JPS609898Y2 - 紙葉類繰出しロ−ラ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は収納された紙葉類を１枚ずつ繰出す繰出し装置
に関するものである。

例えば両替機などでは内部に紙弊を積重ねた状態で収納
しておき、この紙弊群から紙弊を１枚ずつ繰出す繰出し
装置を有している。

このような紙葉類の繰出し装置として第１，２図に示す
ものが考えられている。

図において１は送りローラ、２は戻しローラであって、
両者１，２は繰出し部に互いに周面が接近した状態（は
ぼ紙葉類１枚分の間隔で）になるようにそれぞれの回転
軸１ａ、２ａが平行に配設されている。

３は重積状に整列して収納された紙葉類であって、繰出
し部の送りローラ１の方への押圧力を付加されていて、
その最も外側の紙葉類３ａの下端付近が送りローラ１の
周面に当接している。

両ローラ１，２を同一方向に、すなわち送りローラ１は
紙葉類を巻き込み送り出す方向に、戻しローラ２は押し
戻す方向に回転する。

このため送りローラ１の周面に接触する最も外側の１枚
の紙葉類３ａは両ローラ１，２間に巻き込まれるが、外
側から２枚目以下の紙葉類は送りローラ１には接触して
いないのでその下端部が戻しローラ２の押し戻す力のみ
を受けて両ローラ１，２間に巻き込まれない。

上記両ローラ１，２の周面には第２図に示すようにそれ
ぞれ異なる摩擦係数を有する異なる材質から成る摩擦面
４，５が形成されている。

両ローラ１，２の間に挾まれた１枚の紙葉類３ａの上面
には送り出す方向の、下面には押し戻す方向の摩擦力が
作用するが送りローラ１による摩擦力の方が大であるの
で両ローラ１，２間から紙葉類３ａが繰出される。

このように最も外側の１枚３ａが繰出された後は次の１
枚が送り口−ラ１に接触して同様に巻き込まれ繰り出さ
れる。

このようにして順次１枚ずつ収納された紙葉類３が繰出
されるようになっている。

しかしながら、この従来例では両ローラ１，２の周面に
形成された摩擦面４，５は紙葉類３に作用する摩擦力に
差を生ぜしめるように摩擦係数の異なる別々の材質でで
きている。

しかるにこのように材質によって摩擦力の差を設定する
ことは材質の選定においても、また上記摩擦力の差の適
正な設定においても困難があるばかりでなく、別々の材
質を用いて両ローラ１，２を別々に作成しなければなら
ないので製作に手間を要しコスト高となるなどの欠点が
ある。

本考案は、この事情に鑑み、両ローラの摩擦面を同一の
材質で形成し、両摩擦面の軸方向の長さの比を適当に定
めることによって、上記摩擦力の差を生ずるようにした
紙葉類繰出し装置繰出しローラを提供することを目的と
するものである。

以下図面（第３〜第５図）に基いて、本考案の一実施例
を説明する。

第３図に示すように紙葉類群１３は重積状に整列して収
納台６上に収納され、バネ７を有する押え車８によって
繰出し部の送りローラ１１方向に押圧力を付加されてそ
の最も外側の紙葉類１３ａの下端付近は送りローラ１１
の周面に当接している。

なお図中９は押え板である。繰出し部には送りローラ１
１及び戻しローラ１２がそれぞれ互いの周面がほぼ紙葉
類１３の１枚分の間隔で接近するように両者１１．１２
の回転軸１１ａ、１２ａが互いに平行に配設されている
。

第４図、５図に示すように送りローラ１１及び戻しロー
ラ１２はそれぞれほぼ同じ外径を有し、それぞれ外周が
軸方向に段差のない円柱状に形成されており、その外周
面には、それぞれ同一材質からなりかつそれぞれ周方向
に連続する摩擦面１４．１５が形成されている。

