JPS6119961Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車のシートベルト、特に座席背
凭部に乗員の上体を保持するように乗員の腰部か
ら肩部に亘り斜めに掛け渡される肩ベルトの上端
を、シヨルダーアンカを介して車体上部に支持す
るようにした形式の肩ベルト支持装置に関する。

上記肩ベルト支持装置において、肩ベルト上端
の支持点高さを乗員の座高に応じて任意に調節で
きるようにして肩ベルトを乗員の上体に的確にフ
イツトさせるために、例えば実開昭53−40924号
公報に示されるように肩ベルトの上端とルーフレ
ールとを、それらの接続間隔を調節し得る調節装
置を介して接続されたものが従来より公知である
が、そのものでは、上記調節装置が肩ベルト上端
とルーフレールとの接続間隔を無段階に調節する
構造のものであるので、その調節操作が比較的面
倒である上、所定の接続間隔にスムーズには調整
しにくい不具合があり、また上記調節装置は肩ベ
ルト上端とルーフレール間を分離不能に連結する
ものであるから、特に２ドアタイプの自動車の場
合には、ルーフレールより調節装置を介して懸吊
される肩ベルトが後席への乗降の邪魔となり、ま
た所謂ハードトツプタイプの自動車の場合には、
同肩ベルトが、センターピラーのない側方窓を通
しての荷物の出入れに邪魔となる等の不具合があ
る。

本考案はかかる従来のものの不具合を解消し得
る構造簡単な肩ベルト支持装置を提供することを
目的とする。

そしてかかる目的を達成するために本考案は、
前記形式の肩ベルトの支持装置において、シヨル
ダーアンカをルーフレールに支持し、そのシヨル
ダーアンカと前記肩ベルト上端とを、それらの接
続間隔を段階的に調節し得る調節装置を介して接
続し、この調節装置は、前記シヨルダーアンカに
上端を支持され複数の係止部を上下方向に間隔を
おいて備える調節アームと、該複数の係止部の１
つに選択的に且つ着脱可能に連結され前記肩ベル
トの上端を係止する連結具とより構成されること
を特徴とする。

以下図面により本考案の実施例について説明す
ると、第１図においてはＶは所謂２ドア・ハード
トツプタイプの自動車の車室を示すもので、その
車室Ｖには、前部座席２に乗員Ｐを安全に保持す
るための公知の一本ベルト三点支持式シートベル
ト１が設置されている。そのシートベルト１の一
端は車体のフロアパネル一側にフロアアンカ３を
介して結着され、またその他端は車体のサイドパ
ネル下端に固設されたリトラクタ４に繰込まれ、
さらにその途中にはスルーアンカ５が移動自在に
挿通されている。このスルーアンカ５は、フロア
パネル中央に支持したアンカ腕６の上端に着脱可
能に連結できるようになつており、その連結状態
において前記シートベルト１は、該スルーアンカ
５とリトラクタ４間が座席２背凭部に乗員Ｐの上
体を保持するための肩ベルト７として、また該ス
ルーアンカ５とフロアアンカ３間が座席２シート
に乗員Ｐの腰部を保持するための腰ベルト８とし
てそれぞれ機能する。而して前記肩ベルト７は、
乗員Ｐの腰部から肩部に亘り斜めに掛け渡される
よう中間部が上方にのびており、その上端は、次
に説明する肩ベルト支持装置Ｓによつて支持され
ている。

肩ベルト支持装置Ｓは、第２図に示すように車
体ルーフレール９に回転可能に枢支したシヨルダ
ーアンカ１０と前記肩ベルト７の上端とを、それ
らの接続間隔を調節し得る調節装置１１を介して
接続して構成される。その調節装置１１は、前記
シヨルダーアンカ１０に上端部を車の左右方向に
揺動可能に吊下される調節アーム１２と、前記肩
ベルト７の上端折返し部分が移動自在に挿通係止
される連結具１４とより構成されており、前記調
節アーム１２は縦断面が階段状に屈曲形成され、
その各段部には下方に突出する鉤片１３がそれぞ
れ一体に設けられている。一方、前記連結具１４
には、鉤片１３の１つに選択的に且つ着脱可能に
係止連結される係止凹部１４ａが設けられる。各
鉤片１３と係止凹部１４ａとの連結構造は従来周
知のものであるので説明を省略するが、その連結
操作は、各鉤片１３を係止凹部１４ａ内に突入さ
せることにより、またその離脱操作は連結具１４
一側の押釦１４ｂを押すことによつてそれぞれワ
ンタツチで行うことができるようになつている。
而して前記鉤片１３は、調節アーム１２に上下方
向に互いに間隔をおいて設けられる、本考案の複
数の係止部を構成している。

