JPS6131258B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は中高層建物に於ける手摺壁を有する
鉄筋コンクリート造バルコニーの構築法に関す
る。

「従来の技術」 中高層建物に於ける手摺壁を有するバルコニー
では、当該手摺部を構築するのに、内部について
は先行打設のバルコニースラブを利用し得るも、
外部については型枠組立、解体用の作業足場を確
保しなければならない。

「発明が解決しようとする問題点」 建築業界に於いては、従来から、施工建物の大
型化、専門技能工の不足現象に伴い各種の省力化
工法が考案、実施されており、基本的にはＳ造、
PCa化の乾式工法が一般的である。

但し、中高層建物については前述の如く特に経
済性からSRC造、RC造が主流を占めているのが
現状であり、この種の建物に汎用性があり、生産
原価低減に繋がる省力化工法の考案が望まれてい
る。しかし、建築における省力化の現時点では構
造型式に関係なく、工場で製造した部品を現場で
は組立てるだけといういわゆるPCa化が最有効手
段と考えられているが、一般的なPCa化はスケー
ル、メリツト等の関係から、中高層建物について
はその効果が発揮されずコスト高となる問題点が
ある。

以上の理由から、SRC造、RC造の中高層建物
では、上述要領による省力化工法の導入を実現す
るにはPCa部材の合理的な製造方法、及びPCa化
する事により、他工事に与える原価低減効果が大
きい建物部位、取付方法を充分考慮した部分的な
PCa工法が実用的と考えられる。

「問題点を解決するための手段」、「作用」 本発明は叙上の事情に鑑みなされた試行の一事
例であり、バルコニーのRC造手摺壁をPCa化し
たものである。

その要旨とするところは、バルコニーのスラブ
型枠面上に脱型用ボルト装備の鼻先鋼製型枠を設
置し、当該鼻先鋼製型枠に肩乗せして、上端に吊
持用アンカーを植立し且つ下部に差し筋を配した
ところの手摺壁PCa版を、該吊持用アンカーと先
行構築の粱等との間に接続固定の建り修正用バツ
トレスを介して建りし、スラブ配筋完了の後、該
手摺壁PCa版の内面下部にバルコニー側溝型枠を
設置しておいてバルコニースラブコンクリートの
打設を行なうとして中高層建物に於けるバルコニ
ーのRC造手摺壁のPCa化を実用化した点にあ
る。

すなわち、上述要領に於いて、本発明は、手摺
壁PCa版の形状、寸法は製造設備の簡易化、及び
製造工数の低減を目的とし、単純全数同サイズに
するをよしとする。

尚、サイトプレハブ方式を採用すると工場発注
製品の約1/3の生産原価で製造できる。

PCa版の取付方法は取付金物のコスト、バルコ
ニーの防水性を考慮し、PCa版に差し筋を行いス
ラブの現場配筋とラツプジヨイントとした。又、
本工法によると外部の作業足場を必要とせず、仮
設工事費の低減並びに仮設工数の低減効果が得ら
れる。

一方、品質面においても従来工法（現場配筋型
枠組立工法）と比較すると、コンクリート壁自体
の質〔低スランプ（５cm〜８cm）コンクリート打
設のため乾燥収縮が小さい。従つて亀裂の発生確
立は小さい〕、寸法精度、並びに外装仕上タイル
の精度（本実施仕様は外装タイル張りであるが打
込みとなるため剥離支障発生確立が小さい）等に
優れた面が認められる。更に本工法を標準化する
事により、原価低減、省力化及び品質向上の効果
がトータル的にも達成する。

「実施例」 以下、この詳細を実施例図にもとづいて説明す
る。

第１図は既に構築済みの下階バルコニー１から
上階バルコニー２を構築する態様を示し、図中３
は上階バルコニー２のスラブ型枠、４……はこれ
の下階バルコニー１から立設の支保工で、本発明
は、先ず、このスラブ型枠３、支保工４の組立か
らはじまり、次いで、該スラブ型枠３面上に手摺
壁PCa版５肩乗せ用の鼻先鋼製型枠６（第２図に
詳示）をボルト止め７にて取り付ける。

尚、該型枠６には脱型用ボルト８が装備されて
あるので脱型は容易である。

さらに、バルコニースラブ下端配筋９と必要に
応じてPCa版支持コンクリートピース１０の配置
をしたうえで主摺壁PCa版５の載置セツトを行
う。

当該手摺壁PCa版５は、単純で、例えば1200mm
（短辺）×3000mm（長辺）×100mm（厚）の全数同サ
イズでもつてサイトプレハブ方式を採用すると生
産原価上良く、下部には差し筋１１が配され、こ
れはスラブ配筋とラツプジヨイントされる。

手摺壁PCa版５の内面下部にはバルコニー側溝
型枠１２がアングル１３の介在等によつて設置さ
れるようになつている。

当該側溝型枠１２は、例えば木製端太角に亜鉛
メツキ鋼板を被覆し、剥離剤を塗布してなるもの
である。

又、手摺壁PCa版５上端には吊持用のアンカー
リング１４が植立されてあるが、これに手摺壁
PCa版建り修正用バツトレス１５を先行構築の粱
等に接続固定すれば良い。

以上の如く、手摺壁PCa版５を鼻先鋼製型枠
６、建り修正用バツトレス１５等によつて建りし
たならば、バルコニースラブ上端配筋１６をし、
さらに、既述のバルコニー側溝型枠１２を設置
し、バルコニースラブコンクリート１７の打設を
行なう。

養生、型枠脱型後の態様は下階バルコニー１に
て示される如くである。

尚、図中１８は養生単管足場、１９は足場継ぎ
を示す。又２０，２１は後加工のシーリング、樹
脂モルタル塗を示す。

「発明の効果」 以上の如く本発明によるならば、中高層建物に
於けるバルコニーのRC造手摺壁の実用的なPCa
化工法が提供され好適である。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施態様を示し、第１図は構築
態様を示す縦断面図、第２図は第１図中囲線部
分の拡大詳示図である。 ３……スラブ型枠、４……支保工、５……手摺
壁PCa版、６……鼻先鋼製型枠、１２……バルコ
ニー側溝型枠、１４……アンカーリング、１５…
…手摺壁PCa版建り修正用バツトレス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ バルコニーのスラブ型枠面上に脱型用ボルト
   装備の鼻先鋼製型枠を設置し、当該鼻先鋼製型枠
   に肩乗せして、上端に吊持用アンカーを植立し且
   つ下部に差し筋を配したところの手摺壁PCa版
   を、該吊持用アンカーと先行構築の粱等との間に
   接続固定の建り修正用バツトレスを介して建り
   し、スラブ配筋完了の後、該手摺壁PCa版の内面
   下部にバルコニー側溝型枠を設置しておいてバル
   コニースラブコンクリートの打設を行なうとして
   なることを特徴とする手摺壁を有する鉄筋コンク
   リート造バルコニーの構築工法。