JPS61238492A - 極低硫黄溶接ワイヤ又は／及び溶加材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は溶接部の高温割れの発生を低減することができ
る極低硫黄溶接ワイヤ又は／及び溶加材に関する。

［従来の技術］ 金属材料の溶接法のうち、不活性ガス雰囲気中又はＣＯ
２ガス雰囲気中で溶接を行なうガス・シールド・アーク
溶接法は、従来より汎用的な溶接方法として知られてい
る。

ガス・シールド会アーク溶接法のうち、ＭＩＧ及びＴＩ
Ｇ溶接法は、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲
気中でアーク溶接を行なうものであり、被覆材及びフラ
ックスが不要、全姿勢の溶接が容易で高能率、溶接の品
質が優秀等の特徴を有しており、ステンレス用、Ｎｉ合
金等の溶接に広く用いられている。また、ＣＯ２ガス溶
接法はＭＩＧ溶接のイナートガスの代わりに安価なＣＯ
２ガスを用いる方法であり、炭素鋼等の溶接に広範囲に
用いられている。

［発明が解決しようとする問題点］ このようなガス・シールド・アーク溶接法により溶接さ
れた溶接部には高温割れが起こることがあり、溶接部の
信頼性を低下させる原因となっていた。

溶接部における高温割れの原因の一つとして、ｇ、黄の
作用が挙げられる０例えば、硫化物の偏析の多い鋼材の
溶接部においては、サルファ割れ（Ｓｕｌｐｈｕｒ　Ｃ
ｒａｃｋ）と称される硫黄に起因する高温割れが良く見
られる。

このサルファ割れの発生を防止するには、溶接に用いる
溶接ワイヤ又は／及び溶加材に含まれる硫黄分を減らし
、低硫黄溶接用線状体としたり、あるいは、硫黄含量の
少ない母材を使用することにより溶接金属の硫黄含有量
を低減させる方法が考えられる。

しかしながら、従来においては、脱硫黄処理又は脱硫黄
元素の添加処理を施すことにより、良好な溶接部を得る
ことができる極低硫黄の溶接ワイヤ又は／及び溶加材は
得られておらず、またこのような処理を施すことは、処
理操作が煩雑である上、溶接ワイヤ又は／及び溶加材の
製造コストをつり上げることとなり、従来のいずれの方
法も工業的に有利な方法とは言えなかった。

従って、従来より、溶接部の硫黄分を減らし、サルファ
割れの発生を効率的に防止することができる溶接ワイヤ
又は／及び溶加材の出現が強く望まれていた。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は、硫黄含有率が極めて低く、従って極低硫黄の
溶着金属が得られ、硫黄に起因する高温割れの発生を低
減させ得る溶接ワイヤ又は／及び溶加材を提供すること
を目的としている。

この目的を達成するために、本発明は、ＭＩＧ溶接、Ｔ
ＩＧ溶接、ＣＯ２ガスφアーク溶接等のガス・シールド
・アーク溶接等に用いられる溶接ワイヤ又は／及び溶加
材であって、ワイヤ又は／及び溶加材の母材がＣａ：５
ｐｐｍ以上、Ａ文＝３０ｐｐｍ以上、Ｓ：２０ｐｐｍ以
下含有することを特徴とする極低硫黄溶接ワイヤ又は／
及び溶加材、を要旨とするものである。

［作用］ 本発明の極低硫黄溶接ワイヤ又は／及び溶加材は、硫黄
含有量が極めて少ないので、硫黄含有量の少ない溶着金
属が得られるため、高温割れを生起することのない、高
強度で耐食性、耐熱性に優れた溶接部を得ることができ
る。

［発明の構成の詳細な説明コ 本発明の極低硫黄溶接ワイヤ又は／及び溶加材は、Ｃａ
を５ｐｐｍ以上、ＡＭを３０ｐｐｍ以上、Ｓを２０ｐｐ
ｍ以下含有するものである。

本発明において、ワイヤ又は／及び溶加材母材中のＣａ
含有量を５ｐｐｍ以上と限定した理由は、Ｃａ含有量５
ｐｐｍ未満においては、溶接部の酸素、硫黄、窒素を大
幅に低減することができないからである。好ましいＣａ
含有量は５ｐｐｍ〜２０ｐｐｍである。

