JPS6027564B2 - 樹脂製溝状部材を金属板に一体成形する方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は樹脂製溝状部村を金属板に一体成形する方法に
関する。

ビデオテープレコーダなどでは、各種部品が金属板上に
固定された部品取付け部村に取付けられているが、その
一つのテープガイドには溝状部材が用いられている。

第１図にはこのようなテープガイドの構成の概略を示す
もので、１は金属板２上に設けられているガイド壁１１
により構成されるガイド溝で、ガイド溝１内には複数個
のリンク３１，３２，３３をばね４１およびホイール４
２により移動させるためのガイドピン５１，５２，５３
，５４が案内される。このガイド壁には高度の寸法精度
が要求されるため、第２図に示すように、金属などでつ
くられたガイド壁１０を金属板２にねじ６を用いて固定
していた。

しかし、製品の小型化、軽量化及び作業工程の簡易化に
伴ない、ガイド壁を樹脂で成形し、かつ、金属板に一体
成形する必要が生じてきた。

本発明は、寸法精度の良好な樹脂製の溝状部材、例えば
ガイド壁を金属板上に一体成形する方法を提供するとを
目的とし、金属板の一面に接する底坂上にこの底板に垂
直で互いに平行な壁を有する溝状部材と金属板の他の面
に位置し溝状部材を固定するつば部とを、金属板に設け
られ溝状部材の横断方向に相対して位置する少なくとも
一対の貫通孔を介して樹脂を流入させて一体成形し、樹
脂と金属との熱蝿諺張率の差により溝状部材を金属板に
固定することを袴後とするものである。ガイド壁の樹脂
化に当っては、樹脂の特性からくる制約のため、ガイド
壁は機つかに分割して金属板に一体成形することになる
が、当初、本発明者らは第３図に示す方法を試みた。こ
の方法はガイド溝１の底部１２の中心位置に対応する金
属板２上の貫通孔２１から樹脂を流入させ、ガイド壁１
の底部１２と金属板２の他の面に形成されるつば部１３
でガイド壁１１を金属板２に固定するものである。しか
し、ガイド壁１１は第１図に示すようにリンク３１，３
２および３３がガイド肇１１をガィドーこして移動する
ため、ガイド壁１１は壁に直角な方向に力を受ける。こ
のような力（Ｐ）を受けると、ガイド壁１１を構成する
樹脂と金属板２との境界７が剥離し、第４図に示すよう
に隙間８を生じガイド壁１１が懐いたり、変形する。ま
た、この他、樹脂特有の問題として、第５図に示すよう
に樹脂の成形収縮により金属板２と樹脂との間に隙間８
を生じ相対向するガイド壁１１，１１が内側に向ってた
おれる場合を生じることがわかり、これらの問題点の存
在する限りは実用化が困難なことが明らかとなった。本
発明はこれらの検討の結果、これらの二つの変形が何れ
も、樹脂と金属板との接着力が、例えばリンクのガイド
ピンから加わる力および樹脂の成形収縮により生じる力
よりも弱いために生じることに着目し、金属板の貫通孔
を通して一体となっている金属板の上下両面の樹脂の成
形収縮力により樹脂のガイド壁を金属板に固定する際に
、ガイド壁の横断方向に相対して配設される一対の貫通
孔を用い、これによって、第４図、第５図に見られる隙
間８の発生を防止可能とし、変形が少なく寸法精度のよ
い樹脂製のガイド壁の形成を可能としたものである。以
下、実施例について説明する。

第６図、第７図および第８図はそれぞれ異なる実施例を
示したもので、２は金属板、１１はガイド壁、２２およ
び２３は金属板２に設けられている貫通孔、１２はガイ
ド溝１の底部、１３は金属板２のガイド肇１１と反対側
に設けられているつば部１４はガイド壁１１に設けられ
ているつば部でガイド溝１の底部１２とともに溝状部材
の底板を形成する。

第６図はガイド壁１１，１１直下に貫通孔２２および２
３を設けたもの、第丁図はガイド壁１１，１１の両側に
つば部１４，１４を設け、ガイド蓬１１直下及びつば部
１４の下にかけて貫通孔２２および２３を設けたもの、
第８図はガイド蟹１１，１１の両側につば部１４，１４
を設けガイド壁１１の外側位置の金属板に貫通孔２２お
よび２３を設けガイド肇１１，１１を固定したものであ
る。第９図はこれらのガイド肇に生ずる成形収縮力を有
限要素法を用いて計算した結果を示したもので、機軸に
は中央を０とした時の距離（肋）、縦軸には収縮による
残留応力（ｋ９／地）がとってあり、Ａ，ＢおよびＣは
それぞれ、第６図、第７図および第８図の場合の結果を
示しており、Ｄ，ＥおよびＦはそれぞれ、第６図、第７
図および第８図の場合の貫通孔の位置を示している。

