JPS6131168Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は排圧式排気還流装置に関するものであ
る。

内燃機関の排気中の窒素酸化物を抵減する手段
として、排気の一部を吸気中に還流する上記
EGR装置が広く用いられている。

一般に、この排気還流装置は排気系から排気を
抽出する抽出管と排気を吸気系に戻すEGR管と
の間にEGR制御弁を介在させ、機関の運転状態
に応じた排気の還流が成し得る様になつている。
殊にUSP3834366などに示されている如きトラン
スデユーサを用いた排圧式排気還流装置と称せら
れるものは、EGR率（吸入空気量に対する排気
の還流割合）が理論的には一定となり、上記機関
の運転状態に合致したEGRが可能となる特徴を
有しており、非常に優れた排気還流装置と言うこ
とができる。

所が、この排圧式排気還流装置をもつてしても
現実には理論通りのEGR率の制御が必ずしも行
なわれる訳ではなく、そのため低負荷運転状態で
のEGR率が過大となり、カーノツクの発生やド
ライバビリテイーの悪化などを招いている。

本考案はこの点に着目して成されたものであつ
て、前記排圧式排気還流装置に於ける背圧のシグ
ナルを強・弱の２系統とし、上記低負荷運転状態
ではこの弱いシグナルを用いてEGRを制御する
様に成し、この状態でのEGR率の過大を防止せ
んとするものでその要旨は内燃機関の吸、排気系
の間に還流路により連結した排気還流制御弁から
排気系抽出路側に、第１圧力室を挟んで強い第１
絞りを、又該第１絞りより第２圧力室を挟んで第
２絞りを連設し、前記制御弁の制御負圧調整用第
１トランスデユーサの排圧室を前記第１圧力室
に、又第１トランスデユーサの大気圧室と連絡す
る大気圧室を備えた第２トランスデユーサの排圧
室を第２圧力室に各連絡し、更に吸気系負圧によ
り前記第１、第２トランスデユーサの大気圧を制
御するバキユームコントロールバルブを設けてな
る排圧式排気還流装置にある。

以下図示せる本考案の一実施例について詳説す
る。図に於て、１は内燃機関で、エアクリーナ１
１、気化器１２、吸気管１３等を備える吸気系１
４とマフラー１５、排気管１６等を有する排気系
１７とを持つている。

２はEGR管で、排気系１７（排気管１６）よ
り排気ガスを抽出する抽出管２１と排気ガスを吸
気系１４（吸気管１３）に戻す還流路２２とを有
している。

３は上記EGR管２の途中に介在せしめられた
EGR制御弁で、ダイヤフラム３１とケーシング
３２とで区画された負圧室３３に所定の負圧が作
用したときダイヤフラム３１が撓んでそれに固着
されている弁３４がガス路３５を開いてEGRを
成すことができる様になつており、また該ガス路
３５の抽出管２１側には第１絞り３６と第２絞り
３７とが設けてあつて第１絞り３６とガス路３５
の間に第１圧力室３８が、また両絞り３６，３７
の間に第２圧力室３９が夫々形成されている。そ
して上記第１絞り３６は第２絞り３７のそれより
小径としてあり強い絞り作用を持つている。

４は第１トランスデユーサ（以下Ｌ−TDと呼
ぶ）で、ダイヤフラム４１を境として背圧室４２
と大気圧室４３とを有し、また一方を前記制御弁
３の負圧室３に連なり他方を前記吸気系１４内の
スロツトル弁１８近傍のシグナルポート４４に連
なるシグナル路４５を備え、更に該シグナル路４
５と上記大気圧室４３とは調整路４６により連通
している。そして背圧室４２は前記制御弁３の第
１圧力室３８に連なつており、該室４２に作用す
る背圧の大きさに応じてダイヤフラム４１が撓み
それに固着された弁４７が作動して上記調整路４
６を介してシグナル路４５に流入する大気の量を
コントロールすることができる様になつていて、
上記シグナルポート４４に発生するスロツトルシ
グナルを背圧により調整し得る様になつている。

