JPS6113246Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は木工機械用刃物等の刃物研磨機におけ
る安全カバー装置に関するもので、被研磨刃物の
とりつけ、またはとり外しの際における当該被研
磨刃物の落下等に備えて刃物取付部の下方にカバ
ー板を自動的に出没自在とさせた装置に係るもの
である。

超仕上かんな盤等の木工機械に使用される刃物
は精度のよい刃付が必要とされる。

このような刃物の刃物研磨機として従来から刃
物台にとりつけた被研磨刃物に向けて砥石車を進
退自在に配設し、この砥石車と被研磨刃物とが接
触した状態において刃物台を往復動させて所定の
研磨作業を遂行させるようにしたものがある。

ところで上記のような刃物研磨機は、刃物台に
刃物押えおよび締付ねじ等からなる刃物取付部材
が装備され、研磨作業の前後においてこの刃物取
付部材を操作して被研磨刃物のとりつけ、または
とり外しの作業を行なうようにしている。

しかるに従来の刃物研磨機は上記のとりつけ、
またはとり外しの際被研磨刃物を手で支えたりし
て行なつていたものであるから、滑り落してしま
う場合があり、操作者にとつて甚だ危険であると
ともに、ときには研磨作業の終了した被研磨刃物
に刃こぼれを生じさせてしまうという難点もあつ
た。

ここにおいて本考案は上記の点を解決し得るよ
うにした刃物研磨機における安全カバー装置を提
供しようとしたものである。

以下本考案を図の実施例に基いて具体的に説明
する。

第１図は本考案を適用した刃物研磨機の主要部
を平面図を以つて示したものであつて、図におい
て符号１は往復台にして、この往復台１は、その
背面部にとりつけた受動駒２を介して適宜の往復
運動機構（図示せず）に連係させ、ガイドレール
３上を図において左右方向に往復動自在に配設す
る。

往復台１は後述の第２〜３図にも示すようにそ
の前面（第１図における下方側）をほぼ平板状に
形成させるものであつて、この平板状前面部の左
右に１対の軸受筒４ａ，４ｂをとりつけ、この両
軸受筒４ａ，４ｂに支持させた支軸５を介して刃
物台６を枢軸支する。

刃物台６は、その刃物取付面６ａに後述の刃物
取付機構により被研磨刃物Ｂをとりつけた場合に
おいてその被研磨面たる刃表部B₁をほぼ垂直と
させるように、刃物取付面６ａを常時傾斜させる
ようにとりつける。

また、この刃物台６には刃物取付面６ａの傾斜
角度（刃先角度）調整機構を装備させるものであ
つて、この角度調整機構として図における左側の
軸受筒４ａに傾斜軸受７をとりつけ、この傾斜軸
受７に支持させたハンドル軸８にウオームを刻設
する。

そしてこのウオームに対応させて刃物台６にお
ける支軸の側部にウオームホイール（図示せず）
を固定させ、ハンドル軸８を回動操作させた場合
において、ウオームおよびウオームホイールを介
して刃物台６を回動させて、刃物取付面６ａの傾
斜角度を調整し、被研磨刃物Ｂの刃先角度を調整
し得るようになす。

さらに刃物台６には次のような刃物取付機構を
装備させる。即ちまず刃物台６の左右両端近傍に
は、第２〜３図にも示すように適宜の支持部材１
０を介してほぼＬ字状とした11対の回動アーム１
１ａ，１１ｂを刃物取付面６ａに向けて回動自在
に枢支１２する。そしてこの１対の回動アーム１
１ａ，１１ｂにおけるそれぞれの自由端の間に、
断面がほぼエ字形状をした横杆１４を架設し、こ
の横杆１４に一例として４個の刃物押え１５ａ〜
１５ｄと、１個の締付ボルト１６とを装備させ
る。横杆１４への各刃物押え１５ａ〜１５ｄのと
りつけ態様は第３図等にも示すように、横杆１４
における底辺凸部に、各刃物押え１５ａ〜１５ｄ
に固着させた１対の嵌着片１７ａ，１７ｂを把持
させるようにして緩着させる。

一方、刃物台６の前方には、この刃物台６の往
復動方向に対して直交する方向に進退自在とさせ
た砥石車等の回転研磨体Ｇを配設する。符号Ｍは
砥石回転モータであつて、回転研磨体Ｇを進退自
在とさせるに当つては、この砥石回転モータＭを
送り台等（図示せず）の上にとりつけ、この送り
台を別途の送り用モータ（図示せず）により駆動
する。

なお第１図の例においては回転研磨体Ｇを１個
だけ装備させるように図示してあるが、回転研磨
体としては通常の場合荒砥石および仕上砥石等の
複数個を装備させ、これらの砥石を各別に被研磨
刃物Ｂに向けて前進させるようにする。

