JPS6129740B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は難聴防止に使用される耳栓として外
耳道に挿入する器具の改良に関するものである。

本発明は既に特願昭57−196780号として、音の
入射側から透過側へ連続的な微小空げきを有する
複数の吸音板を、中間に空気層を介して音の通過
をさまたげるように並べて配置したものを内蔵し
た音波減衰ユニツトを、交換自在に保有せしめた
耳栓において、音の入射側口に対して前記吸音板
の面を夫々直角になしたり、斜めの角度を有した
り、又一部の吸音板を十字状に形成して設置した
ものを出願している。その出願の発明によれば、
従来の耳栓のような外部音を遮断することによる
危険を防止すると共に、複数の吸音板を使用して
も吸音板が空気の通過性を有するため、長時間の
使用でも圧迫感や違和感等からおこる神経のいら
だちを防ぎ、音の低周波数帯や高周波数帯におけ
る騒音を減衰せしめる機能を発揮するユニツトと
して、従来の外耳道に挿入する器具の欠点を克服
したのであるが、それを使用する場合に主な音域
の周波数帯に対応して、複数の種類のユニツトを
用意しておき、その時々の音の周波数帯に適した
ユニツトを夫々交換できるという理にかなつたも
のではあるが、使用上の面倒さや製造に要する費
用が高価になる等の欠点が生じていた。

この発明は、前記の音波減衰ユニツトを総ての
周波数の音域のみならず、それらの混成された音
域や又爆発やさく裂等にともなう強烈な音圧状況
下でも使用出来るユニツトにすることによつて、
上記の欠点を除去することを目的とするものであ
る。

この発明を図面にもとづいて説明する。先づ第
１図、第２図、第３図に示すものは、特願昭57−
196780号による形式の耳栓の一例であつて、外耳
道に挿入される公知の多段傘形の形状をなした軟
質のゴム又は合成樹脂材料等からなる軸部１と、
音波減衰ユニツト３を内蔵する伸縮自在で弾力性
を有する弾性体からなる本体部分２から成り、図
示のような形状にして本体部分２の底部から音波
減衰ユニツト３を交換できる構造となつている。

これに対して本発明の耳栓は、外耳道に挿入す
る部分については第４，５，６，７図に示すよう
に、軸部１の基部に独自のスカート部５を設け、
この中にユニツト容器６の拡大頭頂部８を直接に
着脱出来る第６図に図示するような空間構造９を
有せしめた。即ち第４図は耳栓の側面図でスカー
ト部５内にユニツト容器６を取付けた状態を示
し、第５図は耳栓の底面図でスカート部５とユニ
ツト容器６との間のすき間１０は、外耳道に軸部
１を挿入した場合に耳栓と外耳道との間のクツシ
ヨンの役割をはたすものである。なお４は音の入
射側口の穴である。第６図は外耳道に挿入する軸
部の断面図である。この特徴は、先づ材質を人体
に無害な軟質のゴム、例えばシリコンゴム又は乳
首等に使用されるポリイソプレンゴムなどとな
し、その軟かさ即ち風合は、軟かすぎて粘着感を
与えてはならず、又摩擦係数が少な過ぎてツルツ
ルして密着性が悪くなつてもよくない。従つて長
時間外耳道に挿入しても圧迫感を与えない密着性
の適当な性質のものとする。傘形の形状と大きさ
は、例えば１段目１２と２段目１３についての直
径を男性用は夫々9.5mmφ、11mmφ、女性用は８
mmφ、９mmφを標準サイズとし、更に適宜の大き
さのものを作成して、夫々の外耳道の内径に対し
軟かく密接させると共に、外耳道からはずれにく
い構成となした。又スカート部５を設け軸部１の
全長の約1/2の長さを有するものとすることによ
り、スカート部５とユニツト容器６の外周との間
に生ずる空間によつて、耳栓を挿入した時に外耳
道周壁にスカート部５が軟かく密接すると共に、
傘形１２，１３の円形によつて生じるすき間から
の音の侵入を防ぐ役割となした。更にこのスカー
ト部５の内側に、ユニツト容器６のフタ７にある
拡大頭頂部８が入る一定の大きさの空間構造９を
有し、弾性かん合部１１の穴から拡大頭頂部８を
挿入し、ユニツト容器６を着脱できる構造とな
し、弾性かん合部１１は適宜な肉厚により保持強
度を有し、着脱操作似外ではすり抜けてはずれる
ことのない極めて有効な耳栓となしたのである。
第７図はユニツトの断面図であり、材質はアルミ
等の金属又は更に軽量な合成樹脂あるいは合成樹
脂にメツキを施したものからなる。そしてユニツ
ト容器６は底面に音の入射側口４を有するユニツ
ト容器６の本体部分と、これにかん合し密閉する
フタ７からなり、フタの上端の拡大頭頂部８の構
成は前述の通りで、中心には１mmφ程度の小口径
通路１５を有する。このユニツト容器６の最大の
特徴は、音波の低周波数帯から衝撃音や破裂音が
有する高周波数帯に至る広範囲な音域と音圧に対
して、このユニツトのみで満足できる構造とな
し、従来の特願昭57−196780号のように周波数帯
により使用するユニツトを異にし、対応すべき音
域によつてユニツトを交換して使用する不便さを
解消した。即ち、周波数500ヘルツで80％以上の
垂直入射吸音率を有する吸音板状体１６、例えば
直径１mm以下のアルミ等の金属微粒子を、一面か
ら他面に対して連続的な微細な空げきが多数存在
する如く、気孔率約40％になるように厚さ約2.5
mmに焼結したものを円板状になしたもので、これ
をユニツト容器６の本体部分の底部に入れ、音の
入射側口４に対して直角になるように設置する。
その上に約厚さ１mmのリング状軟質ゴムパツキン
１７，１８，１９を夫々重ね合せて、中央に軟質
ゴムパツキンの厚さによる空気室２０を形成させ
ると共に、その外周によつてユニツト容器６の内
面と吸音板状体１６の外周との間に寸法公差によ
つて発生する空気のすき間を防ぐ作用をする。こ
の軟質ゴムパツキン１９の上に前記同様の吸音板
状体２２を設置し、吸音板状体１６，２２の間を
完全な空気室とする。空気室の中央には、軟質ゴ
ムパツキン１７，１８，１９によつて円周端部を
圧接挾持するようにして、薄い円板状の特殊不織
布２１を夫々の間に各１枚又は複数枚重ねて設け
る。この特殊不織布２１は、ポリエステル繊維の
糸を切断して短繊維となし、すいてから約230℃
の高温熱プレスにより加圧して、厚さ数ミクロン
の張りのある薄い紙状体となしたもので、均一な
空気透過性と極めて微小な振動、即ち音響の音波
振幅に対して敏感に微振動し減衰せしめる耐湿性
の特性を有するものである。吸音板状体２２の上
からユニツト容器６のフタ７をかん合密閉してユ
ニツトを完成している。

