JPS6053866B2 - 写真用ゲル化物の融解装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、温度によつてゾル−ゲル変化を示す物質をゲ
ル状態からゾル状態に変換する装置に関する。

特に写真感光材料の製造工程におけるハロゲン化銀乳剤
やカプラー、マット剤等の乳化物等のゲル化物（以下「
写真用ゲル化物」という。）を、マイクロ波を用いて融
解する融解装置に関するものである。写真感光材料の製
造工程においては、ハロゲン化銀乳剤や、カプラー、マ
ット剤等の乳化物等は調製した後冷却されゲル状態で低
温保存され、支持体に塗布される際に、必要に応じて再
び融解されることが必要である。

従来、かかる写真用ゲル化物を融解する方法としては、
たとえば、特公昭４４−９４９５号公報、特公昭５１−
１７３８号公報に開示されたバッチ方式による方法が用
いられてきたが、予じめ融解してストックしておくこと
は、写真乳剤においては経時による品質変化を生じやす
いため、特開昭５１−３４７１３号公報、米国特許３、
８４７、６１６号明細書等に開示されている連続的融解
方法が用いられるようになつてきた。

連続融解の場合は次工程である、支持体への塗布工程の
要求する必要流量にかなり正確に見合つた時間当りの融
解能力が必要となる。更に塗布工程の要求する必要流量
は、その時々の製品の違い、製造条件の違い等により大
巾に変化する。しカルながらこれらの方法は、いずれに
しても温水あるいは蒸気等の熱媒体による直接的あるい
は間接的伝熱を用いていることと、写真乳剤等の品質を
損わないために、通常数十度℃の加熱温度しか使用でき
ない事等の制限のために、熱効率を高くすることが難カ
ルく、近年生産量の増大に伴ない、前述した方法では以
下のような欠点を生じてきている。

すなわち １ 時間当りの融解能力（以下「融解速度」という。

）の不足２ 融解速度のコントロール巾が少さい。

３ またこれらの特に連続融解装置においては熱交換器
等を含んて構造が比較的複雑なことと、乳剤のこびりつ
き等のため洗浄時等は非常な時間と労力を必要とした。

一方、こうした熱融解性のある固形状物質を融解する一
つの方法としてマイクロ波利用による加熱融解装置が、
塊状のワックスの融解に関して実公昭侶−１２６２６号
に開示されている。ここに示されたマイクロ波加熱の利
用は、そのエネルギー効率の高さから前述した従来技術
のもつ１，２の欠点を克服できることが期待された。し
かしながら上記公報に開示されている加熱融解装置を写
真用ゲル化物の融解に用いる場合には１写真用感光性乳
剤のような刺激に対して非常に敏感な物質に対しては、
僅かな過熱の発生による変質、たとえばカブリ等の品質
欠陥を生ずることが多い。

２通常写真用ゲル化物は、大型の保存容器（以下「ポッ
ト」という）類に数百Ｋｇ単位で収納保存されているた
め、ポットより取出し加熱融解装置に移設設置する操作
が必要なこと。

３写真用ゲル化物は、弾力性があり且つ非常に柔軟な材
料特性のため、大塊状のまま取扱いが難かしく、小片に
砕く作業が必要なこと。

４加熱融解装置がかなり大型化すること。

５一回の融解操作の度に、装置内の洗浄が必要なこと。

等問題があつた。本発明は前述した従来の熱媒体による
伝熱および、マイクロ波利用における欠点を取除いた写
真用ゲル化物の融解装置。

すなわち、品質を損わずに写真用ゲル化物の融解速度を
大巾に増加することができ、ゲル化物のポットから融解
装置への移し換え作業が不要で、更に、融解装置の洗浄
が特に必要のない簡易で非．常に高生産性の写真用ゲル
化物の融解装置を提供することを目的とする。

本発明のかかる目的は、写真用ゲル化物の入つたポット
と、そのポットを鉛直面内の任意の角度に設定、保持可
能にした保持手段と、ポットの開．口部に装着されるマ
イクロ波発生装置に接続しているマイクロ波導波管と、
ゲル化物の融解の進行に応じて、ポットの内面に沿つて
進行するマイクロ波遮蔽板とを具備したことを特徴とす
る写真用ゲル化物の融解装置によつて達成される。

以下、図面を参照して本発明による融解装置の一実施態
様を写真用ゲル化物として写真感光乳剤を用いた場合に
ついて詳細に説明する。

すなわち本発明による写真用ゲル化物の融解装置は、第
１図に示すように、写真用ゲル化物１の入つたポット２
とこのポットを鉛直面内の任意の角度で保持するポット
保持具（図示していない）とポットの開口部に装着され
るマイクロ波発生装置（図示していない）に接続した導
波管３と写真用ゲル化物１の融解の進行に応じてポット
の内面に沿つて進行する遮蔽板４によつて大略の構成が
なされている。

