JPS6043417B2 - 精錬炉のガス吹き込み方法および装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は転炉などの精錬炉のガス吹き込み方法およびそ
の装置に関する。

典型的な先行技術は底吹き転炉である。

従来の底吹き転炉においては、転炉本体の底部に内管お
よび外管を同心二重管状に配置して成る吹き込み手段を
設け、内管に純酸素ガスを流し、内管および外管の間の
環状の通路に炭化水素ガスを流して転炉内の溶鋼の精錬
を行なうとともに、炉本体底部の羽口における耐火材の
過熱による損傷を防止している。このような先行技術に
おいては、内管および外管を同心に配置して、内管外周
と外管内周との間隔を円周方向および軸線方向に均等に
するために、高精度の特殊な管を必要とした。また純酸
素ガスと、炭化水素ガスとを個別に供給するための２つ
の管路が必要であつて配管系統が複雑になるばかりでな
く、酸素ガスおよび炭化水素ガスの２系統の制御装置が
必要である。さらに、炭化水素ガスを溶鋼中に吹き込む
ので、溶鋼中に水素ガスが溶け込んで、製品の鋼に悪影
響がおよぼされる。本発明の目的は、簡単な構造かつ簡
単な操作で従来の２重管構造と同様に羽口における耐火
材の損傷を防止し、しかも製品金属の品質に影響をお．
よぼすおそれのない精錬炉のガス吹き込み方法およびそ
の装置を堤供することである。

以下、図面によつて本発明の実施例を説明する。

第１図は本発明の一実施例の断面図である。精錬炉たと
えば転炉の本体１は、鋼板製外殻２の．内面に耐火材３
を内張りして成る。本体１の底部４には、ガス吹き込み
装置５が設けられ、このガス吹き込み装置５から本体１
内の溶銑あるいは溶鋼（以下溶湯という）６内に純酸素
ガスが吹き込まれて精錬が行なわれる。また、その純酸
素ガス・中には、酸化第二鉄（Ｆｅ２Ｏ３）および石灰
（ＣａＣＯ３）等の粉末が含まれており、羽口７付近に
おいて前記粉末による吸熱が行なわれ、さらに後述のご
とく粉末層による溶湯と純酸素ガスとの遮蔽によつて溶
湯と純酸素ガスとの反応が抑制される。これによつて、
羽口７付近における耐火材３の損傷が防止される。第２
図は本体１の底部４付近の拡大断面図てある。

ガス吹き込み装置５は、底部４に固着され耐火材３の内
面に開口して羽口７を形成する第１管体８に第２管体９
を同心にフランジ結合して成る吹き込み管１１と、第２
管体９の途中に設けられ吹き込み管１１内を流過するガ
スに旋回力を与えノる旋回手段１２と、吹き込み管１１
内に管路１３を介して純酸素ガスを供給する酸素ガス供
給源１４と、管路１３の途中に連結され酸素ガス中に酸
化第二鉄等の粉末を混入するための粉末供給源１５とを
含む。第３図は第２図の切断面線■−■から見た断面図
である。

旋回手段１２は、第２管体９に同心に支持される芯体１
６と、芯体１６の外周に周方向等間隔に配置された複数
の羽根部材１７とを含む。羽根部材１７の端部は第２管
体９の内壁に固”着され、それによつて芯体１６が支持
される。芯体１６は第２管体９の軸線に沿う中央部が膨
大して形成されており、この膨大部１８から上下両端部
に向うにつれて小径となるように形成される。各羽根部
材１７は流路１９に沿つてねじれて形成されている。転
炉内の溶湯６の精錬にあたつては、酸素供給源１４から
純酸素ガスが供給されるとともに、粉末供給源１５から
その純酸素ガス中に酸化第二鉄等の粉末が供給され、管
路１３を経て吹き込み管１１に導かれる。吹き込み管１
１において、酸化第二鉄等の粉末を含む純酸素ガスは、
旋回手段１２の羽根部材１７によつて案内されて、第２
図の矢符２０で示すごとく、流過方向（すなわち第２図
の上方、吹き込み管１１の管軸方向）のまわりに旋回運
動を与えられる。また、純酸素ガスは、羽根部材１７の
相互間の流路１９を高速度て流過する。このようにして
、純酸素ガスは、羽口７から溶湯６内に吹き込まれる。
旋回手段１２によつて、酸化第二鉄等の粉末を含む純酸
素ガスが旋回運動することによつて、酸化第二鉄の粉末
に遠心力が作用して、吹き込み管１１の内壁近傍に酸化
第二鉄の粉末の濃厚層２２が形成される。

