JPS602386Y2 - エンジン冷却水用サ−モスタット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車等に用いられる水冷式エンジンにおいて
、エンジン冷却水温度に応じてラジエタに流れる水量を
加減し、エンジン水温を適温に調節するために用いられ
るエンジン冷却水用サーモスタットに関するものである
。

従来周知のこの種のサーモスタットにおいてはエンジン
冷却水温度が設定温度以上になるとワックスの溶融によ
る体積膨張を利用して主弁を開口させ、これにより、エ
ンジン冷却水をラジエタ側へ流すことにより、エンジン
冷却水の温度調整を行うようにしている。

そして、前記ワックスを収納しているサーモエレメント
の中央凸部に主弁を設置し、かつサーモスタット組付後
における開弁温度の調整を、サーモエレメントから突出
しているピストンの上端部に設けられたねじ部によりピ
ストンと取付用フランジとの相対位置を変化させること
により行っている。

そして、ピストンの調整位置が使用中に変動しないよう
にするため、前記ねじ部を絞めてピストンを取付用フラ
ンジと完全に一体化させている。

従って、このようにピストンを取付用７ランジと一体化
する構造では加工上の寸法公差等によりピストンが取付
用フランジに対して正確な垂直度をもって絞め固定され
ない場合には、主弁が取付用フランジの弁座面に対して
傾斜し密着しない場合が生じ、これにより閉弁時の水洩
れが生じ、水温の立上りが悪くなり、寒冷時には水温が
開弁温度に到達しない場合さえ生じる等の欠点がある。

また、ピストンが取付用７ランジ側に固定されているた
め、開弁温度以下ではサーモエレメント内のワックスの
収縮によりゴムスリーブがワツクク側に吸引されるので
、ゴムスリーブとピストンとの間に負圧の空間が生じ、
この負圧空間に冷却水等が吸引されゴムスリーブ内に残
留すること、及び冷却水によりゴムスリーブピストン摺
動面が膨潤することにより、リフト特性の変化、とくに
開弁付近におけるリフト特性が大きく変化することによ
り、開弁温度、開弁温度が大きく変化するという欠点が
ある。

本考案は上記点に鑑みてなされたもので、ピストンの突
出部にねじ部を設けるとともに、このねじ部にストッパ
を螺合させ、このストッパによりピストンを取付用フラ
ンジのアーム部に接離可能に支持させ、かつ、閉弁時に
おいても補助スプリングにより、ピストンをゴムスリー
ブ等のゴムシール打倒へ強制的に押し込むことにより、
ゴムシール材における負圧空間の発生や、主弁の傾きに
よる閉弁時の洩れ等の不具合を確実に防止でき、しかも
上記ストッパ自体を利用して開弁温度の調整を簡便に行
なうことができるエンジン冷却水用サーモスタットを提
供することを目的とする。

以下本考案を図に示す実施例について説明する。

第１図〜第４図において、１は有底円筒状の金属カップ
で、黄銅等の耐食性に優れ、かつ熱伝導のよい金属から
なる。

２はエンジン冷却水温の上昇により溶融して体積膨張す
るワックスで、感温部材をなす。

３は変形自在なゴムスリーブであり、このゴムスリーブ
３とカップ１との間にワックス２が封入されている。

４はゴムスリーブ３内。に摺動自在に挿入されている金
属ピストンで、その上部の突出部分にはねじ部５が切っ
である。

６はピストン４のねじ部５より更に上部に設けられた細
径部で、その上面には工具係止用の溝部７が設けである
。

８は黄銅等からなる円筒状のガイド部材で、ピストン４
の軸方向移動をガイドするものであり、ゴムスリーブ３
のフランジ部３ａをカップ１の端面との間に挾み込み固
定している。

８ａはこのガイド部材８とカップ１とを結合する下方絞
め部、８ｂは上方絞め部で、主弁９をガイド部材８に結
合している。

この主弁９は黄銅等の金属板をリング状にプレス加工し
たものである。

１０，１１゜１２はそれぞれガイド部材８の穴８ｃの内
周面とピストン４との間に配置された樹脂シール板、Ｏ
リング、Ｏリング止め板であり、樹脂シール板１０は耐
熱性およびピストン４との間の摺動性に優れたテフロン
樹脂のごとき樹脂からなり、冷却水中の鋳砂、塵埃等の
異物がピストン４とゴムスリーブ８との間に侵入するの
を防ぐものである。

