JPS6132065B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は主として水産練製品の製造工程等にお
いて用いられる粉砕擂潰撹拌機に関するものであ
る。

例えばかまぼこ、ちくわ等の水産練製品は原料
の魚を採肉機にて採肉して水晒し、脱水処理して
得たスリ身を材料とし、このスリ身を粉砕擂潰撹
拌した後それぞれの製品に特有な形、味を付け
て、これを適当な方法で加熱して製品にするもの
である。

上記工程におけるスリ身の擂潰は現在は先ずカ
ツターにてスリ身を微細化した後、椀状の臼とほ
ぼスリコギ状の杵との組合せよりなる擂潰機によ
り行なわれるのが一般的である。

即ち従来の擂潰機は回転する臼の中に微細化し
たスリ身を入れ、杵が該臼の内側を臼とは逆方向
に回転して臼内のスリ身を擂潰撹拌するようにな
つている。

ところがこのような従来の擂潰機は作業能率の
面で問題があるだけでなく、椀状の臼内のスリ身
は擂潰作業中その上面は大気に触れたままとなつ
ているので、作業場内全体の衛生管理が大変であ
り、又魚肉のスワリ（魚肉がゲル化し流動性が低
下する現象）を防止するために擂潰中の魚肉温度
を低レベルに保とうとすると作業場全体の温度を
下げなければならない等多くの問題を有してい
る。

本発明は上記のような従来の諸問題を解消し得
る粉砕擂潰撹拌装置を提供するもので、以下附図
実施例につき説明する。

第１図は本発明の一実施例を示すもので、１は
臼体、２は該臼体の底板下部の軸受によつて回転
可能に支持された回転軸、３は底板、４は軸受で
あり、回転軸２はモーター５に接手６を介して連
結されていてモーター５の回転により回転軸２は
回転する。

回転軸２にはカツター７が固定され、カツター
７の下面に接触若しくは近接対向する練り用部材
８が回転軸５に回転方向にフリーなる状態で取付
けられている。ナツト９は回転軸２のネジ部１０
に締め込まれてカツター７を固定している。

上記カツター７は第３図に示すようにその回転
面Ａに対しひねりを附した構造となつており、該
カツター７の一方向回転によつて臼体１内の資料
を切断粉砕すると同時に上記カツター７のひねり
によつて切断粉砕した資料を一方向（図示実施例
では下方向）に送り出すよう構成されている。

一方練り用部材８は回転軸２に対し自由に回転
できるよう嵌装されるボス部８ａの外周に例えば
第２，３図に示すように棒状又は第４図に示すよ
うに板状をなす練り部８ｂを放射状に複数本突出
させた構造に構成され、該練り部８ｂと前記カツ
ター７とは接触又は微小の隙間（水産練製品の原
料魚肉により該隙間は相異があるが０〜5m／ｍ
位が適当である）を有する構造となつており、前
記カツター７のひねりにより切断粉砕された資料
が該練り部８ｂ方向に送り出され、該カツター７
と練り部８ｂとの間で擂潰されるようになつてい
る。

１１は臼体１の外周面に形成した冷却用空間部
で、該空間部１１内に冷却水や冷風等の冷却媒体
を流通させたり或は空間部１１内に氷、ドライア
イス等の固形冷媒体を充填することにより臼体１
内の資料の冷却をはかることができるようになつ
ている。

１７は臼体１の上部を気密に密閉する蓋体で、
該蓋体１７には投入口１２，投入用弁１３が設け
られると共に、モーター１８にて回転駆動される
掻落し部材１９が設けられ、モーター１８の回転
によつて掻落し部材１９が臼体１の内側周面及び
蓋体１７の下面に沿つて低速回転（10〜100rpm
程度）し、臼体内周面及び蓋体下面に附着した資
料を常に又は時々掻取るようになつている。

蓋体１７はヒンジ中心２０を中心として開閉で
きる構造となつており、掻落し部材１９はリミツ
トスイツチ２１によつて常に第１図示のようにヒ
ンジ中心２０側の位置で停止し、蓋体１７を開く
とき該掻落し部材１９が邪魔にならないようにな
つている。

臼体１の底板３部には資料排出口１４が設けら
れ、該排出口１４には排出口用弁１５′をもつた
排出口蓋１５が設けられている。

上記において、臼体１内に資料（スリ身）を投
入し、モーター５を回転させる。

すると回転軸２が回転しカツター７が回転して
資料を切断粉砕すると同時に該切断粉砕した資料
を下方に送り出す。

この場合練り用部材８は回転軸２に対して回転
方向にはフリーであるので、まわりの資料の抵抗
にてほとんど回転せず、従つて上記カツター７の
回転によつて下方に送られた臼体中心附近の資料
は、該カツター７と練り用部材８の棒状又は板状
の練り部８ｂとの間の相対回転差により擂潰且つ
こねられて下方に下り臼体１の内周面に沿つて上
方に押し上げられ、このようにして資料は臼体１
内を上，下に循環し且つ掻落し部材１９にて臼体
１内周部への付着は掻落されて粉砕擂潰撹拌され
る。

回転軸２即ちカツター７の回転数は、カツター
７の直径，刃厚，刃数及びカツター７の設置段数
（図示では３段であるが１段以上任意の段数を採
用できる），その他練り用部材８との隙間，練り
用部材８の材質，及び硬さ，更には資料の質等に
よりそれぞれ異るが、一般的には900〜3600rpm
程度の範囲で自由に変速制御できるようにしてお
くことが望ましく、又カツター７と練り用部材８
の練り部８ｂとの隙間は、練り用部材８がゴム質
等の比較的軟かいものの場合は比較的狭くし、練
り用部材８として硬い材質のものを用いる場合は
隙間に資料が詰る虞れがあるので隙間は幾分広く
するのが望ましく、更に又練り用部材８の材質の
硬，軟は資料の種類によつてそれぞれ選定するこ
とが望ましい。

