JPS598687B2 - 緊締装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は工作物間の結合に用いる緊締装置、就中実質的
には該装置の主構成要素たる所謂スクリューグロメット
に関する。

なお、以下の説明においてはこれをボルト受アンカー乃
至単にアンカーと称する。

産業界では、ボルト及びナットを工作物間の結合手段と
して頻用している。

然し、通常のネジ切りされたボノレト及びナットで結合
効果を高めるためには、二種の工具を使用する必要があ
る。

即ち、複数個乃至一個の工業物に先づボルトを挿入し、
そのボルト軸部にナットや場合に拠ってはアンカーを捩
込んだ後、第一工具でこのナット乃至アンカーを把持し
、工作物の背向側では第二工具でボルト軸部乃至ボルト
頭を把持し、双方軽具でもってボルト及びナットを緊締
方向へ回転する訳である。

斯様なナット乃至アンカー把持工具の必要を除去するた
め、従来から種々の効果的試策が為されて来た。

先づアンカーを何等かの手段に依り工作物に添着して置
き、その後該アンカーにボルトを挿入し、該ボルトのみ
を緊締方向に捻転する訳である。

添着は工作動に膠等の接着剤でアンカーを単に添着する
だけのものもあればより積極的には工作物係合面乃至突
起体をアンカーに設け、それにより生ずる摩擦力で工作
物に係合させ、アンカー自体の回転を防ぐものある。

更にはアンカー自体の幾何学的形状と工作物に開けられ
た孔の特殊な形状との相関関係に依存し、アンカーにボ
ル斗を捻込んでも工作物との関係でアンカーの回転を防
ぐやりかたもある。

この様な緊締装置の具体例としては例えば米国特許第２
９５６６０５号、同じく第２７８８０４７号等々が掲げ
られる。

商業的見地から、緊締装置は部品点数の削減ボルト及び
ナットの組立作業工程の縮減がなされねばならない。

このためには接着剤や特殊な工具乃至部品の必要性は往
々にして抵抗になる。

又、組立作業中にボルトとアンカーへの力の加わりがた
が不適当なため工作物内に収められたアンカー自体が回
転してしまったら、作業工程そのものは単に遅滞するば
かりか最初からやり直さなければならないことになり、
製造原価を高騰させる虞れが多い。

以上のことから本発明の目的は、工作物に開けられた孔
がよしんば円形孔であっても該孔に挿入されたアンカー
が回転することのない緊締装置を提供する事。

アンカーを把持する工具や接着剤を使用せず更にはアン
カー自体に積極的に特殊形状を有する摩擦面や突起体を
設ける事な《アンカーの回転を防ぎ得る、ボルト及びア
ンカーから成る緊締装置を提供する事。

複数個乃至一個の工作物を相互に結合し得る廉価且つ効
果的なボルト及びアンカーから成る緊締装置を提供し、
この装置はボルトを捻転する工具以外の手段を何ら用い
る事なく速かに組込め、且つ堅固な締付けを可能にする
事。

堅締装置の主要素たるボルト受アンカーに設ける透孔乃
至ネジ孔の工作物に対する位置は，一定の範囲内で自由
に選択、調整できる様にする事。

工作物に設けられた受入開口が円形孔であったとしても
、接着剤や反動摩擦面の補助を受けず、独りそれ自体の
形状によりアンカーが工作物に固定されるボルト及びア
ンカーから成る緊締装置を提供する事等である。

本発明のその他の目的及び利点は以下の説明で明らかに
される。

なお図において同一符号は同一構成要素を示す。

先づ第１〜４図の一実施例に就き詳述すると緊締装置１
０は工作物１１に設げられた円形のアンカー受入開口１
２内で組込状態にある。

本装置１０は第３図に示す様に、工作物１１に対し第二
工作物品１３を締結する事も可能である。

なお本実施例の装置１０は頭１６、及び極く普通のネジ
部１８を有する軸方向に伸長した軸部１１から成るボル
ト１５と併用される。

本実施例の装置１０はアンカー２０であって、該アンカ
ーはその一端部に半径方向に拡大した頭部２１を有する
と共に、工作物１１の開口１２に係合し、工作物内での
回転を防止する軸方向に伸長した弾性の幹部２２を有す
る。

なお、アンカー２０は、熱可塑性樹脂材料、例えば「ナ
イロン」、「デルリン」、「ノリール」、等の商標名で
取引されている様な樹脂から経済的に製作可能であって
、これは本発明の一つの特徴である。

アンカー２０には透孔２３が貫通している。

透孔２３の当初の内径は該孔に捻込まれるボルトの軸部
１７の径よりも小さい．このためボルト１５を該孔２３
に捻じ込んでゆくにつれ、該孔２３の内面には一時的に
せよ補完的な雌ネジが形成され、それによりボルトとア
ンカーとは堅固に相互結合する。

