JPS6126752Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ガス器具のガス流入側に装備され、
供給されるガスの圧力を一定に保持するスプリン
グ荷重型ガス圧力調整器に関し、さらに詳述する
と、一種類の供給ガスに対しガス器具の燃焼能力
を最大から最小まで調整することができるように
すると共に、特に供給ガスが低カロリーガスから
高カロリーガスに変更される際、ゲージ等を使用
することなく簡単に高カロリーガスに適応し得る
ように転換することができるガス圧力調整器に関
するものである。

ガス給湯器のように、水量を一定にして燃焼能
力を変化させることにより湯温調整を行なう場合
には、ガス供給路の最上流にガス元栓が配設さ
れ、その下流に周知のガス圧力調整器が配設さ
れ、末端のガスバーナへ供給されるまで能力切替
を行うためのオリフイスまたは他の絞り機構のよ
うな抵抗体を挿設している。また、供給ガスの発
熱量を変更しない場合のように、設定圧力の変更
を行う必要がある場合には、調整弁を吊持するダ
イアフラムにかかる供給圧（以下、一次圧とい
う）に対向する作用力を負荷するスプリングを交
換したり、あるいは前記スプリングをゲージ等を
使用して適宜な位置に進退調整していたが、この
作業には多くの手数と時間とを必要とする難点が
ある。

また、燃焼能力を切替えるために、ガス圧と応
動するダイアフラムと、このダイアフラムと連動
してガス通路の開口度を制御する弁と、上記ダイ
アフラムの背圧用スプリングと、このスプリング
の受体を螺着するとともに、ダイアフラムに対し
接離調整できるごとく摺動在に設けた調整筒と、
調整筒を摺動操作する外部操作手段とよりなるガ
スガバナが提案されている（実開昭54−50228号
公報参照）が、このガスガバナでは、前記の如く
供給ガスの種類が変更された場合には対応するこ
とができない。

本考案は、前記の如き従来技術の問題点に鑑
み、燃焦能力を簡単に調整することができるばか
りでなく、供給ガスが低カロリーガスから高カロ
リーガスに変更された際に、ゲージ等を使用する
ことなく簡単に高カロリーガスに適応するように
転換することができるガス圧力調整器を提供せん
とするものである。

以下、本考案ガス圧力調整器の実施の一例を添
付図面について説明する。

添付図面において、１はガス圧力調整器の器筐
で、その入側と出側との間に、入側と通ずるほぼ
筒状の画壁２を形成し、その画壁２内に後述する
調整弁３を装着して画壁２の先端の弁座２ａと器
筐との間に間隙４をもつて対設させることにより
内部を入側の一次圧室５と出側の二次圧室６とに
区画している。７は前記二次圧室６の調整弁３に
面する開口を気密に閉塞する覆体、８は前記調整
弁３に対向した一次圧室５の開口に張設され、そ
の中央に調整弁３を吊設しているダイアフラムで
ある。９は器筐１上に取付けて器筐１と共にダイ
アフラム８を気密に挟持する帽蓋で、ダイアフラ
ム８にかかる一次圧に対向する作用力を有する調
整スプリング１０を収容し、前記帽蓋９の筒部９
ａに後述するスライドピン１１ｂを遊嵌する溝部
９ｂを刻設すると共に、能力切替機構を保持す
る。

次に本考案の要部をなす能力切替機構について
説明する。

１１は前記帽蓋９の筒部９ａ内に嵌入する筒状
のスライド金具で、その内周面に螺子を刻設する
と共に、下端部に螺子山より内側に突出する段部
１１ａを形成し、かつその筒状スライド金具の外
周面にスライドピン１１ｂを突設する。１２は調
整子で、その外周に螺子を刻設して前記スライド
金具１１に螺合し、かつ、その中心部に螺子孔を
貫通形成し、該螺子穴に微調整子１３を螺合させ
ている。１４は前記調整スプリング１０の上端に
取付けた板体で、その上面は前記微調整子１３に
当接している。１５は円弧状長孔１５ａおよび小
判状透孔１５ｂを開設すると共に、その一部を折
曲してストツパー１５ｃを形成した能力調整板、
１６は能力切替板で、そのほぼ中央部に前記円弧
状長孔１５ａよりも一部において幅広となした切
欠孔１６ａを開設し、その能力調整板１５と能力
切替板１６とを円弧状長孔１５ａと切欠孔１６ａ
とが重なり合う状態において能力調整ピン１９に
より回動自在に連結し、かつ前記能力調整板の小
判状透孔１５ｂ中に能力調節固定ねじ１７を挿入
して能力切替板１６に設けた螺子孔に螺合し、そ
の能力調節固定ねじ１７を締付けることにより能
力切替板１６と能力調整板１５との相対角度位置
を固定し得るようにする。また、前記能力切替板
１６にはその一部を折曲げて前記能力調整板１５
のストツパー１５ｃに対向する取付片１６ｂを形
成し、かつ該取付片１６ｂに螺子孔を設けてこれ
に能力設定ねじ１８を螺合し、さらに前記能力切
替板１６の一部に腕部１６ｃを延長突設し、該腕
部１６ｃの外端に切替摘み１６ｄを取付ける。

