JPS6132564B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は流動床、特に流動床炉に関するもので
ある。

（従来の技術） 流動床炉は、空気と燃料との可燃性混合物を不
活性粒状物質の床に吹込んでこの床を流動状態に
維持することにより操作される。燃料は、固体、
液体もしくは気体または混合物のいずれであつて
もよいが、床内部で燃焼し、それにより、床は高
温度、たとえば、700゜〜1000℃の範囲に保たれ
る。「流動床炉」という用語は、燃料と酸素含有
気体との部分反応によつて可燃性ガスを生成さ
せ、これを流動床から離れた場所で貯蔵または燃
焼させることができるような気化器としての流動
床を使用することをも含めて用いられる。

流動床炉は、極めて高い熱発生量と良好な伝熱
特性とを可能にする。

しかしながら、たとえば、燃料油のような液体
燃料を流動床炉中で燃焼する際、しばしば困難に
遭遇する。何故なら、或る条件下で床堆積が生
じ、それにより炉の燃焼特性が混乱するという傾
向があるからである。

本出願人に係る英国特許出願第1149／74号は、
流動床炉中に使用するのに適した分配板を開示
し、この分配板は燃料入口を有するチヤンバと前
記チヤンバを貫通する空気管とから成り、前記空
気管の内部は前記チヤンバに連通し、前記空気管
の一端は頭部中に終端をなし、前記頭部は燃料お
よび空気を含む可燃性混合物を流動床炉に供給す
るのに適した出口を有し、前記空気管の周囲には
包囲管が存在し、この包囲管は空気入口および空
気出口を有し、空気出口は可燃性混合物を流動床
に供給する前記頭部より下方の流動床領域に空気
を供給するよう配置される。

（発明の解決しようとする問題点） 特に流動化速度がかなり低いような或る操作条
件の下では、燃料油を用いる流動床を操作する
際、恐らく燃料／床材料の不充分な分散に基づい
てコークス堆積が起こり、これは流動化燃焼効率
を低下させるということが見出された。

これは、特に流動床を高圧下で使用する際に起
こる。本発明は、この問題を減殺しかつ単位面積
当りの油用ノズルの個数を減少させることに向け
られる。

（問題点を解決するための手題） したがつて本発明により、チヤンバと、液体燃
料／空気混合物を供給するための‘１個もしくは
それ以上の射出ノズルと、床材料の流動化用とし
て空気のみを供給するための１個もしくはそれ以
上の入口とからなり、前記チヤンバは液体燃料射
出ノズルの近辺に増大断面積領域を有することを
特徴とする流動床炉が提供される。燃料／空気用
射出ノズルは、好ましくはチヤンバの側部から或
る程度離間させてチヤンバ中に突設し、そして増
大断面積の領域は好ましくはノズルヘツドの全側
面に延在する。

本発明の第１の実施例において、流動床は１個
もしくはそれ以上の燃料射出ノズルを含んでな
り、燃料射出ノズルの近辺に単一の増大断面積領
域が存在する。

本発明の第１の実施例においては、燃料射出ノ
ズル近辺の単一増大断面積領域は、好ましくは初
期垂直平行部分から直ちに、またその後に燃料射
出ノズル近辺で拡大するチヤンバの内壁によつて
形成される。

本発明の第２の実施例において、流動床は２個
以上の燃料射出装置を有し、各装置は１個もしく
はそれ以上の燃料射出ノズルからなり、また各射
出装置はこの各装置近辺に増大断面積の領域を有
する。

本発明の第２の実施例においては、各燃料射出
装置近辺の増大断面積領域は、好ましくは截頭逆
正ピラミツトもしくは円錐の形状を有する。或い
は、燃料ノズルはＶ形または、截頭Ｖ形の断面を
有するチヤンネル中に存在してもよい。これらチ
ヤンネルは平行であつても同心的であつても、或
いはその他適当な形状であつてもよい。

