JPS6028675Y2 - 高炉熱間内観察装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、高炉熱間炉内観察装置に関するものである。

周知の如く高炉の炉壁は、鉄皮の内側に耐火煉瓦を構築
して構成されているのが一般的構造である。

この煉瓦は、高炉作業に伴い、例えば炉内を酵下する炉
内装入物、あるいは高温の炉内ガスとの接触等によって
徐々に損耗する。

特に高炉寿命の末期に近くなると、この損耗は激しくな
り、それに対応した適確な補修を施さなければ鉄皮に亀
裂が発生したり、ガス洩れを生じ、ひいては炉寿命を著
しく短くする等、重大な問題をかかえている。

このため従来より、前記炉壁損耗部を補修する技術が種
々提案されている。

例えば、本出願人が提案する炉内装入物レベルを通常レ
ベルより降下させる減尺操業を行い、炉頂部と装入物レ
ベルとの間に形成した空洞を利用して、炉内より炉壁損
耗部へ不定形耐火物を吹き付けて補修する技術、また他
の当業者の提案する鉄皮を開口して不定形耐火物を充填
して炉壁損耗部を補修する技術がある。

これら補修技術は優れたものとの評価があるようである
。

ところが高炉は竪形の密閉容器であり、しかも炉内は高
温でＣＯガスのような有毒ガスや、粉塵が浮遊した悪環
境下にあるため、炉内稼動面、例えば炉壁の損耗部、あ
るいは損耗状況を正確に把握することは困難である。

従来、この把握は、専ら鉄皮の赤熱状態、あるいは、温
度推移、亀裂、ガス洩れ状況等によって推定するのが一
般的である。

従って前記補修技術が優れていても、炉壁損耗状況を正
確に把握できなければ、充分な補修効果を得ることがで
ないのが現状である。

ただし、高炉熱間炉内を観察する手段は、次のような理
由でこれまで存在しなかったと考えられる。

（１）高炉を減尺操業し、炉内を補修したり、観察した
りすることは、炉況に悪影響を与えるとして問題視する
雰囲気が高炉技術者間の一般常識であり、このため実用
化するに必要な炉況データーが充分になく、従って炉内
観察装置の具体的設計ができていなかった。

（２）高炉は竪形の密閉容器であり、減尺していても下
部には高熱装入物があり、炉内雰囲気は悪く、炉内寸法
も部位によって変っている。

また炉壁損耗部は、炉頂より約２０ｍの範囲内でランダ
ムに発生するので、炉内観察装置の垂下手段は、例えば
揺動現象が発生し難く昇降自在で耐熱性を有する等上記
の炉内環境に対応できるものでなければならない。

従って、公知の煙突等の内面観察のために、テレビカメ
ラをロープで垂下するようなものは、高炉内で実用化す
ることはできない。

特にロープ等で観察装置を垂下したたけでは、耐熱性と
いう基本的条件が満されないほか揺動が激しく、テレビ
モニターの画面の静止及び撮影箇所の相対的ずれの発生
が著しいため実用に供し得ない。

仮りにきに揺動を防止するための手段を講じたとしても
、適正に旋回腰昇降できなければ炉内壁状況を適確に把
握することはできない。

本考案は、斯かる実状に鑑み、高炉熱間炉内観察装置を
提供せんとするものである。

すなわち、本考案は高炉頂部に設けた旋回装置９に伸縮
自在なスライドマスト７を垂下取り付けし、該マスト７
の下方先端に透明は覗き窓１２を有し水冷ジャケット１
８で冷却、した略密閉状のカメラケース６ａと、その下
方に空冷した冷却箱６ｂを取り付けると共に、前記カメ
ラケース６ａには透明な覗き窓１２へ鏡面を指向させて
反射鏡１４を設か、また上記冷却箱６ｂには点滅自在な
照明装置１３を設け、且つテレビカメラ１０、照明装置
１３の電気ケーブル１６ａ、１６ｂを可撓自在な冷却管
２３内を通して昇降自在に炉外のテレビモニター８と接
続して構成するものである。

