JPS6133028Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はスライバーニツトを編成する丸編機の
スライバー供給装置に関するものである。

この種の丸編機は特に少くとも１個の回転可能
のコーマードラムと、少くとも１個の回転可能の
ドツフアードラムとを含み、前記各ドラムには針
布を設け、スライバーをコーマードラムに送る給
送装置と、編針によつてドツフアードラムの針布
からスライバーを取り出す編針編成装置とを備え
てあつて、前記各ドラムの針布にはくの字形屈曲
部を持つ弾性的カードワイヤーを植設すると共に
該カードワイヤーはその噛み合い部に沿つて相互
に噛み合わされているスライバー転送位置が構成
されている。

これらの丸編機に課せられた大きな問題は編成
された編地に編み込まれるスライバーの分布を出
来る限り均一にするという問題である。スライバ
ーの均一化をさまたげる原因の一つは選択された
各編針がスライバー供給領域内においてドツケア
ードラムの針布のカードワイヤーに入り込んでス
ライバーを取り出した際にスライバーが存在しな
いか、比較的少数のスライバーしか存在しない空
間が生じる。この空間部にはその後スライバー転
送位置を通過するときにスライバーで充填される
が編地に編み込まれるために必要とするだけの正
確な量のスライバーを供給することは実際におい
て不可能である。この問題に対処して編地にスラ
イバーの分布を出来る限り均一にするために種々
のスライバー供給装置の改良がなされて来たが未
だに十分目的を達成するまでに至つていない。他
方、スライバーの種類としては太さおよび長さの
異なるステープルを適当な割合に混在したものを
通常使用されているが、このようなスライバーの
場合は編地に編み込まれたスライバーの分布が不
均一であつても何ら問題とならなかつた。

しかしながら近年細くて短い単一のステープル
を集束したスライバーが多く使用されており、こ
のためスライバーの分布の均一化を一層困難に
し、スライバーニツトの品質上大きな影響を与え
ている。

本考案の目的とする所は、簡単な構成により編
地にスライバーの分布を均一化し、廉価なスライ
バーニツトを得るためのスライバー供給装置を提
供せんとするものである。

本考案は上述した問題を解決するに当りテープ
状の針布を複数本コーマードラムに巻回し、その
針布に植設されたカードワイヤーの配列をコーマ
ードラムの回転方向に向つて見かけ上密にするこ
とにより編地に編み込まれるために必要とする正
確な量のスライバーとほぼ同量のスライバーを供
給することを特徴とするものである。

以下本考案の実施例を添付図面に基ずき説明す
る。第１図はスライバー１を編み込んでスライバ
ーニツト２を製造する丸編機の要部を示し、そし
て基台３に遊嵌されたギヤーリング４上には編針
５を備えたシリンダー６と、シンカー７を備えた
シンカーダイアル８とが同速的に回転可能に設け
られている。編針５とシンカー７との動作は通常
のそれぞれカムホルダー９に取り付けられている
針カム１０の作用と、シンカーキヤツプ１１に取
り付けられているシンカーカム１２の作用により
制御される。シンカーキヤツプ１１はカムホルダ
ー９の外側に設けられている４個ないし６個の支
持台１３上に取り付けられており、そして支持台
１３が基台３に取り付けられている。

