JPS6019797Y2 - 連続鋳造設備における鋳片側面保熱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、高温鋳片の保熱装置に関し、詳しくは連続鋳
造設備において、該設備内を搬送される高温鋳片の側面
を効果的に保熱する保熱装置に関するものである。

近年、連続鋳造設備で製造された高温の鋳片を冷却する
ことなく、直接圧延工程へ送給する、云わゆる直送圧延
、あるいは圧延するに必要な温度まで昇温させて圧延工
程へ送給する、いわゆるホットチャージ等の試みが積極
的になされていることは周知である。

該直送圧延、φる（２は、ホットチャージを可能ならし
めるには、連続鋳造設備を搬送される鋳片の温度低下を
防止し、鋳片の温度をできるだけ高温に保持することが
極めて重要であり、このため、従来より種々の保熱装置
が提案されている。

しかしながら連続鋳造設備においては、狭隘なスペース
に多くの機器、装置類が設備されている上に鋳片の巾も
種々変化すること等から前記従来の保熱装置は、精々、
搬送ローラを全体的に包設する程度のものであり、而し
て、その保温効果は、極めて少なく、その保守性にも難
点が多く、実用化するには多くの問題点を有していた。

本考案は、前記従来の保熱装置の有する問題点を解決す
るため案出されたもので、保温性および保守性に優れた
保熱装置を提供することにより、効率的な直送圧延ある
いは、ホットチャージを可能ならしめることを、その主
たる目的とするものである。

以下、実施例に基づき、本考案の構成を詳述する。

さて、本考案者等は、第１図に示す如き連続鋳造設備に
おける保温域ガイドロール群５および搬送テーブル６を
搬送される鋳片４の温度降下状況を調整した結果、該温
度降下は、全体的に均等ではなく、側面部における温度
降下が中央部に比べ極めて大きく、該側面部の温度降下
度合が直送圧延、あるいは、ホットチャージを行う上で
重要な要因となっていることを確認した。

而して、本考案者等は、前記知見に基づいて種々研究、
検討を行った結果、鋳片側面部の効率的な保熱を可能な
らしめる保熱装置を考案し、実願昭５４−３３３５号お
よび実願昭５４−５０３８号として先に出願した。

第２図は前記保熱装置の基本的な構成を示す断面構造図
である。

該第２図において８は、鋳片側面保熱板（以下、単に保
熱板と云う。

）であり、該保熱板８は、保熱板８に固着された摺動部
材９１および該摺動部材９１を摺動自在に支持する支持
部材９２とから構成された摺動支持部材９によって前後
進自在に支持されている。

１０は、前記摺動支持部材９を介して保熱板８を前後進
せしめる駆動装置である。

尚前記第１図において、１は溶鋼２を貯留するタンディ
シュ、３は鋳型、４は鋳片、７は鋳片切断装置である。

而して前記保熱装置において、鋳片４は側面部における
保熱効果を高めるためには、鋳片側面４ａと、保熱板内
面との間隙ｔをできるだけ狭い寸法とし、かつ、その寸
法を常に保持することが肝要である。

本考案は、前記保熱装置にさらに改良を加えることによ
り、保熱板８と鋳片側面４ａとの間隙ｔを簡単な構造で
、かつ安定して所定寸法に保持するための保熱装置の提
供を、その主たる目的とするものである。

さて、第３図〜第５図は本考案に基づく１実施例を示す
もので、ガイドロール群５の出側任意部分に配設された
保熱装置の側面構造図（第３図）、下半部斜視図（第４
図）および平断面構造図（第５図）である。

該第３図〜第５図において、５０はガイドローラーであ
り、保熱板８には、前記ガイドローラー５０に対応する
切欠部８ａが形威され、また、その上、下端には、保熱
板８より設定長さ突出し、（前記第２図におけるｌに相
当）相隣れるガイドローラー５０の空隙部を閉塞する帯
状部材８ｂが固着されている。

保熱板８は摺動支持部材９によって前後進可能に支持さ
れ、その内面には、石綿、あるいはセラミックスファイ
バー等の断熱材８ｃがライニング状に貼着されている。

１１は保熱板８に装着された転勤ローラーであり、該転
勤ローラー１１は、その外周面が保熱板８の内表面８Ｘ
より所定長さ、つまり第２図に示す間隙ｔに相当する長
さ突出するようその装置位置が設定されている。

