JPS6035510Y2 - 脱水機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は脱水槽内に散水筒を備え、所謂脱水すすぎ機能
を有せしめた脱水機に関する。

脱水すすぎ機能を有する脱水機、即ち脱水槽として作用
する脱水能内に収容した洗濯物に清水を供給しつつこれ
を回転させることによって、洗剤骨を含んだ洗濯物に清
水を浸透させると共にこれを遠心力により脱水するよう
にして、すすぎを行う構成の脱水機としては、従来より
周壁に多数の噴水孔を穿設した散水筒を脱水能内の略中
央部に立設し、脱水筒を間欠的に回転させながら清水を
前記散水筒にて供給することによって、散水筒内に水を
貯留しつつこれを遠心力により散水筒周囲の洗濯物に向
けて散出させるようにしたものが供されている。

しかしながら上記１ａＩＲ，のものによる脱水すすぎ運
転の性能試験中、これまでの洗濯槽によるすすぎ運転で
は存在しなかった次のような脱水すすぎ特有の問題のあ
ることが判明した、即ち、脱水すすぎ完了後の洗濯物を
調べた結果、その洗濯物の所々に赤に斑点状の染を生じ
ていた。

そして脱水すすぎに用いたものと同質の水により洗濯機
の洗濯槽内ですすぎを行っても洗濯物にはそのような斑
点状の染は生じていなかった。

そこで検討を進めた結果、染の物質が酸化鉄粉であり、
これを含んだ水が散水筒の噴水孔から洗濯物の一点に激
しく且つ集中的に当り、洗濯物その一点がフィルタの如
く作用しここに酸化鉄粉が捕集されてしまうためである
ことが判明した。

即ち、すすぎに用いられる水源は概して飲料用の水道水
であるから酸化鉄粉の含有量も微量であって通常のすす
ぎにおいては全く染の原因にはならないのであるが、脱
水すすぎにおいては無視できないこととなったのである
。

そこで本考案の目的は散水筒から水を周囲の洗濯物に向
は霧状に酷似する状態となるまで十分に分散して放出し
得る構成とすることにより、酸化鉄粉等水中に含む微量
粉末異物によって洗濯物に斑点状の染を生じてしまうこ
とを防止できるようにすると共に、これを実現するため
に特殊構成となした散水筒の上端開口部に洗濯物がその
出し入れの特に投入に際して引掛り易くなって布を毛羽
室たせしてしまうことも同時に防止でき、更には散水筒
内に小物が侵入してしまうこと等も防止できる脱水機を
提供するにある。

以下本考案の一実施例について図面を参照しながら説明
する。

１は周壁に多数の脱水孔２を形成した脱水槽で、その底
部壁を脱水軸３と一体的な取付金具４にボルト５によっ
て連結している。

６は前記ボルト５によって脱水槽１の内底部に取着され
た連結環体であってこれにはバヨネット係合機構をなす
１字状の係合溝７を複数個形成している。

８は円筒状をなす上下端開放形の散水筒であり、これは
壁中に約４０μの通水性微細孔が無数に散在する多孔質
材にて形成している。

この実施例で用いた散水筒８はスペイン−ケミカル（株
）の商品名スペイシーと称される焼結高分子多孔質体で
ある。

これは、材質がポリプロピレンであり、壁厚３０７ｒｒ
Ｉｒｔのものにおいて空孔率が３５％、平均空孔径が２
０〜７０μのものである。

この散水筒８はそのままでは表面が粗く布の繊維が引掛
り易いので高熱溶融処理して表面を平滑にしている。

しかしながらこの表面処理は必要に応じて行なえばよい
ものである。

９はプラスチックにより射出成形された連結口体であり
、強度を上げるために下面のみを開放した構造になし、
そしてその上面壁に環状溝１０を形成すると共に中央部
分に水抜き孔１１を形成している。

この連結口体９は、散水筒８の下端開口部にこれを前記
環状溝１０に嵌合させた状態で加熱溶着している。

１２は連結口体９の外周に突設された複数個の保合突起
で、この保合突起１２を前記連結環体６の係合溝７に係
合させることによって散水筒８を脱水槽１の内底部に着
脱可能に立設させる。

１３は短円筒状の注水受キャップであり、プラスチック
の射出成形によって表面が円滑化された状態に形成され
たものである。

この注水受キャップ１３の内部に有する水平隔壁にはそ
の中央部分で上方へ膨出する水分散部１４とこに水分散
部１４の周囲で環状配列状となる複数個の通水孔１５と
を形成してる。

この注水受キャップ１３はその下端外周に形成した径小
部分を散水筒８の上端開口部内に嵌合することによって
これに着脱可能に被着している。

この被着状態で散水筒８の上端外縁が注水受キャップ１
３の外周から外方に出ることのないように予め寸法関係
が設定されている。

尚、１６は脱水槽１の底部壁に形成された通水小孔、１
７は布押え板である。

次に上記構成の作用について説明する。

先ず、脱水すすぎを行なうために、図示しない洗濯槽内
で洗い終えた洗濯物１８を脱水槽１内における散水筒８
の周囲空間に移し入れ、この状態で脱水槽１を例えば間
欠的に回転させながら、注水受キャップ１３に向けて図
示しない注水口から矢印１９で示すように注水する。

