JPS6113753Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、圧縮機において吸入ガスのシリンダ
への吸入およびシリンダからの吐出ガスの吐出を
開閉制御する弁装置に関し、特にリングプレート
式吸入弁を備えた弁装置に関するものである。

従来より、この種の圧縮機の弁装置として、架
構内に形成されピストンが往復動可能に嵌装され
たシリンダの頂面を、外周側に吸入孔、内周側に
吐出孔を有する弁座で密閉する一方、該弁座の吸
入孔に相対してシリンダ頂部内周縁部に段差状に
切欠いた吸入弁装着段部を形成し、該装着段部に
上記吸入孔を開閉するリングプレート形吸入弁を
装着するとともに、上記弁座の上面に上記吐出孔
を開閉する吐出弁を装着して、上記吸入孔からシ
リンダへの吸入ガスの吸入を吸入弁で開閉制御す
るとともに、シリンダからの吐出ガスの吐出を吐
出弁で開閉制御するようにしたものはよく知られ
ている。

しかしながら、上記従来の弁装置においては、
シリンダ頂部内周縁部に同心円状の吸入弁装着段
部が設けられているため、この装着段部によつて
大きなクリアランスボリユームが生じ、その分、
圧縮効率が低下するという欠点があり、また、上
記真円状の装着段部に真円状のリングプレート形
吸入弁が装着されているため、吸入弁の作動時、
圧力変動等により吸入弁自体が回転しやすく、吸
入弁と弁座とが摩擦接触して、吸入弁および弁座
が摩耗により損傷するという欠点があつた。

本考案はかかる従来の欠点を一挙に解消すべく
なされたものであり、上記のようにリングプレー
ト式吸入弁を備えた圧縮機の弁装置において、上
記吸入弁を長円形状に形成し、該吸入弁の長円形
状に対応して、弁座の吸入孔を仮想長円周上に配
設するとともに、シリンダ頂部内周縁部に設ける
吸入弁装着段部を長円形状であつて該長円形の短
軸側の段部幅を上記吸入弁のリング幅よりも小さ
く形成し、さらにシリンダに嵌着されるピストン
の頂部外周縁部に、上記吸入弁が上記装着段部よ
りシリンダ内に突出する部分に対応して切欠き段
部を形成することにより、シリンダ内でのピスト
ンによるガス圧縮動作に支障を与えることなく、
吸入弁を圧力変動等に対しても回転不能にして、
吸入弁の摩耗防止による耐久性の向上を図るとと
もに、吸入弁装着段部のクリアランスボリユーム
を可及的に小さくして、圧縮効率の向上を図り得
るようにした圧縮機の弁装置を提供せんとするも
のである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。

第１図において、１は圧縮機の架構であつて、
該架構１内にはガス圧縮が行われるシリンダ２が
２連縦列に形成され、該各シリンダ２内にはピス
トン３が往復動可能に嵌装されている。４は上記
シリンダ２の頂面を密閉する弁座であつて、該弁
座４には外周側に吸入孔５が、内周側に吐出孔６
がそれぞれ同心状に配設されている。また、７は
上記弁座４の吸入孔５と対向して、シリンダ２の
頂部内周縁部に該内周縁部を段差状に切欠いて形
成された吸入弁装着段部であつて、該装着段部７
を介して上記吸入孔５をシリンダ２に連通せしめ
ており、該装着段部７には吸入孔５を開閉するリ
ングプレート形の吸入弁８がスプリング９により
弁座４側に付勢されて装着されている。一方、１
０は弁座４の上面に設けられた該弁座４の吐出孔
６を開閉する吐出弁であつて、該吐出弁１０はシ
リンダヘツドカバー１１にスプリング１２を介し
て弾性支持された吐出弁押え１３に保持され、ス
プリング１４によつて弁座４側に付勢されてい
る。尚、１５および１６はシリンダヘツドカバー
１１内に形成された吸入室および吐出室であつ
て、それぞれ弁座４の吸入孔５および吐出孔６に
連通している。以上により、圧縮機の弁装置が構
成されている。

このような弁装置において、上記吸入弁８は、
第２図に示すように、所定のリング幅Ｗを有する
長円形状のリングプレートに形成されている。こ
の吸入弁８の長円形状に対応して、上記装着段部
７は第３図に示すように、シリンダ２と同心状の
長円形状に切欠き形成され、しかも該装着段部７
の短軸側部分７ａの段部幅は上記吸入弁８のリン
グ幅Ｗよりも小さく形成され、すなわち吸入弁８
の短軸側部分８ａが装着段部７の短軸側部分７ａ
よりシリンダ２内に突出するように設けられてい
る。

さらに、上記吸入弁８の装着段部７よりシリン
ダ２内に突出する部分、すなわち短軸側部分８ａ
に対応して、上記ピストン３の頂部３ａ外周縁部
には第３図および第５図ａ，ｂに示すように段差
状に切欠いた切欠き段部１７が形成され、ピスト
ン３上死点時、上記切欠き段部１７によりピスト
ン３頂部３ａが吸入弁８の短軸側部分８ａに当接
しないように設けられている。

また、上記吸入弁８の長円形状に対応して、該
吸入弁８によつて開閉される上記弁座４の吸入孔
５は、第４図に示すように仮想長円周上に配置さ
れており、さらに該吸入孔５の仮想長円周上の配
置に伴つて、上記弁座４の吐出孔６に仮想長円周
上に配置されている。尚、１８はスプリング用穴
である。

