JPS606562Y2 - 繊維強化樹脂製プツシユロツド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は繊維強化樹脂製ブツシュロッドに関しさらに詳
しくは、自動車のエンジンの如き内装機関の給排気弁の
開閉機構において使用されるブツシュロッドに関する。

自動車のエンジンの給排気弁の開閉機構において使用さ
れているブツシュロッドは、従来、鋼やチタンなどの金
属で作られていたが、金属製のものは重量が大きく、慣
性が大きいために運動性能が劣り、エンジンのサージン
グ回転数を上げるのが難し７いという欠点があった。

そのため、近年になって、特に高いサージング回転数を
要求されるラリー用自動車などのエンジンにおいて、よ
り軽量で慣性が小さく、高速運動が可能な炭素繊維強化
樹脂製ブツシュロッド（以下ＣＦＲＰロッドという）が
検討されるようになってきている。

この従来のＣＦ ＲＰロンドは、棒状のＣＦ ＲＰから
なる本体の両端に金属製のキャップを嵌合し、接着剤を
用いて接合したようなものである。

しかしながら、かかる従来のＣＦ ＲＰ ロッドは、本
体とキャップとの接合を接着剤のみによって行っている
こと、および軽量化という目的を遠戚するためには接合
面の長さ、つまり重量の大きい金属製のキャップの長さ
をそう長くはとれないことから、本体とキャップとの接
合強度が低いという欠点があった。

ブツシュロッドは、その性質上、偏芯を伴う上下運動を
高速度で行うもので、長さ方向の圧縮力に加えて、特に
アッパー側（ロッカーアーム側）においては曲げの力が
加わるから、本体とキャップとの接合強度は極めて重要
であり、この接合強度が低いと使用中にキャップが脱落
したり、キャップの脱落に伴って本体が損傷したりする
。

本考案の目的は、従来のＣＦＲＰロッドの上記欠点を解
決し、軽量で、しかも本体とキャップとの接合強度が高
く、使用中にキャップが脱落するといった不都合を防止
することができる繊維強化樹脂製ブツシュロッドを提供
するにある。

上記目的を遠戚するための本考案は、棒状または筒状の
本体と、前記本体の両端部においてその本体に被せた金
属製キャップとを有し、前記本体は樹脂を補強繊維で強
化してなる繊維強化樹脂からなり、前記補強繊維はその
繊維軸が前記本体の長手方向であるように配置されてい
るとともに前記本体の一端から他端まで連続していて切
れておらず、前記本体の少なくとも一端部には周方向溝
が設けられ、前記キャップは前記周方向溝と係合する凸
部を有し、かつ前記本体とキャップとが接着されている
繊維強化樹脂製ブツシュロッドを特徴とするものである
。

本考案の繊維強化樹脂製ブツシュロッド（以下ＦＲＰロ
ッドという）の一実施例を説明するに、第１図（一端部
の概略縦断面図）および第２図（第１図のＡ−Ａ断面図
）において、棒状の本体１は、エポキシ樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂など
の熱硬化性樹脂２を、炭素繊維、ボロン繊維、シリコン
カーバイド繊維などの高強度、高弾性補強繊維３で強化
してなる繊維強化樹脂からなっている。

そうして、上記補強繊維３は、その繊維軸が本体１の長
手方向になるように引揃えて配置されているとともに、
本体１の一端から他端まで連続して延びており、切れて
いない。

また、本体１の一端部には、後述するキャップの凸部と
係合する周方向溝６が設けられている。

上記本体１の一端部には、鋼、チタンなどの金属からな
るキャップ４が被せられ、かつ接着剤５によって本体１
に接着されている。

また、上記キャップ４はその周方向に延びる凸部７を有
し、その凸部７が本体１の上記周方向溝６と係合してい
る。

すなわち、キャップ４は、接着剤５による接着と、凸部
７と周方向溝６との係合により本体１に接合されている
。

本体とキャップとの上述した接合は、周方向溝を有する
本体の一端部に接着剤を塗り、その一端部に、内面に接
着剤を塗った、凸部を有しないキャップを嵌合し、次い
で接着剤が乾かないうちに、キャップの、本体の周方向
溝と対応する部分をかしめ、凸部を形成することによっ
て行う。

上記実施例においては、ＦＲＰロッドの一端部のみにつ
いて説明したが、他端部もまた上記一端部と同様に構成
されるものである。

しかしながら、他端部については、周方向溝を有しない
本体と、凸部を有しないキャップとを使用し、両者を接
着のみによって結合することであってもよい。

この場合には、上記一端部側を曲げの力が加わるアッパ
ー側（ロッカーアーム側）として使用し、他端部側をロ
アー側（リフター側）として使用するようにする。

すなわち、本考案においては、ＦＲＰロッドの少なくと
も一端部を上記実施例のように構成することでよい。

また、上記実施例においては、本体が中実の棒状である
場合について説明したが、本体は、棒状であっても筒状
であってもよいものである。

以上説明したように、本考案のＦＲＰロッドは、その少
なくとも一端部における本体とキャップとの接合を、接
着と、本体に設けた周方向溝にキャップの凸部を係合さ
せることによって行っているから、接合長さが短くても
極めて高い接合強度が得られ、使用中にキャップが脱落
するのをほとんど完全に防止することができる。

しかも、接合長さを十分長くとる必要がないからキャッ
プが短くてよく、キャップの重量が減少し、本体が繊維
強化樹脂製であることと相まって軽く、慣性が小さいか
ら、より高速で運動させることができる。

また、本考案のＦＲＰロッドは、金属製のキャップに設
けた凸部が、衝撃的な力が加わった場合に弾性変形し、
衝撃力を緩和するように作用するので、本体に無理な力
がかからず、本体が傷付くのを防止することができるば
かりか、衝撃によって発生した振動が低減される。

さらに、本考案のＦＲＰロッドは、補強繊維が本体の長
手方向に配置され、しかも本体の一端から他端まで連続
していて切れていないので、強度、特に曲げ強度や長手
方向における座屈強度が高い。

したがってまた、同じ強度であればより細く、軽量にで
き、一層高速で運動させることができる。

さらにまた、本考案のＦＲＰロッドは、金属製キャップ
を本体に被せていて、本体内に差し込んではいないので
、本体に、キャップが、熱や長手方向の圧縮負荷による
内から外に向かう力をほとんど与えず、本体の割れを防
止することができるばかりか、細い本体の端部に差し込
み用の孔などを加工する必要がないから製作も容易であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案のＦＲＰロッドの一実施例
をその一端部について示す概略図で、第１図は縦断面図
、第２図は上記第１図のＡ−Ａ断面図である。 １：本体、２：熱硬化性樹脂、３：補強繊維、４：キャ
ップ、５：接着剤層、６：周方向溝、７：凸部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 棒状または筒状の本体と、前記本体の両端部においてそ
   の本体に被せた金属製キャップとを有し、前記本体は樹
   脂を補強繊維で強化してなる繊維強化樹脂からなり、前
   記補強繊維はその繊維軸が前記本体の長手方向であるよ
   うに配置されているとともに前記本体の一端から他端ま
   で連続していて切れておらず、前記本体の少なくとも一
   端部には周方向溝が設けられ、前記キャップは前記周方
   向溝と係合する凸部を有し、かつ前記本体とキャップと
   が接着されていることを特徴とする繊維強化樹脂製ブツ
   シュロッド。