上記編成装置にはカートホルダー１４に取り付
けられているスライバー供給装置１５を備え、こ
のスライバー供給装置１５によつてスライバー１
を編成作用のために選択された編針に送り込む作
用をする。これらスライバー供給装置１５は薄い
平帯状のスライバーに変形させるフイードローラ
１６，１６′を２段に並設した給送装置１７と、
その給送装置１７によつてスライバーが送り込ま
れる針布１８が巻かれたコーマードラム１９と、
同じく針布２０が巻かれコーマードラム１９から
移送されたスライバー１を編成作用のために選択
された編針に供給するドツフアードラム２１とか
ら構成されている。前記コーマードラム１９とド
ツフアードラム２１との噛み合いが行なわれてい
る領域はスライバー転送位置を形成し又編針５で
示す領域は編成位置を形成する。そして駆動装置
２２はギヤーリング４に噛み合つているピニオン
ギヤー（図省）と連結されておりその駆動装置２
２からベルト等を介してそれぞれフイードローラ
１６′、コーマードラム１９およびドツフアード
ラム２１を駆動させ、必要とするスライバー量を
コーマードラム１９からドツフアードラム２１へ
転送するようになつている。コーマードラム１９
とドツフアードラム２１とのそれぞれの針布１
８，２０は第２図に示すようにその一部の弾性的
カードワイヤー２３，２４で形成される噛み合い
領域２５に沿つて相互に噛み合つている。コーマ
ードラム１９のカードワイヤ２３はコの字形に形
成されており（第３図参照）それぞれくの字形屈
曲部２６を持ち、この屈曲部２６の先端２７がコ
ーマードラム１９の回転方向に向つて前方に屈曲
している。又ドツフアードラム２１のカードワイ
ヤー２４も前記同様にそれぞれくの字形屈曲部２
８を持ち、この屈曲部２８がドツフアードラム２
１の回転方向に向つて前方に屈曲している。これ
ら針布１８，２０は第３図に示すように通常、綿
布３０にスポンジ３１等を貼着したものを６mmな
いし10mmの巾にテープ状に形成されており、そし
てカードワイヤー２３，２４は綿布３０側から階
段上に３重ないし５重を繰返し等間隔に植設され
ている。通常これらの針布１８，２０を単数に巻
き付けたコーマードラム１９およびドツフアード
ラム２１が使用されている。この場合針布１８，
２０のカードワイヤー２３，２４は各ドラム回転
方向に向つて例えば１本のカードワイヤーＢを基
準にするとその前後に位置しているカードワイヤ
ーＣ，Ｄの配列が僅かに傾斜して互いにずれるよ
うになつている。これにより各カードワイヤー
Ａ，Ｂの間隔Ｅはドラム回転方向に向つて僅かに
狭められるが実質上ドラム回転方向に向つてカー
ドワイヤーの配列を変える程影響をおよぼしてい
ない。このためドラムの噛み合いが行なわれてい
る領域において相互の噛み合い密度が少く編地に
編み込まれるために必要とする正確な量のスライ
バーを供給することが出来なかつた。

本考案の実施例を第４，５図に示すようにコー
マードラム１９に対しては表面上の異なる位置か
ら４本の針布Ｆ，Ｇ，Ｈ，Ｊが各ネジ３２によつ
て固着され、コーマードラム１９の回転方向に向
つて通常の単数巻きにした針布よりも比較的大き
な傾斜角を持つて取り付けられている。一方ドツ
フアードラム２１には通常の単数巻きにした針布
を使用するようになつている。この場合例えば第
６図に示すように１本のカードワイヤーＫを基準
にするとその前後に位置しているカードワイヤー
Ｌ，Ｍの配列が少くともワイヤー綿径の半分ない
し２倍の間隔Ｒをもつて互いにずれるようになつ
ている。従つてコーマードラム１９の回転方向に
向つてカードワイヤーが通常の単数巻きにした針
布のカードワイヤーの配列よりも見かけ上密に配
列された状態が得られ、これによりドラムの噛み
合いが行なわれている領域において相互の噛み合
い密度が増しドツフアードラム２１へのスライバ
ーの移送を確実にすると共に編針がスライバーを
取り出した際、その充填がほぼ確実に行なわれ編
地にスライバーの分布を均一にする著しい好結果
が得られる。

上述したごとく本考案によれば針布を複巻にし
たコーマードラムと針布を単巻にしたドツフアー
ドラムとの噛み合いが行なわれている領域におい
て、相互の噛み合い密度を増すようにしたことに
よりドツフアードラムへのスライバーの移送およ
び充填をほぼ確実にして編地にスライバーの分布
を均一化し、かつその構成が簡単なもので済み、
廉価な高品質のスライバーニツトが得られる効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はスライバー供給装置を備えた丸編機の
要部を示す一部側面図、第２図はカードワイヤー
の噛み合い状態を示す拡大図、第３図Ａ，Ｂ，Ｃ
図は従来の針布の説明図でＡは針布の断面図、Ｂ
は針布の平面図、Ｃは針布の底面図である。第
４，５，６図は従来の針布を複数本巻回して取り
付けた本考案の実施例を示すコーマードラムの構
造説明図で、第４図は側面図、第５図は正面図、
第６図は針布の平面図である。 第１〜３図に於て、１……スライバー、２……
スライバーニツト、５……編針、１７……給送装
置、１８……針布、１９……コーマードラム、２
０……針布、２１……ドツフアードラム、２３，
２４……カードワイヤー、３０……綿布、３２…
…ネジ、 第４〜６図に於いて、Ｆ，Ｇ，Ｈ，Ｊ……針
布、Ｋ，Ｌ，Ｍ……カードワイヤー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. くの字形屈曲部を持つ弾性的カードワイヤーを
   植設すると共に６mmないし10mmの巾に形成された
   針布を備え、該針布を少くとも１個の回転可能の
   コーマードラムの表面上にある異なるそれぞれの
   位置から複数本巻回し取り付けることにより前記
   コーマードラムの回転方向に向つて針布の長手方
   向のカードワイヤーの配列を少くともワイヤー線
   径の半分ないし２倍を互いにずらすことを特徴と
   するスライバー供給装置におけるコーマードラム
   の構造。