JPS6124218B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車等の車両の座席にすわつた乗員
を拘束する安全ベルトの緊急ロツク式リトラクタ
に関する。

自動車等の車両の安全ベルトが事故時の乗員の
安全を守る上で非常に大きな効果を持つ事が実証
されている。そして、現在生産されているほとん
どの車に安全ベルトが標準装備としてつけられて
いるが、その装着率は低く、数％にしか満たない
のが現状である。このため、装着率向上のため、
使い易さを考慮し、自動ロツク式巻取装置や緊急
ロツク式巻取装置が考案され実用に供されている
が、これらの巻取装置の欠点は巻締りが発生する
事である。すなわち、従来の自動ロツク式巻取装
置や緊急ロツク式巻取装置はいずれも安全ベルト
を巻取りシヤフトに巻取り収納するので、巻取り
シヤフトに設けられたラチエツトをロツクし、ウ
エビングの伸出しを阻止してもウエビングの巻締
りが生じて事故時乗員の空走量を増し移動量が増
加する。巻締りによるウエビングの伸出しは巻取
装置内のウエビングの収納量が多ければ多いほど
増加し、乗員の拘束機能に悪影響をおよぼしてい
る。

本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、安全
ベルトのウエビングを直接ロツクし、巻取装置に
収納されているウエビングの量に関係なく巻締り
をなくし、安全ベルトの拘束性能を上げることの
できる緊急ロツク式リトラクタを得るにある。

以下、図面に示す実施例により本発明を詳細に
説明する。

第１図乃至第５図の実施例において、１は自動
車２の座席３にすわつた乗員を拘束する安全ベル
トで、この安全ベルト１には緊急ロツク式リトラ
クタ４が備えられている。この緊急ロツク式リト
ラクタ４は第２図乃至第４図に示すように車体２
Ａあるいは座席３に固着可能、本実施例は車体２
Ａに固着されたコ字状のハウジング５と、このハ
ウジング５の対応片に形成した軸挿入孔６，６に
回動自在に取付けられたウエビング７を巻取るス
プールシヤフト８と、このスプールシヤフト８の
抜け止めを防止するＥリング９と、前記スプール
シヤフト８をウエビング巻取方向に付勢するスプ
リング（図示せず）が内蔵されたスプリングボツ
クス１０と、前記スプールシヤフト８に形成され
た長孔１１より挿入されたウエビング７の一端を
止めるスプールシヤフト８に挿入されるキー１２
と、前記ハウジング５に複数個のビス１３によつ
て固定されたブラケツト１４と、このブラケツト
１４に貫通状態で該ブラケツト１４に固設された
シリンダ１５と、このシリンダ１５内に一端部が
挿入されたピストン１６と、前記ピストン１６の
前記シリンダ１５外の他端部に固設されたウエビ
ング７をハウジング５の内壁に押圧固定する先端
部にすべり止め加工されたロツク部材１７と、こ
のロツク部材１７の側壁に形成された突起１８を
ガイドする前記ハウジング５に形成した案内溝１
９と、前記ロツク部材１７をハウジング５の所定
位置に固定する複数個のシエアーピン２０と、前
記シリンダ１５の他端に螺合固定された起爆装置
と火薬（いずれも図示せず）を内装したカートリ
ツジ２１と、このカートリツジ２１内の起爆装置
に起爆信号を発信するセンサ２２および電源２３
とから構成されている。

上記構成にあつては通常状態では第４図に示す
ようにロツク部材１７はシエアーピン２０によつ
てハウジング５の所定位置に固定されているの
で、ウエビング７は自由に繰出し、巻取りでき
る。

次に緊急時の減速度をセンサ２２が感知すると
カートリツジ２１内の起爆装置に信号が送られ、
火薬を発火させる。このため、シリンダ１５内の
圧力が高くなり、シエアーピン２０を切断して第
５図に示すようにピストン１６とロツク部材１７
はウエビング７をハウジング５の内壁に押圧する
方向に移動し、ウエビング７に確実にロツクす
る。

次に第６図乃至第１１図に示す本考案の異なる
実施例につき説明する。なお、これらの実施例の
説明に当つて、前記実施例と同一部分には同一符
号を付して重複する説明を省略する。

第６図の実施例において、前記実施例と主に異
なる点はロツク部材１７と対応するハウジング５
の内壁にローレツト等のすべり止め２４加工をし
た点で、このように構成するとウエビング７のロ
ツクをより確実に行なうことができる。

第７図の実施例において、前記実施例を主に異
なる点はロツク部材１７の先端部に針状突起２５
を形成し、このロツク部材１７の針状突起２５と
対応するハウジング５の壁面に貫通孔２６を形成
した点で、このように構成するとウエビング７に
ロツク部材１７の針状突起２５が突きささり、貫
通孔２６に入るため、より確実にウエビング７を
ロツクすることができる。