かん合部分は微小な逆テーパー付とし、かん合
したら後にははずれない構造とする。

このユニツトによる効果は、第８図の説明図の
ように音の入射側口４からの入射音は、最初の吸
音板状体１６の多数の微細な連続空げきの中で減
衰され、次に爆発的な衝撃音や破裂音のような広
範囲な音域を有する音圧に対して、軟質のゴムパ
ツキンによる空気室内で、特殊不織布２１相互間
における微振動による相殺減衰というエネルギー
減少の新しい作用効果を受け、更に次の吸音板状
体２２内の多数の微細な連続空げきに分流するこ
とにより、入射−分流−合流−微振動減衰−微振
動減衰−分流−合流の作用の中で、音波エネルギ
ーはお互に消去減衰し、一部が小口径通路１５，
１４より鼓膜に到達する。

かくして従来の複数の吸音板状体のみを組合せ
たものよりも、、振動波の減衰装置としての特殊
不織布による微振動減衰効果を加えたために、こ
のユニツトのみで広い音域に対して顕著な効果が
得られた。例えば第９図に示すクレー射撃におけ
る、騒音レベル「dB(C)」と周波数の関係グラフ
の如く、一発の瞬間的な衝撃音が低周波数帯から
10000へルツの高周波数帯に至る広範囲な分布を
なすような場合に対処するためにも唯一つのユニ
ツトで対応することができ、特願昭57−196780号
のように、夫々の周波数帯に適した個々のユニツ
トを交換するという不便さを解消し得た。又一般
的なオーデイオメーターによる純粋な周波数の音
に対するテストでも、例えば騒音レベル110dBの
場合、中心周波数4000ヘルツで約35dBの減衰効
果を発揮し得た。

このように本発明の耳栓は、射撃のように耳元
で爆発音が発生する一番条件が厳しい環境で使用
しても、減音効果が顕著なものとなり、しかも通
気性を有するために長時間使用による違和感もな
く、更に総ての音が減音して聞こえるので従前よ
り一層の難聴防止効果が発揮され、日常生活や騒
音現場等でも安心して使用出来るものとなつた。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示し、比較として第１，
２，３、図は特願昭57−196780号によるもので第
１図は耳栓の側面図、第２図は耳栓の本体部分の
底面図、第３図は耳栓の一例の断面構造図であ
る。第４図からは本発明の耳栓の側面図、第５図
は耳栓の本体部分の底面図、第６図は耳栓の実施
例の外耳道に挿入する軸部の断面構造図、第７図
はユニツトの断面図、第８図は音波減衰作用を図
示した説明図、第９図はクレー射撃の騒音レベル
と周波数の関係グラフの一例である。 １……軸部、２……本体部分、３……音波減衰
ユニツト、４……音の入射側口、５……スカート
部、６……ユニツト容器、７……フタ、８……拡
大頭頂部、９……空間構造、１０……すき間、１
１……弾性かん合部、１２……傘形１段目、１３
……傘形２段目、１４……小口径通路、１５……
小口径通路、１６……吸音板状体、１７……軟質
ゴムパツキン、１８……軟質ゴムパツキン、１９
……軟質ゴムパツキン、２０……空気室、２１…
…特殊不織布、２２……吸音板状体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 底面に音の入射側口を有するユニツト容器本
   体と、これにかん合密閉する、その中心に小口径
   通路を有するフタとにより構成されるユニツト容
   器の内部に、音の入射側から透過側へ多数の連続
   的な微細空げきを有する複数の吸音板状体を、中
   間に空気層を介して並べて配置し、さらにその空
   気層の中に合成樹脂繊維からなる均一な空気透過
   性と張りをもち音波に対して微振動し減衰せしめ
   る特性のある、薄い紙状体を１枚又は複数枚、音
   の通過をさまたげるように配置内蔵せしめてユニ
   ツトを構成し、このユニツトを外耳道に挿入する
   傘状の軸部に連結した耳栓。 ２ フタは上端に拡大頭頂部を有し、傘状の軸部
   は軟質ゴム製で、その内部に前記拡大頭頂部が着
   脱自在にかん入することができる空間構造を有す
   る特許請求の範囲第１項記載の耳栓。 ３ 傘状の軸部は、空間構造の外側に外耳道の内
   周壁に密着するスカート部を有する特許請求の範
   囲第２項記載の耳栓。