JPS6023158Y2 - 樹脂多層容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、易焼却性、剛性、耐衝撃性及び耐薬品性の組
合せを有する同時熔融押出多層容器に関する。

オレフィン系樹脂の優れた耐湿温性及びエチレン−酢酸
ビニル共重合体ケン化物の優れた酸素バリヤー性を利用
して、これら両横脂層を含むカルボニル接着性樹脂層を
介して積層一体化した同時熔融押出多層容器が広く使用
されるに至っている。

また、プラスチック容器の焼却時の燃焼熱量を低減させ
、更に容器に必要な剛性を賦与するために、樹脂中に種
々の無機質充填剤等を含有せしめることもよく知られて
いる。

しかしながら、前述した多層容器中の何れかの樹脂層に
に無機質充填剤等を含有せしめて、容器に易焼却性と剛
性とを賦与しようとする試みは、工業的に未だ十分に成
功をおさめるに至っていない。

即ち、無機質充填剤を多層容器の何れかの層中に含有せ
しめる場合は、容器自体の剛性が向上する反面として、
容器自体の耐衝撃性が顕著に低下し、特に同時熔融押出
による容器のピンチオフ部分或いは熱シール部分での剥
離や、各樹脂層間の積層剥離が容易に進するようになる
のである。

このような耐衝撃性の低下は、乳剤タイプの濃薬、液体
燃料、各種工業薬品、溶剤等を収容するタイプの容器に
おいて特に顕著である。

本考案者等は、無機質充填剤乃至は補強剤を含有するエ
チレン系重合体から成る外層、エチレン系不飽和カルボ
ン酸乃至はその無水物で変性されたオレフィン重合体か
ら成る第１の中間層、脂肪族ポリアミドから成る第２の
中間層及びエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物から成
る内層を備えた同時熔融押出による樹脂多重容器は、優
れた耐衝撃性、耐薬品性、剛性及び易焼却性の組合せを
有することを見出した。

本考案の容器を示す第１図において、この多層樹脂容器
１は、無機質充填剤乃至は補強剤を含有するエチレン系
重合体から成る外層２、エチレン系不飽和カルボン酸乃
至はその無水物で変性されたオレフィン重合体から戊る
第１の中間層３、脂肪族ポリアミドから成る第２の中間
層４及びエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物から戒る
内層５から構成されている。

この容器１は、前述した層構成の多層パリソンの中空成
形により製造され、口部６、パリソンの膨張により形成
された器壁部７及びパリソンのピンチオフにより形成さ
れた直接合部８を備えている。

勿論、この容器は熱シールにより形成された底部を有す
るチューブ容器であってもよく、この場合口部は胴部と
一体にブロー成形で形成されていても、或いは溶着等の
手段で一体に接合されていてもよい。

外層２を構成するエチレン系重合体としては、低、中及
び高密度のポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体或いはこれらのブレ
ンド物を挙げることができ、その中に含有させる無機質
充填剤乃至は補強剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、タルク、石膏、水酸化アルミニウム、硫酸
バリウム、ホワイトカーボン等を単独で或いは２種以上
の組合せで使用される。

上述した無機質充填乃至は補強剤は、最終容器に易焼却
性と所望を与えるに十分な量、一般にエチレン系重合体
当り１０乃至１叩重量％、特に１５乃至５唾量％の量で
含有させる。

内容物に対する遮断性及び酸素バリヤー性の点で、内層
５はエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物から戊ってい
ることが重要であり、このようなケン化物としては、エ
チレン含有量２５乃至７５モル％、ケン化度９３％以上
のものが好適に使用される。

本考案の重要な特徴は、これら両層２，５の間に、エチ
レン系不飽和カルボン酸乃至はその無水物で変性された
オレフィン重合体から成る第１の中間層３、脂肪族ポリ
アミドから威る第２の中間層４を、第１の中間層３が外
層２と接し、第２中間層４が内層５と接する位置関係で
介在させると、容器最外層２として充填剤含有エチレン
系重合体層を設けた場合にも、容器の耐衝撃性が著しく
向上するといぬ知見に基すいている。

容器の各層が樹脂成分から構成されている場合には、各
層の力学的性質が似通っているため、耐衝撃性の点で問
題を生じることはない。

しかしながら、外層として充填剤含有樹脂層を設けた場
合には、容器全体が剛性のものとなり、内層と外層との
力学的性質に著しい差異が生じるため、衝撃強度の著し
い低下を生じるようになるのである。

これ対して、本考案によれば、内層と外層との間に、前
述した複層の中間層を特定の位置関係で介在させると、
優れた衝撃吸収層として使用し、充填剤含有樹脂層を備
えた容器の耐衝撃性、特に溶剤や油類を充填した状態で
の耐衝撃性が著しく向上するのである。

第１の中間層を構成する変性オレフィン樹脂としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体等のオレフィン樹脂を、無水マレイン酸、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の
エチレン系不飽和カルボン酸乃至はその無水物で変性さ
れたオレフィン樹脂や、アイオノマー樹脂等が使用され
る。

これらの変性オレフィン樹脂中のカルボキシル基含有量
は１乃至６００ミリモルフ１００ｇ重合体、等に１０乃
至４００ミリモル〜１００ｆ重合体の範囲内にあること
が望ましい。

