JPS6133382Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案はバーナプレートに係り、特に製作が容
易にかつ経済的に成し得ると共に、弱燃焼時にお
ける火炎のリフト（吹き飛び）現象の防止を達成
し得るようにしたバーナプレートに関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 従来のガス乃至石油ガス化バーナにおけるバー
ナプレートは、一般にセラミツクスで形成される
か、或いはSUS薄板をプレス加工することによつ
て形成されていた。

しかしながら、セラミツクスの場合は熱衝撃等
により破損し易く、またSUS薄板場合は肉厚を大
きくとることが難かしいためフラツシユバツク
（火炎の逆流）現象を生じるおそれがあるなどの
欠点があると共に、いずれのバーナプレートも製
作コストが高くつき、しかも製作が難かしいとい
う問題があつた。特に、この種のバーナプレート
は、燃料噴射孔の形状に起因してプレート表面温
度を高くし得ないため火力調節時等の弱燃焼時に
火炎のリフトを生起する問題があり、未だ満足の
得られるバーナプレートを提供することができな
かつた。

［考案の目的］ 本考案は上述したような従来のバーナプレート
の有する問題点に着目してこれらを有効に解決す
べく創案されたものである。本考案の目的とする
ところは、製作が容易にかつ経済的に成し得ると
共に、弱燃焼時における火炎のリフトを防止する
ことができるバーナプレートを簡単な構成で提供
するにある。

［考案の概要］ 上記目的を達成するために、本考案は山と谷と
の間を傾斜部で結ぶ連続した起伏波を有する波板
を複数成型し、これら波板をその山と谷とが互い
違いに連なるように傾斜部で互いに密着接合し、
これら山の下面部と谷の上面部との間で重ね合わ
せ方向に連通する燃料噴射孔を区画形成すると共
に、谷の上面部から山の上面部に向う傾斜部にガ
ス流速の遅い保炎部を形成したものである。

［考案の実施例］ 以下に本考案の実施例を添付図面に基づいて詳
述する。

第１図において、１はプロパンガス等の気体燃
料を燃焼させるバーナプレートで、このバーナプ
レートは複数の波板２…をその厚さ方向に重ねて
並設することにより構成されている。特に、これ
ら波板２…は山５と谷６とを傾斜部で結ぶ矩形状
起伏波３を連続的に一体形成して成るものであつ
て、第２図に示すように耐熱金属製等の平板４を
打抜きプレスすることにより一度に複数成型され
る。この波板２は第３図に拡大示するごとくその
山５の下面部５ａと谷６と上面部６ａとの間に所
定の間隙Ｓが形成されるように設定してある。

従つて、第１図に示す如く複数の波板２…をそ
の山５と谷６とが互い違いに重なるように傾斜部
で互いに密着接合すると、山５と谷６との間には
重ね合わせ方向に連通する複数の開口部７…が区
画形成されることになり、これらの開口部７…が
燃料噴射孔８…を構成する。

しかして、所定の肉厚を有する平板４を第２図
に示すように引抜きプレスすることによつて成型
された同一の大きさ及び形状を呈する複数の波板
２…によりバーナプレート１を組立てる場合は、
これら波板２…を第１図に示すように上下逆さに
交互に重ね合わせれば良く、厚さ乃至高さ寸法の
大なる適宜大きさのバーナプレート１を簡単かつ
手際良く製作することができる。そして、このよ
うに組立てられたバーナプレート１は、例えば第
６図に示すごとき大気圧ブンゼンバーナに使用さ
れる。このバーナのバーナ本体１０は燃料噴射ノ
ズル１１、混合管１２及び混合室１３を有し、こ
の混合室１３から上方へ延出された側板１４間に
は上記バーナプレート１が両端に支持板１５をあ
てがつてボルト１６で挾持されている。そして、
バーナプレート１は、重ね合わせ方向から見た側
面Ｖ字形状の凹部Ａが各波板２…の谷６の上面部
から山５の上面部に向う傾斜部に位置すると共
に、凸部Ｂが重ね合わせ方向へ連なる各山５…間
に区画形成され、燃料噴射孔８と連通する開口部
９に位置するため、下面部から導入されて上面部
の燃料噴射孔８より吹出される燃料のガス流速
（予混合気流速）は凹部Ａが遅く、凸部Ｂが早
い。従つて、凹部Ａを形成する傾斜部が保炎部を
形成することになる。そのため、バーナプレート
１の凹部Ａでは火炎が密着することになり、その
表面温度が上昇するので、ガス流速の早い凸部Ｂ
もそれに伴つて燃焼速度が増加する。

一般に燃焼装置においては、燃料ガス流速（予
混合気流速）と燃焼速度とが一致して安定燃焼す
るように強燃焼時に調節している。しかしながら
弱燃焼時には燃料ガス流速（予混合気流速）と燃
焼速度とのバランスが崩れ、燃焼速度が燃料ガス
流速（予混合気流速）よりも減少して火炎のリフ
トを生じ易い。ところが、本考案のバーナプレー
ト１は谷６の上面部から山５の上面部に向う傾斜
部に形成される保炎部による熱で燃料の温度が高
められて燃焼速度が増加するため、燃料ガス流速
（予混合気流速）と燃焼速度とがバランスして火
炎のリフトが防止されることになる。

一方、バーナプレート１の燃料噴射孔８は山５
の下面部５ａと谷６の上面部６ａとの間で区画形
成されているため、山５の下面部５ａが抵抗とな
り、燃料の速度分布がある程度均一化され、火炎
が均一化する。そのため、火炎の不均一化から生
じるフラツシユバツクを防止することができる。

なお、上記実施例では平板４から波板２を打抜
き成型する際に起伏波３の形状を矩形状にした
が、この起伏波３の形状はこれに限定されるもの
でなく、例えば第４図に示すように曲線状であつ
たり、或いは第５図に示すようにジグザク状であ
つても良い。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば次のような効果を
得ることができる。

(1) 山と谷とを傾斜部で結ぶ連続した起伏波を有
する波板を構成部材としたため、波板は一枚の
平板から多数重なつた状態に一度に打抜き成型
することができ、むだがなくて経済的である。

(2) 谷の上面部から山の上面部に向う傾斜部がガ
ス流速の遅い保炎部を形成し、プレート表面の
温度を火炎の密着作用によつて高くすることが
できるため、プレート表面全体に火炎を保持さ
せることができ、もつて弱燃焼時における火炎
のリフトを防止することができる。

(3) 燃料噴射孔が山の下面部と谷の上面部との間
で区画形成されるため、山の下面部が抵抗とな
り、燃料の速度分布がある程度均一化され、火
炎の均一化が図れることにより、フラツシユバ
ツクを防止することができる。

(4) 構成が簡単であるため、製作が容易に成し
得、廉価に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すバーナプレート
の斜視図、第２図は平板から波板を打抜き成型す
る場合の説明図、第３図は波板の拡大斜視図、第
４図及び第５図は平板から波板を打抜き成型する
場合のそれぞれ異なつた変形例を示す説明図、第
６図はバーナプレートの使用態様を示す斜視図で
ある。 図中、２は波板、３は起伏波、５は山、６は
谷、８は燃料噴射孔である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 山と谷との間を傾斜部で結ぶ連続した起伏波を
   有する波板を複数成型し、これら波板をその山と
   谷とが互い違いに重なるように傾斜部で互いに密
   着接合し、これら山の下面部と谷の上面部との間
   で重わせ方向に連通する燃料噴射孔を区画形成す
   ると共に、谷の上面部から山の上面部に向う傾斜
   部にガス流速の遅い保炎部を形成したことを特徴
   とするバーナプレート。