また、同様にボルト１５の透孔２３への捻込みに伴いア
ンカー幹部２２は微かであるが弾性的に拡撓するため、
アンカー幹部２２自体が工作物１１に堅固に圧着し、ボ
ルト１５の捻転に拠っても受入開口１２内でアンカーの
回転は防止される訳である。

本実施例では、アンカーの幹部２２を平スロット２４が
分割し、前記の幹部２２の拡撓を容易にしている。

即ち、ボルト１５が捻込まれるにつれアンカー幹部の両
構成部２５ ，２６は互いに離間し、円形の受入開口１
２と堅固に圧着するのである。

本実施例の場合は平スロット２４をボルト受入透孔２３
を横切る様に設け、幹部の拡撓動及びボルトとアンカー
との弾性的相互結合を共に鼓舞する訳である。

第４図等から判る様に、平スロット２４は幹部２２の直
径に沿って、且つ幅はボルト受入透孔２３の直径よりも
狭《設けてある。

次に、本発明自体の目的である工作物の開口１２内での
アンカー２００回転を防止する配慮にに付いて述べるが
、それは要するにアンカー２０自体の構成形態に係る。

アンカーの透孔２３の中心軸３０がアンカー幹部２２の
中心軸３１から離間している事に留意されたい。

この偏倚によりボルト１５の捻込位置は幹部２２上で偏
心することになる。

従ってボルト１５を第二工作物の開口３３を通じ、アン
カー２０内にねじ込んでも第一工作物１１に対してアン
カー幹部２２は回転しないのである。

ボルト１５をアンカー２０にねじ込む際に、アンカーが
ボルトと一緒に共回りするのはアンカーに第４図に矢印
Ａで示す方向の回転トルクが生じる場合である。

しかし、本発明ではボルトはアンカーの中心軸３１から
偏心した透孔の軸３０にねじ込むため上記矢印Ａの回転
トルクはアンカーに生ぜず、しかもアンカーの幹部２２
は回りから工作物で一律に圧迫されるのでアンカーは共
回りしないのである。

透孔の軸と幹部の軸とは実質的に平行で、相互間には少
なくとも透孔の直径の半分の距離を置く様に設定してあ
る。

これは、上記相互間の距離が非常に近いとボルトのねじ
込みの際にアンカーは共回りする可能性が生じるが、実
験の結果ではその距離を透孔の直径の１／２、又はそれ
以上にすると共回りすることが無かったからである。

本発明の他の特長として、アンカー自体の外形に拠りア
ンカー２０の工作物１１内への挿入は容易でありながら
もその保持は堅固に為される点をあげられる。

斯様な効果は幹部の側面が２つの円錐台面３４，３５が
交じわった形状を有している事に起因する。

この円錐台面３４，３５０連続部３７は、相対的に先細
りに成った幹部の両端部３９，４００中間部分で相対的
に肥大した肩３８を形成する。

下端部４０か細く成っている為、工作物に開けられた開
口１２にアンカー２０を当初合わせ、挿入するのが容易
になし得、他方相対的に肥大した肩３８及びこれに続く
傾斜面３４は、アンカーが工作物１１内に完全に挿入さ
れた後にはアンカーの引抜きを困難にする作用を有する
。

本実施例の場合、連続部３７は環状を成し、この円環を
含む平面は幹部の軸３１に対し直角を成す様に設定され
ている。

第５図から第７図においては、本発明の他の実施例とし
てその主構成子たるアンカー２０を示す。

本第二実施例においてアンカー２００円形の拡大頭部２
１は透孔の軸３０を中心とし同心円的に設けてあるため
、アンカー及びボルトが組込まれた状態ではある意味で
は普通の、また別の面からは洗練された外観を呈する。

頭部２１の背向する両平面４Ｌ４２がそれぞれ第一、第
二工作物１１，１３に接合する為に設けられている事は
、前述した第一実施例と同様である。

スロット４３は本実施例の場合、幹部２２を貫通して居
らず、従って幹部の拡撓もある程度限られるが、ボルト
の捻込みに伴う工作物開口への圧接は十分成されるもの
である。

本実施例の場合も幹部の側面４５は概ね連続部４８で連
続した二つの円錐台面４６，４７から成っている。

連続部４８は幹部の軸３１に対し鋭角を為す平面内に位
置し、而してその形状は楕円である。

これは第５図及び第７図を参照すれば理解されよう。

又、連続部４８はボルト嵌合長の半分に等しいか、それ
より短い距離Ｃに至る迄アンカー幹部２２に沿い垂下し
ている。

図示の如く必要に応じ円筒形の座面４９を頭部２１の直
近に工作物開口１２の奥行分に相等する様に設けてもよ
い。

本実施例においてボルトを受入れる透孔２３の位置を一
定の範囲内で調整する為には、ボルト１５を捻込む前に
アンカー２０を工作物１１内で回しさえすればよい。

アンカー２０を位置決め後、ボルト１５を捻込むに伴い
、工作物１１内でアンカーの幹部２２は回転力を受ける
が、同時に回転力に抗する圧接作用も生ずる事になる。

この反回転作用は第一実施例で述べた作用と全く同一で
ある。

以上本発明を二種の実施例に就き詳述したが、もとより
本発明はこの実施例にだけ限定されるものではなく、本
発明の技術思想に則って様々に実施できるものであるこ
とは言う迄もない。