５は第２トランスデユーサ（以下Ｈ−TDと呼
ぶ）で、上記Ｌ−TD４と同様にダイヤフラム５
１、背圧室５２、大気圧室５３、シグナル路５
５、調整路５６、弁５７等を有しており、該背圧
室５２は前記GR制御弁３の第２圧力室３９に連
通し、またシグナル路５５は上記Ｌ−TD４の大
気圧室４３に連なり、更に大気圧室５３はフイル
タ５８を介して大気に開放されていて、背圧室５
２に作用する背圧の大きさによりダイヤフラム５
１を撓ませて弁５７を作動し、フイルタ５８を介
して大気圧室５３から調整路５６に流入する大気
の量をコントロールしそれを前記Ｌ−TDの大気
圧室４３に送り得る様になつている。

６はバキユームコントロールバルブ（以下
VCVと呼ぶ）で、ケーシング６１とダイヤフラ
ム６２とで区画された負圧室６３は前記スロツト
ル弁１８の下流に於ける吸気管１３に開口させた
負圧ポート６６に連通していて、該負圧室６３に
所定の吸気管負圧が作用している場合には、ダイ
ヤフラム６２が撓んでそれに固着されている弁６
４が大気路６５を開くことができる様になつてい
る。そして該大気路６５の一端はフイルタ６７を
介して大気に開放されており、他端は前記Ｌ−
TD４の大気圧室４３とＨ−TD５のシグナル路５
５とに連なつていて弁６４が開いている間は大気
を上記大気圧室４３に送ることができる様になつ
ている。

尚、上記EGR制御弁３、Ｌ−TD４、Ｈ−TD
５、VCV６等は、いずれも基本的構造は公知の
ものである。また、前述の如くEGR制御弁３の
ガス路３５の抽出管２１側に小径の第１絞り３６
と大径の第２絞り３７とを配したことにより、こ
の両絞り３６，３７の絞り作用の相違に基づき第
１圧力室３８には第２圧力室３９より低い背圧を
発生させることができる様になつている。換言す
れば、上記絞り３６，３７により強弱２種の背圧
シグナルを醸し出すことができるのである。

以上の如き構成の本考案排圧式排気還流装置に
よれば、次の様なEGRの制御がなされる。

無負荷乃至その近傍の運転状態であつてスロツ
トル弁１８が全閉ししくはそれに近い開度しか有
しない場合、又は高負圧運転状態であつて同弁１
８が略々全開している様な場合には、制御弁３の
負圧室３３とＬ−TD４を介して連結されている
シグナルポート４４には負圧は発生せず（略々大
気圧）、従つてその弁３４はガス路３５を閉じた
ままである故EGRはなされない。

上記前者の状態より若干スロツトル弁１８が開
かれた低負荷運転状態では、上記シグナルポート
４４に適度の負圧が発生する。また負圧ポート６
６にも大きな吸気管負圧が発生しているため、
VCV６は弁６４を引き下げて大気路６５を開放
しており、Ｌ−TD４の大気圧室４３は大気開放
状態にある。一方、該Ｌ−TD４又はＨ−TD５の
背圧室４２，５２には絞り３６，３７にて調整さ
れた第１圧力室もしくは第２圧力室３９に於ける
背圧が夫々導入されており、そのダイヤフラム４
１，５１は該背圧の大きさに応じて撓み弁４７，
５７をもつて大気圧室４３，５３から調整路４
６，５６を介してシグナル路４５，５５に流入す
る大気の量を制御せんとするも、Ｈ−TD５のシ
グナル路５５に前記VCV６を介して大気に開放
されていることになるため、その作用は実質的に
キヤンセルされたことになつて、この状態ではＬ
−TD４だけがその機能を発揮することになる。
よつて上記シグナルポート４４に於ける負圧はこ
のＬ−TD４にて適切に調整されて制御弁３の負
圧室３３に伝達され、該調整負圧に応じてガス路
３５が開かれ、適確なEGRがなされる。換言す
るに、Ｌ−TD４には絞り３６の作用によつて第
１圧力室３８の弱い背圧が導入されている故、ダ
イヤフラム４１の撓み量は少なく、この場合大気
圧室４３から調整路４６を介してシグナル路４５
に流する大気の量は多くなり、前記シグナルポー
ト４４に於ける負圧は弱められた調整負圧として
制御弁３に伝達されるから、上記EGRは低EGR
率とすることができる。

