JPS6119428B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、パルプと石膏を積層抄造した不燃石
膏ボード用原子を用いた不燃石膏ボードの製造に
関するものである。 一般に石膏ボードの製造法として知られている
のは、新聞、雑誌、段ボール等の故、紙を主原料
とした厚紙による石膏ボード用原紙に半水石膏、
発泡剤、パルプ、ポリビニールアルコール又はデ
キストリン等を含むスラリーを流し込み、２本の
ローラーによつて所定の厚みに成形し、半水石膏
が二水石膏に移行することによる硬化現象が終了
した時点で、所定の寸法に切断し、水和反応に要
した水以外の余剰水を熱風循環式乾燥機によつ
て、石膏ボード表面のボード用原紙が脆化変色せ
ず、且つ石膏ボード端部の二水石膏が半水石膏に
転移しない程度の温度で乾燥し、石膏ボードとす
る方法である。 この製造法によつて製造された石膏ボードの防
火性能は、厚み７m/m以上の石膏ボードが難燃
材料。厚み９m/m以上、重さ6.8Kg/m²以上の石
膏ボードが準不燃材料。厚み12m/m以上、重さ
Kg/m²以上の石膏ボードが不燃材料に認定されて
いる、従つて、石膏ボードによる不燃材料は３×
６尺物、一枚当り20Kg以上の重量となり、施工時
の取扱いが一般石膏ボードに比べ困難であつた。
更に、釘打ち施工の際、その衝撃によつて亀裂が
発生する欠点も有し、軽量石膏ボードによる不燃
材料が建築業界から望まれていた。 更に生産性についても、乾燥工程において石膏
ボードが高温度の熱風に長時間曝されることによ
つて、石膏ボード用原紙が脆化変色し、その上石
膏ボード端部の二水石膏の一部が半水石膏に転移
し、強度低下及び石膏ボード用原紙と石膏の剥離
が発生する危険があるため、乾燥温度が制限さ
れ、そのため生産性の低下が生じ、その対策とし
て大規模な乾燥機の設置を余儀なくされていた。 本発明は、前述の欠点を解消した不燃石膏ボー
ドの製造を可能ならしめた新規技術を開発したも
のである。 即ち、軽量ボードによる不燃石膏ボードの製造
には、使用する石膏ボード用原紙の不燃化が不可
欠であり、不燃化の方法として石膏ボード用原紙
を抄造する際、その一層間又は全層間に半水石
膏、若しくは二水石膏を吹付け不燃化ならしめる
技術を確立したものである。 即ち本発明は、石膏ボードを製造する方法にお
いて、石膏ボード用原紙の抄造の際に、少なくと
も２つの抄紙バツトの間で抄紙パルプの層間に半
水石膏または二水石膏のスラリーを吹付けて抄造
したパルプ石膏積層原紙を、少なくとも表面原紙
として用いることを特徴とする不燃石膏ボードの
製造法である。 詳しくは、石膏ボード用原紙の抄造は一般に丸
網式抄紙機によつて行なわれているが、本発明に
おいても丸網式抄紙機を用い、丸網を有するバツ
トとバツトの間に石膏吹付け用スプレーを配置
し、石膏ボード用原紙の層間に石膏スラリーを吹
付けるものである。スプレーは圧送式スプレーガ
ンを用い、ノズルの直径は１〜６m/m、吹付け
圧力２〜５Kg/cm²とし、石膏の吹付け量に応じ選
択する。吹付けに供する石膏は、半水石膏又は二
水石膏の何れにても可能であり、水100部に対
し、石膏を５〜30部混入し、懸濁液となし原紙層
間への定着を計る目的にて、デンプン、ポリビニ
ールアルコール、メチルセルローズ等の高分子化
合物の一種又は二種以上の混合物を石膏に対し１
〜６重量％を加え、吹付け用石膏スラリーとす
る。 吹付けは、吹付ける石膏量に応じスラリー濃
度、ノズル径、吹付け圧力を調整して行うが、原
紙の二層以上に石膏スラリーを吹付ける場合は、
各層の吹付け量を均一にすることが望ましい。 従つて、パルプ付量も各層均一とし、通常の抄
紙方法によつて抄造し、パルプ、石膏積層原紙と
する。この場合の吹付け石膏量は耐熱性能に応じ
