JPS6117826Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、簡単な構造で小さな工作物をパイプ
などの外周部に一時仮固定させる固定装置に関す
るものである。

従来、パイプの円周部など曲面の部分にニツプ
ルなどの小物工作物を溶着させる場合、つぎの問
題があつた。すなわち、通常ニツプルは小さいた
め、直接手で押えて保持することができず、ニツ
プルをプライヤなどではさんで保持するか、また
は針金でニツプルをパイプに縛りつけるなどして
溶接作業を行なつている。しかし、いずれの方法
も確実に工作物をパイプに固定することが困難で
あつて、溶接作業中に工作物がぐらついたり、ま
たははずれたりして、作業が非常に煩らわしくな
つていた。

本考案は、溶接作業中の工作物の不安定をなく
し、確実に工作物をパイプに固定でき、しかもそ
の作業がワンタツチで実現できる工作物固定装置
を提供することを目的とするものである。

この目的に沿う本考案の工作物固定装置は、平
行リンクおよび溝穴付平行リンクを備えた平行四
辺形のリンク装置を細長い保持プレートの両端部
にそれぞれ形成し、これらのリンク装置の一方に
工作物押し棒を、他方のリンク装置に工作物受け
棒を互に対向させて取付け、さらに保持プレート
に一対のアームを枢支し、該アームの一端をそれ
ぞれ溝穴付平行リンクの溝穴に摺動自在に係合さ
せ、他端をグリツプとして形成したものから成
る。また、一対のアーム間には引張ばねが介装さ
れていて、両アームを互に近接する方向に付勢し
ている。

以下に、本考案の工作物固定装置の望ましい実
施例を図面を参照しながら説明する。

図において、平行リンク１および溝穴付平行リ
ンク２は、一定の間隔をおいて常に互に平行に保
持され、平行四辺形のリンク装置Ａを形成してい
る。同様に平行リンク３および溝穴付平行リンク
４も一定の間隔をおいて平行に保持され、平行四
辺形のリンク装置Ｂを形成している。これらの一
対のリンク装置Ａ，Ｂは細長い保持プレート５の
両端に、固定支点６，７および固定支点８，９に
おいて対向させて取付けられている。

リンク装置Ａの先端には、固定支点１０，１１
を介して、保持プレート５と平行に延びる工作物
押し棒１２が連結され、もう一つのリンク装置Ｂ
の先端には固定支点１３，１４を介して、保持プ
レート５と平行に延びる工作物受け棒１５が互い
に対向させて取付けられている。

細長い保持プレート５の中央部には、固定支点
１６，１７を介して一対のくの字形の可動アーム
１８，１９が互いにくの字を逆向きにして取付け
られている。その可動アーム１８，１９の先端
は、溝穴付平行リンク２，４に設けられた長く延
びる溝穴２０，２１に、支点２２，２３にて摺動
自在に係合している。可動アーム１８，１９の他
の一端はそれぞれグリツプ２４，２５として形成
されている。

可動アーム１８，１９間には、引張ばね２６が
張設されており、可動アーム１８，１９の支点２
２，２３側が互に近接する方向に回動するよう可
動アーム１８，１９を支点１６，１７まわりに付
勢している。

また、工作物押し棒１２の先端部はテーパ状に
形成されており、先端にいくに従い先細りになつ
ている。この先端の先細り部はニツプルなどの小
物工作物２７の孔内に挿入されるようになつてい
る。一方、工作物受け棒１５の先端には、たとえ
ば平板をＶ字状に組み合せたものからなる受け皿
２８が取付けられており、この上にパイプ２９等
が載置されるようになつている。ただし受け皿２
８はＶ状に限らず、平板状であつてもよい。

本考案の装置は以上の如く構成されているか
ら、これを使用せんとする場合は、グリツプ２
４，２５を片手で握り、力を入れてグリツプ２４
を下方へ押し下げるとともにグリツプ２５を上方
へ押し上げてゆくと、てこの原理で可動支点２２
および２３は固定支点１６，１７を中心として弧
を描くように移動する。この可動支点２２および
２３は、溝穴付平行リンク２，４の溝穴２０，２
１内を移動しつつ、溝穴付平行リンク２，４を上
下に押し拡げていく。これに伴なつて、溝穴付平
行リンク２，４の先端に取付けられた工作物押し
棒１２および工作物受け棒１５は、平行四辺形の
リンク装置の機能により、常に保持プレート５と
平行を保ちつつ、上下に移動する。

そして、工作物受け棒１５の先端のテーパ状受
け皿２８にパイプ２９などを載せ、この上方の工
作物押し棒１２のテーパ部にニツプル２７などの
小物工作物を差し込み、グリツプ２４，２５を握
つている手をゆるめると、ばね２６の張力により
工作物押し棒１２が上方より平行に降下してき
て、パイプ２９の外周にニツプル２７を垂直に強
く押えつける。

本考案の工作物固定装置は上記の構成、作用を
有するので、本考案によるときはつぎの効果が得
られる。

まず、受け皿にパイプなどを安定して載せ、工
作物押し棒で工作物を安定に保持して押しつける
ことができるので、安定した確実な仮固定をする
ことができる。

また、工作物押し棒と工作物受け棒はばねによ
り常に工作物、パイプ等を握持する方向に付勢さ
れており、グリツプを握る操作だけでその開閉を
行なうことができるので、片手操作によりかつワ
ンタツチで、ニツプルなどをパイプ外周に仮固定
することができる。

また、工作物押し棒先端をテーパ状にすること
により、常にパイプ外周に垂直にニツプルを固定
できる。

さらに、受け皿をＶ字状に形成すれば、パイプ
の径の如可を問わず安定してパイプをセツトする
ことができる。なお受け皿はＶ字状に限るもので
はないことは前述の通りであるが、平板などを使
用すれば平面部分にも工作物を容易に固定でき
る。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の工作物固定装置の一実施例の斜視
図である。図中の主な符号の意味はつぎの通りで
ある。 Ａ，Ｂ……平行四辺形のリンク装置、１，３…
…平行リンク、２，４……溝穴付平行リンク、５
……保持プレート、６，７，８，９，１０，１
１，１３，１４，１６，１７……固定支点、１２
……工作物押し棒、１５……工作物受け棒、１
８，１９……可動アーム、２０，２１……溝穴、
２２，２３……可動支点、２４，２５……グリツ
プ、２６……ばね、２７……工作物、２８……受
け皿、２９……パイプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 平行リンク及び溝穴付平行リンクを備えた平
   行四辺形のリンク装置を細長い保持プレートの
   両端部にそれぞれ形成し、これらのリンク装置
   の一方に工作物押し棒を、他方のリンク装置に
   工作物受け棒を互に対向させて取付け、前記保
   持プレートに一対のアームを枢支し、該アーム
   の一端をそれぞれ溝穴付平行リンクの溝穴に摺
   動自在に係合させ、他端をグリツプとして形成
   したことを特徴とする工作物固定装置。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項に記載の工作
   物固定装置において、前記一対のアームは互に
   近接する方向にばねで付勢されているもの。 (3) 実用新案登録請求の範囲第１項に記載の工作
   物固定装置において、前記工作物押し棒の先端
   がテーパ状に先細りになつているもの。 (4) 実用新案登録請求の範囲第１項に記載の工作
   物固定装置において、前記工作物受け棒の先端
   に受け皿が取付けられている。