そのため、羽口７において中心部から純酸素ガスが噴出
されるとともに、その純酸素ガスの噴出流を外囲して酸
化第二鉄等の粉末が溶湯６内に吹き込まれる。羽口７付
近において、酸化第二鉄の粉末は、溶湯６から熱を吸収
するとともに溶湯６と純酸素ガスとの反応を抑制し、そ
のため羽口７付近における耐火材３が純酸素ガスの吹き
込みによつて過熱することが防止され、耐火材３の損傷
が防止される。さらに純酸素ガスが旋回しながら溶湯６
内に吹き込まれるこをによつて、溶湯６が充分に攪拌さ
れる。第４図は本発明の実施例の断面図であり、第５図
は第４図の切断面線■−■から見た断面図であり、第１
図〜第３図の実施例に対応する部分には同一の参照符を
付す。

この実施例において、旋回手段２３は、前述の実施例と
同様に、芯体２４と羽根部材２５とを含むが、注目すべ
きは、芯体２４にはその中心部に軸線を同一にしてノズ
ル孔２６が形成されることである。酸化第二鉄等の粉末
を含む純酸素ガスは旋回手段２３の羽根部材２５によつ
て案内されて旋回力を与えられ、吹き込み管１１内を旋
回しながら溶湯６内に吹き込まれる。このときに酸化第
二鉄等の粉末の濃厚層２２が純酸素ガス流のまわりに形
成されるのは、前述の実施例と同様である。芯体２４の
ノズル孔２６には、第２管体９内を流通してきた純酸素
ガスの中心部が流通し、その中心部が旋回することなく
溶湯６内に吹き込まれる。このノズル孔２６の途中にス
ロート部を設けて、そのスロート部から純酸素ガスを高
速て噴出することによつて、溶湯６の攪拌作用を促進す
るようにしてもよい。第６図は本発明の他の実施例の断
面図てあり、第７図は第６図の切断面線■−■から見た
断面図であり、第８図は第７図の切断面線■−■から見
た断面図である。

この実施例ては、第２管体９の下端部を閉塞して旋回手
段２７が設けられる。この旋回手段２７は、吹き込み管
１１と同心で軸値角断面円形の旋回室２８を備える。第
２管体９の下端部には、旋回室２８の接線方向に管路１
３が連結される。この旋回手段２７において、管路１３
から旋回室２８にわたつて案内管２９が同心に設けられ
る。この案内管２９は支持部材３０によつて第２管体９
および管路１３に支持される。管路１３によつて導かれ
る酸化第二鉄等の粉末を含む純酸素ガスは、旋回室２８
内に接線方向で導入されることによつて旋回力を与えら
れ、吹き込み管１１内を旋回しながら羽口７から溶湯６
内に吹き込まれる。案内管２９は、管路１３の中心部付
近における純酸素ガスを案内して吹き込み管１１の軸線
上で純酸素ガスを噴出する。この案内管２９の途中にス
ロート部を設け、このスロート部から純酸素ガスを高速
で噴出させることによつて、溶湯６の攪拌作用を促進す
るようにしてもよい。第９図は本発明の他の実施例の断
面図である。この実施例では第２管体９の途中に旋回手
段としてのねじ部材３１が設けられる。このねじ部材３
１は、その外周に軸線方向に沿つて等ピッチのねじ山３
２を備え、このねじ山３２と第２管体９の内面との間に
螺旋状の案内通路３３が形成される。ねじ部材３１には
軸線を同一にしてノズル孔３４が形成される。酸化第二
鉄等の粉末を含む純酸素ガスは、螺旋状の案内通路３３
によつて案内されて旋回力を与えられ、吹き込み管１１
から溶湯６内に吹き込まれる。吹き込み管１１の中心部
付近の純酸素ガスはノズル孔３４から溶湯６内に吹き込
まれる。このようにしても、前述の各実施例と同様に、
純酸素ガス流のまわりに酸化第二鉄等の粉末の層を形成
して、羽口７から吹き込むことができ、羽口７付近にお
ける耐火材３の損傷を防止することができる。またノズ
ル孔３４の途中にスロート部を設けてもよいことは前述
の各実施例と同様である。またねじ山３２は多条であつ
てもよい。第１０図は本発明の他の実施例の断面図であ
り、第１１図は第１０図の吹き込み管１１付近の拡大断
面図であり、第１２図は第１１図の切断面線■−■から
見た断面図である。

