JPS6123477B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は冷暖房を施こした室内や集会所等の換
気に於いて室内空気の排出と外気の吸込みとを同
時に行なう換気装置等に用いる熱交換器に関する
ものである。

かかる用途に熱と湿度（顕熱と潜熱）を同時に
交換するいわゆる全熱交換器が種々提案されてい
る。例えば紙、アスベスト紙、不織布等に顕熱回
収の目的でカーボンブラツク、金属粉等、潜熱回
収の目的で潮解性無機塩を混抄したり、上記物質
で表面処理したりしてなした仕切板を使用するも
の等があるが、これらのものは一酸化炭素、二酸
化炭素等の本来排気すべき有害な気体の吸入外気
への混入、即ち該気体の仕切板中の透過性を抑え
ることが困難であつた。かかる欠点を改善するた
め水溶性物質による含浸処理、表面被覆等による
仕切板内の通気孔を塞ぐ方法、親水性高分子物質
による通気孔の微細化方法等も提案されている
が、該方法も湿度交換率の低下、使用中の水溶性
物質の溶出、通気孔の均質な微細化が困難、製造
工程が複雑となる等の欠点があつた。

本発明はかかる従来法の欠点を改善し、顕熱潜
熱の同時交換効率がよく、二酸化炭素等気体の透
過性を著しく低下した熱交換器を提供しようとす
るものである。

即ち、本発明の要旨は、２種の媒体間で顕熱と
潜熱を交換する熱交換器において、該熱交換すべ
き２種の媒体を仕切る熱交換体を備え、該熱交換
体は熱可塑性樹脂、熱伝導率の優れた物質粉末若
しくは繊維状物及び調湿剤の混合物からなるシー
トが延伸されて複雑に入り組んだ微細緻密な連通
孔が形成せしめられた多孔質シートによつて構成
されていることを特徴とする熱交換器に存する。

以下本発明を実施例を示す図面に基いて説明す
る。

１は仕切板（熱交換体）であり、２は波形状の
間隔板である。

熱交換器３は仕切板１と間隔板２とを、間隔板
２の波形の成形方向を交互に90゜交角させなが
ら、交互に積み重ねて構成される。

仕切板１は、熱可塑性樹脂に、熱伝導率の優れ
た物質粉末若しくは繊維状物としてカーボンブラ
ツク、グラフアイト、カーボンフアイバー等の炭
素質、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム等の金
属酸化物、アルミニウム、ステンレス、銅等の金
属等の１種以上、及び調湿剤として界面活性剤、
水膨潤性熱可塑性樹脂、塩化亜鉛、塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、塩化リチウム等に代表さ
れる潮解性無機塩類及びチタン酸カリウム、シリ
カゾル、アルミナゾル等の１種以上を添加し、シ
ート状に成形し、次いで該シート状物をその熱可
塑性樹脂の溶融温度よりも低い温度条件で１軸方
向以上の方向に延伸して、シート表面から裏面に
複雑に入り組んだ微細緻密な連通孔を形成せしめ
た多孔質シートよりなる。

本発明の仕切板１は、カーボンブラツク等の熱
伝導率の優れた物質粉末若しくは繊維状物を添加
してなる熱可塑性樹脂のシート状物を熱可塑性樹
脂の溶融温度よりも低い温度下で延伸することに
より、第２図及び第３図の10000倍に拡大した電
子顕微鏡写真に示されているように、該カーボン
ブラツク等微粉末を核とし、熱可塑性樹脂と微粉
末との界面に剥離現象が発生し、微粉末の周辺に
微孔が生成するものであり、該多孔質シートは高
い多孔率を有し、その連通孔は１μ以下と非常に
微細である。そして更に該連通孔構造は、あたか
も繊維を幾重にも重ね合わせた如き構造であり、
その連通路は非常に複雑に入り込んだ通路になつ
ているのである。

このようにシートに複雑に入り組んだ微細緻密
な連通孔を形成するためには、前述のカーボンブ
ラツク等のように熱可塑性樹脂との接着性が悪く
剥離現象を発生するものが好適に用いられ、その
粉末もしくは繊維状物は微細であるほど連通孔が
緻密となり好ましく、粉末の場合は粒径が20ミク
ロン以下のものが好適であり、繊維状物の場合
も、その繊維径が20ミクロン以下のものが好まし
く、その添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対
して５〜200重量部加えるのがよく、特に好まし
くは10〜100重量部加えるのがよい。