１２は保熱板８を矢印ａで示す鋳片側面方向へ所定の圧
力で押し出す定押圧発生装置である。

次に該第３図〜第５図に基づいて本考案の保熱装置の作
動機構を説明する。

連続鋳造設備で鋳片４の製造が開始され、鋳片４が保熱
板８の設置部に達したら保熱板８は、定押圧発生装置１
２の押圧力で鋳片側面方向へ転勤ローラー１１が鋳片側
面４ａに接触するまで押し出される。

定押圧発生装置１２の押圧力は常に所定の圧力にコント
ロールされ、転勤ローラー１１は該所定圧で鋳片側面４
ａに接触し、かつ回転している。

而して鋳片４が前記所定圧に抗して、第５図に示す矢印
ａ方向へ移動すれば、保熱板８もそれに追従して前進し
、逆に矢印す向へ移動すれば保熱板８も後退する。

即ち鋳片４にバルジングが発生したり、蛇行を生じ、そ
の側面位置が変動する場合においても保熱板８は、該移
動に効率的に追従し、鋳片側面４ａと保熱板内面８ｘと
の間隙ｔを常に設定間隙に保持することが可能となる。

定押圧発生装置１２としては、前記機能を有するもので
あればその型式、構造を特に限定するものでなく保熱板
８の大きさ、重量、前後進量（ストローク）等に応じて
、例えば圧縮バネを利用したもの、気・液圧シリンダー
を利用したもの等を適宜選定腰採用すれば良い。

本考案者等の経験では、空気圧シリンダーを利用したも
のがストロークを大きくとることができ、空気圧あるい
はシリンダー径を変化させること等により、押圧力を任
意に設定でき、効果的であった。

ところで転勤ローラー１１は、高温の鋳片側面４ａに常
時接触していることからステンレス鋼等の耐熱性のもの
で構成することが好ましく、又、図示はしないけれども
転勤ローラー１１の内部に冷却剤循環路を形威し、該循
環路に水、圧縮空気、水蒸気等の冷却剤を循環せしめる
ことによってその冷却を計ることも効果的な手段である
。

さらに、保熱板８を前後進自在に支持する摺動支持部材
９としても、例えば第３図〜第５図に示すようにロフト
状の摺動部材９１を中空状支持部材９２に緩挿せしめて
構成する等、保熱板８の大きさ、長さ、重量等に応じ、
かつ定押圧発生装置１２の押圧力で円滑に前後進するよ
うに適宜設計すれば良く、定押圧発生装置１２も前記摺
動支持部材９と並行し、保熱板８に直接連結すること（
第３図〜第５図）や摺動支持部材９０を介して連結する
ことでも支障はない。

以上、詳述したように本考案は、保熱板８に、転勤ロー
ラー１１を装着すると共に定押圧発生装置１２を連接し
た極めて簡単な構成により、保熱板８が鋳片側面位置の
変動状況に効率的に追従できるようになり、従来最も問
題とされていた鋳片側面部の温度降下を著しく低減でき
、この結果、連続鋳造設備で製造された高温鋳片を、そ
のまま、あるいは僅かの加熱を加える程度で圧延工程へ
送給でき、直送圧延、あるいはホットチャージが可能と
なった。

以上のように本考案の実用的効果は非常に大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は周知の一般的な連続鋳造設備の断面構造図、第
２図は側面保熱装置の基本的な構成を示す断面構造図、
第３図〜第５図は本考案の実施例を示すもので第３図は
ガイドロール群の出側任意部分に配設された側面保熱装
置の側面構造図、第４図は第３図の下半部斜視図、第５
図は第３図の平断面構造図である。 １・・・・・・タンディシュ、２・・・・・・溶鋼、３
・・・・・・鋳型、４・・・・・・鋳片、５・・・・・
・ガイドロール群、６・・・・・・移送テーブル、７・
・・・・・鋳片切断装置、８，８１゜８２・・・・・・
保熱板、９，９０・・・・・・摺動支持部材、９１．９
１ａ・・・・・・摺動部材、９２．９２ａ・曲・支持部
材、１１・・・・・・転動ローラー、１２・・・・・・
定押圧発生装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 摺動部材と、該摺動部材を摺動自在に支持する支持部材
   とからなる摺動支持部材を介して前後進自在に支持され
   た鋳片側面保熱板を備えた高温鋳片搬送設備における保
   熱装置において、前記保熱板を、ガイドロール周面対応
   切欠部を形成すると共にその上下端に隣合う上下ガイド
   ロール間間隙を閉塞する設定長さの帯状断熱部材を固着
   して構威し、前記保熱板に、鋳片側面接触転勤ローラを
   装着し、かつ前記保熱板を前記摺動部材を介して定押圧
   発生装置に連接せしめたことを特徴とする連続鋳造設備
   における鋳片側面保熱装置。