20〜100ｇ/m²に調整する。なお、吹付け石膏の歩
留はノズル径、吹付け圧力によつて若干異なる
が、90％以上はパルプに定着する。又、吹付け層
間数は、一層間から全層間まで可能ではあるが、
原紙の性状、耐熱性能からみて全層間に分布させ
ることが最も好結果が得られる。 更に、吹付けに供する石膏は半水石膏又は二水
石膏の何れにても可能ではあるが、パルプ間への
定着性を考えれば、半水石膏から二水石膏に移行
する際に生成する微細な針状結晶がパルプと石膏
の結合をより強固とし、高分子化合物の添加量を
減ずることが可能となる有利性を半水石膏はもつ
ている。 以上の方法によつて抄造された不燃石膏ボード
用原紙は、層間に含有される石膏の結晶水によつ
て耐熱性能が付与され、軽量ボードによる不燃石
膏ボードの製造を可能ならしめ、且つ石膏ボード
製造時における乾燥工程にて、乾燥用熱風によつ
て二水石膏の一部が半水石膏へ転移することを防
止し、生産性を向上させることが可能となつた。 次に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明す
る。 実施例 １ 不燃石膏ボード用原紙の抄造は、丸網式抄紙機
を用い、丸網を内蔵するバツトとバツトの間に各
一装置合計五装置のスプレーを設置し、半水石膏
10部、デンプン0.5部、水100部から成る懸濁液を
ノズル径２m/m、吹付け圧力２Kg/cm²にて石膏を
吹付け、一層間に５ｇ/m²、全層間で25ｇ/m²の石
膏が吹付けられるよう抄造速度を調整し、プレス
パート、シリンダードライヤーを経て不燃石膏ボ
ード用原紙となし、通常の石膏ボード製造法によ
つて不燃石膏ボードを製造した。なお、不燃石膏
ボード用原紙は、石膏ボードの表面原紙として用
い、裏面については一般原紙を使用した。 実施例 ２ 実施例１と同様の装置を用い、半水石膏20部、
デンプン0.8部、水100部から成る懸濁液をノズル
径４m/m、吹付け圧力４Kg/cm²にて石膏を吹付
け、一層間12ｇ/m²、全層間60ｇ/m²を含有させる
べく抄造速度を調整し、不燃石膏ボード用原紙を
抄造し、通常の石膏ボード製造法によつて不燃石
膏ボードを製造した。 実施例 ３ 実施例１と同様の装置を用い、二水石膏30部、
ポリビニールアルコール1.8部、水100部から成る
懸濁液をノズル径５m/m、吹付け圧力５Kg/cm²に
て石膏を吹付け、一層間に20ｇ/m²、全層間にて
100ｇ/m²の石膏となるよう抄造速度を調整し、不
燃石膏ボード用原紙を抄造し、通常の石膏ボード
製造法によつて不燃石膏ボードを製造した。実施
例１，２，３による不燃石膏ボード用原紙を用い
て製造した不燃石膏ボードの性能は表―１に示す
如きものである。又、石膏ボード製造時における
乾燥工程での原紙の脆化、変色及び石膏ボード端
部の二水石膏の半水石膏への転移の防止について
も本発明の不燃石膏ボードは効果的であり、その
結果を表―２に示す。

【表】

【表】 【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の不燃石膏ボード用原紙の断面
図、第２図は、本発明によつて得られた不燃石膏
ボードの側縁部断面拡大図である。そして付号は
各々次をあらわす。 １…パルプ層、２…石膏及び高分子化合物、３
…不燃石膏ボード用原紙、４…石膏、５…石膏ボ
ード用原紙。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 石膏ボードを製造する方法において、石膏ボ
   ード用原紙の抄造の際に、少なくとも２つの抄紙
   バツトの間で抄紙パルプの層間に半水石膏または
   二水石膏のスラリーを吹付けて抄造したパルプ石
   膏積層原紙を、少なくとも表面原紙として用いる
   ことを特徴とする不燃石膏ボードの製造法。