この結果は第８図に示す場合が最も変形し‘こくく、従
って寸法安定性がよいガイド壁が得らられることを示し
ている。なお、一つのガイド溝を金属板に固定する湯口
、一般には一対の貫通孔で固定するが、ガイド溝の横方
向長さが長い場合には二対以上の貫通孔を用いる場合も
ある。

成形用樹脂としては、ガイド壁に接しながらリンクのガ
イドピンが移動するため耐摩耗性に優れ、自己潤滑性の
ある樹脂が望ましく、従って軸受材料としても用いられ
ているポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエス
テル、ポリカーボネ−ト樹脂が使用でき、・この他これ
らの樹脂にポリテトラフロロェチレン、潤滑油、ガラス
繊維を添加した樹脂を用いることができるが、ポリアセ
タール樹脂、ポリエステルを用いた場合に最も良い結果
が得られている。

第１０図は他の実施例で、第６図、第７図および第８図
と同一部分には同一符号が付してあり、これらの場合と
異なる点は、ガイド肇の中間にさらに貫通孔を設けてい
る点で、２４はこのような貫通孔を示している。

このような方法を用いる場合には、樹脂と金属板の固定
力が大きくなるため、ガイド壁に加わる外力が大きい場
合にもガイド壁の変化を小さくすることができる。第１
１図はさらに他の実施例を示すもので、第６図、第７図
および第８図と同一部分には同一符号が付してあり、こ
れらの場合と異なる点は、ガイド肇１１にリプ１５をつ
けてガイド壁１１を補強した点であり、この方法を用い
ることによりガィド壁が倒れるのをさらに効果的に防止
することができる。

以上、実施例記載のガイド壁においては、リンクから加
わる力、樹脂の成形収縮による力を、貫通孔を通して一
体となっている金属板の上下両面の樹脂の収縮力により
平衡させることができるので、寸法変化の少なく精度の
よい樹脂のガイド壁をつくることができる。

また、耐摩耗性に勝れ、自己潤滑性のある樹脂を用いて
いるので、耐久性があり、給油の必要のないガイド壁を
作ることができる。以上の如く、本発明の樹脂製溝状部
材を金属板に一体成形する方法は、寸法精度の良好な樹
脂製の溝状部材を金属坂上に一体成形可能とするもので
、工業的効果の大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はビデオテープレコーダのテープガイドの構造の
説明図、第２図は従来のガイド壁の横断面図、第３図は
本発明者らが検討のため試作したガイド壁の横断面図、
第４図および第５図は第３図のガイド壁のそれぞれ異な
る変形状態を示す横断面図、第６図、第７図および第８
図は本発明の樹脂製溝状部材を金属板に一体成形する方
法のそれぞれ異なる実施例におけるガイド壁の横断面図
、第９図は第６図、第７図および第８図のガイド壁に対
する樹脂内の応力の計算結果を示す線図、第１０図およ
び第１１図は同じくそれぞれ異なる実施例におけるガイ
ド壁の横断面図である。 １……ガイド溝、１１……ガイド壁、１３，１４・・・
・・１つば部、１５・・・・・・リブ、２・・・・・・
金属板、２２，２３，２４・・・・・・貫通孔。 第２図 第３図 第４図 第５図 弟’図 第６図 弟７図 第８図 弟 ／／ 図 弟？図 弟 ／〃 図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金属板の一面に接する底板上に該底板に垂直で互い
   に平行な壁を有する溝状部材と前記金属板の他の面に位
   置し前記溝状部材を固定するつば部とを、前記金属板に
   設けられ前記溝状部材の横断方向に相対して位置する少
   なくとも一対の貫通孔を介して樹脂を流入させて一体形
   成し、前記樹脂と前記金属との熱膨張率の差により前記
   溝状部材を前記金属板に固定することを特徴とする樹脂
   製溝状部材を金属板に一体成形する方法。 ２ 前記貫通孔が前記溝状部材の壁の位置により外側に
   位置する貫通孔である特許請求の範囲第１項記載の樹脂
   製溝状部材を金属板に一体成形する方法。 ３ 前記樹脂がポリアセタール樹脂またはポリエステル
   樹脂である特許請求の範囲第１項または第２項記載の樹
   脂製溝状部材を金属板に一体成形する方法。