尚、図中１５はシヨルダーアンカ１０の、ルー
フレール９への取付部を覆うカバー、また１６は
車室Ｖ側面に開口する側方窓である。

次に前記実施例の作用について説明する。肩ベ
ルト７上端の支持点高さを調節するには、連結具
１４の係止凹部１４ａを調節アーム１２の、他の
適当な鉤片１３に付け換えるだけでよく、これに
よりシヨルダーアンカ１０と肩ベルト７上端との
接続間隔が段階的且つ確実に調節されて、肩ベル
ト７上端の支持点高さが乗員の体格に応じて段階
的に変えられる。

また前記連結具１４を調節アーム１２の鉤片１
３より切離して肩ベルト７の位置を大幅に引下げ
るようにすれば、前部座席２の背凭部を前方に倒
して行なう、後部座席への乗員Ｐの乗降動作や、
或いはセンターピラーのない側方窓１６を通して
行なう、車室Ｖ内への荷物の出入れ動作がそれぞ
れ該肩ベルト７によつて邪魔されるおそれがな
い。

以上のように本考案によれば、座席背凭部に乗
員の上体を保持するように乗員の腰部から肩部に
亘り斜めに掛け渡される肩ベルトの上端を、シヨ
ルダーアンカを介して車体上部に支持するように
した肩ベルト支持装置において、前記シヨルダー
アンカをルーフレールに支持し、そのシヨルダー
アンカと前記肩ベルト上端とを、それらの接続間
隔を段階的に調節し得る調節装置を介して接続
し、この調節装置は、前記シヨルダーアンカに上
端を支持され複数の係止部を上下方向に間隔をお
いて備える調節アームと、該複数の係止部の１つ
に選択的に且つ着脱可能に連結され前記肩ベルト
の上端を係止する連結具とより構成されるので、
上記連結具を、調節アームの複数の係止部の１つ
に選択的に連結することによつて、シヨルダーア
ンカと肩ベルト上端との接続間隔を段階的且つ確
実に調節することができ、その調節操作を迅速的
確に行うことができる。しかも前記連結具は調節
アームより随時に切離すことができるから、その
切離し操作により肩ベルトの位置を大幅に下げる
ことができ、従つて２ドアタイプの自動車でも該
肩ベルトが後席への乗降の邪魔にはならず、また
所謂ハードトツプタイヤの自動車でも該肩ベルト
が、センターピラーのない側方窓を通しての荷物
の出入れの邪魔にはならず、便利である。また前
記連結具は、前述のように調節アームの複数の係
止部の１つに選択的に連結されて前後接続間隔を
段階的に調節するための手段と、調節アームから
切離されて肩ベルトをシヨルダーアンカより随時
分離するための手段とに兼用されるから、装置の
構造が簡単でコストの低減に寄与し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置を備えた自動車室内の一部
を示す斜視図、第２図は本考案の要部を示す斜視
図である。 Ｐ……乗員、２……座席、７……肩ベルト、９
……ルーフレール、１０……シヨルダーアンカ、
１１……調節装置、１２……調節アーム、１３…
…係止部としての鉤片、１４……連結具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 座席背凭部に乗員の上体を保持するように乗員
   の腰部から肩部に亘り斜めに掛け渡される肩ベル
   トの上端を、シヨルダーアンカを介して車体上部
   に支持するようにした肩ベルト支持装置におい
   て、前記シヨルダーアンカをルーフレールに支持
   し、そのシヨルダーアンカと前記肩ベルト上端と
   を、それらの接続間隔を段階的に調節し得る調節
   装置を介して接続し、この調節装置は、前記シヨ
   ルダーアンカに上端を支持され複数の係止部を上
   下方向に間隔をおいて備える調節アームと、該複
   数の係止部の１つに選択的に且つ着脱可能に連結
   され前記肩ベルトの上端を係止する連結具とより
   構成されてなる、肩ベルト支持装置。