JPS6111753Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 木管楽器は管体に多数の穴を設け、この穴によ
り音階を作り出している。通常この穴は指で開閉
するため、これより穴の数が制限されこのため開
放穴による音階は少なく、多くの音階を出すため
には奏者にかなりの熟練を要した。

そこで、このような木管楽器でありながら多く
の音階を正確且つ容易に出せるようにするものと
して、管体により多くの穴を設け、管体外側に一
度に複数の穴の開閉ができるようにした鍵装置を
設けることが考えられ作り出されている。これは
洋楽器に多く見られ、例えばフルート、クラリネ
ツト等がそれである。

しかしながら、従来の鍵装置を設けた木管楽器
例えばフルート、クラリネツト等にあつては、そ
の鍵装置が管体の外側に複雑に突出して設けられ
ており、このため取扱いを慎重に行わなければな
らず、取扱いが面倒であり、破損し易い等の欠点
を有していた。

又、鍵装置が管体の外側に設けられるため木管
楽器本来の外形を変えてしまうことから鍵装置を
設けることの利点は十分に認めながらも特に邦楽
の尺八、笛等、また洋楽のリコーダ等伝統的外形
を重視するものには、その外形を変えることに強
い精神的抵抗があり、これらに鍵装置を設けるこ
とは、リコーダにあつてはその使用がわずかに認
められるも、尺八、笛等にあつては全く行われて
いない。これが尺八、笛等の演奏を難しくし、そ
して音階の多い現代音楽に合わせ難い原因にもな
つていた。

本考案は上記点に鑑み、木管楽器における鍵装
置の利点を有効に取り入れる必要性を十分認識し
鍵装置を設けるも、その鍵装置を従来の鍵装置を
設けた木管楽器のように管外へ設けるものではな
く、管体に組み込み、管外への突出を極力少なく
することにより、木管楽器の取扱いを容易にする
とともに、木管楽器本来の形状を外形をほとんど
変らないようにして鍵装置の存在を意識させない
ようにすることにより、特に伝統的外形を重視す
る尺八、笛等にも抵抗なく受け入れられるように
した、鍵装置を提供するものである。

以下本考案の一実施例を図面に基づき詳細に説
明する。

図にあつては木管楽器のうち尺八に実施した例
を示すものであり、１は尺八を構成する管体、２
ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ，２ｅ，２ｆ，２ｇ，２
ｈ，２ｉは管体１に音階を作に出すために設けた
穴であり、この穴２ａ……を指で開閉することに
より音階を作り出す。３は鍵装置取付部で、この
鍵装置取付部３は管体１上穴２ａ……を設けた部
分の壁肉の一部を切り取り凹部を形成してなるも
のである。４は鍵装置、５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄ
は鍵装置４を構成する鍵で、この鍵５ａ……は前
記管体１の穴２ａ……の部分の壁肉の一部を切り
取つた壁肉とほぼ同一の形状に形成したものであ
り、この各鍵５ａ……の一側に筒体６ａ，６ｂ，
６ｃ，６ｄをそれぞれ設け、この筒体６ａ……に
軸芯７を通し、各鍵５ａ……を接続している。

８は筒体６ｃと筒体６ｄの間に介在させた筒体
で、この筒体８は鍵とはフリーの状態にある。筒
体６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ及び筒体８と軸芯７と
の関係にあつては、筒体６ａ及び筒体８と軸芯７
とは固定され、他の筒体６ｂ，６ｃ，６ｄと軸芯
７とは遊嵌関係にある。

このような構成からなる鍵装置４を前記管体１
の鍵装置取付部３の管体１長手方向側辺に軸着す
るものであるが、この軸着にあつては鍵装置取付
部３上管体１長手方向側辺の前後端部に前記鍵装
置４の軸芯７の両端を回転自在に軸着してなるも
のである。９は鍵装置取付部３の一側端部に設け
た軸芯端部受体、１０は鍵装置取付部３の一側の
他端部にて軸芯７の他端を回転自在に固定するビ
スである。