送りローラ１１の周面にはその軸方向の中央部を所定幅
残して両端Ａ、 Ａの幅で全円周にわたって摩擦面１４
が形成されている。

また戻しローラ１２の周面にはその軸方向の中央部の所
定幅Ｂだけ全円周にわたって摩擦面１５が形成されてい
る。

この戻しローラ１２の摩擦面１５は送りローラ１１の摩
擦面１４の存在しない中央部に対応して位置している。

また送りローラ１１の摩擦面１４の幅２Ａは戻しローラ
１２の摩擦面１５の幅Ｂより大になっている。

従って摩擦面１４の方が摩擦面１５より軸方向の長さが
大となっている。

これら摩擦面１４．１５をローラ１１，１２の周面に形
成するには、例えば摩擦面を形成すべき周面に段部を設
け、この段部に帯状の摩擦材を貼着するなどの適宜手段
で取り着けて同一外周面に形成するもので、両ローラ１
１．１２の摩擦面１４．１５以外の外周面は、非摩擦面
、すなわちすべり易くなっている。

なお、上記摩擦面１４．１５の形状は上記実施例に示す
ものに限らず、送りローラ１１の方の摩擦面１４の軸方
向の長さが大であるならばいはなる形状にも形成できる
ことは勿論であり、また形成する方法も上記実施例で示
した方法に限定されるものではなく、その他種々の方法
も可能である。

本考案は上述のように構成されているので収容部に重積
状に整列収容された紙葉類は前述と同様に最も外側の１
枚の紙葉のみが両ローラ１１，１２の間にはいり込み、
紙葉の一面は送りローラ１１の摩擦面１４によって送り
出す方向の摩擦力を受け、同時に紙葉の他面は戻しロー
ラ１２の摩擦面１５によって押し戻す方向の摩擦力を受
ける。

紙葉は剛体ではないので両ローラｌＬ１２に挾まれて受
ける荷重は紙葉の各部分ごとに加わっていることになる
。

従って各摩擦面１４．１５は同一材質のため摩擦係数も
同一であるが送りローラ１１の摩擦面１４の方が軸方向
の長さが大に形成されているため、送りローラ１１の摩
擦面１４による摩擦力の方が戻しローラ１２の摩擦面１
５による摩擦力より大である（摩擦力は摩擦係数に荷重
を乗じたものであるため）。

従って両ローラ１１．１２間にはいった紙葉は両ローラ
１１，１２間から繰り出される。

本考案は上記の構成からなり、同一の材質を使用して送
りローラと戻しローラの摩擦面の軸方向の長さを適当に
選定するだけで紙葉を繰り出すことができるから、従来
の如く異なる摩擦係数の材質を選んで摩擦力の差を生む
困難が解決でき、また同一材質で両ローラの摩擦面を製
作できるから製造コストの低減を図ることができる。

また両ローラの摩擦面の軸方向の長さの差を適切に設定
すれば容易に最上の繰出し状態を実現できる。

また、紙葉が両ローラから受ける荷重は、両ローラがそ
れぞれ段差のない円柱状に形成されているため、両ロー
ラの軸線方向に分散され、荷重の集中によって紙葉が損
傷を受けることがなく、さらに円柱状のローラによって
紙葉の全面を押えることによって紙葉を安定して走行さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の紙葉類繰出し装置を示す説明図、第２図
は同図の繰出しローラを示す斜視図、第３図は本考案の
実施例を示す説明図、第４図は同図の繰出しローラを示
す斜視図、第５図は同正面図である。 １１・・・・・・送りローラ、１２・・・・・・戻しロ
ーラ、１４．１５・・・・・・摩擦面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 収納部に紙葉類を重積状に整列して収納し繰出し部に互
   いに周面が近接して対向するように配設した送りローラ
   １１及び戻しローラ１２を同一方向に回転させて両ロー
   ラ１１，１２の間に巻き込んだ上記紙葉類の上面及び下
   面に両ローラ１１゜１２の摩擦面１４．１５によってそ
   れぞれ逆方向の摩擦力を加えて両ローラ１１，１２の間
   から紙葉類を１枚ずつ繰り出すようにした紙葉類繰出し
   装置において、上記送りローラ１１の軸方向の両端部の
   外周面に摩擦面１４を形成し、上記戻しローラ１２の外
   周面で送りローラ１１の摩擦面１４が存在しない位置に
   上記摩擦面１４と同一材質の摩擦面１５を形成し、送り
   ローラ１１の摩擦面１４の軸方向の長さが戻しローラ１
   ２の摩擦面１５の軸方向の長さより大きくなるように形
   成するとともに、上記両ローラ１１，１２の外周面をそ
   れぞれ軸方向に段差のない円柱状に形成したことを特徴
   とする紙葉類繰出しローラ。