しかして本考案は、熱間状態にある高炉炉内稼働面の損
傷状態を炉外からの適確な操作で適確に把握できるので
、既述の炉壁補修をより効果あるものにできる。

また本考案は、補修以外に、装入物状況、炉内診断等に
も利用することができ、従来の高炉操業及び保守管理の
向上を著しく改善できる有益な効果がある。

以下本考案を第１図〜第４図に示す実施例により更に詳
細に設計する。

第１図は本考案に基づく一実施例を示す高炉炉内熱間観
察装置（以下観察装置と云う）の全体構成図である。

図において１は炉体鉄皮、２は炉内、３は炉壁、４は大
ベルを示す。

５は本考案の観察装置を示すものであり、該観察装置５
は後述する各装置を内蔵した略密閉状の容器６と、該容
器６を昇降せしめる伸縮自在なスライドマスト７と炉外
に設置したテレビモニター８とから構成している。

前記容器６は、第２図に示す様にテレビカメラ１０を内
蔵する水冷部分、即ちカメラケース６ａと、照明装置１
３を内蔵する照明装置冷却箱６ｂに区分されている。

カメラケース６ ａ 下部には、透明の覗き窓１２を備
えている。

覗き窓１２の奥には反射鏡１４がカメラ支持台１５に固
定され反射鏡１４の上方、即ちカメラケース６ａの上部
には、反射鏡１４の映像が撮影できる位置にテレビカメ
ラ１０がカメラ支持台１５に固定されている。

照明装置１３、テレビカメラ１０は電気ケーブル１６ａ
、１６ｂ（以下ケーブルと云い、種々のケーブルを総称
して云う時はケーブル１６と云う）を介して炉外の制御
装置１７、テレビモニター８に直結している。

照明装置１３は必要に応じて点滅できる様構成されてい
る。

テレビカメラ１０は照明装置１３の点灯によって照明さ
れた炉壁３の壁面３ａを反射鏡１４に映し、反射鏡１４
に映る壁面聖像を撮影する為のものである。

テレビカメラ１０は前記ケーブル１６ｂを介して炉外の
テレビモニター８に連結し、テレビカメラ１０で撮影さ
れた前記壁面映像はテレビモニター８に映し出され、こ
れによって壁面３ａの観察が行える。

而して容器６は炉頂に設けた旋回装置９に取付・けたス
ライドマスト７により旋回、昇降操作され、炉内の円周
方向及び炉高方向の所望の範囲の壁面観察可能となる。

尚、第２図に於て１１はズーム装置である。

第２図において覗き窓１２は耐熱性、例えば石英カラス
等のガラス板である。

カメラケース６ａのジャケット１８は、その下部より給
水管１９により冷却水が供給され、ジャケット１８上部
の排水管２０より排出され、テレビカメラ１０、ズーム
装置１１を高熱から保護する。

テレビカメラ６ａの内側に圧縮空気を入れることは炉内
雰囲気からテレビカメラ１０、反射鏡１４、ケーブル１
６ｂ等を保護する為好ましいことである。

又、覗き窓１２については清浄な空気を吹き付はガラス
表面の粉塵を除くことは好ましいことである。

照明装置冷却箱６ｂは給水管２２からの圧縮空気により
冷却され、かつその排気は投光機表面を清浄化する構造
になっている。

照明装置１３のケーブルはカメラケース６ａの下部ケー
ブル孔２１を通ってカメラケース６ａ内に入り外部に連
結している。

前記給排水、及び給気は、炉外の図示しないそれぞれ給
排水装置及び給気装置に連設した例えばゴムホースの如
き可撓性の管体を給水管１９、排水管２０、給気管２２
に接続することによって可能である。