しかして、前記の如くして能力調整板１５を組
付けた能力切替板１６の切欠孔１６ａと円弧状長
孔１５ａとに前記スライドピン１１ｂを挿入し、
かつ、能力切替板１６の支点位置を取付ネジ２０
により前記帽蓋９の筒部９ａに廻動し得るように
取付ける。この場合、前記円弧状長孔１５ａと切
欠孔１６ａとは、能力切替板１６および能力調整
板１５を第２図に示す如く時計方向に回動させた
終端位置において取付ネジ２０とスライドピン１
１ｂとの距離l₁が最小であり、能力切替板１６お
よび能力調整板１５を第３図に示す如く反時計方
向に回動させた終端位置において取付ネジ２０と
スライドピン１１ｂとの距離l₂が最大であり、両
者の間においてスライドピン１１ｂの位置を無段
階にあるいな段階的に調節し得る如くする。

また、前記切欠孔１６ａは、能力調節固定ねじ
１７が小判状透孔１５ｂの下端に位置する場合、
第２図および第３図に示す如く、切欠孔１６ａの
下端が円弧状長孔１５ａの下端より下方にあるよ
うに前記の如く幅広とし、能力調整板１５を能力
調整ピン１９を中心として回動させて固定ネジ１
７を小判状透孔１５ｂの上方に位置させたとき
は、切欠孔１６ａの下縁が円弧状長孔１５ａの下
縁より上方に位置するようにする。

本考案のガス圧力調整器は、前記の如き構成よ
りなるので、以下述べるようにして同一の供給ガ
スの場合その燃焼能力を最大から最小まで自由に
調節し、かつ供給ガスの変更に際してもこれに対
処することができる。

◎ 高カロリーガスの場合 (イ) 高カロリー能力大にセツト 先ず、切替つまみ１６ｄを第２図に示す如く
時計方向一ぱいに廻動し、この状態において調
整子１２をスライド金具１１に対しその下端の
段部１１ａに衝き当るまでねじ込み、次いで微
調整子１３のねじ込み量を調整して所望とする
ガバナーセツト圧に調整する。

(ロ) 高カロリー能力最小にセツト 次に、切替つまみ１６ｄを第３図に示すよう
に反時計方向一ぱいに廻動し、必要に応じ能力
調整板１５を能力調整ピン１９を中心として能
力切替板１６との相対角度を調節して所望とす
る能力小のガバナーセツト圧を設定し、その位
置において能力調節固定ねじ１７を締付け、そ
の能力設定ねじ１８をストツパー１５ｃに衝き
当るまで締め込む。なお、このとき、必要に応
じ能力設定ネジ１８をペイント塗布などにより
取付片１６ｄに固定する。

以上の如くすることにより、高カロリーガスの
場合燃焼能力最大の位置（高カロリーガス使用時
のスプリング１０の圧力最大）と燃焼能力最小ほ
位置（高カロリーガス使用時のスプリング１０の
圧力最小）とが設定され、同一のガスを使用する
場合、切替つまみ１６ｄを操作して能力切替板１
６を廻動させるだけで任意所望の燃焼能力に無段
階に調節することができる。またこの場合、図示
しないが円弧状長孔１５ａの上縁を波形し、その
波形の谷部にスライドピン１１ｂが落ち込んだ位
置で能力最大から最小の間における段階的な調節
を行なわせることもできる。

◎ 低カロリーガスの場合 (ハ) 低カロリー能力大にセツト 切替つまみ１６ｄを第２図に示す如く時計方
向一ぱいに廻動し、この状態において調整子１
２を弛めて所望とするガバナーセツト圧に調整
する。

(ニ) 低カロリー能力小にセツト 能力切替つまみ１６ｄを第４図に示す如く反
時計方向一ぱいに廻動し、次いで能力調節固定
ねじ１７を弛め、能力調整板１５を能力切替板
１６に対し時計方向に廻動させて所望とするガ
バナーセツト圧を設定し、その位置で能力調節
固定ねじ１７を締付けて能力切替板１６と能力
調整板１５とを固定する。

このようにすると、切替つまみ１６ｄを操作し
て能力切替板１６を回動させるだけで低カロリー
ガスにおける燃焼能力を最大から最小の範囲にお
いて任意にかつ容易に調節し得ることは前記高カ
ロリーガスの場合と同様である。

◎ 低カロリーガスから高カロリーガスへの転換 (ホ) 前記(イ)，(ロ)の如くして高カロリーガスの場合
の能力大の位置と能力小の位置とを予め設定し
ておいた後、前記(ハ)，(ニ)の如くして低カロリー
ガスの場合のセツト圧を設定し、この状態で低
カロリーガスを燃焼させる。

その後、ガスの熱量変更により高カロリーガ
スが供給されるときには、能力調節固定ねじ１
７を弛めて能力調整板１５をそのストツパー１
５ｃが能力設定ねじ１８に衝き当るまで反時計
方向に回動させて固定ねじ１７を締付け、次い
で調整子１２をその下端がスライド金具１１の
段部１１ａに衝き当るまで締付ける。