そして本考案においては上記の各構成に加え
て、さらに刃物台６の下方部に次のような安全カ
バー装置を装備させる。

即ち、この安全カバー装置を第２〜３図につい
て説明すると、刃物台６の下方部にカバー板取付
部６ｂを突設し、このカバー板取付部６ｂに被研
磨刃物Ｂの落下を防止するカバー板１８を摺動自
在に装着して、その端部を刃物取付面６ａの下方
に出没自在とさせる。

このカバー板１８の横幅（第１図における横方
向の長さ）は、被研磨刃物Ｂの横幅と同幅程度に
することが望ましい。しかし被研磨刃物Ｂを刃物
取付面６ａに装着させる際、刃物台６の両下端部
に、当該被研磨刃物Ｂの刃先B₂位置を所定の高
さ位置に規定するための刃先セツテイング治具１
９をとりつける必要から、図の例ではその横幅を
第１図に示すように、４個の刃物押えのうち左右
両側端に位置する両刃物押え１５ａ，１５ｄの配
設間隔よりもやや狭幅に形成する。カバー板１８
の横幅は上記したような第１図に図示例の幅程度
であつてもその目的を十分に達し得る。

そしてカバー板１８の出没端には、刃物取付面
６ａに向けて折曲させた折曲部により係止爪１８
ａを形成させる。

係止爪１８ａは、カバー板１８が突出状態にあ
るときに、被研磨刃物Ｂが刃物取付面６ａを滑動
降下した場合において、当該被研磨刃物Ｂにおけ
る刃表部（刃先逃げ面）B₁に当接させるように
する。

他方、カバー板１８の背面部にはプランジヤー
PLおよびスプリングＳを配設し、この両者を上
記のカバー板１８に関連させるものであつて、ま
ずカバー板１８の背面部における刃物台６部にプ
ランジヤーPLを固定し、その作動杆２０をカバ
ー板１８の背面側折曲部１８ｂに連ねる。また作
動杆２０の後端にはスプリング取付部材２１をと
りつけ、このスプリング取付部材２１と刃物台６
背面部との間にスプリングＳを張設する。而して
このスプリングＳによりカバー板１８に常時突出
傾向を付与させ、プランジヤーPLが非附勢状態
にあるときは、カバー板１８の背面側折曲部１８
ｂがカバー板取付部６ｂの端面６ｃに当接してそ
の突出量が規制される位置まで係止爪１８ａ側を
突出状態とさせる。

他方、プランジヤーPLは、砥石回転モータＭ
および送り用モータ等の操作スイツチ（図示せ
ず）に関連させ、この操作スイツチの始動操作に
応動して附勢させるようにするものであつて、こ
のプランジヤーPLが附勢されたとき、云い換え
れば当該刃物研磨機が作物状態に設定されたとき
は、カバー板１８はスプリングＳの弾力に抗して
退避状態に設定されるようになす。

符号２２はこの退避状態にあるときの作動杆２
０のストツパ片である。

本考案の実施例たる刃物研磨機における安全カ
バー装置は上述のように構成されるものであつて
以下のように作用して、被研磨刃物のとりつけ、
またはとり外しの際における安全が図られる。

まず刃物台６に被研磨刃物Ｂをとりつけると
き、このとき刃物研磨機は作動前の状態にあつ
て、プランジヤーPLは非附勢の状態にあり、カ
バー板１８は第３図に示すように規制された所定
量だけ刃物取付面６ａから突出した状態となつて
いる。

この状態で刃物台６左右の両下端部に刃先セツ
テイング治具１９を装着させ、これに刃先B₂を
含致させて被研磨刃物Ｂを刃物取付面６ａに保持
させる。

次いで回動アーム１１ａ，１１ｂを回動操作
し、刃物押え１５ａ〜１５ｄを被研磨刃物Ｂに当
接させた上で締付ボルト１６を締めつけて被研磨
刃物Ｂを刃物取付面６ａに固定させる。そして上
記の刃物とりつけ操作において刃先セツテイング
治具１９の装着ミスやその他何らかの原因によつ
て被研磨刃物Ｂが刃物取付面６ａを滑動落下する
ようなことが生じても、この被研磨刃物Ｂはカバ
ー板１８によつて受け止められるので操作者に危
険が及ぶことがなく、また当該被研磨刃物Ｂ等の
破損も避けられる。

次に刃物研磨機が作動して研磨作業状態にある
とき、このとき操作スイツチのON操作に応動し
てプランジヤーPLが附勢され、研磨作業中は引
続きこの附勢状態が続行するので、カバー板１８
は第２図に示すように所定位置まで退避して係止
爪１８ａが研磨作業上邪魔になるようなことはな
い。

次いで研磨作業が終了して、刃物台６から被研
磨刃物Ｂをとり外すとき、このときはプランジヤ
ーPLの附勢が解かれるので、カバー板１８は第
３図に示すような当初の状態と同様に突出状態と
なる。