１９，２０．２２を総称して冷却管２３という。

これら冷却管を集合させてその外側に例えば石綿等の断
熱材をまくことは、冷却管２３の保護の上好ましいこと
である。

ケーブル１６はこの冷却管２３に内蔵させて配設する。

第３図は、冷却管２３よりケーブル１６を分離する構造
を示し、第３図イは炉外で、第３図口が炉内カメラケー
ス６ａとの接続部である。

冷却管２３の端末のシール２４は、例えばゴム栓を使用
することにより漏水、浅見の防止が可能である。

容器６は第１図に示すように旋回、伸縮自在なスライド
マスト７に取付られる。

９は旋回装置である。

スライドマスト７の最下段のマスト内部にワイヤーロー
プ５２を取付け、滑車２６を経てウィンチ（図示してい
ない）で該でワイヤーロープを捲取り、捲戻し操作によ
り伸縮する。

第１図イは最短状態を、第１０は最長の状態を示す。

スライドマスト７の伸縮により該容器６は昇降する。

又旋回装置９の操作で該容器６は円周方向に回転する。

第４図は、本考案装置５のうちテレビカメラ１０を内蔵
した容器６を炉内へ挿入し、且つ降下せしめる実施例を
示すものである。

本実施例では炉頂に設けたマンホール２７を利用して挿
入するものであって、スライドマスト７と容器６はマン
ホール２７の傾きに合わせ傾動できる様になっており、
これにより大ベル４と炉体鉄皮１の僅かな間隙からでも
挿入降下できる。

容器６はその意味でできるだけコンパクトに設計しであ
る。

このコンパクト化のため第２図に示すようにテレビカメ
ラ１０のズーム装置１１を下方へ向け、反射鏡１４へ指
向して構威しである。

スライドマスト７と容器６接合は、２本のターンバック
ル２８で行なわれている。

さて、本考案の観察装置５だ壁面観察を行うには、まず
炉内装入物の装入レベルＸ（第１図参照）を観察を必要
とする壁面３ａが露出する所定レベルまで減尺させて操
業を停止体風する。

この減尺は、本願出願人が開発提案している減尺あるい
は周知のものでよい。

然る後容器６を前述した手段に基づき炉内に挿入し、昇
降用ウィンチ（図示していない）及び集合冷却管２３の
昇降用ウィンチ（図示していない）を操作し、所定位置
まで降下させる。

次いで炉外の制御装置１７により照明装置１３を点灯す
ると共に、スライドマスト７の旋回装置９と、昇降用ウ
ィンチを操作し、反射鏡１４を通して壁面映像を炉外の
テレビモニター８に映し壁面を観察する。

かくして壁面の損耗状況、損耗位置等が正確に把握でる
。

本考案の観察装置では容器６の支持に剛体のマストを使
用している為、旋回、昇降が正確に操作でき、ワイヤー
ロープ等で支持し場合の様な画面の揺れがなく正確な確
祭ができる。

又、旋回、昇降をマストで行う為、容器の構造が簡単に
なり、容器寸法がコンパクトで、炉頂マンホールからで
も容易に挿入できる。

容器保護装置としては、降下中袋入物との衝突をさける
ため、第２図の衝突防止装置２９をつけることが望まし
い。

この原理は重錘３０を吊下げたリミットスイッチのアー
ム３２が、装入物上に重錘３０が乗ることにより動作し
て炉外に表示、又は警報を発し下降停止を知らせるもの
である。

本考案の中で容器６の旋回動作の代りに、覗き窓１２を
全周に設は反射鏡１４を回転させても良いが、この場合
テレビモニターの映像の上下方向が、反射鏡１４の回転
に従って変っていくという現象が表れ観察に不都合が生
じる。

これを防ぐには、反射鏡１４、テレビカメラ１０を一体
として回転させれば良いが、容器寸法が大きくなり、高
炉での使用は炉内へ挿入（装入）することが支障となり
実用的でなくなる。