低温保存室より写真用ゲル化物入りのポットを・運搬し
、ポット保持具に移し、ポット保持具上で、ポットの開
口部が水平ないしはやや下方を向くように回転させセッ
トする。

このポット保持具全体を移動して、移動可能なマイクロ
波遮蔽板４および導波管３をポット１の開口部に密着し
て取付けるためのアダプター５をその先端部に具備した
導波管３側に、アダプター５を介して、ポットをその開
口部周縁６において密着接続する。この後マイクロ波の
照射が開始されるとポット２内の写真用ゲル化物１はそ
の上面７より順序よく融解され、融解されたゾル８は、
融解していない写真用ゲル化物１の上面７を重力によつ
て流下し、ポット底部９と遮蔽板４の間を更に流下して
アダプター５の最下部に開けた排出口１０を通つてバイ
ブ１１より小量ストックタンク１２内に入る。小量スト
ックタンク１２よりゾル状の写真感光乳剤８はポンプ１
３によつて次工程の塗布工程へ送られる。この際融解し
たゾル８の温度は、吸収されたマイクロ波エネルギーと
写真用ゲル化物の融解に要する熱量に応じて適当な平衡
温度になつている。

ここにおいて使用されるポット２の形状は特に制限はな
いが、アダプター５とポットの開口部周縁６において密
着できる形状のものなら円筒形（いわゆるドラム缶形）
でも角筒形でも構わない。またその材質については一般
にマイクロ波の漏洩を防ぎ有効利用するためにマイクロ
波の透過しない金属性材質のものが好ましく通常写真感
光乳剤等の適性も考慮してステンレス鋼またはアルミニ
ウムが用いられる。樹脂等のマイクロ波透過性のあるポ
ット２を用いた場合には、ゲル化物の融解進行に従つて
、写真用ゲル化物に吸収されなかつたマイクロ波が外部
漏洩してしまうので、ポット２の外側全体を十分マイク
ロ波を吸収できる、マイクロ波吸収帯たとえば、少なく
とも、ポツトに対向する面を樹脂等のマイクロ波透過性
材質で作り、その内部を水等のマイクロ吸収物質で満た
したジャケット、あるいはチューブ等で覆う必要がある
。このような工夫はポットおよびポットとアダプターの
接触部が隙間が多く、そこよりもれるマイクロ波を完壁
になくすために、これらの周囲を更に金属性材質のチャ
ンバー等で完全に覆う場合には、このチャンバー側から
、漏洩したマイクロ波が反射して、ゲル化物の入つたポ
ット１の外側より、ゲル化物を融解し、ゲル化物を塊状
の寧まポット内を下方へ移動したりする不都合を生じる
場合にも防止策として有効である。ポット１の保持具は
、低温保存室より運搬されたポットを受取り、必要な傾
斜角度にポットを傾け、そのまま保持し、ポットを移動
してアダプター５に接続できる機能を持つたものならど
んなものでも良く、市販のドラム缶転倒機のようなもの
でも構わない。この場合の傾斜角度は、ゲル化物の融解
速度等によつて違い一概には決定できないか、要は、融
解したゾルが、滴下したり遮蔽板に接触したりして装置
を徒らに汚洗せず、またゾルの一部が滞溜したりして変
質せずに所望の流量を流せる角度が必要である。またポ
ット内におけるゲル化物がその上面７より均一に融解し
てゆくために、マイクロ波のゲル化物上面７への一様な
照射を考慮して、たとえば下ラム缶状のポットの場合、
その軸まわりに回転できるようにしておくことも好まし
い。更に必要ならもちろん通常のスターラーフワンを導
波管出口部に取付けることもできる。

マイクロ波発生装置および導波管については、特別の制
限はなく、導波管経路途中にアイソレータ等を設けてポ
ット側よりのマイクロ波の発生装置側への反射を防いで
いる。

導波管については、実際の生産段階においては、一つの
マイクロ波発生装置を用い、導波管経路を切換えること
により、二つのポットを交互に融解できるようにして、
融解したゾルをとぎれることなく次工程へ供給できるこ
とが必要である。導波管先端をポット開口部に密着して
装着するためのアダプター５は、通常板状でポット開口
縁部６に押付けられポットよりのマイクロ波の漏洩を防
ぐが、一般にポット開口部縁部６の面はそれ程平面性が
良くなくそのためアダプター５との接触部にミクロの隙
間がある場合には、マイクロ波の漏洩の他に、金属性の
ポットを用いている場合には、スパークを生ずる事があ
る。