この実施例では、吹き込み管１１の途中に、旋回手段と
てのノズル部材４０が設けられる。このノズル部材４０
は、第２管体９の途中の固定され、第２管体９の内周と
の間に転炉の本体１側に開放した環状の旋回室４１を形
成する。ノズル部材４０には、第２管体９と同心で途中
にスロート部４５を有するノズル孔４２が形成されてい
る。第２管体９には管路４４を介して酸素供給源１４が
接続される。ま゛た第２管体９には、旋回室４１に連通
して管路４４の一端部が接続され、管路４４の他端部は
管路４３の途中に接続される。さらに管路４４の途中に
は、粉末供給源１５が連結される。このように構成する
と、酸素供給源１４から供給される純酸素ガスの一部は
、管路４３を経てノズル孔４２から溶湯６内に高速で吹
き込まれる。

また管路４４内を流過する残余の純酸素ガスには、粉末
供給源１５から酸化第二鉄等の粉末が混入され、その粉
末を含む純酸素ガスは、旋回室４１で旋回力を与えられ
る。それによつて酸化第二鉄等の粉末に遠心力が作用し
、前記粉末は吹き込み管１１の内壁近傍に粉末の濃厚層
２２を形成しながら吹き込み管１１の内壁に沿つて溶湯
６内に吹き込まれる。前述の各実施例においては転炉を
取り上げて説明したが、電気炉などの他の精錬炉に本発
明を実施し得ることはもちろんであり、酸化第二鉄、石
灰の代わりに精錬炉内の溶融金属と吸熱反応を生じる他
の粉末を用いてもよい。また、吸熱反応用粉末を用いず
に、純酸素ガスの代わりにアルゴンなどの他のガスを用
い、本発明により溶融金属の攪拌を促すことが出来るよ
うにすることも容易に考えつく。本発明は、鉄以外の精
錬、たとえば銅の精錬に関連して実施することもできる
。

上述のごとく本発明によれば、精錬炉内の溶融金属中に
ガスを吹き込むにあたつて、そのガス中に粉末を予め混
入し、前記溶融金属中にその粉末を含むガスを流過方向
のまわりに旋回させながら吹き込むので、ガスの旋回力
によつてガスの噴出流のまわりに粉末の濃い層が形成さ
れ、したがつて、羽口付近における耐火材などが高熱に
よつて過熱することが防止される。

