JPS6040448Y2 - 注出容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内容物を容易に注出することができる容器に関
し、とくに練歯磨、スキンケアクリーム、練からし等の
粘性の高いエマルジョンタブの液体を収納し、これを容
器の外形に変形を与えることなく注出し得る容器に関す
るものである。

従来に於いて、硬質な円筒状の容器本体内部に容器本体
の軸方向に移動可能な底蓋を配し、この底蓋をネジ機構
により送り、この送りによる押圧力でもって容器本体の
一部に設けられた注出口より内容物を押し出す形態の容
器が知られており、半固型物を収納するに見合った容器
としてしばしば用いられている。

ところで、エマルジョンタイプの液体は複数の液体の混
合物であり、それ全体としては粘性の高い液体ではあっ
ても、本質的に著く粘性の低い粘体を含んでいるもので
あり、しかも混合しにくい液体をあえて混合しているの
であって、保存時にややもすれば粘性の低い液体が分離
し、収納されている容器に僅かな隙間等があればそこか
ら容易に外部に漏れ出し、その商品としての価値を著し
く低化させてしまうのである。

このように、それ全体としては粘性の高いエマルジョン
タイプの液体でも、これを収納する容器の密封性は極め
て重要な問題であり、前記したネジ機構による底蓋移動
型の容器では、そのネジ部分に於いて十分な密封性を確
保することは至難であり、分離した粘性の低い液体がネ
ジ部分から漏洩してしまう欠点を有している。

従って、本考案の目的とするところは十分な密封性を有
し、かつ容器外形を変形させることなく簡単な操作で確
実に内容物を注出し得る容器を提供することにある。

本考案は、土壁を有する筒状の容器本体と、この容器本
体に内蔵される移動部材とにより形成される空間に内容
物を収納し、前記移動部材を上昇させることにより前記
上壁若しくは土壁近傍に設けられた注出口から内容物を
取り出すことのできる容器であって、前記容器本体には
その中心軸と平行な回転軸を有し、かつ前記移動部材を
貫通してなるスピンドルが配され、前記移動部材は前記
容器本体に対して密に接して回転不能かつ摺動可能とな
る如く形成されるとともに前記スピンドルに対して密に
接して回転及び摺動可能となる如く形成され、さらに前
記移動部材には、刃先が前記スピンドルの回転軸に垂直
な面に対し傾斜し、かつこの刃先が前記スピンドルと移
動部材との接面より注出口反対側に於いて前記スピンド
ルに喰い込む送り刃が固着され、前記スピンドルを回転
させることにより前記送り刃が前記スピンドルにネジ状
の溝を切り刻んで前記移動部材を上昇せしめ注出口から
内容物を押し出すことを特徴とする注出容器である。

以下に、本考案を図面の実施例に基き詳細に説明する。

第１図は本考案にかかる注出容器の縦断面図であり、第
２図イは移動部材近傍の縦半断面図、第２図口は第２図
イのＩ−Ｉ線に於ける横断面図、第３図イは送り刃の平
面図、第３図口は第３図イの■−■線に於ける断面図で
ある。

１は合成樹脂よりなる容器本体であり、その内壁面は角
に丸みをつけた断面正方形で、しかもほぼ全長にわたっ
て同形状であり、かつ十分な平担性を有している。

２は土壁であり、その中央部に後述するスピンドルを通
すための円形孔３が設けられている。

また容器本体１の下端は開放しており、この下端に容器
全体の自立を安定させるための底板２６を取り付けるこ
とが好ましい。

５はスピンドルであり、前記円形孔３に密接かつ回転可
能に挿通され容器本体１の中心軸に一致する回転軸を有
している。

このとき、スピンドル５の下端面中心部に凹部６を形成
し、底板２６上面に形成された突起２７を凹部６に嵌め
合わせ、これにより中心部を支持すれば、スピンドル５
の安定した回転を得ることができる。

スピンドル５の形状は後述する移動部材が摺動する部分
８に於いて円柱状で、かつその表面は十分な平担性を有
しており、また上部７は円筒形で内部中空となって上端
に於いて開放しており、前記した円形孔３に密接し、か
つ円柱状部分と円筒形部分との境界付近に容器本体内と
前記中空部分とを結ぶ連通孔１１を設けて内容物の外部
への注出を可能とする。