０リング１１はピストン４に対し摺動しっつ水密性を確
保するものである。

０゛リング止め板１２はガイド部材８に対してプレス絞
めにより固定されて、Ｏリング１１を支持するものであ
る。

１３は黄銅等の金属板をプレス成形して形成した取材用
フランジ部材で、図示しないエンジンのサーモスタット
収納用ハウジング間に挟持固定されるリング状板部１３
ａと山形に突出形成されたアーム部１３ｂとが一体に形
成されている。

リング状板部１３ａの内周には主弁９が圧着する弁座１
３ｃが形成されている。

また、アーム部１３ｂの両側にはエンジン冷却水の通水
抵抗を最小とするように冷却水流れ方向Ａに沿って折曲
された曲げ部１３ｄが設けられている。

１４は主弁９を弁座１３ｃに圧着させるコイルスプリン
グ、１５はこのコイルスプリング１４を支持するスプリ
ング受座で、黄銅等の細長い帯状金属板を曲げ形成した
ものであり、その左右両端部はそれぞれ２箇所にて取付
用フランジ１３に絞め固定されている。

１５ａはその絞め部の突片を示す。

このスプリング受座１５の中央部には冷却水流れ方向Ａ
にパーリング加工された円形穴１５ｂが設けられており
、この穴１５ｂ内にカップ１が遊嵌合している。

１８はピストン４を閉弁時にゴムスリーブ３内に強制的
に押し込むための補助スプリングであり、そのバネ定数
は前記スプリング１４より充分小さくしである。

１６はピストン４のねじ部５に組付けられている円筒状
のストッパで、黄銅等の金属からなり、その内周面にね
じ部５と螺合するめねじを有している。

このストッパ１６には前記補助スプリング１８を受ける
スプリング受座１６ｃが形威してあり、またストッパ１
６の上面すなわちアーム部側面には数度程度の勾配を有
するテーパ状または球面状の傾斜面１６ａが形威しであ
る。

また、ストッパ１６の下部には細径部１６ｂが形威して
あり、この細径部１６ｂはストッパ１６の位置調整作業
後に押圧変形され、これによりストッパ１６はピストン
４のねじ部５に絞め固定されるようになっている。

一方、前述した取付用フランジ１３のアーム部１３ｂの
中央には冷却水流れ方向Ａにバーリング加工された円形
穴１３ｅが設けられており、この円形穴１３ｅ内にピス
トン４の先端の細径部６が遊嵌合の状態で挿入され、か
つこの円形穴１３ｅの周縁には前記ストッパ１６の傾斜
面１６ａと相対して同一のテーパー状または球面状の傾
斜受座１３ｆが形威され、この傾斜受座１３ｆにストッ
パ１６ａの傾斜面１６ａが接離可能に当接して支持され
るようになっている。

さらに、傾斜受座１３ｆの外周縁に前記補助スプリング
１８を受けるための平面をなすスプリング受座１３ｈが
形威しである。

１７は空気抜き用ジグル弁で、冷却水通路に対して主弁
９と並列に設けられ、取付用フランジ１３下方に溜まる
空気を主弁出口側（図示しないラジェータ側）へ抜くと
ものである。

このジグル弁１７は円柱状の重鍾部１７ａと細径部１７
ｅと平板状のストッパ部１７ｂとを有し、黄銅等の金属
の一体構造物からなる。

ストッパ部１７ｂは取付用フランジ１３のリング状板部
１３ａにあげられた空気抜き用の円形穴１３ｇの内径よ
り大きい幅寸法を有し、この円形穴１３ｇの周縁に係止
されるようになっている。

上記構成において、サーモスタットの開弁温度の調整を
説明する。

この調整作業は、ストッパ１６を適宜の工具により挾ん
で固定し、この状態でピストン４頂部の溝部７にドライ
バ等の工具を係止させてピストン４を回転させる。

これにより、ストッパ１６のピストン５に対する螺合位
ｔを自由に調整でき、ストッパ１６を所望の螺合位置に
セットできる。

すなわち、所定の開弁温度（例えば８７Ｃ）にてストッ
パ１６の上面の傾斜面１６ａがアーム部１３ｂの傾斜受
座１３ｆに当接して、主弁９の開弁が始まるように、ス
トッパ１６の螺合位置を調整する。