したがつて、上記実施例においては、リングプ
レート形吸入弁８を長円形状に設けるとともに、
該吸入弁８の長円形状に対応して、吸入弁装着段
部７を長円形状であつてその短軸側部分７ａの段
部幅を吸入弁８のリング幅Ｗより小さく形成した
ことにより、上記装着段部７によるクリアランス
ボリユームが小さくなり、その分だけ圧縮効率を
向上させることができるとともに、長円形状の吸
入弁８と長円形状の装着段部７との組合せによ
り、従来の如く吸入弁８が圧力変動等によつて回
転することはなく、吸入弁８は上下方向にのみ開
閉動するだけであり、吸入弁８の弁座４等との摩
擦接触による損耗を防止してその耐久性を向上さ
せることができる。

また、上記装着段部７をそのクリアランスボリ
ユームを減少すべく長円形状に形成したことに伴
つて、吸入弁８の短軸側部分８ａが装着段部７の
短軸側部分７ａよりシリンダ２内に突出するが、
該吸入弁８の突出部分に対応して、ピストン３の
頂部３ａ外周縁部に切欠き段部１７を設けたこと
により、ピストン３の上死点時にピストン３の頂
部３ａが吸入弁８の突出部分に当接することはな
く、よつてガス圧縮を支障なく行うことができ
る。

さらに、上記吸入弁８の長円形状に対応して弁
座４の吸入孔５を仮想長円周上に配置したことに
より、吸入弁８は吸入孔５の開閉制御を支障なく
行うことができる。

尚、第３図に示す如く２個のシリンダ２、２を
設けたものにおいては、縦方向に対し短軸側部７
ａを該短軸が同方向になるように形成しているの
で、縦方向の長さを短かくすることができ、した
がつて小型化を図ることができる。

また、上記実施例では２連式気筒を有する圧縮
機の弁装置について述べたが、本考案はその他各
種の圧縮機の弁装置、すなわちリングプレート式
吸入弁を備えた弁装置に適用できるのは言うまで
もない。

以上説明したように、本考案によれば、ピスト
ンが往復動可能に嵌装されたシリンダの頂面を、
外周側に吸入孔、内周側に吐出孔を有する弁座で
密閉する一方、該弁座の吸入孔に相対して上記シ
リンダ頂部内周縁部に段差状に切欠いた吸入弁装
着段部を形成し、該装着段部に上記吸入孔を開閉
するリングプレート形吸入弁を装着するととも
に、上記弁座の上面に上記吐出孔を開閉する吐出
弁を装着してなる圧縮機の弁装置において、上記
吸入弁を長円形状に形成し、該吸入弁の長円形状
に対応して、上記弁座の吸入孔を仮想長円周上に
配設するとともに、上記吸入弁装着段部を長円形
状であつて短軸側部分の段部幅が上記吸入弁のリ
ング幅よりも小さくなるように形成し、さらに上
記ピストンの頂部外周縁部に、上記吸入弁の装着
段部よりシリンダ内に突出する部分に対応して段
差状に切欠いた切欠き段部を設けたことにより、
シリンダ内でのピストンによるガス圧縮動作に支
障を与えずに、吸入弁装着段部のクリアランスボ
リユームを可及的に減少させることができるの
で、圧縮効率の向上を図ることができるととも
に、吸入弁の回転を防止することができるので、
吸入弁の損耗を防止しその耐久性の向上を図るこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を例示するもので、第
１図は概略縦断面図、第２図は吸入弁の平面図、
第３図は架構のシリンダ部分の平面図、第４図は
弁座の平面図、第５図ａおよびｂはそれぞれピス
トンの上面図およびそのＡ−Ａ線断面図である。 １……架構、２……シリンダ、３……ピスト
ン、３ａ……頂部、４……弁座、５……吸入孔、
６……吐出孔、７……吸入弁装着段部、７ａ……
短軸側部分、８……吸入弁、１０……吐出弁、１
７……切欠き段部、Ｗ……吸入弁のリング幅。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストン３が往復動可能に嵌装されたシリンダ
   ２の頂面を、外周側に吸入孔５、内周側に吐出孔
   ６を有する弁座４で密閉する一方、該弁座４の吸
   入孔５に相対して上記シリンダ２頂部内周縁部に
   段差状に切欠いた吸入弁装着段部７を形成し、該
   装着段部７に上記吸入孔５を開閉するリングプレ
   ート形吸入弁８を装着するとともに、上記弁座４
   の上面に上記吐出孔６を開閉する吐出弁１０を装
   着してなる圧縮機の弁装置において、上記吸入弁
   ８を長円形状に形成し、該吸入弁８の長円形状に
   対応して、上記弁座４の吸入孔５を仮想長円周上
   に配設するとともに、上記吸入弁装着段部７を長
   円形状であつて短軸側部分７ａの段部幅が上記吸
   入弁８のリング幅Ｗよりも小さくなるように形成
   し、さらに上記ピストン３の頂部３ａ外周縁部
   に、上記吸入弁８の装着段部７よりシリンダ２内
   に突出する部分に対応して段差状に切欠いた切欠
   き段部１７を設けたことを特徴とする圧縮機の弁
   装置。