本考案で容器６の炉内位置が高炉芯を離れ炉壁側に片寄
っているが、ズーム装置１１を制御することにより前記
壁面映像は全周にわたり鮮明に撮影できることが本考案
者等の経験で確認された。

又、映像を記録させる為ＶＴＲ３１を設けることも好ま
しいことである。

以上の様に本考案の観察装置の提供によって悪環境の炉
内に於ても炉壁の観察が容易、且つ正確に行なえる様に
なる。

従って例えば該観察装置によって定期的な炉壁の点検、
あるいは炉壁補修中、又は補修後の補修状況の確認等が
必要に応じて髄時行なえる様になり、これに基づいて熱
間での炉壁補修が適確なタイミングで、しかも確実に行
なえる様になる。

又、上記効果と共に本考案装置は前述の如く構成作用す
るので ■ テレビモニター画像が安定している。

■ 容器寸法がコンパクトで取り扱いが容易である。

■ カメラと照明装置を分離しているので、冷却が効果
的であり、容器寸法がコンパクトである。

■ 覗き窓等の強度的に弱い部分を必要最小限にしてい
る為、取扱いが容易である。

■ 反射鏡を固定として容器全体を回転させる方式の為
画面で上下方向が反転する様なことがなく観察が容易で
ある。

■ 下降中装入物に近づくとこれを検知して警報する為
安全である。

以上の様に本考案の実用的効果は非常に大である。

【図面の簡単な説明】

各図は本考案に基づ〈実施例を示すもので、第１図イ９
口は炉内熱間観察装置の一実施例を示す全体構成図、第
２図は容器の一実施例を示す断面図、第３図イ９口は管
体とケーブルの分離構造を示す構成国、第４図は炉内へ
の容器の挿入及び下降手段を示す断面構造図である。 １・・・・・・炉体鉄皮、２・・・・・・炉内、３・・
・・・・炉壁、３ａ・・・・・・４面、４・・・・・・
大ベル、５・・・・・・観察装置、６・・・・・・容器
、６ａ・・・・・・カメラケース、６ｂ・・・・・・照
明装置冷却箱、７・・・・・・スライドマスト、訃・・
・・・テレビモニター ９・・・・・・旋回装置、１０
・・・・・・テレビカメラ、１１・・・・・・ズーム装
置、１２・・・・・・覗き窓、１３・・・・・・照明装
置、１３ａ・・・・・・投光機、１４・・・・・・反射
鏡、１５・・・・・・カメラ支持台、１６・・・・・・
電気ケーブル、１６ａ・・・・・・照明装置ケーブル、
１６ｂ・・・・・・テレビカメラケーブル、１７・・・
・・・制御装置、１８・・・・・・ジャケット、１９・
・・・・・給水管、２０・・・・・・排水管、２１・・
・・・・ケーブル孔、２２・・・・・・給気管、２３・
・・・・・冷却管、２４・・・・・・シール、２５・・
・・・・ワイヤロープ、２６・・・・・・滑車、２７・
・・・・・マンホール、２８・・・・・・ターンバック
ル、２９・・・・・・衝突防止装置、３０・・・・・・
重錘、３１・・・・・・ＶＴＲ，３２・・・・・・アー
ム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高炉頂部に設けた旋回装置９に伸縮自在なスライドマス
   ト７を垂下取り付けし、該マスト７の下方先端に透明な
   覗き窓１２を有し水冷ジャケット１８を冷却した略密閉
   状のカメラケース６ａと、その下方に空冷した冷却箱６
   ｂを取り付けると共に、上記カメラケース６ａには透明
   な覗き窓１２へ鏡面を指向させて反射鏡１４を設け、ま
   た上記冷却箱６ｂには点滅自在な照明装置１３を設け、
   且つテレビカメラ１０、照明装置１３の’［気ケーブル
   １６ａ、１６ｂを可撓自在な冷却管２３内を通して昇降
   自在に炉外のテレビモニター８と接続してなる高炉熱間
   炉内観察装置。