JPS6016338B2 - 積層ハニカム構造成型品の補強方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は紙及び／又はアスベスト等の有機質及び／又は
無機質繊維製シートを素材とした積層ハニカム構造成型
品（以下成型品という）の機械的強度を向上する方法に
関するもので特に経年変化又は特殊な環境による変化に
より機械的強度が劣化した成型品の有効な補強方法に関
するものである。

本発明にいう成型品としては乾式除湿機の除湿素子又は
回転式熱交≠剣機の熱交換素子等があるがこれらはいづ
れも経年変化、酸性ガス、又は故障、誤操作、等に起因
する吸湿過多等により機械的強度を失って軟化したり、
変形を起したりして本来の機能を失う場合がある。

従来この様に成型品が強度劣化を来たした場合装置を分
解して成型品を取り出し正常な品と交換する以外方法が
なかった。

この為多くの労力、経費を要すると共に長時間に亘る装
置の運転休止を余儀なくされていた。本発明はこの様な
場合装置を分解して成型品を交換する事なく比較的少な
い労力で経済的且つ能率的に補強する方法を提供しよう
とするものである。

本発明にいう成型品とは紙及び／又はアスベスト等の有
機質及び／又は無機質繊維製シートを素材とし、これを
波形状に成型したものと平板状のものを重ね合せて螺旋
状に巻き円筒状に成型したもので第２図に示す様に波形
状シートと平板状シートを交互に積み重ねたいわゆる積
層ハニカム構造の断面を有する円筒状の成型品をいう。

この成型品は乾式除湿機の除湿素子又は回転式熱交換機
の熱交換素子として使用され通常直径２００〜４２００
肌、中２００〜６０比吻の寸法を有する。又フル−トと
は波形状シートと平板状シートに囲まれた部分をいい、
除湿素子又は熱交換素子として使う場合この部分を気流
が通過する。第２図のイに相当する部分をフルートの径
と称し、その大きさは通常１〜３肋である。本発明にい
うバインダーとは成型品を構成する有機質及び／又は無
機質繊維製シートに含有させる事により成型品の機械的
強度を向上する物質をいい、一般にこの種の物質として
は珪酸ナトリウム（水ガラス）、澱粉糊、にかわ等の他
天然樹脂系及び合成樹脂系の数多くのものが公知である
。

バインダーを使用するに当っては、バインダーを溶質と
し水及び／又はアルコール、シンナー等の有機質及び／
又は無機質の液体を溶媒とした溶液又はコロイド溶液則
バインダーを含む溶液を作りこれを次に述べる方法で成
型品の片面に散布後、全体に拡散分布させて用いる。本
発明にいうバインダーを含む溶液（以下バインダー溶液
という）の散布とは成型品のフルートの片側の全面が湿
潤状態となる様バインダー溶液を散布する操作をいいポ
ンプ及び散布ノズルを用いる方法が有効である。

散布されたバインダー溶液を成型品全体に分布させるに
は散布した側からフルート内に圧縮空気等の気体を圧入
するか又は散布した側の反対側からフルート内の空気を
吸引してフルート内に気流を生ぜしめこの気流にバイン
ダー溶液を同伴させてフルートの全面に拡散分布させる
方法が有効である。本発明者は、本発明の方法を実施す
る場合に於けるバインダーの適正濃度につき、数種のバ
インダーを用いて試験を重ねた結果素材の性質、バイン
ダーの種類に依っても異なるが、いづれの場合も３．０
％未満では成型品に含ませ得るバインダーの量が少ない
為、効果不充分であり、又４０．０％を越える濃度では
溶液の粘度が大きい為成型品への均一な分布が困難とな
り、その結果成型品の強度も不均一となる事を見出した
。

従ってバインダーの濃度は３．０〜４０．０％、好まし
くは８．０〜２０．０％が適当である。又、バインダー
溶液の成型品単位容積当りの散布量はバインダーの種類
、溶液の濃度、素材の性質、フルートの径、フルートの
長さ等に依っても異なるが溶液を拡散分布させる際散布
した側の溶液が僅かに惨み出る程度が適正でこれより少
なければ、バインダーの分布が不均一となり、多ければ
不経済となる、バインダーの分布を更に均一にする為特
にフルートの長さが３００肋以上の場合には先づ一方の
側よりバインダー溶液の散布及び拡散分布操作を行った
後、方向を変えてもう一度同じ操作をする事が望ましい
。以上述べた様な方法でフルートの全面、換言すれば成
型品の全体に浸透したバインダー溶液の溶媒を蒸発させ
て乾燥すれば目的とする補強を行う事が出釆る。次に図
面に依り本発明を具体的に説明する。

