン４
と保冷材層３との間に、コルゲーシヨン５の裾野
部７の下方乃至下面全域８に位置させて、裾野部
７に加わる液圧荷重を分散させて硬質ポリウレタ
ンフオームの保冷材層３に伝える荷重分散板９が
介設されたものである。

この荷重分散板９は保冷性の高い且つ緩衝性の
良好な材料、具体的には木材製板により、平坦な
表面を有する平板によつて成型される。また、こ
の分散板９は平坦な滑動面１０を有し、この滑動
面１０上をコルゲーシヨン５の伸縮により裾野部
７が移動できるように構成されている。

更に、分散板９は図示するごとく保冷材層３に
設けられた凹部１１に嵌合されて収容され、その
上面である滑動面１０が保冷材層３の表面１２と
連続した水平な面になるように構成される。

そこで、本考案の作用について述べる。

低温タンク内に低温貯液を収容すると、低温液
と接触するメンブレン４が熱収縮を起こす。これ
に対応して、コルゲーシヨン５が延びるので、メ
ンブレン４の収縮分を補うことで熱収縮を許容す
ることができる。低温貯液によつて、図示の矢印
方向の液圧がコルゲーシヨン５に加わると、裾野
部乃至結合部７に集中荷重が加わる。このように
裾野部７に加わつた集中荷重Ｗはコルゲーシヨン
５下に設けられた分散板９により、分散されて保
冷材層３に伝達されることになる。また、コルゲ
ーシヨン５はメンブレン４の熱収縮に応じて分散
板９上を摺動しつつ伸長して吸収することにな
る。

更に、分散板９は保冷材層からなるものであ
り、分散板９が低温液の影響を受けて収縮するこ
とを防止できる。

液圧荷重分散板９はコルゲーシヨン５の裾野部
７に相当する部分にのみ設けられるものであり、
メンブレン４とコンクリート製槽体１との間に形
成される保冷材層３の層厚を薄くすることがで
き、低温タンクの軽量化が達成できる。

また、液圧荷重分散板９は保冷材層３に設けら
れた凹部１１に嵌合されて支承されることにな
り、保冷材層３上にメンブレン４を張設する作業
を容易にすることができると共に、メンブレンを
含むコルゲーシヨン５が熱収縮しても液圧荷重分
散板９がその支承部たる裾野部７より離脱される
ことなく係止されていることになる。

また、保冷材層３の表面１２に連続した水平面
に上記液圧荷重分散板９が嵌合されて支承されて
いるために、これに加わる液圧荷重は保冷材層３
に均一に分散されることになると共に液圧荷重分
散板９の端部は硬質ポリウレタンフオームの保冷
材層によつて熱的遮断がなされることになる。

尚、前記実施例においては分散板９は平板状の
木材等で成型されているが、これに限らず特にコ
ルゲーシヨン５の裾野部乃至結合部７を充分に支
承することができるものであれば環状のものでも
良く且つ合成樹脂材によて成型しても良いことは
勿論である。

以上の説明で明かなごとく本考案によれば、次
のごとき優れた効果を発揮する。

(1) 低温タンク内に収容される貯液によつてメン
ブレンコルゲーシヨンに加わる荷重を分散させ
て均一な荷重を硬質ポリウレタンフオームの保
冷材層に伝達させることができ、保冷材層の保
護を達成し、もつて安全且つ保冷性の良好な低
温タンクを提供することができる。

(2) コルゲーシヨンから加わる液圧荷重を分散す
るための分散板がコルゲーシヨンの裾野部のみ
に設けられているために、保冷材層の層厚を薄
くすることができると共に内壁構造の軽量化が
達成し得る。

(3) また液圧荷重分散板が硬質ポリウレタンフオ
ームの保冷材層に設けられた凹部に嵌合されて
支承されるために、コルゲーシヨンを含むメン
ブレンの熱収縮によつて移動されることなく且
つコルゲーシヨンを含むメンブレンの張設作業
が容易になる。

(4) 更に、液圧荷重分散板が硬質ポリウレタンフ
オームの表面と連続した滑動面を形成すること
になり、液圧荷重分散板はウレタンフオームの
保冷材層によつて熱的遮断がなされると共に硬
質ウレタンフオームの保冷材層と上記分散板と
がコルゲーシヨンを含むメンブレンを滑らかに
支承することができる。

(5) 構造が簡単で、廉価に提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の低温タンクの内壁構造を示す概
略断面図、第２図は本考案の好適一実施例を示す
断面図である。 図中、１は槽体内壁、３は保冷材層、４はメン
ブレン、５はコルゲーシヨン、７は裾野部、９は
液圧荷重分散板、１１は凹部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 槽体内壁に硬質ポリウレタンフオームからなる
   保冷材層を形成し、該保冷材層上に実質的に低温
   液を収容するためのメンブレンを張設し、該メン
   ブレンにその低温液によつて発生する熱収縮を許
   容するために断面略山形状に屈曲されて形成され
   たコルゲーシヨンを有する低温タンクの内壁構造
   において、上記メンブレンと上記保冷材層との間
   に、上記コルゲーシヨンの裾野部に位置させてこ
   れに加わる液圧荷重を分散させて上記保冷材層に
   伝える液圧荷重分散板を介設すると共に上記保冷
   材層に上記液圧荷重分散板を支承して保冷材層の
   表面と連続した滑動面に形成させて収容するため
   の凹部を設けたことを特徴とする低温タンクの内
   壁構造。