すると水は水分散部１４に当って分散されその周囲の通
水孔１５を介して散水筒δ内に連続的に供給される。

この状態において散水筒８は脱水槽１と一体に高速回転
しているため、該散水筒８内の水はその水頭に加え遠心
力を受け、周壁に有する無数の通水性微細孔から周囲の
洗濯物１８に向かって勢いよく放出される。

そしてこの水は洗濯物１８内を遠心脱水作用によって通
過し、最終的に脱水槽１の脱水孔２から図示しない脱水
受槽内に放出される。

このような脱水すすぎにおいて、散水筒８内の水は上記
のように壁中に無数に散在する通水性微細孔を通過して
洗濯物１８に放出されるものであるから、その放出水は
霧状に酷似した十分に分散されたものとなる。

従って噴射水が洗濯物の一点に集中して当る従来方式の
ものに見られるような酸化鉄粉等微量粉末異物による洗
濯物１８への斑点状条の発生を効果的に防止することが
できるものであり、洗濯槽内でのすすぎ作用と同様の染
発生防止効果が得られ、また放出水が十分に分散してい
るためすすぎむらをも防止できる。

本考案は以上の説明から明らかなように次のような効果
を得ることができる。

即ち上述の如く散水筒を壁中に通水性微細孔が無数に散
在する多孔質材にて形成しているため、洗濯物への放出
水を霧状に酷似するように十分に分散でき、脱水すすぎ
中に酸化鉄粉等水中に含む微量粉末異物によって洗濯物
に斑点状の染を生じてしまうことを確実に防止できる。

ところで、多孔質材は本質的に表面が粗い上に、散水筒
の上端開口部に洗濯物がその出し入れ時に特に投入時に
引掛かるように強く当り易い事情にあり、このままでは
その繊維が毛羽立ってしまう。

これを防止するには散水筒の上端開口部までも加熱溶融
手段によって表面処理し平滑化すればよいが、これは必
らずしも容易な作業ではない。

しかしながら本考案では散水筒の上端開口部に本来的に
平滑な表面をもつプラスチック製に注水受キャップを設
けているのでこれに洗濯物がその投入時に強く擦られる
ようなことがあってもこれによる洗濯物が毛羽立ち現象
を防止できる。

その上、注水受キャップには複数の通水孔を設けること
によって散水筒の上端開口部を一種のストレーナにより
塞いだ事と同様にしているので、散水筒内への小物の侵
入も防止できる。

また、本考案の上記実施態様によれば以下述べる効果が
得られる。

即ち、注水受キャップには本来網目状の通水孔を形成し
てもよいことは勿論であるが、特に上記実施態様では通
水孔を環状配列状に形成した構成にあることから注水受
キャップから放出される水が一様に円筒状に分散され散
水筒の内周面に一様に伝わって流下することとなり、従
って水源水圧が低下して注水流量が減少した場合でも散
水筒から水を一様に放出することができる。

また、散水筒は多孔質材であるためそれ自体の強度向上
を図ることは困難であるが、散水筒の下端に通常のプラ
スチック成形品である連結口体を連結し、この連結口体
によって散水筒を脱水槽内に立設せしめているので、脱
水すすぎ中に散水筒に振れ回り振動を受けその外力が立
設部分に作用してもこれに対抗する立設強度を連結口体
をもって容易に得ることができる。

更に、多孔質材の場合、通水性微細孔の通水抵抗が表面
張力によって比較的大きいから、遠心力の小さい回転停
止直前若しくは停止中に受けた水が散水筒内に残り易い
と云う事情を有するが、実施態様では連結口体に水抜き
孔を設けているから残水を生じてしまうことを防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は脱水槽
と共に示す縦断面図、第２図は連結環体の拡大破断斜視
図、第３図は散水筒の斜視図、第４図は完成状態の縦断
面図、第５図は注水受キャップ装着部分の斜視図である
。 図中、１は脱水槽、８は散水筒、９は連結口体、１１は
水抜き孔、１３は注水受キャップ、１５は通水孔である
。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 散水筒を脱水槽内に配置し該散水筒の周壁から周囲
   の洗濯物に水を放出して前記脱水槽の回転により遠心脱
   水することによってすすぐものにおいて、前記散水筒を
   壁中に通水性微細孔が無数に散在する多孔質材にて形威
   し且つ該散水筒の上端開口部にこれの内部に臨む複数の
   通水孔を有するプラスチック製の注水受キャップを設け
   たことを特徴とする脱水機。 ２ 注水受キャップの通水孔は環状に配列されているこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記載の
   脱水機。