第１図の様にバインダー溶液タンク２に濃度調整したバ
インダー溶液１を入れ、ポンプ３、溶液ホース４及び散
布ノズル５、補強を要する成型品６を配置する。ポンプ
３を稼働するとバインダー溶液１は成型品６のフルート
７の一方の側に散布されるがフルートの全長には到達し
ない。そこで吸引口８、吸引ホース９、気液分離器１０
、吸引ブロワー１１を図の様に配置し、バインダー溶液
の散布操作に引続きフルート内の空気を吸引してこれに
同伴させてバインダー溶液をフルート全面に拡散分布さ
せる。バインダー溶液を拡散分布させるには第３図に示
す様に圧縮空気１２を空気ホース１３及び吹出ノズル１
４を経てフルート内に吹出す方法も効果的である。

以上の様なバインダー溶液の散布及び拡散分布操作をバ
インダー溶液を散布する側をかえてもう一度実施すれば
バインダー溶液の分布は更に均一化される。この操作は
特にフルートの長さが３０仇吻以上の長いフルートを有
する成型品の場合望ましい。この様にして成型品全体に
略均一に分布されたバインダー溶液は成型品を構成する
素材の毛細管現象により更にその細部迄到達する。

次に４０〜１５０００程度の温風乃至熱風をフルート内
に通風する等の方法でバインダー溶液の溶媒を蒸発して
乾燥すれば成型品は補強され新品同様の強度を回復する
。

この場合通風温度はバインダー溶媒及び素材の性質、許
容施工時間、加熱に要する経費等技術的、経済的見地か
ら決定される事は勿論であり場合によっては常温の空気
をフルート内に通風する事により目的を達する事も可能
である。本発明の方法を実施すれば装置を分解して成型
品を交換する事なく比較的少ない労力で経済的且つ能率
的に成型品の補強する事が可能となり従来の方法に比べ
労力、経費が少なくて済むと共に運転休止時間も短か〈
て済む等多数の利点を有する。

以上述べて来た事により本発明の内容は明らかであるが
本発明を更に明解にする為次に実施例について述べる。

吸湿過多及び酸性ガスにより軟化した直径５００肋、厚
さ４０物舷、フルート径１．５肋の寸法を有するアスベ
スト製乾式除湿機用除湿素子の補強に当り、成型品を取
り出すことなく収納箱の点検窓を開き、成型品をゆっく
り回転しながらポンプ及び散布ノズルにて１５重量％の
濃度に調整した珪酸ナトリウムの水溶液約１４そを成型
品のフルートの−方の側に散布した後反対側より吸引口
及び吸引ブロヮーにて秒速約１０ｍの風速でフルート内
の空気を吸引し、この気流に同伴させて溶液をフルート
の全面に亘つて拡散分布させた。次の方向を逆にして同
様な操作を行い合計２８夕の珪酸ナトリウムの溶液を成
型品に含浸させた。その後９０００の加熱空気を秒速４
肌の速度で約１時間通風して加熱乾燥させた。補強後の
強度を測定する為成型品の一部を採取して新品と比較し
た結果、下表に示す様に新品同様の耐圧強度を有するこ
とが確認出来た。

成型品の耐圧強度

【図面の簡単な説明】

第１図は成型品へのバインダー溶液の散布及び拡散分布
装置。 第２図は成型品の第１図Ａ−Ａ′断面図。第３図は圧縮
空気の圧入によるバインダー溶液の拡散分布装置を示す
。尚図中、１はバインダー溶液、２はバインダー溶液タ
ンク、３はポンプ、４は溶液ホース、５は散布ノズル、
６は成型品、７はフルート、８は吸引口、９は吸引ホー
ス、１０は気液分離器、１１は吸引プ。 ワー、１２は圧縮空気、１３は空気ホース、１４は空気
吹出ノズル、イはフルートの蓬を示すものである。ガ′
蟹 ＊と９ ガＪ囚

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 紙及び／又はアスベスト等の有機質及び／又は無機
   質繊維製シートを素材とした積層ハニカム構造成型品の
   フルートの一方の側にバインダー３．０〜４０．０重量
   パーセントを含む溶液を散布し、ついで同じ側から気体
   を圧入するか又は反対側から吸引する事により上記溶液
   をフルートの全面に拡散分布させた後、溶媒を蒸発させ
   て乾燥する事を特徴とする積層ハニカム構造成型品の補
   強方法。