また、ワイヤ又は／及び溶加材母材中のＳ含有量は２０
ｐｐｍ以下、好ましくは１０ｐｐｍ以下とするのが好適
である。

このような本発明の溶接ワイヤ又は／及び溶加材の母材
の種類に特に制限はなく、通常のアーク溶接に使用され
ている合金で良く、例えばＦｅ基合金、ＣＯ基合金、Ｎ
ｉ基合金等が挙げられる。

これらの合金に含有される成分のうち、ＮｉはＳと親和
性が高く、従ってＮｉ含有合金は高温割れを起し易いの
であるが、本発明は、オーステナイトステンレス綱（Ｎ
ｉ含有）、又はＮｉ基合金を母材とする溶接ワイヤ又は
／及び溶加材に適用した場合にも優れた効果を発揮する
。

以下に本発明の極低硫黄溶接ワイヤ又は／及び溶加材を
製造する方法について説明する。

本発明に係る、Ｃａ：５ｐｐｍ以上、Ａ旦：３０ｐＰｍ
以上、Ｓ　：　２０ｐｐｍ以下の合金を得るには、カル
シア（Ｃａｂ）質耐火物をもって裏付けされた容器を用
い、真空又はアルゴン等の非酸化性雰囲気下でＡＡを添
加してワイヤ又は／及び溶加材母材の合金を精練するの
が好ましい。

このようにすることにより、ワイヤ又は／及び溶加材母
材合金の溶湯中のＡｎの一部は、直接に、溶・湯中の酸
素と結合して脱酸を行なうが、ＡＭの他の部分は耐火物
表面のＣａＯと反応して ２Ａｌ：３ＣａＯ＋Ａ　ｆＬ　２０３　　＋３Ｃａとな
り、ＣａとＡ　ｌ　２０　：（が生じる。このＣａは脱
酸、脱硫反応し、Ｃａｂ、ＣａＳとなる。

一方、Ａ　ｌ　２０３は、 Ａｕ２０３　＋３ＣａＯ→３ＣａＯ−Ａｕ２０３なる反
応により３　Ｃａ　Ｏａ　Ａ　ｌ　２０３（以下Ｃ３Ａ
ということがある。）を主体とするカルシラムアルミネ
ートを形成する。このＣ３Ａは溶湯の脱硫能が高く、Ｃ
’ａＡによっても脱硫が進行する。

このように、Ａｎにより脱酸が、またＡ文により生じた
活性なＣａ、Ｃ３Ａにより脱酸と脱硫が行なわれる。

また、時間の経過と共に、次第に溶湯中のＮ量が減少し
てくる。これはＣａ等の蒸発（沸Ｓ）等に伴ってＮも溶
湯から離脱するためである。この脱窒速度は、アルゴン
又は真空雰囲気下では、脱酸、脱硫の進行に従って著し
く向上する。

本発明の溶接ワイヤ又は／及び溶加材を製造する場合に
おいて、使用されるカルシア質で裏付けされた耐火物と
しては、カルシア耐火物（Ｃａｂ）、　　ラルナイト耐
火物（安定化ＺＣａＯ寺５ｉ０２）、　メルウィナイト
耐火物（３ＣａＯ−ＭｇＯ・２ＳｉＯ２）、７ノルサイ
ト耐火物（Ｃａ　Ｏａ　Ａ　ｌ　２０３＊　２　Ｓ　ｉ
　Ｏ２）ならびにＣａＯを富化したドロマイト耐火物等
があるが、いずれもＣａＯを４０％以上含有する塩基性
耐火物であることが好ましい。

これは、ＣａＯ含有率が４０％未満の塩基性耐火物は、
その中のＣａＯは他の酸化物と強固に結合しているため
ＣａＯの活性が少なく、アルミニウムにより還元され難
い、これに対し、４０％以上のＣａＯを有する塩基性耐
火物中のＣａＯは活性が大でアルミニウムによって容易
に還元することができるからである。