第２の中間層を構成する脂肪族ナイロン樹脂としては、
脂肪族ω−アミノカルボン酸及び／又は脂肪族ジカルボ
ン酸と脂肪族ジアミンとの組合せから誘導されポリアミ
ド、例えばナイロン６、ナイロン６６、ナイロン６１０
、ナイロン１１、ナイロン１２、ナイロン６／６６共重
合体、ナイロン６／１２共重合体等が単独で或いは組合
せで使用される。

容器の日付量は、大きさや所望の強度によっても相違す
るが０．００５乃至２．０ｄｌ／９．特！、：０．０１
乃至０．’ｌｄｌ／９の範囲とすることができ、また充
填剤含有エチレン系重合体層の厚みは容器全体の３０乃
至９７％、バリヤー性樹脂最内層の厚みは全体の１乃至
５０％、第１及び第２の中間層の厚みは夫々全体の０．
５乃至５０％の範囲とすることができる。

本考案は次の例で説明する。

実施例 １ 外層用押出機に高密度ポリエチレン（メルトイインデッ
クスＭＩ０．２、密度０−９５０） ７０重量％と炭酸
カルシウム３唾量％とのブレンド物を、第１の中間層用
押出機に無水マレイン酸をグラフト重合した変性高密度
ポリエチレン（カルボニル基含有濃度９４ミリモル〜１
００ｇ重合体）を、第２の中間層用押出機にナイロン６
を、更に内層用押出機にエチレン含有率３０．０モル％
、ケン化度９９．０％のエチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物８唾量％とナイロン６．２唾量％とのブレンド
物をそれぞれ供給して、同時熔融押出により４層パリソ
ンを形威し、次いで通常のブロー成形性により、該パリ
ソンを中空成形して内容量５００ｃｃの４層中空成形ボ
トルを得た。

該ボトルの外層、第１の中間層、第２の中間層及び内層
の厚さはそれぞれ６００μ、６０μ、１００μ及び１０
０μであった。

該ボトルにケロシンを充填し３０℃２週間保存した後１
．２７７Ｌの高さよりコンクリート上への落下テストの
結果、温度条件が０℃、１０℃、２０℃の何れの場合も
１０回の落下に対してボトルの破損は全くなかった。

実施例 ２ 外層用押出機に中密度ポリエチレン（ＭＩｏ、３、密度
０．９３５） ５０重量％とタルク５唾量％及び少量の
白色着色剤とのブレンド物を、第１の中間層用押出機に
アクリル酸をグラフト重合した変性高密度ポリエチレン
と高密度ポリエチレンとのブレンド物（カルボニル基含
有濃度７５ミリ 重合体）と、更に第２の中間層用押出機にナイロン１２
を内層用押出機にエチレン含有率２９．２モル％、ケン
化度９９．５％のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物をそれぞれ供給して実施例１と同様の成形性により、
内容量４００ｃｃの４層ボトルを得た。

該ボトルの外層、第１の中間層、第２の中間層及び内層
の厚さはそれぞれ５００μ、５０μ、１００μ及び１０
０μであった。

該ボトルにケロシンを充填し３０°Ｃ２週間保存した後
１．２ｍの高さよりコンクリート上への落下テストの結
果、温度条件が０°Ｃ１１０°Ｃｌ２Ｏ°ｃの何れの場
合も１０回の落下に対してボトルの破損は全くなかった
。

比較例 １ 外層及び中間層を実施例１の外層及び第１の中間層と同
様の重合体とし内層をエチレン含有率３０、０モル％、
ケン化度９９．０％のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物として実施例１と同様の成形性により、内容量５
００ｃｃの３層中空成形ボトルを得た。

該ボトルの外層、中間層及び内層の厚さはそれぞれ６０
０μ、６０μ及び１００μであった。

該ボトルにケロシンを充填し３０°Ｃ２週間保存した後
１．２ ｍの高さよりコンクリート上への落下テストの
結果、温度条件として０℃の場合２回、１。

０ＣＣ揚場５回、２０℃の場合６回の落下でボトルのピ
ンチオフ部分の破損が生じた。

比較例 ２ 外層、中間層及び内層を実施例１の外層、第２の中間層
及び内層に用いた重合体としてブロー成形性により内容
量５００ｃｃの３層ボトルを得た。

該ボトルの外層、中間層及び内層の厚さはそれぞれ６０
０μ、１００μ及び１００μであった。

該ボトルにケロシンを充填し３０°Ｃ２週間保存した後
１．２ ｍの高さよりコクリート上への落下テストの結
果、温度条件としてＯ’Ｃの場合１回、１ ０’Ｃの場
合４回、２０°Ｃの場合５回の落下でボトルのピンチオ
フ部分に破損が生じた。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案の多層容器の一部断面側面図であって
、 １は容器、２は外層、３は第１の中間層、４は第２の中
間層、５は内層、８はピンチオフにより接合部を夫々示
す。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）無機質充填剤乃至は補強剤を含有するエチレン系
   重合体から成る外層、エチレン系不飽和カルボン酸乃至
   はその無水物で変性されたオレフィン重合体から戒る第
   １の中間層、脂肪族ポリアミドから成る第２の中間層及
   びエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物から成る内層を
   備え且つ第１の中間層が外層と接し、第２の中間層が内
   層と接する位置関係で介在した同時熔融押出による樹脂
   多重容器。
2. （２）前記外層はエチレン系重合体当り１０乃至１００
   重量％の無機質充填剤乃至は補強剤を含有する実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の容器。
3. （３）前記多層熔融押出物のブロー成形により形成され
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載の容器。