JPS6035954Y2 - 反射防止形ブラウン管 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は反射防止形ブラウン管の改良に関するものであ
る。

ブラウン管のパネル外面はこのパネル内面に被着形成さ
れた螢光体層上に電子銃から射出された電子ビームの走
査によって画かられた所望画像を忠実に使用者の観測に
供する為に滑面に仕上げられているのが普通である。

しかしながら、ブラウン管として端末ディスプレイ装置
や表示装置に用いられるものは特に前記螢光体層上に再
生される画像が細かな数字や記号などが多く、前述した
様にパネル外面を滑面にしておくと、室内の照明や窓外
からの外光による室内備品の像が前記細かな数字や記号
などと重複し、前述した端末ディスプレイ装置や表示装
置の使用者に不快感や疲労感を与えるため、パネル外面
を反射防止形とすることが要望されている。

前述したパネル外面を反射防止形とする手段としては前
記パネル外面及びこの外面を覆うように形成された部材
を用いて、実質的に表面即ち有効画面内の滑面の度合い
を低下させること、云い換えれば適当な荒さを有する粗
面とすることにより室内の照明や窓外からの外光による
室内備品の像などから来る周囲光を乱反射させることに
よりこの周囲光がパネル外面の滑面により鏡面反射して
見える虚像を不明瞭即ちぼかすことである。

この為の表面の粗さは前述したように周囲光による鏡面
反射の虚像をぼかしこの虚像が細かな数字や記号と重複
しても使用者に不快感や疲労感を与えないと同時に画像
自体の明瞭度を低下させない程度としなければならない
ことは説明する迄もない。

従来前述したような反射防止の構造としては、先づ第１
に所謂ＰＰＧ構造またはラミネーテイドパネル構造と呼
ばれるものがあるが、この構造はパネルの外面とほぼ同
一外形、同一曲率を有する厚さ約３ＴｆｒＩｎ程度の両
型面または片主面に主として化学的な方法により細かな
エツチングが施こされたガラス製パネルをブラウン管の
パネル外面に例えばポリエステル樹脂などで接着したも
のが提案されている。

然るに前記した構造は主としてブラウン管の爆縮に対す
る防爆用として開発されたものであり、テレビジョン用
ブラウン管に全面的に採用された時期もあったが、コス
ト高であり、またブラウン管の再生時にポリエステル樹
脂などを除去しにくい欠点があり、現在はバンド補強な
どによるより経済的な補強構造が主として用いられてい
る。

次に第２の構造としてはブラウン管のパネル自体の外面
に反射防止処理を行なった構造があるがこの構造のうち
、ブラウン管の製造前即ち未処理のパネルに反射防止処
理を行なったものは、その製造工程に於てフェースプレ
ートにつき易い軽微な傷を修理出来ないという欠点があ
るし、ブラウン管組立後に反射防止処理を化学的に行な
うことは実施が困難であるし、また機械的にサンドブラ
ストなどを行なうことは所望の粗さを形成させることが
不可能であり、更に有機樹脂被膜をパネル外面にコーテ
ィングして前記パネル外面に反射防止被膜を形成した構
造もあるが、この場合被膜の硬度が不充分なため傷がつ
き易いという欠点がある。

更に第３の構造は反射防止効果を有するよう粗表面に形
成された樹脂パネルをブラウン管のパネル前面に配設す
る構造がある。

この構造のうちには樹脂パネルとブラウン管のパネルと
が分離して配置されている場合と、両者が周辺部のみに
て接着剤を介して固定されている場合とがあり、この構
造は非常に簡便で、かつ経済的な構造であるが、ブラウ
ン管の陽極には１０ＫＶ以上の高電圧が印加され、この
ためパネル外面またはパネル外面を介して樹脂パネル表
面が静電気を帯び、使用中にこの表面に埃が被着するが
、この埃の除去が樹脂パネル付であるため容易に出来ず
、ブラウン管の光出力を減衰させる欠点がある。