（作 用） 流動床炉における集積程度の減少は燃料射出領
域における流動化空気速度の増大（主床における
速度と比較して）によつて惹起され、流動化空気
速度の増大は燃料射出ノズル近辺の流動化域にお
ける断面積の減少によつて惹起されるものと信じ
られる。この流動化速度の増大はより激しい床の
撹拌をもたらし、その結果燃料／空気と床材料と
のより良好な混合を与える。より激しいこの撹拌
は、高燃焼効率を保ちながら単位断面積当りに使
用すべき油用ノズルの数をより少なくすることを
可能にし、そして一様な断面積を有する流動床炉
に比較し、同じ総燃料油流量に対し僅か1/10〜1/
１５のノズル数が必要とされるであろう。単位床断
面積当り必要とされる液体燃料射出ノズルの個数
におけるこの減少により、流動床において着脱自
在ノズルの使用が容易となる。流動床に着脱自在
ノズルを使用することにより、この床を停止する
ことなく、個々のノズルを点検、清浄、修理など
のため取外すことが可能となる。単位床面積当り
のノズル数の減少は、本質的に嵩が大きくかつ複
雑な着脱自在ノズルの使用を可能にする。本出願
人に係る英国特許出願第37182／76号は適当な着
脱自在ノズルを記載している。

本明細書中において上記に用いた「空気」とい
う用語は、「酸素を含有する流動化用気体」をも
意味する。

好ましくは、分配板は、投影床面積すなわち最
大床面積１平方メートル当り２〜５個の燃料ノズ
ル密度を有する。

本発明は、主として液体燃料、たとえば燃料油
について設計されているが、固体燃料または気体
燃料も使用することができる。さらに、本発明の
床は大気圧下または加圧下、すなわち大気圧より
高い圧力下でも操作することができる。

燃料油は、本出願人による英国特許出願第
1149／74号および英国特許第1368532号明細書に
記載された上昇膜技術によつて、流動床中に導入
することができる。或いは、油はチヤンバ中に突
入する慣用の噴霧ノズルによつて導入することも
できる。

床自体は、流動化用気体の速度に適する寸法範
囲および嵩密度の鉱物粒子からなる。適する材料
は破砕耐火物、砂、ドロマイトおよび石灰石を包
含する。

炉は、ガス化目的にも使用することができる。
すなわち、床に供給される燃料／空気の比は化学
量論量以下から空気過剰状態まで変化させること
ができる。したがつて、板を使用することによ
り、流動床炉から離れて消費しうる低Btuの燃料
ガスを生成させることができる。

（実施例） 添付の第１図乃至第４図を参照しながら、実施
例により本発明を説明する。

流動床炉は、空気充満チヤンバ１と、分配板２
と、石灰石および砂の流動床３とからなる。床は
流動化用気体の速度に適する寸法範囲および嵩密
度の鉱物粒子からなる。

流動床炉自体は、分配板２の方向に傾斜して截
頭ピラミツト形状を呈する円筒の断面を有する。

分配板２は、多数の燃料油／空気供給ノズル４
を含み、これら供給ノズルの各々はそれより多数
の空気のみの供給ノズル５によつて囲繞される
（油／空気供給ノズルの操作は本出願人の英国特
許出願第1149／74号明細書に詳細に記載されてい
る）。

流動床３の壁は、分配板２の方向に傾斜し、そ
の結果分配板２の近辺に増大断面積を有する流動
化域６を形成する。壁は分配板２に直接向けて傾
斜させてもよく、或いは分配板２近辺の第２垂直
壁部７（第１図および第３図参照）に向けて傾斜
させてもよい。この配置により、流動化域６への
油供給個所の近辺において比較的高い流動化速度
を得ることができる。典型的には、油供給個所に
おける流動化速度は、末広部分のの頂部における
速度より２または３倍大である。必要に応じて設
けられる石炭射出ノズル８を第１図および第２図
に示す。

炉を点火するため、フアン（図示せず）によつ
て空気を空気充満チヤンバ１に流入させ、次いで
所要の操作条件によつて定まる速度にてノズル４
および５を通す。燃料ガス、たとえばプロパンを
分配板２の燃料ガス室９に供給し、次いでノズル
４および５を通る空気と混合する。かくして、予
備混合されたプロパン／空気供給物を炉床３に供
給する。可燃性混合物の点火は、電気的または裸
火のいずれかで行なわれる。

点火後、約800℃という正常の床操作条件に達
するには通常30分以内を必要とする。この条件に
達したら、燃料ガス供給を徐々に減少させそして
油供給を開始する。油は空気速度に適した速度で
ノズル４に供給する。油は、ノズル４の内部に沿
つて流れる別供給からの空気の作用下で床３に達
し、したがつて油は内壁に沿つた上昇膜を形成す
る。かくして油は結局ノズル４の出口穴に達しそ
して流動床中で消費される。