この調整作業後にストッパ１６の細径部１６ｂを鮫めて
押圧変形させることにより、ストッパ１６の調整位置を
固定する。

これにより、開弁温度の調整が終了する。

二 次に、本考案サーモスタットの作用につき説明する
。

第２図において主弁９より下方側はエンジン側の冷却水
中に没しており、一方主弁９より上方側はラジェータ側
の冷却水中に没している。

いま、エンジン側の冷却水温が予め設定された開弁一温
度より低い時はワックス２の収縮によりゴムスリーブ３
がワックス２側に吸引され、ピストン４も、補助スプリ
ング１８によりゴムスリーブ３内に強制的に押込まれる
ので、ピストン４のねじ部５に絞め固定されたストッパ
１６はアーム部１３１ｂの傾斜受座１３ｆより開離して
いる。

そして、主弁９はスプリング１４の力で弁座１３ｃに圧
着して、エンジン側とラジェータ側との間を閉塞してい
る。

ここで、冷却水温の低下によりワックス２が収縮すれば
、それに応じて、補助スプリング１８によりピストン４
がゴムスリーブ３側へ確実に押込まれるので、ゴムスリ
ーブ３内は常に正圧に保たれるので、ワックス２の収縮
による負圧空間がゴムスリーブ３内に生じることはない
。

また、ピストン４が取付用フランジ１３に一体化されて
いないため、組付上の寸法公差等によるピストン４の傾
きが生じてもこれはピストン４とアーム部１３ｂとの間
の隙間で吸収することができ、そのためピストン４の傾
きに何ら影響されることなく主弁９の開弁作用を確実に
行なうことができ、閉弁時の洩れは生じない。

次に、エンジン側冷却水温が開弁温度まで上昇すると、
ワックス２の膨張によりピストン４がスプリング１８に
よる下方への力を受けながら（換言すれば、スプリング
１８を圧縮しながら）上昇して、ストッパ１６の上面に
ある傾斜面１６ａがアーム部１３ｂの傾斜受座１３ｆに
当接する。

このとき、傾斜面１６ａと傾斜受座１３ｆはともに同一
の球面状またはテーパ状に形威しであるから、多少ピス
トン４が傾いていてもこの両者１６ａ、１３ｆの当接は
良好になされる。

そして、この両者１６ａ、１３ｆが当接すると、これ以
後はワックス２の膨張によりピストン４を支軸として主
弁９を第２図の下方へ押し下げる力が働き、主弁９が弁
座１３ｅより開離して開弁する。

この開弁状態を第５図に示す。

これにより、エンジン側の冷却水が取付用フランジ１３
の内側を通って矢印Ａのごとくラジェータ側へ流れて冷
却される。

なお、本実施例構造では、主弁９をガイド部材８の最上
部に取付けているため、感温部をなすワックス２は常に
エンジン側の冷却水中に位置しており、そのためラジェ
ータ側の冷却水温はワックス２にはほとんど影響せず、
エンジン側の冷却水温の変化な応じて応答よく主弁９を
開閉できる。

一方、ジグル弁１７はエンジンの運転中は冷却水の圧力
により重鍾部１７ａが押し上げられ、空気抜用の穴１３
ｇを閉塞しているが、取付用フランジ１３の下部に空気
が溜まると、ジグル弁１７はその自重により落下して、
穴１３ｇが開口されるので、前記空気がラジェータ側へ
吐出され、空気抜きを行なうことができる。

エンジン停止中は冷却水の圧力が加わらないため、ジグ
ル弁１７は常に穴１３ｇを開口している。

第６図は本考案の他の実施例を示すもので、ピストン４
をゴムスリーブ３内へ押し込む補助スプリング１８とし
て、金属バネ材からなる板バネを使用するようにしたも
のであり、この板バネからなる補助スプリング１８はそ
の平面形状を第７図に示すごとく環状の形状を有し、環
状の外周縁部から多数の突片１８ａを放射状に一体形成
しである。