このようにして軸着した鍵装置４の各鍵５ａ，
５ｂ，５ｄは発条１１により開方向に付勢されて
いる。ただ鍵５ｃにあつては発条（図示せず）に
より閉方向に付勢されているが、この発条は隣設
せる鍵５ｂを開方向に付勢している発条１１より
その弾性が弱く、そして、鍵５ｃに設けた係合片
１２を鍵５ｂの上面に係合させておくことによ
り、発条１１により鍵５ｂの開に伴い鍵５ｃも閉
方向への発条に抗して通常開状態にあるように構
成されている。又鍵５ｂに係合片１３を設け、筒
体８にも前記係合片１３の閉方向に位置して係合
する係合片１４を設け、鍵５ｄを閉じたとき係合
片１３が係合片１４を押し下げ鍵５ａを連動即ち
閉じるようにさせ、一方鍵５ａを閉じたときは鍵
５ｄは関係なく開状態にあるように構成されてい
る。１５ａは鍵５ａに設けた穴で、この穴１５ａ
は管体１に設けた穴２ｂと連通するものであり、
１５ｂは鍵５ｂに設けた穴で、この穴１５ｂは穴
２ｄと連通するものであり、１５ｃ，１５ｄ，１
５ｅは鍵５ｄに設けた穴で、穴１５ｃは穴２ｇ
と、穴１５ｄは穴２ｈと、穴１５ｅは穴２ｉと連
通する。又、管体１に設けた穴２ａは鍵５ａによ
り塞がれ、穴２ｅは鍵５ｃにより塞がれ、穴２ｆ
は鍵５ｄにより塞がれるようになつている。

なお、１６は音階を作り出すために管体１に設
けた他の穴、１７はこの穴を開閉する鍵で、この
鍵１７は常時閉方向に付勢されており、突片１８
を押えることにより開くように構成されている。

なお、鍵装置４の各鍵５ａ……は管体１と同材
質にて形成することが好ましいが、他の材質にて
形成しても良く、この場合には管体１と同一塗装
することが好ましい。また鍵は複数設けられてい
るが単数であつても良い。又鍵装置４及び鍵装置
４を管体１へ軸着する構成は上記実施例に限られ
るものではない。

以上は本考案を尺八に実施した一実施例を示す
ものであるが、他の木管楽器への実施も同様であ
る。

以上のように本考案によれば、木管楽器に鍵装
置を設けるも、その設け方にあつては木管楽器の
管体上音階を作り出す穴を設けた部分の壁肉の一
部を切り取り凹部を形成して鍵装置取付部とし、
この凹部からなる鍵装置取付部に前記穴の部分の
壁肉の一部を切り取つた壁肉とほぼ同一の形状に
形成した鍵を有する鍵装置を軸着して設けるよう
にしたから、この鍵装置は管体の凹部からなる鍵
装置取付部に組み込まれた形となり、従つて管体
上鍵装置の管体外への突出部分がほとんどない
か、或はあつても極く僅かとなることから取扱い
が非常に容易となり、更に前記のように鍵装置の
鍵を前記管体の穴の部分の壁肉とほぼ同一の形状
に形成したから、管体の鍵装置を設けるも管体即
ち木管楽器本来の外形がほとんど変らず鍵装置の
存在を意識させないものとなり、従つて特に伝統
的外形を重視する尺八、笛等にも抵抗なく受け入
れられるようになることから、尺八、笛等に多く
の音階を出すことが容易になり、これらの演奏範
囲が広がる等鍵装置付木管楽器として優れた効果
がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので第１図は
本考案の分解斜視図、第２図は管体の鍵装置を軸
着した状態を示す斜視図、第３図は軸着部を示す
一部切欠き拡大断面図、第４図は鍵装置を設けた
管体の断面図、第５図は他の鍵装置を示す一部切
欠平面図、第６図は鍵装置及び管体に設けた穴を
示す平面図、第７図は鍵装置及び管体に設けた穴
の部分を示す断面図、第８図は本考案の平面図、
第９図は鍵装置と管体とに設けた穴の関係を示す
説明図である。 １……管体、２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ，２ｅ，
２ｆ，２ｇ，２ｈ，２ｉ……穴、３……鍵装置取
付部、４……鍵装置、５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄ…
…鍵、６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ……筒体、７……
軸芯、８……筒体、９……軸芯端部受体、１０…
…ビス、１１……発条、１２，１３，１４……係
合片、１５ａ，１５ｂ，１５ｃ，１５ｄ，１５ｅ
……穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 木管楽器の管体に管階を作り出す穴を多数設
   け、管体上、前記穴を設けた部分の壁内の一部を
   切り取り凹部を形成して鍵装置取付部とし、この
   鍵装置取付部上その管体長手方向側辺に、前記穴
   の部分の壁肉の一部を切り取つた壁肉とほぼ同一
   の形状に形成した鍵を有する鍵装置の一側を鍵が
   開閉自在にして且つ鍵が発条により開方向或は閉
   方向に付勢された状態にて軸着したことを特徴と
   する、鍵装置付木管楽器。