また、スピンドル５の容器本体外に位置する部分に鍔縁
部９を形成し、これと上壁２に設けられた環状凸部４と
の接触面をラチェット構造１０となし、スピンドル５の
逆方向への回転を不可能にする機能をもたせる。

スピンドル５の開放された上端には注出ノズル１３と一
体となった回転操作部材１２が固着される。

この回転操作部材にはその係合部１５に於いてて容器本
体１と回転自在に取り付けられており、さらにその外周
の適当な位置に回転操作を容易になし得るためのつまみ
１４が突設されている。

１６は適度な弾性を有する合成樹脂よりなる移動部材で
あり、この移動部材１６は第２図に拡大して示すように
中央部にスピンドル５を通す孔１７を有し、下面にスピ
ンドル５に喰い込む送り刃１８が取り付けられてなるも
のである。

ここで、孔１７は円形孔であり、かつ前記スピンドルの
移動部材摺動部分８の表面と密に接する寸法に形成され
て移動部材１６に対しスピンドル５は回転可能となり、
かつ移動部材１６はスピンドル５に対して摺動自在とな
る。

また、移動部材１６の外周は前記容器本体１内壁面に密
接する如く角に丸みをつけた正方形に形成する。

これにより移動部材１６は容器本体１に対して回転運動
は不能で、摺動運動のみが可能となる。

ここで、移動部材１６のスピンドル５及び容器本体１に
接する部分を第２図に示す如く適当な弾性力でもってリ
ング状に接するようになし、かつスピンドル５表面及び
容器本体１内壁面を削り取る如くの形状にすれば、作動
時に於いて摩擦抵抗が小さくなって操作性が向上し、し
かも良好な密着性を維持することができるのである。

送り刃１８は第２図及び第３図に示す如く、１枚以上の
切込刃１９と基部２０とからなるものであり、移動部材
１６を上昇させるためのものである。

孔２１の周縁からは内方に向かって切込刃１９が４枚突
設されている。

この切込刃１９はその刃先２２がスピンドル５に喰い込
む長さに形成され、かつ刃先２２はスピンドル５の回転
軸に垂直な面上にあるのではなくスピンドル５の回転方
向に向かって上向きの角度がつけられている。

また、この切込刃１９は切出部２３に於いスピンドル５
への切込深さを小さくすれば切削運動をより容易になし
得ることができる。

なお、スピンドル５は送り刃１８により切削される関係
上、その使用温度に於いてガラス転位点以上軟化点以下
である合成樹脂を素材とすれば、切削時に於ける破損等
を無くすることができる。

また、非使用時に於いて、容器が転倒した場合等の内容
物の漏出を防止するために注出ノズル１３にキャップ２
５を取り付けることが好ましく、さらに、移動部材１６
が上昇してもその下方に於いて負圧にならないように底
板２６に空気孔２８を設けておけば良い。

本考案の注出容器は上記の如くの構成部材よりなるもの
であり、このような容器の組み立てに於いては、容器本
体１にスピンドル５を通し、送り刃１８が取り付けられ
た移動部材１６をスピンドル５に通して容器本体１内に
配置することにより内容物収納空間２９が形成され、然
る後底板２６を容器本体１下端に、回転操作部材１２を
スピンドル５及び容器本体１に取り付ければ良い。

本考案は以上の如くの構成であり、次にその作用用につ
いて述べることにする。

第１図に示す如く、練歯磨、スキンケアクリーム、練か
らし等の粘性の高いエマルジョンタイプの液体を容器本
体１と移動部材１６とにより囲まれた空間２９に収納す
る。

この空間２９に収納された液体を注出するには、まずキ
ャップ２５を外し、注出口１２を開放する。

次につまみ１４を利用して回転操作部材１２を図の矢印
Ａ方向に回転させる。

この回転操作部材１２の回転に伴ない、これに固着され
たスピンドル５も矢印Ａ方向に回転する。

このとき容器本体１の上壁２に設けられた環状凸部４と
スピンドル５の円板状部分９とによるラチェット機構１
０の働きにより回転操作部材を逆回転させることはでき
ない。