また、本考案は主弁９をガイド部材８でなく、金属カッ
プ１に固定する形威のサーモスタットにも適用できる。

また、スプリング受座１６ｃはストッパ１６と一体形成
せずに別部品として形威し、その別部品のスプリング受
座１６ｃをストッパ１６に固定するようにしてもよい。

また、上述の実施例では、ワックス２をシールするため
のゴムシール材として、円筒状のゴムスリーブ３を用い
る型式のサーモスタットについて説明したが、このゴム
スリーブ３の他の円板状や円柱状の形状を持ったゴムシ
ール材を用いるサーモスタットにも本考案は適用できる
。

このように、本考案は種々の態様で幅広〈実施できるも
のである。

上述したように、本考案サーモスタットによれば、ピス
トン４のストッパ１６を取付用フランジ１３のアーム部
１３ｂの受座１３ｆに対し接離可能としているから、ピ
ストン４の傾きによる主弁閉弁時の洩れを確実に防止で
き、しかも閉弁時には補助スプリング１８でピストン４
をゴムシール打倒へ強制的に押し込むようにしているた
め、ゴムシール材とピストン４との間は、常に正圧に保
つことができ、そのため、閉弁時にゴムシール材部に冷
却水等が吸引されることはなく、ゴムシール材部への冷
却水の残留及び冷却水によりゴムシール材のピストン摺
動面が膨潤することを防止でき、これらの不具合に起因
するリフト特性の変化、開弁温度、閉弁温度の変化を小
さくできるという効果が大である。

しかも、上記ストッパ１６をピストン４ねじ部５に螺合
されているから、このストッパ１６の位置を調整するこ
とにより開弁温度の調整を容易に行なうことができると
いう効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は本考案
サーモスタットの平面図、第２図は第１図の縦断面図で
、サーモエレメント部は半断面図示しである。 第３図は第１図のＸ矢視側面図で、ジグル弁１７取付は
部は断面図示しである。 第４図は第１図の底面図である。 第５図は第２図において主弁９が開いた状態を示す縦断
面図である。 第６図は本考案の他の実施例を示す縦断面図で、第２図
に対応するものである。 第７図は第６図図示の補助スプリング１８の平面図であ
る。 １・・・・・・金属カップ、２・・・・・・ワックス、
３・・・・・・ゴムシール材をなすゴムスリーブ、４・
・・・・・ピストン、５・・・・・・ねじ部、６・・・
・・・先端の細径部、８・・・・・・ガイド部材、９・
・・・・・主弁、１３・・・・・・取付用フランジ、１
３ｂ・・・・・・アーム部、１３ｅ・・・・・・穴、１
３ｆ・・・・・・受座、１３ｈ・・・・・・スプリング
受座、１４・・・・・・スプリング、１５・・・・・・
スプリング受座、１６・・・・・・ストッパ、１６ａ・
・・・・・アーム部側面の傾斜面、１６ｃ・・・・・・
スプリング受座、１８・・・・・・補助スプリング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ エンジン冷却水に配置された有底筒状の金属カップ
   と、この金属カップ内に収納されたワックスと、このワ
   ックスを密封するためのゴムシール材と、前記ワックス
   の体積変化により、このゴムシール材を介して摺動する
   ように設けられたピストンと、前記金属カップと一体に
   結合された前記ピストンを案内するガイド部材と、この
   ガイド部材または金属カップに固定された主弁と、エン
   ジン側部材に取付は固定される取付用フランジと、この
   取付用７ランジに設けられた弁座に前記主弁を圧着させ
   るスプリングと、前記取付用フランジに固定され前記ス
   プリングを支持するスプリング受座と、前記ピストンの
   うち前記ガイド部材から突出している部分に設けられた
   ねじ部に螺合固定されたストッパと、前記取付用フラン
   ジに一体形成され、前記ピストンの先端部が遊嵌合する
   穴、および前記ストッパを接離可能に支持する受座を有
   するアーム部とを備え、かつ、前記ストッパおよびアー
   ム部にそれぞれスプリング受座を設け、この両スプリン
   グ受座の間に補助スプリングを設け、この補助スプリン
   グにより閉弁時に前記ピストンをゴムシール打倒へ強制
   的に押込むように構成したことを特徴とするエンジン冷
   却水用サーモスタット。 ２ 前記ストッパのアーム部側面および前記アーム部の
   受座がいずれも同一の球面状またはテーパ状に形成され
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載のエンジン冷却水用サーモスタット。