JPS6136367B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は巻線形電圧変成器（以下PTとい
う）に関し、特に負担として保護継電器を接続し
た場合に、該継電器の誤動作を有効に防止するよ
うにしたものである。

周知の通り、この種PTにあつては、低圧巻線
側である２次回路において短絡などの事故を生じ
た場合は、前記２次回路の負荷端は無電圧とな
り、たとえば２次回路に電圧継電器などが接続さ
れているときは系統に事故がないにも拘らず、前
記電圧継電器は動作し、系統を電源よりしや断し
てあたかも系統線路に事故が生じたかの如き表示
ならびに動作を行ない、自動的に送配電を中断せ
しめる結果となる。

この対策としては、たとえばPTの低圧巻線で
ある２次巻線とは別に副２次巻線を設け、これら
両２次巻線の電圧を比較することが考えられる
が、いずれか一方の２次回路において短絡などの
事故が生じた場合は、相互干渉により他方の２次
回路の電圧も低下し、２次回路と副２次回路の電
圧差は事故検出のためには必ずしも充分ではな
く、その実用化が困難であつた。

この発明は上述の事柄に鑑み、１次巻線と２次
巻線の間に大地電位から絶縁して電極を配設し、
この電極と前記１次巻線のつながれてある１次電
位部の間の漂遊静電容量をもつて主コンデンサを
形成したコンデンサ分圧器の分圧電圧と、前記２
次巻線の出力電圧をそれぞれ負担に加えることに
より、PTにおいて互に独立した複数個の電源を
得るようにしたものである。

以下この発明の一実施例を示す第１図に基ずい
て説明すると、１は１次巻線、２は２次巻線、３
は前記１次巻線１と２次巻線２の間に大地電位か
ら絶縁して配設された電極で、この電極３と前記
１次巻線１のつながれてある１次電位部（１次巻
線１を含む）の間の漂遊静電容量をもつてコンデ
ンサ分圧器４の主コンデンサC₁を形成する。C₂
は前記コンデンサ分圧器４の分圧コンデンサで、
たとえば前記電極３と大地電位の間にある漂遊静
電容量（図示せず）を利用してもよいし、又図示
のように別途コンデンサを用意してもよい。５は
負担でたとえば保護継電器である。なお、図示例
では鉄心の記載を省略してある。

以上の構成によるときは、２次巻線２の出力電
圧e₂と、コンデンサ分圧器４の分圧電圧e′₂はい
ずれか一方、たとえば２次巻線２の２次回路にお
いて短絡などの事故が生じてその出力電圧e₂が低
下しあるいは喪失したとしても、前記２次巻線２
とコンデンサ分圧器４との間には相互干渉がない
ため、他方の２次回路であるコンデンサ分圧器４
の分圧電圧e′₂はほとんど変化しない。すなわ
ち、互に独立した複数個の電源を得ることができ
る。したがつて、両電圧e₂，e′₂の差電圧（e′₂―
e₂≒e′₂）は、２次回路の事故検出をするのに充分
であり、保護継電器５が誤電作することはない。

次にこの発明の他の実施例を示す第２図に基ず
いて説明する。なお、第１図と同じ符号を附した
部分は同一又は対応する部分を示す。図示する例
ではコンデンサ分圧器４の分圧コンデンサC₂に
増幅器６を接続し、この増幅器６により分圧電圧
e′₂を負担５を動作せしめ得るような出力に図示
しない別電源を用いて電力増幅することにより、
コンデンサ分圧器４の主コンデンサC₁を形成す
る漂遊静電容量が小さい場合にも充分に対処し得
るようにしたものであり、前述の実施例と同様の
作用効果を奏する。

次にこの発明の更に他の実施例を示す第３図に
基ずいて説明する。なお、第１図および第２図と
同じ符号を附した部分は同一又は対応する部分を
示す。図示する例では、電極３が１次巻線１およ
び２次巻線２とともに絶縁油や絶縁ガスなどの絶
縁媒体７が充填された容器８内に収納したPTに
適用したものである。

前記分圧コンデンサC₂や増幅器６を前記容器
８の外に配設すると、容器８内に１次巻線１、２
次巻線２、電極３、鉄心９などを収納し、組立完
了後であつても、分圧コンデンサC₂あるいは増
幅器６の微調整を行なつて、分圧電圧の調整を図
ることができ都合がよい。更に、電極３は接地さ
れていないが、その電位は充分に小さくすること
が出来るので、静電シールドとしての機能も果し
得る。同図において、１０は高圧側シールド、１
１は高圧導体、１２は高圧側ブツシングである。
なお、電極３、高圧側シールド１０は、鉄心９を
通る磁束に鎖交しないように１部を切断するなど
の手段を施こし、１ターンの短絡巻線を形成しな
いようにする必要がある。

以上の構成による実施例においても、前述した
実施例と同様、互に独立した複数個の電源を得る
ことができ、その作用効果も略同一である。

以上詳述の通り、この発明によればこの種PT
において、互に独立した複数個の電源をきわめて
簡単な構成をもつて得ることができる結果、この
種PTにつながれる保護継電器の誤動作を防止で
き、したがつて無用に系統をしや断する必要がな
くなり、この種PTの信頼性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す電気回路
図、第２図はこの発明の他の実施例を示す電気回
路図、第３図はこの発明の更に他の実施例を示す
概略構成図である。 １……１次巻線、２……２次巻線、３……電
極、４……コンデンサ分圧器、５……負担、C₁
……主コンデンサ、C₂……分圧コンデンサ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ １次巻線と２次巻線の間に大地電位から絶縁
   して電極を配設し、この電極と前記１次巻線のつ
   ながれる１次電位部の間の漂遊静電容量をもつて
   主コンデンサを形成したコンデンサ分圧器の分圧
   電圧と、前記２次巻線の出力電圧をそれぞれ負担
   に加えるようにした巻線形電圧変成器。 ２ コンデンサ分圧器の分圧電圧を、増幅器を介
   して負担に加えるようにした特許請求の範囲第１
   項記載の巻線形電圧変成器。 ３ 電極が高圧巻線および低圧巻線とともに絶縁
   媒体を充填してなる容器内に収納した特許請求の
   範囲第１項記載の巻線形電圧変成器。 ４ コンデンサ分圧器の分圧コンデンサを電極と
   大地電位との間の漂遊静電容量をもつて形成した
   特許請求の範囲第１項記載の巻線形電圧変成器。 ５ コンデンサ分圧器の分圧コンデンサを電極と
   大地電位の間につながれたコンデンサをもつて形
   成した特許請求の範囲第１項記載の巻線形電圧変
   成器。 ６ コンデンサ分圧器の分圧コンデンサを電極と
   大地電位の間につながれ、かつ絶縁媒体の充填さ
   れた容器外に配置されたコンデンサをもつて形成
   した特許請求の範囲第３項記載の巻線形電圧変成
   器。