上記粉砕擂潰撹拌作業の途中、適宜投入口１２
より弁１３を開いて添加物を投入し、味付け等を
行なう。

粉砕擂潰撹拌及び添加物の投入混合味付け等が
終ると、排出口蓋１５の弁１５′を開く。すると
カツター７の回転による資料の下方への送りと掻
落し部材１９の回転による資料の掻落しにより、
資料は排出口１４より大部分自動的に排出され
る。

次にモーター５及び１８の回転を停止し、排出
口蓋１５を取りはずすと共に、蓋体締付ボルト１
６をはずし、蓋体１７を開いて、臼体１内に残つ
た資料を完全に取り出す。

水産練製品の場合擂潰撹拌を真空又は真空に近
い状態で行なうことが理想であるが、本発明の場
合は擂潰作動開始に当り臼体蓋１７を閉じ排出口
蓋１５の弁１５′も閉じ、添加物等投入口１２の
弁１３も閉じれば臼体内部は完全な閉空間となる
ので、空気抜取口２２より空気を抜くことにより
臼体１内全体を容易に真空又は真空に近い状態と
してこの状態で粉砕擂潰撹拌を行なうことがで
き、ソフトな練精品を得ることができる。

又逆に資料の種類によつては加圧状態にて擂潰
撹拌を行なつた方が良い場合もあり得るが、この
ときは逆に空気抜取口２２より空気圧を供給する
ことにより容易に内部を加圧状態とすることがで
きる。

更に水産練製品はスワリ防止のために擂潰中資
料温度を低いレベルに保つことが望ましい。

本発明では臼体１の外周面部に冷却用空間１１
を例えば２重臼体構造等により形成し、該冷却用
空間部１１に冷風，冷水等の冷却媒体を流すか或
は氷，ドライアイス等の固形冷却媒体を充填する
等の手段を講ずることにより簡単容易に資料の温
度を低いレベルに保つことができる。

作業が完了し資料の排出がすべて完了した後は
蓋体１７，排出口蓋１５及び排出口用弁１５′を
閉じて水を入れ、回転軸２と掻落し部材１９を回
転させた上で弁１５′を開いて流出させることに
より、臼体１の内部の掃除はほぼ完全に行なわれ
る。

上記実施例において練り用部材８は前記のよう
に資料の種類によつて異なり、水産練製品の場合
はやや軟質で表面に微細な凹凸を設けたものとし
た方が好ましいが、資料によつて凹凸のない方が
良い場合もある。

又図示実施例ではカツター７の下側に練り用部
材８を設けて１組とした例を示しているが、カツ
ター７の上側と下側に練り用部材８を設けてこれ
を１組とし、カツター７上の上，下面と上，下の
練り用部材８との間で資料の擂潰撹拌を行なうよ
うにしてもよく、或は練り用部材８の上，下部に
カツターを設けてこれを１組とし、練り用部材８
の上，下面と上，下のカツター間にて資料の擂潰
撹拌を行うようにしてもよい。

更に又練り用部材８を取りはずしてカツター７
のみにて使用したり、カツター７と練り用部材８
の複数組のうちの任意の組のカツターを取りはず
して練り用部材のみとして使用したり或は段数を
変えたりする等、資料に合つた任意の使用態様を
選択し得る。回転軸２の回転方向を逆にして資料
を逆方向に循環させることも勿論可能である。

尚図示実施例では臼体１を椀型とし回転軸を中
央に設けた例を示しているが、臼体１は円錐状，
皿状，円筒状等としてもよく、回転軸２も臼体１
中心から偏心して取付けてもよい。

又本発明の擂潰撹拌装置は図示のような上向き
に限らず多少傾斜した状態或いは横置きの状態と
して使用しても良い。

以上のように本発明によれば資料の極めて衛生
的なる粉砕擂潰撹拌を能率良く行ない得ると共
に、必要に応じて真空，加圧，低温条件による粉
砕擂潰撹拌作業を容易に行なうことができるもの
で、実用上多大の効果をもたらし得るものであ
る。

尚本発明装置は水産練製品に限らずあらゆる資
料の擂潰工程に適用し得ることは言うまでもな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す要部縦断正面
図、第２図は第１図のＸ―Ｘ部の断面図、第３図
は第２図のＹ―Ｙ線断面図でカツターと練り用部
材の練り部との関係を示す図、第４図は本発明の
他の実施例を示すもので第２図のＹ―Ｙ線に相当
する部分の断面図である。 １……臼体、２……回転軸、３……底板、５…
…モーター、７……カツター、８……練り用部
材、１７……蓋体、１８……モーター、１９……
掻落し部材、２１……冷却用空間部、２２……空
気抜取口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 臼体容器の内側に回転軸を設け、該回転軸に
   資料を粉砕するカツターを固定し、該カツターの
   片面又は両面に接触又は近接対向する棒状又は板
   状の練り部をもつた練り用部材を上記回転軸に自
   由に回転し得るように嵌装し、上記回転軸の回転
   により臼体内の資料の粉砕擂潰撹拌を行なうよう
   に構成したことを特徴とする粉砕擂潰撹拌機。