第８図の実施例において、前記実施例と主に異
なる点は針状突起２５を形成したロツク部材１７
をスプールシヤフト８に巻き込まれているウエビ
ング７を突きさすように配置した点で、このよう
に構成しても同様の作用効果がある。

第９図の実施例において、前記実施例と主に異
なる点はロツク部材１７が作動した後ロツク部材
１７の戻りを阻止できるようにした点で、ロツク
部材１７の側面を傾斜２７させるとともに、ロツ
ク部材１７の周囲の壁面に傾斜面２８を有するス
トツパー２９を設けた点で、このように構成する
とシリンダー１５内は起爆後気密が保たれて押圧
力が持続されているが、これに前述のような機械
的な押圧力補助機構があるため、より確実に押圧
力を持続することができる。

第１０図の実施例において、前記第９図の実施
例と主に異なる点はストツパー３０として板ばね
を用いた点で、このように構成するとロツク部材
１７の側面を傾斜させなくてもよい。

第１１図の実施例において、前記第９図および
第１０図の実施例と主に異なる点はロツク部材１
７をスプリング３１で、常時ハウジング５の内壁
面に付勢できるようにした点で、この場合、通常
時はスプリング３１の弾性力でシエアーピン２０
が切断されないような弾性力のスプリング３１を
用いなければならない。

以上の説明から明らかなように本発明にあつて
は、車両衝突等の緊急時の減速度を感知し、起爆
装置により火薬が起爆されると、火薬の爆発力に
よつてピストンは瞬時に押し出され、該ピストン
と一体のロツク部材はウエビングをロツクする方
向に移動して、ウエビングをロツクするようにし
たので、スプールシヤフトに巻取られているウエ
ビングの量に関係なくリトラクタからのウエビン
グの繰出量は零となり乗員を拘束することができ
る。またシリンダ内の気密が保たれるので、押圧
力は持続しウエビングのロツクが拘束中に解かれ
る事はない。さらに本発明のロツク機構は衝突時
の緊急時に働くことが望ましく、急ブレーキ等に
よる低減速度での拘束は従来のELR、ALRを使
用し、それらと併用すれば安全ベルトの安全性は
大巾に向上させることができるという優れた利点
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の取付状態を示す図、第２図は
本発明の一実施例を示す斜視図、第３図は本発明
の一実施例の分解斜視図、第４図は本発明の要部
を示す断面図、第５図は作動状態を示す第４図と
同様な図、第６図乃至第１１図はそれぞれ本発明
の異なる実施例を示す説明図である。 １……安全ベルト、２……自動車、３……座
席、４……緊急ロツク式リトラクタ、５……ハウ
ジング、７……ウエビング、８……スプールシヤ
フト、１４……ブラケツト、１５……シリンダ、
１６……ピストン、１７……ロツク部材、２１…
…カートリツジ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車体あるいは座席に固着可能なハウジング
   と、このハウジングに回動自在に取付けられたウ
   エビングを巻取るスプールシヤフトと、このスプ
   ールシヤフトを巻取方向に付勢するスプリングと
   を備えた巻取装置において、前記ハウジングに固
   定されたシリンダと、このシリンダ内に一端部が
   挿入されたピストンと、前記ピストンの前記シリ
   ンダ外の他端部に固定され非常時に前記ウエビン
   グを押圧してロツクするロツク部材と、該ロツク
   部材を常時は前記ハウジングの所定位置に固定す
   る部材と、前記シリンダ内に内装された火薬と、
   この火薬を非常時に起爆させる起爆装置とを備
   え、火薬の起爆により前記ロツク部材を常時は前
   記ハウジングの所定位置に固定する部材による固
   定を解き、該ロツク部材がウエビングを押圧して
   ウエビングをロツクするようにしたことを特徴と
   する緊急ロツク式リトラクタ。 ２ ロツク部材は常時はシエアーピンでハウジン
   グに固定されていることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の緊急ロツク式リトラクタ。 ３ ロツク部材はウエビングをハウジングの内壁
   に押圧してロツクするように配設されていること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項または第２項
   記載の緊急ロツク式リトラクタ。 ４ ロツク部材はスプールシヤフトに巻き込まれ
   ているウエビングを針状突起で突きさしロツクす
   るように構成されていることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項または第２項記載の緊急ロツク式
   リトラクタ。 ５ ロツク部材はロツク方向に移動した場合に戻
   らないように構成されていることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項乃至第４項のいずれかに記載
   の緊急ロツク式リトラクタ。