本考案は前述した従来の反射防止形ブラウン管の諸欠点
に鑑みなされたものであり、非常に簡単な構造を有する
反射防止形ブラウン管を提供することを目的としている
。

次に本考案の反射防止形ブラウン管の一実施例を図によ
って説明する。

図に於て内面に螢光体層１が被着形成されたパネル２は
ファンネル３を介して、前記螢光体１に射突し、所望画
像を前記パネル２に画かせる電子ビーム４を発射する電
子銃５を内装するネックと、前記パネル２の有効画面外
を取り囲むように設けられた例えば弾性を有するゴム製
の環状バッキング材７と、このバッキング材７に当接す
ると共に前記パネル３との間に空間部８が介在するよう
に配設された反射防止処理を施こした附加パネル９とか
らなり、前記附加パネル９は前述したラミネーテイド構
造の時に説明したように表面に細かいエツチングが施こ
されたガラスパネルとか、前記第３の構造の説明で述べ
たような適当な粗表面に形成された樹脂パネルが用いら
れているが硬度の面から考慮すると前者即ちガラスパネ
ルの方が望ましい。

また前記空間部８の厚さはバッキング材７の厚さで適当
に設定することが出来るが通常は１ｒＩｒＩｎ前後とす
ることが望ましい。

前述の如く附加パネル９をバッキング材７を介してパネ
ル２外面に対設した後に前記空間部８を減圧する。

この減圧方法は例えば注射針をバッキング材７に貫入し
簡便な排気装置で減圧すればよい。

この減圧の程度は特に良好な真空度は不必要であり、附
加パネル９がパネル２に充分固定される程度でよい。

この場合パネル２とバッキング材７との間、バッキング
材７と附加パネル９の間は特に接着剤を用いて固定する
必要はないが補助的に接着剤を有いてもよいことは云う
までもない。

前述した様な構造を有することにより従来のラミネート
パネル構造のようにパネル外面と附加パネルとの間に液
体状樹脂を注入し、その後この樹脂を固化させるなどの
複雑な工程を必要としないで、反射防止処理を行なった
附加パネル９をパネル２外面に固定することが出来るし
、また附加パネル９とパネル２外面との間の空間部は完
全に密封されているので使用中に外部より、埃が入り込
むことはないし、ブラウン管製造工程中や成品になって
からも前記空間部に空気を入れることにより簡単に附加
パネルを取りはずすことが可能であるばかりでなく、附
加パネルの交換も非常に簡単に行なうことが出来る利点
がある。

また前記実施例は従来のラミネーテイドパネル構造のよ
うに防爆能力はないが、通常のバンド補強構造などと併
用することにより附加パネルは外部からの衝撃に対して
緩衝の働きをするし、またバルブ破損時にブラウン管を
構成するガラス破片が前方に飛散するのを防止する働き
もあるので爆縮に対する安全性も極めて向上する利点も
あり、本考案の反射防止形ブラウン管は低コストで反射
防止効果及び爆縮に対する安全性を高めることが可能で
あり、その工業的価値は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の反射防止形ブラウン管の一実施例の構造を
示す簡略断面図である。 ２°ａｂａｓｅパネル、 ７・・・・・・パラキンク材、 訃・・・・・空 間部、 ９・・・・・・附加パネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内面に螢光体層を被着形成したパネルと、前記パネルに
   ファンネルを介して連接され、前記螢光体層に射突し所
   望画像を前記パネルに画かせる電子ビームを発射する電
   子銃を内装するネックと、前記パネルの有効画面外を取
   り囲む環状バッキング材と、前記バッキング材に当接す
   ると共に前記パネルとの間に介在する空間部を大気圧よ
   り減圧することにより保持された反射防止処理を施こし
   た附加パネルとを有することを特徴とする反射防止形ブ
   ラウン管。