このようにすると、前記(イ)，(ロ)の如くして予
め設定しておいた高カロリーガスの能力最大位
と最小位置とをきわめて簡単かつ容易に設定す
ることができる。

上記の実施例は、能力切替板１６をその下端
位置において帽蓋９の筒部９ａに取付ネジ２０
により取付けた例を示したが、本考案はこのよ
うな実施例に限定されるものではなく、第５図
に示すように、取付ネジ２０の位置を円弧状長
孔１５ａおよび切欠孔１６ａの位置より上方に
することもできる。ただしこの場合は、能力調
整板１５の下縁１５′によつて能力を規定す
る。

以上述べたように、本考案によれば、従来から
実用化されているガスガバナーに簡単な装置を付
加するだけで、同一ガス使用の場合の燃焼能力の
切替えと、ガスの熱量変更時の切替えを簡単かつ
容易に行なうことができ、特に本考案において
は、スプリングのバラツキやカム溝の加工精度の
バラツキなどを吸収した状態で一旦高カロリーガ
ス用にセツトしてその状態を能力設定ねじに記憶
させておき、低カロリーガス使用から高カロリー
ガス使用への転換に際し、能力調整板を前記能力
設定ねじに衝当てて高カロリー最小能力位置を設
定し、かつ、スライド金具に対し調整子を締切り
位置まで締込んで高カロリー能力最大位置を設定
すべくなしたので、スプリングのバラツキやカム
溝の加工精度にバラツキがあつても、ガスの種類
の転換に際し、きわめて簡単にしかも正確なガス
圧力の調整を行なうことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案ガス圧力調整器の実施の一例
を示すもので、第１図は縦断面図、第２図は能力
大の位置を示す一部の側面図、第３図は能力小の
位置を示す同様の側面図、第４図はカロリーガス
の能力小の位置を示す同様の側面図である。第５
図は本考案の他の実施例を示す第２図と同様の側
面図である。 １……器筐、２……画壁、３……調整弁、４…
…間隙、５……一次圧室、６……二次圧室、７…
…覆体、８……ダイアフラム、９……帽蓋、９ａ
……帽蓋の筒部、９ｂ……帽蓋の溝部、１０……
調整スプリング、１１……スライド金具、１１ａ
……段部、１１ｂ……スライドピン、１２……調
整子、１３……微調整子、１４……板体、１５…
…能力調整板、１５ａ……円弧状長孔、１５ｂ…
…小判状透孔、１５ｃ……ストツパー、１６……
能力切替板、１６ａ……切欠孔、１６ｂ……取付
片、１６ｃ……腕部、１６ｄ……切替摘み、１７
……能力調節固定ねじ、１８……能力設定ねじ、
１９……能力調整ピン、２０……能力切替板の取
付ネジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スプリング荷重型ガス圧力調整器において、そ
   の調整スプリングの一端を器筐帽蓋の筒部に摺動
   自在に嵌合したスライド金具および該スライド金
   具に螺合した調整子並びに該調整子に螺合した微
   調整子により支承すべくし、かつ該スライド金具
   かり突設したスライドピンを前記器筐帽蓋の筒部
   に形成した溝部を経て外方に突出させ、一方、円
   弧状長孔を有する能力調整板と前記円弧状長孔よ
   りも一部において幅広となした切欠孔を有する能
   力切替板とを重ね合せ、両者を能力調整ピンを支
   点として回動自在に結合し、前記切欠孔および円
   弧状長孔中にスライド金具のスライドピンを挿入
   して前記能力切替板の支点位置を取付ネジにより
   前記器筐帽蓋の筒部に取付け、前記取付ネジを中
   心とする前記円弧状長孔および切欠孔の終端位置
   に至る距離を最大設定圧から最小設定圧に応じて
   変化させ、前記能力切替板を前記取付ネジを支点
   として回動させることにより設定圧を切替え、か
   つその最小設定圧を前記能力調整ピンを支点とす
   る能力調整板の回動により調整すべくなし、さら
   に、前記スライド金具に調整子の締切り位置を規
   定する段部を設け、該段部に達するまで調整子を
   締込んだ状態で微調整子により能力切替板の一方
   の終端位置における高カロリー最大能力位置を設
   定し、能力切替板の他方の終端位置において能力
   切替板に対する能力調整板の角度位置を調整して
   高カロリー最小能力位置を設定すべくなし、さら
   に、能力切替板に能力設定ねじを螺合すると共に
   能力調整板に該能力設定ねじのストツパーを形成
   し、前記能力設定ねじを前記ストツパーに当接さ
   せて前記高カロリー最小能力位置における能力切
   替板に対する能力調整板の角度位置を記憶させて
   おき、低カロリーガス使用から高カロリーガス使
   用への転換に際し、前記能力調整板のストツパー
   を前記能力設定ねじに衝当てて高カロリー最小能
   力位置を設定し、かつ、スライド金具に対し調整
   子を締切り位置まで締込んで高カロリー能力最大
   位置を設定すべくなしたことを特徴とするガス圧
   力調整器。