導入する油の粘度は、加熱器（図示せず）によ
つて調節することができる。

本発明による流動床炉を残留燃料で連続100時
間運転した。炉は第１図に示した断面を有し、直
径109.22cmから油ノズル出口４近辺の58.42cm平
方まで傾斜させた。床深さは71.12cmであり、操
作は大気圧下で行なつた。床に対し上昇膜法の射
出を行なう４個の油ノズルを有する分配板につい
て、その条件および結果を下表に示す。

表 床操作圧力 大気圧 燃 料 残留燃料油（粘度3500秒） 油射出ノズル ４個 床 材 料 石灰石／砂 床 深 さ 71.12cm 試験継続時間 連続100時間 ノズルにおける流動化空気速度 305cm／秒 過 剰 空 気 15〜20％ 床 温 度 840〜890℃ 燃 焼 効 率 99％ 傾斜壁形状を有しない床に比較して、分配器の
周囲における堆積物すなわち沈積物の著しい減少
が認められた。さらに、一定の熱発生量に要する
油射出ノズルの個数は減少し（本発明の場合、４
個の油射出ノズルは、傾斜壁形状を有しない床に
おいて同じ総燃料油流量をもつて同様な条件下で
操作する60個ノズルの分配器に相当した）、すな
わち油の不完全燃焼器に基づく集積物が生ずるこ
となしにノズル１個当りずつと多量の油流量を使
用できることが認められた。

第４図は、流動化域３の下部を、先端切除され
たピラミツド状断面を有する25個の装置に分割し
た流動床を示す。各装置は、その最大幅が91.5cm
平方、また最小幅が61cm平方である。各装置の高
さは約30.5cmである。これにより、燃料射出ノズ
ル近辺に増大断面積を有する流動化域６が作り出
される。

各装置は、空気供給ノズル５によつて囲繞され
た４個の油／空気供給ノズル４を有する（分配は
第２図に示した通りである）。

（発明の効果） 本発明に係る流動床炉によると、従来この種の
流動床炉に比較して、燃料効率、流動床の温度分
布の均一性の高い、燃料のコークス化、凝集物の
生成が少なく、かつ生成凝集物の回収に便利な、
特に燃料より可燃性ガスの製造に適した流動床炉
が提供される。

【図面の簡単な説明】

第１図は単一の増大断面積流動化域を作るため
の末広壁を有する石炭供給を備えた油射出流動床
炉の縦断面図、第２図は第１図の分配板を示す平
面図、第３図は多装置型の油射出流動床炉（各装
置は射出ノズル近辺に増大断面積流動化域を有す
る）の縦断面図、第４図は５×５個モジユールの
床配置における増大断面積流動化域を断面におい
て示す第３図の流動床炉の平面図である。 １……空気充満チヤンバ、２……分配板、３…
…流動床、４……燃料油／空気用ノズル、５……
空気用ノズル、６……流動化域、７……第２垂直
壁部、８……石炭射出ノズル、９……燃料ガス
室。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 流動床３と、この流動床を支持する分配板２
   と、前記分配板を貫通する複数の実質的に垂直な
   管において夫々の管は出口ノズルを有してなる垂
   直管とからなる流動床炉において、前記複数の垂
   直管は液体燃料と酸素含有ガスとが供給されるこ
   とにより垂直管に導入した液体燃料を同伴させた
   酸素含有ガスと液体燃料との混合物を流動床中心
   部に噴射させる燃料油／空気ノズル４と、前記燃
   料油／空気ノズル４において分配板２に接して凝
   集推積物の回収用非流動部を残して流動床中に酸
   素含有ガスを噴射する出口を有する別の複数の空
   気用ノズル５とから成り、かつ分配板上面を凹部
   に分配し、夫々の凹部は少なくとも一つの燃料
   油／空気用ノズル４を含み、凹部の断面は流動床
   の方向に広がつてなり、かつ分配板上面に燃料
   油／空気用ノズル４の出口ノズルに隣接して高速
   の流動化ガスの領域を付与して成ることを特徴と
   する流動床炉。 ２ 凹部の断面形状は円錐台または角錐台である
   特許請求の範囲第１項記載の流動床炉。 ３ 前記複数の垂直管の中央に石炭射出ノズル８
   を備え、前記ノズルは垂直管群の最高位をしめる
   特許請求の範囲第１項記載の流動床炉。