したがつて締付ボルト１６をゆるめて刃物押え
１５ａ〜１５ｄの押え解除させると被研磨刃物Ｂ
は刃物取付面６ａを滑動落下して刃表部（逃げ
面）B₁係止爪１８ａに当接して受け止められ
る。このためこのとり外しの際は被研磨刃物Ｂを
特に手で支えることをしなくても容易にとり外し
状態となり、これと同時に刃先B₂の保護を図り
乍ら的確なとり外し状態が得られる。

なお第１〜３図の実施例は刃物台への被研磨刃
物の取付態様を、刃先が下方に位置するような態
様として、研磨体Ｇが水平方向に移動するいわゆ
る横形の刃物研磨機の場合について述べたが、本
考案はかかる形式の刃物研磨機の場合のみに限ら
ず、刃先を上方に位置させて刃表部B₁をほぼ水
平とさせ、研磨体Ｇをこの刃表部B₁に向けて降
下せるようないわゆる縦形の刃物研磨機にも適用
し得得るものである。

以上詳述したように本考案によれば刃物台にお
ける刃物取付部の下方に被研磨刃物の落下を防止
するカバー板を出没自在に設け、このカバー板を
刃物研磨機が非作動状態にあるときは常に被研磨
刃物の落下防止用の突出状態とさせるようにした
から、被研磨刃物のとりつけ、またはとり外しの
際誤つて刃物を滑動降下させるようなことがあつ
ても、被研磨刃物はこのカバー板によつて受け止
められるので、操作者に危険を及ぼすことがなく
安全が図れると同時に被研磨刃物自身の刃こぼれ
等その他の破損も防止されるという極めて優れた
効果を発揮する。

また刃物台への被研磨刃物の取付態様を、その
被研磨刃物の刃先が下方に位置するような態様と
させるとともに、カバー板の端部に係止爪を設
け、被研磨刃物が滑動降下したときこの係止爪に
被研磨刃物の刃表部を当接させて受け止めるよう
にしたときは、この受け止めの際刃先を損傷させ
ることが避けられるのでとり外しのとき被研磨刃
物を特に手で支える必要がなくとり外し容易性が
得られるという優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用した刃物研磨機の一例を
主要部のみを以つて示す平面図、第２図および第
３図は本考案の実施例たる刃物研磨機における安
全カバー装置を第１図におけるＹ−Ｙ線の拡大断
面図を以つて示すもので、第２図はカバー板が退
避状態にある図、第３図はカバー板が突出状態に
ある図である。 １：往復台、４ａ，４ｂ：軸受筒、６：刃物
台、６ａ：刃物取付面、６ｂ：カバー板取付部、
６ｃ：カバー板取付部の端面、１０：支持部材、
１１ａ，１１ｂ：回動アーム、１４：横杆、１５
ａ〜１５ｄ：刃物押え、１６：締付ボルト、１７
ａ，１７ｂ：嵌着片、１８：カバー板、１８ａ：
係止爪、１８ａ：カバー板の背面側折曲部、１
９：刃先セツテイング治具、２０：作動杆、２
１：スプリング取付部材、Ｂ：被研磨刃物、
B₁：刃表部、B₂：刃先、Ｇ：回転研磨体、Ｍ：
砥石回転モータ、PL：プランジヤー、Ｓ：スプ
リング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 刃物台にとりつけた被研磨刃物と研磨体とを
   接離自在に構成させ、当該被研磨刃物と研磨体
   とが接触状態において所要の研磨を遂行させる
   ようにした刃物研磨機において、前記刃物台に
   おける刃物取付部の下方に被研磨刃物の落下を
   防止するカバー板を出没自在に設け、該カバー
   板を当該刃物研磨機が非作動状態にあるときは
   被研磨刃物の落下防止用の突出状態とさせ、作
   動状態にあるときは始動操作に連動させて退避
   させるようにしたことを特徴とする刃物研磨機
   における安全カバー装置。 ２ カバー板の出没端に刃物取付部に向けて係止
   爪を突設させた実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の刃物研磨機における安全カバー装置。 ３ 刃物台への被研磨刃物の取付態様を、当該被
   研磨刃物における刃先が下方に位置するように
   させるとともに、カバー板が突出状態にあると
   きに被研磨刃物が刃物取付部を滑動した場合に
   おいて、前記係止爪が被研磨刃物における刃表
   部に当接するようにした実用新案登録請求の範
   囲第２項記載の刃物研磨機における安全カバー
   装置。 ４ カバー板を刃物研磨機が非作動状態にあると
   きは突出状態とさせ、作動状態にあるときは始
   動操作に連動させて退避させるようになすに当
   り、前記のカバー板をスプリングおよびプラン
   ジヤに関連させ、該スプリングにより前記カバ
   ー板に常時突出傾向付与させるとともに、刃物
   研磨機における操作スイツチの始動操作に応動
   させて前記プランジヤを附勢し前記スプリング
   の弾力に抗してカバー板を退避させるようにし
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載の刃物研
   磨機における安全カバー装置。