最後に、本発明の主要な実施例を系統的に数例、列挙す
る。

（１）幹部の直径に沿い、少《とも部分的に、少《とも
一つのスロットを設け、幹部の長手方向に分割した特許
請求の範囲に記載の緊締装置。

（２）少くとも一つのスロットに依り幹部が二又に分岐
し、該スロットは幹部の直径に沿い、アンカーの透孔な
横切る様に、且つその幅は該透孔の直径よりも狭い様に
設けられている特許請求の範囲に記載の緊締装置。

（３）透孔の軸と幹部の軸とは実質的に平行で、少くと
も透孔の直径の半分の距離、相互に離間する様に設定さ
れている特許請求の範囲に記載の緊締装置。

（４）軸方向に伸長した幹部と、該幹部の一端部から半
径方向に拡大し、工作物表面に接触する頭部とを有する
単体の弾性アンカーを含み、該アンカーを貫通する透孔
の径は当初該透孔に捻込まれるボルトの外径より細く形
成され、これにより該透孔へのボルトの捻込みにつれア
ンカー幹部が拡撓して工作物との圧接を堅固にすると共
に、却って該透孔の中心軸はアンカー幹部の軸から偏倚
し、而してボルトはアンカー上の偏心位置に捻込まれる
事により、透孔内でのボルトの捻転によっても工作物内
のアンカー幹部の回転は防止し得るアンカー、即ちスク
リューグロメットとボルトとから成る緊締装置。

（５）幹部側面は少くとも二つの円錐台面が連続した形
状を有し、その連続部が肥大した幹部肩を形成する前而
４）に記載の緊締装置。

（６）連続部は幹部の軸に対し垂直な平面内にあって円
環形状をなす前范５）に記載の緊締装置。

（７）連続部が幹部の軸に対して鋭角をなす平面内にあ
って、楕円環形状をなす前記（５）に記載の緊締装置。

（８）連続部が幹部の頭部端から少くとも透孔の全長の
半分に等しい距離に至る迄垂下した前記７）に記載の緊
締装置。

（９）アンカーの頭部が上面に第二の工作物を載せ、自
身の透孔と第二工作物の開口を利用してボルトで第二の
工作物を取付けられる様になっている前記（４）に記載
の緊締装置。

（１０） 幹部が少くとも一つの平スロットに依り、
二又に分岐している前記（４）に記載の緊締装置。

αＤ アンカーが弾性のプラスチック材料から成る前記
（４）に記載の緊締装置。

０２）頭部と軸部とから成るネジ切りされたボルトを含
み、該ボルト軸部の外径を当初はネジ切りされていない
アンカー透孔の径より太きいものにして、ボルトが該透
孔にネジを切れる様にし、これによりボルドとアンカー
との完全なネジ嵌合を図ると共に、ボルト軸部の軸長も
該ボルト軸部がアンカー幹部に捻込まれるにつれ、アン
カー幹部を外方へ拡撓し得る長さのものとして、アンカ
ー幹部の工作物への圧着、及び該工作物内での回転の防
止を図る様にした前范４）に記載の緊締装置。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の工作物内組込状態を示す斜
視図、第２図は同上のボルトを捻込んだ組込状態を示す
平面図、第３図は第２図の３−３線に沿う断面図、第４
図は第３図４−４線に沿う断面図、第５図は本発明の他
の一実施例のアンカーを示す斜視図、第６図は第４図と
同様な同上の断面図、第７図は第６図７−７線に沿う断
面図であり、図中１１，１３は工作物、１２は工作物の
開口、１５はボルト、２１は頭部、２２は幹部、２３は
ボルト受入透孔、３０は透孔の中心軸、３１はアンカー
の軸、３４，３５及び４６，４７は円錐台面、３７，４
８は連続部、３８は肩、３９，４０は幹部の端部を示す
。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ボルトと、このボルトと併用して工作物の円形開口
   中に取付けるアンカーからなる緊締装置において、 アンカーは頭部と、頭部と一体で、頭部から軸方向に垂
   下し、断面形状は頭部の外形よりも小さい円形で上記円
   形開口中に受入れられる弾性の幹部からなり、 幹部は上下両端間の途中に、工作物の上面を頭部の下面
   に接触させる肩を有し、 頭部と幹部には幹部の軸心と平行で、且つ幹部の軸心か
   ら偏心した一連の透孔が貫通し、 上記透孔の直径は、こ〜にねじ込む前記ボルトによって
   幹部を拡張させたためにボルトの軸部よりも直径が小さ
   く、 且つ上記透孔の中心軸が幹部の軸心に対して偏心する偏
   心量は透孔の直径の１／２以上であることを特徴とする
   緊締装置。