特に融解が進行して写真用ゲル化物がポット内に殆んど
なくなつた状態では発生し易くなるが、写真感光乳剤を
融解している場合にはこのスパークによる露光を生じて
致命的欠陥を生ずることになる。このスパークによる露
光防止は、アダプター５のポット開口部縁部６に接触す
る部分の最内側に遮光性の弾性体たとえばゴム１４を設
けて、その外側に生じたスパーク光を遮断したり、ある
いはマイクロ波照射場に、適当なマイクロ波吸収用のダ
ミーたとえば、水等を内部に流しているチューブ等を設
置することで防げる。ポット底部９を流れる融解したゾ
ル８を更に過熱し変質させたいためのマイクロ波遮蔽板
４は、ポット底部９の内面に沿つてゾル８を十分にカバ
ーできるように設置される。

この遮蔽板４はアダプター５の一部をスリット状に貫通
してポット２と反対側に延びていて、スリットよりのマ
イクロ波漏洩防止兼遮蔽板収納チャンバー１５内に収ま
つている。この遮蔽板４の長さは使用するポットの長さ
に応じて決まり、巾は融解したゾルの流れるポット底面
部９のみを覆つても良いし、いくつかに分割してポット
内面の全周を覆うようにしても良い。

材質は金属板でも良く、あるいは、マイクロ波を遮蔽で
きる適当メッシュの金網でも良い。この遮蔽板はゾルの
過熱防止を厳密にコントロ）−ルするために、ゲル化物
の融解の進行によるゲル化物の上面７の後退に応じたポ
ット側への進行が必要であるが、それれは例えばマイク
ロ波漏洩兼遮蔽板収納チャンバー１５に取付けられたモ
ーター１６を駆動源としてホールネジ１７その他の７伝
達手段によつて駆動される。

この過熱防止用のマイクロ波遮蔽板４の先端１８の位置
は、要するに融解して底部を流れるゾルを再加熱して、
過熱させ変質させない程度にゲル化物の上面７に近づい
ていれば良いがあまり近づくと遮蔽板４に近いフ部分の
ゲル化物の融解が遅れたりするので、実験等により適当
な値を決めることが好ましい。更にこの遮蔽板４の先端
１８の位置のコントロールは、適当な検出手段によつて
直接ゲル化物の上面７を検出するか、または次工程へ送
液した流量より関接的にゲル化物の上面７の後退量を検
出するか、あるいは予じめマイクロ波出力、写真用ゲル
化物の融解開始前温度、写真用ゲル化物の種類等と融解
速度（すなわちゲル化物上面７の後退速度）との関係を
求めておき、モーター１６を必要回転数回転させて行う
。ここにおいて融解の終了、従つてマイクロ波照射の停
止時期の決定は、写真用ゲル化物の過熱、それによるこ
びり付き、あるいは前述したスパークの危険性の増大等
から、重要であるが、上記したマイクロ波遮蔽板の先端
位置の情報あるいは金属性ポットの場合の終了時のダミ
ー液の温度上昇等により検出、決定可能である。

以上のような装置を用いることにより、 １品質を損わずに写真用ゲル化物にマイクロ波照射を用
いて加熱することにより大巾な融解速度の増加が達成で
き２ゲル化物のポットから融解装置への移し換え作業が
不要で３融解装置の洗浄が必要でない ４簡易て高生産性 等の新規な効果を持つた写真用ゲル化物の融解装置を得
ることができた。

本発明における新規な効果は以上述べてきたことより明
らかであるが、更に実施例により明確にする。

実施例 第１図に示すような装置を用いて、比較例として、特願
昭Ｍ−６８３７８（特開昭５５−１５９９２８号公報）
に示す装置を用いて下記のような結果を得た。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による写真用ゲル化物の融解装置の使
用状態を説明する概略の垂直断面図であ．る１・・・・
・・写真用ゲル化物、２・・・・・・ポット、３・・・
・マイクロ波導波管、４・・・・・・マイクロ波遮蔽板
、５・・アダプター、６・・・・・・ポット開口部縁部
、７・・・・・写真用ゲル化物上面、８・・・・・・融
解したゾル、９・・・・ポット底部、１０・・・・・・
排出口、１１・・・・・・バイブ、１２・・・・・・小
量ストックタンク、１３・・・・・・ポンプ、１４・・
・・・・遮光性弾性体、１５・・・・・・チャンバー、
１６・・・・・・モーター、１７・・・・・・ボールネ
ジ、１８・・・・・・マイクロ波遮蔽板先端。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ゲル化物の入つたポットと、そのポットを鉛直面内
   の任意の角度に設定、保持可能にした保持手段と、ポッ
   トの開口部に装着されるマイクロ波発生装置に接続して
   いるマイクロ波導波管と、ゲル化物の融解の進行に応じ
   てポットの内面に沿つて進行するマイクロ波遮蔽板とを
   具備したことを特徴とする写真用ゲル化物の融解装置。