JPS6021044Y2 - 手術用縫合針 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は手術用縫合針の刃部の改良に関する。

従来、手術用縫合針の刃部の形状は三角、扁平、丸形等
のものが存し、夫々、その特性に合った用途に用いられ
ている。

しかしながら、いずれの縫合針にあっても、縫合に使用
する際に縫合針に対して垂直にか）る曲げモーメントに
強く、刺通抵抗が少いことが縫合針の操作を容易にし、
且つ肉体組織に必要以上の裂傷を少くして肉体組織の縫
合上、患者の苦通を少し好しい。

しかるに例えば、最も縫合針に垂直にか）る曲げモーメ
ントに対し折損しにくい三角縫合針において、刃部の断
面形状で示す第３図の場合には、刃部１の底面部αから
稜線すまでの距離を大きくするにつれて曲げモーメント
に対する強度は大きくなるが、切刃５，５として機能す
る刃部１の両端部ｃ、 ｃの角度が大きくなり、切味が
低下し刺通抵抗を増す欠侭があった。

更に第４図の如く刃部１の両端部を鋭角にするときは、
切味は良くなり、刺通抵抗を少くするが刃部１の底面部
αから稜線すまでの距離が小さくなり、曲げモーメント
に対して弱くなる欠点があった。

このような欠点は第５図示の如き六角形の扁平形状のも
のも同様であった。

このため、第６図示の三角縫合針において刃部１の両端
部を針長方向と大略直角方向に研削して、特に切味を良
くする試みがなされているが（実公昭５１−３９４２吋
）、これは縫合針を形成した後、更に研削しなければな
らず、製作に手数がか）す、また、その割には切味の増
加がなかった。

他方、特公昭３８−１１５４８号公報において提案され
るように縫合針の刃部の横断面形状において底面部を下
方へ膨出する円弧状面に形成し、上面部を上方へ膨出す
る前記円弧状面と同一の曲率の円弧状面に形成すると共
に横断面の略中夫の高さの位置で交叉する周円弧状面の
位置に切刃を形成したものが知られている。

この種のものにあっては底面部と上面部とに前記円弧状
面を有するので底面部から稜線までの距離を大きくする
ことができこれにより曲げモーメントを大きくすること
ができて好適である。

しかしながら、底面部から稜線までの距離を大きくする
ためには底面部と上面部との円弧状面の曲率を小さくし
なければならず、かくすると横断面が円形に近くなり待
針器で把持操作するのが不容易となる。

また、切刃が横断面の略中夫の高さで水平に突出する形
状であるため該縫合針をシャーレなどに落したときなど
に切刃が損傷し易く切味が落ち易い不都合がある。

本考案は、この種の縫合針の欠点を解消し、曲げモーメ
ントに対し強靭であり刺通抵抗の少い製作容易な縫合針
を提供するもので、刃部１の底面部αを下方へ膨出する
円弧状面２に、上面部βを上方に膨出する前記円弧状面
２より小さい曲率の円弧状面３に形成すると共に横断面
の略中夫の高さ位置で交叉する同円弧状面２，３を上面
部βにおいて針軸方向に沿って内方へ凹入する面４，４
で連続して底面部αの両端部に切刃５，５を形成して戊
る。

本考案の実施の一例を示す第１図、第２図及び第７図に
ついて説明すると縫合針ａは、通常の縫合針と同様に全
体として半円状に屈曲した形状で中間から先端にかけて
刃部１を形成した。

刃部１の底面部αを下方へ膨出する円弧状面２に形成し
、上面部βを上方へ膨出する底面部αの円弧状面２より
小さい曲率の円弧状面３に形成した。

同円弧状面２，３の交叉する位置を断面において略中夫
の位置とし、上面部の側において針軸方向に沿って内方
へ凹入する面４，４で連続して形成し切刃５，５を底面
部αの両端部に形成した。

従って、断面形状にあっては底面部αと上面部βとが反
対方向に膨出するので、底面部αから稜線すまでの距離
が大きくなり更に底面部αが針軸方向に交叉して湾曲し
た円弧状面２により形成したので曲げモーメントに対し
強靭であり、且つ全体として丸味を有するので薄く微細
な硬い肉体組織の縫合に適する。

そして、底面部αの円弧状面２に対して上面部βの円弧
状面３の曲率を小さくして底面部αから稜線までの距離
を犬とし曲げモーメントに対して強靭であるようにした
ので底面部αの円弧状面２は、その曲率を小さくする必
要がなく従って底面部αは比較的に緩かな円弧状面２に
形成でき、このため持針器により把持して操作するのが
容易となる。

また、同円弧状面２，３の交叉する位置に針軸方向に沿
って凹入面４，４を形成したので底面部αの両端部に底
面部αの円弧状面２に支持された鋭角で堅牢な切刃５，
５に形成することができ切味を良くすると共に断面形状
が全体として丸味を有するので刺通抵抗を減少させ操作
が容易である。

更に底面部αの両端部に形成される切刃５゜５は断面の
略中夫の高さ位置にあるので刺通する際に肉体組織を上
下均等に押し拡げて通過するため必要以上に肉体組織を
損傷しない。

尚、凹入面４．４の形成の仕方によっては刃部１の両端
部に形成される切刃５，５の角度を任意に選定し得る。

そして、凹入面４，４を深く形成することにより切刃５
，５の先端を水平から上方へ向って突出するように形成
することができ、これによって縫合針を落下したときに
も切刃５，５が損傷して切味が低下するのを防止するこ
とができる。

而して、本考案によるときは、刃部１の底面部αを下方
へ膨出する円弧状面に、上面部βを上方へ膨出する前記
円弧状面２より小さい曲率の円弧状面３に形成したので
、上面部βの円弧状面３のみの曲率を小さくするだけで
底面部αから稜線までの距離を大として曲げモーメント
に対して強靭とすることができ、底面部αの円弧状面２
の曲率を小さくする必要がないので底面部αを比較的に
緩かな円弧状面３に形成でき従って待針器による操作が
容易であり、同円弧状面２，３が断面の略中夫の高さ位
置で交叉する上面部αにおいて針軸方向に沿って形成し
た凹入面４，４で連続したので鋭角で堅牢な切刃５，５
を形成でき、全体として断面が丸味を有することと相俟
って刺通抵抗が少く縫合操作が容易で且つ肉体組織に必
要以上の裂傷を与えることなく縫合の際、患者に苦通が
少い縫合針を構造簡単に提供する等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図及び第７図は本考案の実施の一例を示す
もので、第１図はその平面図、第２図はその側面図、第
７図は第１図のＡ−Ａ線断面図である。 第３図乃至第６図は従来の縫合針における刃部の断面図
である。 １・・・・・・刃部、α・・・・・・底面部、β・・・
・・・上面部、２．３・・・・・・円弧状面、４・・・
・・・凹入面、５・・・・・・切刃。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 刃部１の底面部αを下方へ膨出する円弧状面２に、上面
   部βを上方に膨出する前記円弧状面２より小さい曲率の
   円弧状面３に形成すると共に横断面の略中夫の高さ位置
   で交叉する周円弧状面２゜３を上面部βにおいて針軸方
   向に沿って内方へ凹入する面４，４で連続して底面部α
   の両端部に切刃５，５を形成して威る手術用縫合針。