また、ＣａＯを４０％以上含む耐火物は、Ａ文２０３や
Ｓ　ｉ　Ｏ２等の酸化物と反応し易く、従って、溶湯中
の酸化物を吸収し、酸化物介在量を大幅に減少させる。

またＣａＯを４０％以上含む耐火物はＣ，Ｔｉ、Ｚｒ等
に対する安定性が高いので、高温溶解が可能となる。

上述の如く、カルシア質耐大物容器で精錬された合金溶
湯は、極めて効果的に脱酸、脱硫、脱窒がなされ、また
酸化物介在量も少ない、しかもカルシア質耐火物容器を
用いることにより、通常の黒鉛るつぼによる場合のよう
に、Ｃが溶湯中に溶出することがなく、Ｃ含有量も極め
て少ない。

本発明の溶接ワイヤは、このようにして得られた。Ｃａ
：５ｐｐｍ以上、Ａｕ：３０ｐｐｍ以上、Ｓ：２０ｐｐ
ｍ以下の合金溶湯を線引きするなどにより、容易に製造
することができる。

このような本発明の溶接ワイヤ又は／及び溶加材は、各
種の金属の溶接に採用し得るが、特に高温割れが問題と
なるオーステナイト系ステンレス鋼等の鋼材又はＮｉ基
合金部材等の溶接に適用するのが最も効果的である。

［実施例］ 表１に示す組成のカルシア質の坩堝中において、１４０
０℃にて表２に示す組成のハステロイＣ合金を溶解した
。

表　　　　１　　　（ｗｔ、％） 表　　　　２　　　（ｗｔ、％） 次いで、ＡＭを０．３重量％添加し５分経過した後、徐
烏凝固させた。これを線引加工し直径１．６ｍｍの溶接
ワイヤとした。

このワイヤの組成分析結果を表３に示す。

表３より、このワイヤは０、Ｓ、Ｎの含有率が著しく低
いことが認められる。

このワイヤを用いてオーステナイト系ステンレス鋼の溶
接を行なった。この溶接金属のＳ含有量は８ｐｐｍであ
った。なお、比較のために、表３に示した通常のハステ
ロイＣ材の溶接ワイヤを用い、同じオーステナイト系ス
テンレス鋼の溶接を行ない、その溶着金属のＳ含有量を
測定したところ３５ＰＰｍであった。この結果より、本
発明によれば、極低硫黄の溶着金属を得ることができる
ことが認められた。

表　　　３ 以上詳述した通り、本発明の極低硫黄溶接ワイヤ又は／
及び溶加材は、極めて硫黄含有量が少ないため、溶着金
属及び溶接金属は極低硫黄濃度となり、良好な溶接部を
形成し得る。しかもワイヤ母材に含有されるＣａ及びＡ
ｎの作用により溶接部の溶湯に被溶剤部材の母材から５
分が溶出した場合においても、これを効果的に脱硫する
ことができる。

この結果、溶接部は高温割れ等が発生することがなく、
極めて高強度、高靭性で耐食性、耐熱性に優れたものと
なる。

本発明の低硫黄溶接ワイヤ又は／及び溶加材によれば、
溶接欠陥が殆どなく、確実かつ容易に溶接を行なうこと
ができ、工業的に極めて有利である。しかも本発明の極
低硫黄溶接ワイヤ又は／及び溶加材は高価な原料や煩雑
な処理を要することなく製造することができ、経済的に
も有利である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. （１）ガス・シールド・アーク溶接等に用いられる溶接
   ワイヤ又は／及び溶加材であって、ワイヤ又は／及び溶
   加材の母材がＣａ：５ｐｐｍ以上、Ａｌ：３０ｐｐｍ以
   上、Ｓ：２０ｐｐｍ以下含有することを特徴とする極低
   硫黄溶接ワイヤ又は／及び溶加材。