また、ガスは流過方向のまわりに旋回しながら吹き込ま
れるので、その旋回力によつて精錬炉内の溶融金属を充
分に攪拌することができる。さらに、消耗品である羽口
は単管構造であるので加工が容易であり、しかも従来の
ごとく２系統のガスの流量を制御する必要がなくなつて
制御が容易になるとともに、ガスを輸送するための管路
の配管が単純化される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の断面図、第２図は第１図の
転炉の本体１の底部４付近の断面図、第３図は第２図の
切断面線■−■から見た断面図、第４図は本発明の他の
実施例の断面図、第５図は第４図の切断面線■−■から
見た断面図、第６図は本発明の他の実施例の断面図、第
７図は第６図の切断面線■−■から見た断面図、第８図
は第７図の切断面線■−■から見た断面図、第９図は本
発明の他の実施例の断面図、第１０図は本発明の他の実
施例の断面図、第１１図は第１０図の吹き込み管１１付
近の拡大断面図、第１２図は第１１図の切断面線■−■
から見た断面図である。 ５・・・・・・吹き込み装置、１１・・・・・・吹き込
み管、１２，２３，２７・・・・・・旋回手段、１４・
・・・・・酸素供給源、１５・・・・・粉末供給源、１
６，２４・・・・・芯体、１７，２５・・・・・羽根部
材、１９・・・・・流路、２６，３４，４２・・・・・
・ノズル孔、２８，４１・・・・・旋回室、３１・・・
・・・ねじ部材、３２・・・・・・ねじ山、３３・・・
・・案内通路、４０・・・・・・ノズル部材、４５・・
・・・・スロート部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 精錬炉内の溶融金属中に吹き込んで精錬する方法に
   おいて、前記ガス中に粉末を予め混入し、混入後のガス
   を流過方向のまわりに旋回させながら溶融金属中に吹き
   込むことを特徴とする精錬炉のガス吹き込み方法。 ２ 前記精錬炉は転炉であつて、前記ガスは純酸素ガス
   であり、前記粉末は酸化鉄であることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の精錬炉のガス吹き込み方法。 ３ 前記精錬炉は転炉であつて、前記ガスは純酸素ガス
   であり、前記粉末は石灰であることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載の精錬炉のガス吹き込み方法。 ４ 精錬炉内に開口して精錬炉の本体に連結された吹き
   込み管、吹き込み管内にガスを堤供するためのガス供給
   源、吹き込み管内に導入される前のガスに粉末を混入さ
   せるための粉末供給源、ならびに前記粉末を含むガスを
   吹き込み管内で流過方向のまわりに旋回させる旋回手段
   を含むことを特徴とする精錬炉のガス吹き込み装置。 ５ 前記旋回手段は、吹き込み管と同心の芯体の外周に
   、複数の羽根部材を周方向に間隔をあけて配置して成る
   ことを特徴とする特許請求の範囲第４項記載の精錬炉の
   ガス吹き込み装置。 ６ 前記芯体には吹き込み管と同心のノズル孔が形成さ
   れていることを特徴とする特許請求の範囲第５項記載の
   精錬炉のガス吹き込み装置。 ７ 前記旋回手段は、吹き込み管と同心で軸直角断面円
   形の旋回室を備え、前記粉末を含むガスを導く管路がそ
   の旋回室の接線方向に連結されることを特徴とする特許
   請求の範囲第４項記載の精錬炉のガス吹き込み装置。 ８ 前記旋回手段には、前記管路の中心部付近のガスを
   前記旋回室の中心部付近に案内する案内管が備えられる
   ことを特徴とする特許請求の範囲第７項記載の精錬炉の
   ガス吹き込み装置。 ９ 前記旋回手段は、吹き込み管と同心に設けられ、そ
   の外周に吹き込み管の内周との間に螺旋状の案内通路を
   形成するねじ山を備えるねじ部材であることを特徴とす
   る特許請求の範囲第４項記載の精錬炉のガス吹き込み装
   置。 １０ 前記芯体またはねじ部材には吹き込み管と同心の
   ノズル孔が形成されることを特徴とする特許請求の範囲
   第９項記載の精錬炉のガス吹き込み装置。 １１ 前記旋回手段は、吹き込み管と同心に設けられ、
   吹き込み管の内周との間に精錬炉側に開放した環状の旋
   回室を形成するとともに吹き込み管と同心のノズル孔を
   備えるノズル部材であつて、前記粉末を含むガスを導く
   管路が旋回室の接線方向に連結され、ガスのみを導く管
   路が吹き込み管に同心に連結されることを特徴とする特
   許請求の範囲第４項記載の精錬炉のガス吹き込み装置。 １２ 前記案内管またはノズル孔の途中にはスカートが
   形成されることを特徴とする特許請求の範囲第８項、第
   １０項または第１１項記載の精錬炉のガス吹き込み装置
   。