JPS6013170Y2 - 偏向コイル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は例えばレーダ表示等に使用される陰極線管の
偏向コイル装置の改良に関する。

周知のように、例えばレーダ表示等に使用される陰極線
管の偏向コイルは通常モータのフィールドコイル用のコ
アに類似した形状のスロットコアが用いられることが多
い。

第１図ａ、ｂはこの一例を示すもので、１１は陰極線管
、１２は陰極線管１１のネックに装着されたコアであり
、このコア１２の内面部には軸心に沿って複数のスロッ
ト１３が形成されている。

このスロット１３内には複数のコイル１４が配設され、
このコイル１４の両端部はそれぞれコア１２の外部に引
き出されている。

このような構成の偏向コイルは陰極線管１１のネック外
径の極く近傍までコア１２によって磁路が形成されるた
め、偏向磁界はコア１２の存在する範囲に集中的に分布
すると考えられる。

したがって、高偏向能率が得られるとともに、磁界分布
はコア１２の磁化分布が支配的となり、コイル１４の形
状による偏向歪は比較的軽減される。

しかも、コイル１４の巻回数を各スロット１３毎に調整
するだけで偏向歪を十分補正できる利点を有している。

上記のように、それぞれの陰極線管に適合した高性能な
偏向コイルを多種少量生産するに適したこの構成も、近
年陰極線管の広偏向角化もしくはネックの細径化に伴な
い次のような不都合が発生してきた。

即ち、コア１２の内径もしくはコア１２から陰極線管１
１の画像面側に引き出されたコイル１４によって、偏向
コイルの陰極線管１１に対する軸方向位置が規定され、
偏向中心が画像面から離間される。

したがって、第１図ａに示す如く電子ビームＡが陰極線
管１１のネックに遮ぎられ、画面上にネックシャドウが
生ずる。

これを解消する手段としては １ コア１２の内径を大きくする。

２ コア１２の軸方向の長さを短かくする。

３ コア１２から陰極線管１１の画像面側に引き出され
たコイル１４を薄く大きく形成する。

等が考えられる。

しかし、１に関しては偏向能率の低下および形状の大型
化、重量の増大が生じ、２に関しては極端な偏向能率の
低下を生ずる。

また、３に関しては薄く大きく形成された部分によって
発生する偏向磁界への影響が無視し得なくなる。

したがって、この種の偏向コイルの最大の利点であるコ
イルの巻回数の調整のみで偏向性能を決定できるという
特徴を犠牲にしなければならず、得策ではない。

さらに、前記コア１２の材質としては通常フェライトが
使用される。

このフェライトは多少残留磁気を有している。

このため、高精度の図形や文字を表示する表示管の場合
、種々の不都合が生ずる。

例えば円を表示する場合、円の表示始めと終りとが一致
しない等の問題が発生する。

一般に、高精度が要求される場合は残留磁気が極めて少
ないパーマロイ等の薄板によるラミネートコアが使用さ
れる。

しかし、このようなラミネートコアによっても第１図に
示す構成では前述したネックシャドウが生ずるため、広
偏向角化もしくはネックが細径化された陰極線管に対し
て、この種の偏向コイルの持つ利点が大幅に制約される
こととなる。

この考案は上記事情に基づいてなされたもので、陰極線
管のネックに装着されるコアの前記陰極線管画像面側端
部に前記コアに設けられたスロットに連通して切欠き部
を設け、且つコアの前記端部内面部を漏斗状に形成し、
前記スロットに配設されたコイルの一部を前記切欠き部
を介してコアの外部に引き出し、前記コアの前記画像面
側端部をフェライトで構威し、その他の部分を残留磁気
の少ない磁性材ラミネートで構成とすることにより、広
偏向角化もしくはネックが細径化された陰極線管に装着
した場合、ネックシャドウが生じず、しかも、偏向能率
をコイルの巻回数を調整することのみで決定し得る偏向
コイル装置を提供しようとするものである。

以下、この考案の一実施例について図面を参照して説明
する。

第２図において、２１は陰極線管であり、この陰極線管
２１のネックにはコア２２が装着されている。

このコア２２は陰極線管画像面側端部がフェライト２２
１によって構威され、その他の部分は残留磁気の少ない
磁性材、例えばパーマロイ板ラミネート２２□によって
構威されている。

このコア２２の内面部には軸心に沿って複数のスロット
２３が形成されている。

前記コア２２のフェライト部２２１には前記スロット２
３にそれぞれ連通して切欠き部２４が設けられている。

また、前記フェライト部２２１は第２図すに示す如く内
面部が陰極線管の外形とほぼ等しい漏斗状に形成され、
前記スロット２３にはそれぞれコイル２５が配設されて
いる。

このコイル２５の前記画像面側端部は前記切欠き部２４
を介してコア２２の外部に引き出されている。

尚、フェライト部２２１は幅１５ｍであり、パーマロイ
部２２□は厚さ０．１謳、幅３−のパーマロイ板ラミネ
ートである。

上記構成によれば、コア２２の画像面側端部をフェライ
ト、その他の部分をパーマロイ板ラミネートによって構
威し、残留磁束を減少している。

したがって、高精度に図形や文字を表示することが可能
である。

また、フェライト部２２１内面部を漏斗状とすることに
より偏向中心を陰極線管２１の画像面側に移動し得たた
め、第２図ａに示す如く電子ビームＡは陰極線管２１の
ネックに妨げられることがなく、ネックシャドウを解消
することができる。

しかも、コア２２の漏斗状部から有効磁界が発生するた
め、全体として約３％程度偏向感度を向上することが可
能である。

さらに、偏向能率はコイル２５の巻回数を調整すること
のみで決定し得るため極めて有利である。

以上、詳述したようにこの考案によれば、高精度の図形
を表示し得るとともに、広偏向角化もしくはネックが細
径化された陰極線管に装着した場合ネックシャドウが生
じず、しかも、偏向能率をコイルの巻回数を調整するこ
とのみで決定し得る偏向コイル装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来の偏向コイル装置の一例を示す一部切除
した側面図、同図すは同図ａの要部を取り出して示す斜
視図、第２図ａはこの考案に係わる偏向コイル装置の一
実施例を示す一部切除した側面図、同図すは同図ａの要
部を取り出して示す斜視図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 陰極線管のネックに装着されるコアの内面部に軸心に沿
   ってスロットを形成し、前記コアの陰極線管画像面側端
   部に前記スロットと連通して切欠き部を設け、且つ、コ
   アの前記端部内面部を漏斗状に形成し、前記スロットに
   配設されるコイルの一部を前記切欠き部を介してコアの
   外部に引き出し、前記コアの前記画像面側端部をフェラ
   イトで構成し、その他の部分を残留磁気が少ない磁性材
   ラミネートで構成したことを特徴とする偏向コイル装置
   。