更に上記状態よりスロツトル弁１８が開いた中
負荷運転状態に於いては、上記状態と略々同様に
シグナルポート４４に負圧が発生していてこれが
Ｌ−TD４のシグナル路４５を介して制御弁３に
伝達されており、且つ第１圧力室３８及び第２圧
力室３９に於ける各々の背圧がＬ−TD４又はＨ
−TD５の背圧室４２，５２に作用している。
が、この状態では、上記スロツトル弁１８の開度
増に伴つて負圧ポート６６からVCV６の負圧室
６３に導入される吸気管負圧は弱まつており、そ
の弁６４は大気路６５を閉じている。従つてこの
場合は、前記シグナルポート４４に於ける負圧を
調整するための導入大気はＨ−TD５のフイルタ
５８から流入するのみであるから、Ｈ−TD５に
よつて制御されたシグナルポート４４の負圧をＬ
−TD４を介して制御弁３に作用させることにな
る。即ち、第２圧力室３９に於ける強い背圧に基
づいて大気圧室５３からシグナル路５５へ導入し
た大気は更に第１圧力室３８に於ける弱い背圧に
基づいてＨ−TD５のそれより大きく開かれてい
る弁４７と調整路４６の間を通過してＬ−TD４
のシグナル路４５に流入し、そこでシグナルポー
ト４４に於ける負圧を調整して制御弁３の負圧室
３３に作用させるのである。よつてこの状態では
もつぱらＨ−TD５がその機能を発揮し、実質的
にＬ−TD４の働きはキヤンセルされている。換
言すれば、Ｈ−TD５は強い背圧にて制御されて
いるから前記低負荷運転状態の場合に比して大気
の導入量が少なく、それだけ中負荷運転状態に適
したEGRを行うことができるのである。

この様に、本考案に於てはＬ−TD４とＨ−TD
５とを配してこれをVCV６にて切り換えて使用
する様になすとともにＬ−TD４に対してはＨ−
TD５に作用する背圧よりも弱い背圧が、作用す
る様に成したことにより、殊に排圧式排気還流装
置で不具合のあつた低負荷運転状態でのEGR率
過大を防止することができるのである。

尚、本明細書に於ては、上記VCV６として吸
気管負圧により作動するものの実施例を示した
が、これはベンチユリー負圧や背圧により作動す
る形式のものあるいは電磁弁を用いても良く、要
は設定された負荷条件でＬ−TD４とＨ−Ｄ５と
を切り換えうるものであれば足るのである。ま
た、制御弁３、Ｌ−TD４、Ｈ−TD５及びに
VCV６の間の連結は、本実施例に限定されるも
のではなく、例えば図中点線に示す如く、シグナ
ルポート４４をVCV６のフイルタ６７と制御弁
３の負圧室３とＨ−TD５のシグナル路５５に連
結するとともに、VCV６の大気路６５をＬ−TD
４のシグナル路４５につなぎ且つその大気圧室４
３をフイルタ４８を介して大気に開放することな
ど、多くのアレンジも可能である。しかしこの場
合には低負荷運転状態に於てＨ−TD５の機能は
キヤンセルされず、Ｌ−TD４と協働してEGRの
制御をすることになるが、その作用効果は前記例
と変るものではない。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示す概略系統説明図で
ある。 １：内燃機関、２：EGR管、３：EGR制御
弁、４：第１トランスデユーサ（Ｌ−TD）、５：
第２トランスデユーサ（Ｈ−TD）、６：バキユー
ムコントロールバルブ（VCV）、１４：吸気系、
１７：排気系、３３：負圧室、３５：ガス路、３
６：第１絞り、３７：第２絞り、３８：第１圧力
室、３９：第２圧力室、４２，５２：背圧室、４
５，５５：シグナル路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃機関の吸、排気系の間に還流路により連結
   した排気還流制御弁から排気系抽出路側に、第１
   圧力室を挟んで強い第１絞りを、又該第１絞りよ
   り第２圧力室を挟んで第２絞りを連設し、前記制
   御弁の制御負圧調整用第１トランスデユーサの排
   圧室を前記第１圧力室に、又第１トランスデユー
   サの大気圧室と連絡する大気圧室を備えた第２ト
   ランスデユーサの排圧室を第２圧力室に閣連絡
   し、更に吸気系負圧により前記第１、第２トラン
   スデユーサの大気圧を制御するバキユームコント
   ロールバルブを設けてなる排圧式排気還流装置。