JPS6028405Y2 - 高分子圧電フイルムを用いた生体用トランスジユ−サ− - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は胎児心音計或は胸壁上にて使用する通常の心音
計などとして使用して最適な高分子圧電フィルムを用い
た生体用トランスジューサーに関するものである。

従来のこの種のトランスジューサーは、高分子圧電フィ
ルムの両面に電極を装着させた平板状の構造であった。

しかしながら、このような構造では微弱な心音を計測す
る心音計としては感度が低い欠点があった。

また、従来のこの種の心音計では生体の機械インピーダ
ンスとの整合については全く配慮がなされていない欠点
があった。

本考案の目的は、高感度で、且つ生体の機械インピーダ
ンスとの整合も容易にとることができる高分子圧電フィ
ルムを用いた生体用トランスジューサーを提供するにあ
る。

本考案に係る高分子圧電フィルムを用いた生体用トラン
スジューサーは、片側に滑らかな凸表面を有しその反対
側に被検体接触面を有する柔軟性に富むはＳ゛非圧縮性
の材料よりなる中実の圧力伝達体と、該圧力伝達体の前
記凸表面上に密着して張設された高分子圧電フィルムと
、前記高分子圧電フィルムが前記凸表面上に密着したま
ま緊張した状態となっているように前記高分子圧電フィ
ルムの周辺部を保持する剛体枠と、前記高分子圧電フィ
ルムの表裏両面間に生ずる電圧を取り出すための手段と
を備えていることを特徴とするものである。

以下、本考案の実施例を図面を参照して詳細に説明する
。

第１図及び第２図に示すように本実施例の高分子圧電フ
ィルムを用いたトランスジューサーは、シリコンゴム等
の柔軟性に富むはＳ゛非圧縮性材料よりなる圧力伝達体
１を有する。

この圧力伝達体１は、片側に滑らかな凸表面ＩＡを有し
、その反対側に被検体接触面ＩＢを有する中実の断面か
まぼこ状をなしている。

この圧力伝達体１の凸表面ＩＡ上には、音響電気変換素
子として高分子圧電フィルム２が一様に密着して緊張さ
れている。

高分子圧電フィルム２の表裏両面には図示しないが薄い
電極面がそれぞれ設けられている。

このような高分子圧電フィルム２は、圧力伝達体１の凸
表面ＩＡ上に密着したまま緊張した状態となっているよ
うに、その周辺の全部又は一部が導電性の金属などの剛
体よりなる２個の剛体枠３，４で緊張状態に保持されて
いる。

高分子圧電フィルム２を剛体枠３，４に固定する手段と
しては、例えは接着剤やビス止め等により行う。

これら剛体枠３，４は高分子圧電フィルム２の表裏両面
にそれぞれ電気的に接続され、且つこれら剛体枠３，４
には導線５が接続されていて、高分子圧電フィルム２の
表裏面間に生じた電圧信号を外部に取り出す手段が形成
されている。

圧力伝達体１とは反対側において高分子圧電フィルム２
を保持するために被覆カバー６が配設され、剛体枠３に
必要に応じて取付材７を介して周縁部が固定されている
。

被覆カバー６には複数の通気孔８が設けられている。

このようなトランスジューサーは、圧力伝達体１の被検
体接触面ＩＢを生体の所要の面に接触させて、例えばば
んそうこう等の粘着テープ等で生体に固定して使用する
。

圧力伝達体１に生体から圧力変動が伝達されると、その
圧力変動は高分子圧電フィルム２に半径方向の伸び応力
の変化として作用し、高分子圧電フィルム２の圧電性に
よってその厚み方向に電荷が発生し、これが電圧信号と
して導線５で外部に取り出される。

このようなトランスジューサーを生体の機械インピーダ
ンスと整合させたり、或は胎児心音計のように狭帯域の
信号を変換したりする場合には、この心音計の中心周波
数の選定や機械的な各種のパラメータの設定が必要にな
る。

これらの点は、構造的には心音計の半径や圧力伝達体１
の凸表面ＩＡの曲率や厚さを変えることにより、また材
料的には圧力伝達体１や高分子圧電フィルム２の材質を
適当に選択することにより容易に設定を行うことができ
る。

特に胎児の心音を測定する場合には、胎児の運動に伴っ
て音源が移動することが多い。

このようなときには、心音計を移動して遂次音源に近づ
けないかぎり確実に心音を捕えることは困難であり、分
娩監視用に心音計を使用する場合の問題点であった。

これに対して、本考案は薄形で軽量なので、１枚の高分
子圧電フィルムに複数の圧力伝達体１を配列（アレイ）
して前述したような構造の複数の心音計を形成して、こ
れらを同時に働かせて心音を採取することにより、腹壁
上の広い部分から心音を捕えることができ、音源の移動
に対処することができる。

本考案の係る生体用トランスジューサーは以上説明した
ように、 ■ 圧力伝達体の滑らかな凸表面に密着させている高分
子圧電フィルムを剛体枠により緊張状態に保持している
ので、圧力伝達体を介して伝えられる被検体の振動（す
なわち高分子圧電フィルム面に対し垂直な振動）が弛み
をもたずに緊張状態にある高分子圧電フィルムにその面
内の引張り応力として確実に変換され、効率よく圧電変
換が行われると）もに高分子圧電フィルムと圧力伝達体
との間の接触ノイズの発生もなく、従来のこの種のもの
よりも高感度なトランスジューサーを提供できる。

■ 高分子圧電フィルムは、圧力伝達体の凸表面に装着
されていることにより、その緊張状態を確実に確保する
ことができる。

■ 高分子圧電フィルムと被検体間に中実の圧力伝達体
を設けることにより、高分子圧電フィルムの被検体との
直接接触による温度差に起因する焦電効果ノイズや、接
触ノイズなどを回避することができると）もに直接接触
による高分子圧電フィルムの機械的損傷も防止すること
ができる。

■ 柔軟性に富む圧力伝達体及び高分子圧電フィルムよ
りなる本考案によれば、その半径、圧力伝達体の凸表面
の曲率や厚さ、また構成材料の材質を選択することによ
り、生体の機械インピーダンスに近い心音計を容易に作
製でき、生体とのインピーダンス整合をはかることがで
きる。

■ 柔軟性に富む圧力伝達体に被検体接触面を設けてい
るので、生体の胸部や腹壁との密着性もよい。

といった諸効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る生体用トランスジューサーの一実
施例を示す平面図、第２図は第１図のＸ−Ｘ線断面図で
ある。 １・・・圧力伝達体、ＩＡ・・・凸表面、１Ｂ・・・被
検体接触面、２・・・高分子圧電フィルム、３，４・・
・剛体枠、５・・・導線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 片側に滑らかな凸表面を有しその反対側に被検体接触面
   を有すると）もに柔軟性に富みはＳ゛非圧縮性の材料よ
   りなる中実の圧力伝達体と、該圧力伝達体の前記凸表面
   上に密着して張設された高分子圧電フィルムと、前記高
   分子圧電フィルムが前記凸表面上に密着したまま緊張し
   た状態となっているように前記高分子圧電フィルムの周
   辺部を保持する剛体枠と、前記高分子圧電フィルムの表
   裏両面間に生ずる電圧を取り出すための手段とを備えて
   いることを特徴とする高分子圧電フィルムを用いた生体
   用トランスジューサー。