しかしながら、仕切板１の熱伝導率を向上させ
る為には、熱伝導率の優れた物質粉末若しくは繊
維状物は多量に添加されればされるほどよく、し
たがつて該仕切板１の用途により、この熱伝導率
と多孔率及び成形性等を兼合せて最適な条件が選
ばれるのである。

また、前記カーボンブラツク等の熱伝導率の優
れた物質粉末若しくは繊維状物は好適に微細多孔
を形成せしめ得るものであるが、多孔率を更に向
上させるため、他のシリカ粉末、珪藻土粉末等無
機質粉末も適宜添加し得る。

そして本発明の仕切板１は、上記複雑に入り組
んだ微細緻密な連通孔が形成されたシート内に更
に調湿剤が混合されているから、通常は水の濡れ
が悪い熱可塑性樹脂が該調湿剤によつて水との親
和性が良好となり、シートの連通孔内に容易に水
が入り込み、仕切板１は非常に吸水性の良いもの
となつている。

この調湿剤は、通常上記熱可塑性樹脂100重量
部に対して調湿剤が前記界面活性剤の場合で0.1
〜30重量部、特に好ましくは0.5〜20重量部、界
面活性剤以外の調湿剤の場合で５〜100重量部、
特に好ましくは10〜70重量部、加えるのが好まし
い。

本発明によつて構成された熱交換器３に矢印ａ
の方向に暖かい空気を流し、矢印ｂの方向に冷た
い空気を通すと、暖かい空気の熱と水蒸気は仕切
板１を透過して冷たい空気に移行する。

この作用によつて冷たい空気は暖められ、加湿
される。

即ち、暖かい空気と冷たい空気との間の温度と
湿度の同時交換がなされ、冷たい空気の温度と湿
度は暖かい空気の温度と湿度に近づけられる。こ
の際、暖かい空気の水蒸気は一旦液相に戻り、仕
切板１の微多孔内を毛管現象により冷たい空気側
へ移動する。仕切板１の連通孔は孔径１μ以下と
いう微孔であるため、液相の水が充満し、連通孔
を塞ぐため、湿度は交換するが、気体は透さない
状態となり、一酸化炭素、二酸化炭素等の有害な
気体が移動するのを防止することができる。

上述の如く、本発明は熱交換体として良好な熱
伝導性粉末若しくは繊維状物を核とする高い多孔
率を有し且つ調湿剤により水との親和性が高めら
れた多孔質シートの仕切板を使用することによ
り、顕熱・潜熱同時交換率が非常に高く、また複
雑に入り組んだ通路を有する多孔構造により非常
に低い気体透過性を有するものとなり、例えば室
内の空気を新鮮な外気と交換する換気装置に組込
んで使用すれば交換される気体間で熱と湿度は交
換されるが有害な気体は排出されるものとなるの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明熱交換器の一例を示す斜視図、
第２図は本発明熱交換器に用いる熱交換体の表面
を電子顕微鏡で10000倍に拡大して撮映した写
真、第３図は同上熱交換体の縦断面を電子顕微鏡
で10000倍に拡大して撮映した写真である。 １……熱交換体（仕切板）、２……間隔板、３
……熱交換器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ２種の媒体間で顕熱と潜熱を交換する熱交換
   器において、該熱交換すべき２種の媒体を仕切る
   熱交換体を備え、該熱交換体は熱可塑性樹脂、熱
   伝導率の優れた物質粉末若しくは繊維状物及び調
   湿剤の混合物からなるシートが延伸されて複雑に
   入り組んだ微細緻密な連通孔が形成せしめられた
   多孔質シートによつて構成されていることを特徴
   とする熱交換器。 ２ 熱伝導率の優れた物質粉末若しくは繊維状物
   が炭素質からなる特許請求の範囲第１項記載の熱
   交換器。 ３ 炭素質がカーボンブラツクである特許請求の
   範囲第２項記載の熱交換器。 ４ 熱伝導率の優れた物質粉末若しくは繊維状物
   が金属酸化物からなる特許請求の範囲第１項記載
   の熱交換器。 ５ 熱伝導率の優れた物質粉末若しくは繊維状物
   が金属からなる特許請求の範囲第１項記載の熱交
   換器。 ６ 調湿剤が界面活性剤である特許請求の範囲第
   １項、第２項、第３項、第４項又は第５項記載の
   熱交換器。