スピンドル５が回転しても移動部材１６は回転不能であ
るのでスピンドル５の回転により移動部材１６に固着さ
れた送り刃１８がスピンドル５の表面を切削することに
なり、かつ送り刃１８の刃先が回転方向に対して上向き
の傾斜を有しているので、送り刃１８がスピンドル５に
ネジ状の溝を切って行くことになり、従って移動部材１
６は刃先２２の上向き角度に対応する量だけ上昇するこ
とになる。

このように、回転操作部材１２を回転させると移動部材
１６は回転するスピンドル５及び容器本体１との密接を
保ちながら上昇して内容物収納空間２９の容積が減少し
、これにより内容物が注出ノズル１３から押し出される
ことになる。

ここで、スピンドル５と移動部材１６とは回転を伴なっ
た摺動運動を行ない、移動部材１６と容器本体１とは摺
動運動を行なうのであるが、これらの運動はすべて平担
面に於けるすべり運動であるので、相互の接触部分のが
たつきがなく、従って常に良好なる密封性を維持するこ
とができる。

また、ラチェット構造を設けたことにより移動部材を上
昇する方向にのみ作動させることができ、確実な操作を
期待することができる。

なお、上記した如くの構成及びその構成に伴なう作用に
ついての説明は単に一つの実施例につき述べただけのも
のであって、本考案は何等この実施例に限定されるもの
ではない。

例えば、移動部材の下方向への動きを防止するためにラ
チェット構造を採用したが、切込刃に返しをつけて逆回
転を防止しても良い。

また、注出口はスピンドルの上部を中空にしてこれを利
用する形態としたが、容器本体に孔を設けてこれを注出
口としても良い。

さらに、容器本体の横断面を正方形となしたが、楕円形
、正五角形等移動部材の回転を防止することができる形
状で、かつ角部に丸みをつける等内容物が漏れにくい形
状であればいかなる形状であっても良い。

また、送り刃の切込刃数及びその形状も何等この実施例
には限定されず、スピンドルにネジを切り込みつつ移動
部材を上昇させる機能を有するものであれば良い。

本考案は以上に述べた如くであり、従来この種の底蓋或
は適当な移動部材等の移動により内容物を押し出す方式
の容器では、ネジ構造により底蓋或は移動部材を移動せ
しめていた関係上、ネジ部分の密封性を維持することは
非常に困難であり、いきおいこの部分から粘度の低い液
体が漏洩する欠点が存在していたのであるが、本考案で
は全ての相対移動部分を平担面上のすべり構造となして
いるので良好な密封性を保ち得、液漏れの惧れはない。

また、本考案では移動部材の上昇運動を移動部材に取り
付けた送り刃によるスピンドルへの切削により行なって
いるので、スピンドルを回転させる簡単な操作で必要量
だけ確実に内容物を注出することができ、また送り刃に
よるスピンドルの切削は内容物収納空間外で行なわれる
ので、切削による液漏れ等の悪影響もなく、その実用上
の効果は非常に大なるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第１図は本
考案にかかる注出容器の一部省略縦断面図であり、第２
図イは移動部材近傍の縦半断面図、第２図口は第２図イ
のＩ−Ｉ線に於ける横断面図、第３図イは送り刃の平面
図、第３図口は第３図イの■−■線に於ける断面図であ
る。 １・・・・・・容器本体、５・・・・・・スピンドル、
１２・・・・・・回転操作部材、１６・・・・・・移動
部材、１８・・・・・・送り刃、２９・・・・・・内容
物収納空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 土壁を有する筒状の容器本体と、この容器本体内に位置
   する移動部材とにより形成される空間に内容物を収納し
   、前記移動部材を上昇させることにより前記上壁若しく
   は土壁近傍に設けられた注出口から内容物を取り出すこ
   とのできる容器に於いて、前記容器本体にはその中心軸
   と平行な回転軸を有し、かつ前記移動部材を貫通してな
   るスピンドルが配され、前記移動部材は前記容器本体に
   対して密に接して回転不能かつ摺動可能となる如く形成
   されるとともに前記スピンドルに対して密に接して回転
   及び摺動可能となる如く形成され、さらに前記移動部材
   には、刃先が前記スピンドルの回転軸に垂直な面に対し
   傾斜し、かつこの刃先が前記スピンドルと移動部材との
   接面より注出口反対側に於いて前記スピンドルに喰い込
   む送り刃が固着されてなることを特徴とする注出容器。