JPS59620Y2 - 隔膜式濃度検出器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は例えば液体中に含まれる酸素等の濃度検知器
に関し、特に検出器内部に使をれる電解液に測定しよう
としている例えば酸素が元々含有していても、これによ
る影響を軽減できる隔膜式濃度検出器を提供しようとす
るものである。

第１図は従来の溶存酸素計に用いられている隔膜式濃度
検出器を示す。

図中１は筒状の絶縁ケースを示し、その一端は閉塞され
、その底面に陽極２が取付けられている。

陽極２は普通鋼等が用いられる。

一方筒状ケース１の開放端面ば隔膜３によって閉塞され
る。

この隔膜３は例えばテフロン（登録商標名）或いはポリ
エチレン等が用いられる。

隔膜３と近接して筒状ケース１内側に貴金属から成る陰
極４が設けられる。

陰極４には孔が複数形成され筒状ケース１内に充填した
アルカリ性電解液５がこの孔を通して陰極４と隔膜３と
の間に流出し、その間に膜状に存在するように構成され
る。

このように構成された隔膜式濃度検出器を被検液中に投
入すると、被検液中に含まれる例えば酸素が隔膜３を通
して陰極４に反応し、その反応量に比例した電流が陽極
２と陰極４との間に流れ、この電流量を測定器８によっ
て測定することにより被検液中に含まれる例えば酸素の
濃度を知るようにしている。

従来はこのように陰極４の裏側の面、即ち陽極２と対向
する面も電解液５に直接触れている構造になっているた
め電解液５に元々含まれていた被測定成分、即ち例えば
溶存酸素計の場合は酸素が陰極４に反応する。

このため被検液中に目的とする被測定成分が全く存在し
ない状態でも陽極２と陰極４との間には電流が流れ、い
わゆる暗電流が発生する。

この暗電流は時間の経過と共に漸次減少していく性質を
有し、これがためにゼロ点の変動を来し、測定の都度そ
のゼロ点変動を修正しながら使用しなければならず、取
扱いが面倒となる欠点がある。

このため第２図に示すように陽極２の表面に絶縁体６を
取付け、この絶縁体６の表面に陰極４を埋設支持させる
構造が考えられる。

このように構成すれば電解液５に含まれる被測定成分は
陰極４の周の線上においてのみ陰極４と反応し、その反
応面積を被検液側の反応面積と比較して充分小さくでき
るため暗電流値を小さくでき、よって暗電流の変化に伴
うゼロ点変動量を小さくできる。

然し乍らこの構造によれば陰極４の面積が小さくなつて
しまい測定感度が著しく低下してしまう欠点がある。

このため更に陰極４の陽極２と対向する側の面に絶縁層
を形威し、電解液中の被測定成分と陰極とが反応しない
構造とすることも考えられる。

然し乍ら陰極の一方の面に絶縁層を形成しなければなら
ず製造が面倒である。

この考案の目的は製造が簡単で然も暗電流値を小さくで
きる隔膜式濃度検出器を提供するにある。

この考案は例えば液存酸素計のような隔膜式濃度検出器
において、従来から使われている陰極（測定陰極）に加
えてこの測定陰極の陽極と対向する側の面に接近して第
２陰極を設け、この第２陰極と陽極とを電気的に接続し
ておくことにより電解液中に元々溶存していた被測定成
分を、この第２陰極によって反応させてしまい、測定陰
極においては電解液中の被測定成分との反応が行なわれ
ないようにしたものであり、よってこの考案によれば使
用開始初期の状態から暗電流値が殆んどゼロに近い状態
の、即ちゼロ点変動のない隔膜式濃度検出器を得ること
ができる。

以下この考案の一実施例を第３図を用いて詳細に説明す
る。

この考案による隔膜式濃度検出器は第３図に示すように
隔膜３の背面側にこれと近接して筒状ケース１の横断面
積と同一の面積を持つ測定陰極４を取付けることと、筒
状ケース１の底面に陽極２を取付ける構造は第１図で説
明した従来の濃度検出器と同様の構造とするものである
が、この考案においては測定陰極４の背面側、即ち陽極
２と対向する面側に近接して第２の陰極７を設け、この
第２陰極７を陽極２と電気的に接続するように構成する
ものである。

第２陰極７は測定陰極４と同様の構造のものでよく、測
定電極４と同様に電解液５が陽極２側から測定陰極４側
に自由に流通させる流路を構成するための孔が形成され
る。

このため第２陰極７は網状電極でもよい。

但し孔の直径は測定陰極の面積と比較して充分小さく選
定し、筒状ケース１の奥から拡散して来る被測定成分を
必ず第２陰極７で反応させる。

このため網状電極を複数枚重ね合せた構造にすることも
できる。

第２陰極７と陽極２との間は測定器８の入力抵抗値Ｒｉ
より充分小さい抵抗値の抵抗器９によって電気的に接続
すればよい。

このためには抵抗器９の抵抗値はゼロ、即ち第２陰極７
と陽極２との間を直接短絡する場合もある。

このように構成すれば電解液５に元々溶存していた被測
定成分例えば酸素は第２陰極７と反応し測定陰極４の近
傍の被測定成分は急激に減少するため測定陰極４と電解
液５中に存在する被測定成分とが反応する量は極めて少
なくすることができる。

然も筒状ケース１の奥から拡散して来る被測定成分は必
ず第２陰極７と反応し、測定陰極４に達することはない
。

よってこの考案による隔膜式濃度検出器によれば使用開
始初期状態から暗電流値が小さく、よってゼロ点変動を
小さくできる。

然も測定電極４の面積は筒状ケース１の横断面積とはパ
同−面積に採り大きく選定できるから測定感度を大きく
できる利点があり、その効果は実用上において頗ぬ大で
ある。

然もこの考案では第２陰極７を筒状ケース１内に設ける
だけでよいため製造も容易であり製造上においてもコス
トダウンが期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の隔膜式濃度検出器の説明に供
する断面図、第３図はこの考案による隔膜式濃度検出器
の一実施例を示す断面図である。 １：筒状絶縁ケース、２：陽極、３：隔膜、４：測定陰
極、５：電解液、７：第２陰極。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器内に電解液が封入され容器の少くとも一部が被測定
   成分を透過する隔膜で形成され、その隔膜の内面に上記
   電解液の膜を介して陰極が設けられ、容器内に陽極を備
   えた隔膜式濃度検出器において、上記陰極の上記陽極に
   対向する面に近接し、かつその陰極のほぼ全面と対向し
   て第２の陰極が設けられ、これら陰極と第２の陰極に上
   記陰極の反応面積と比較して小さい電解液通路が設けら
   れて上記第２陰極は陽極に電気的に接続されてなる隔膜
   式濃度検出器。