JPS5943674B2 - 圧力容器のフランジ部のシ−ル構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ナトリウム（以下Ｎａと略す）を収納する圧
力容器のフランジに係り、特に原子炉のようにＮａもし
くはＮａミストを含むガスをソールするに好適なフラン
ジの溶接シール構造に関するＯ 一般に、原子炉の１次冷却系を循環するＮａは、原子炉
反応容器で高温（約５５０℃）に熱せられ、中間熱交換
器へ導ひかれて２次冷却系Ｎａと熱交換して低温（約４
００℃）になる。

この低温となったＮａは原子炉反応容器に戻されて熱せ
られ、再び中間熱交換器へ導びかれ循環する。

一方、２次冷却系を循環するＮａは、中間熱交換器で１
次冷却系のＮａから熱をうけて昇温（約５００℃）し、
蒸気発生器へ導ひかれる。

２次冷却系Ｎａは、蒸気発生器で水あるいは水蒸気と熱
交換して温度が下がり（約３００℃）、中間熱交換器へ
戻されて昇温する。

蒸気発生器で２次冷却系の熱をうけた水あるいは水蒸気
は、高温高圧の水蒸気となってタービンを回転し、発電
機を回す。

前記中間熱交換器は放射能を有する１次冷却系のＮａと
非放射性の２次冷却系のＮａが熱交換するところであり
、また前記蒸気発生器は非放射性の２次冷却系のＮａと
水とが熱交換をするところである。

高速炉のＮａ収納容器は、前記したようζこ、原子炉反
応容器、中間熱交換器、蒸気発生器があり、その他（こ
Ｎａを精製するコールドトラップ、Ｎａを貯蔵するダン
プタンク、不活性カス（カバーガス）中のＮａミストを
除去するベーパトラップ等がある。

これらのＮａ収納容器はＮａ配管あるいはカバーガス配
管で連結されたりしている。

このよう（こ、Ｎａ収納容器は種々の機能を備えた要素
が組込まれてなるもので、これらの要素は、最終的には
該容器船こ取付けられたフランジにより密閉され、Ｎａ
が漏洩しないようにフランジ端をリップ浴接して気密に
保たれる。

これらのＮａ収納容器の１例を蒸気発生器に例をとって
、第１図により説明する。

第１図は蒸気発生器の胴体を示している。

蒸気発生器の胴体は、上部胴体１と下部胴体２とからな
り、該胴体内には、Ｎａと水との熱交換を行なうために
、伝熱管、内部シュラウド、熱しゃへい構造体胴等（い
ずれも図示せず）の要素が組込まれており、これらの要
素を組込んだ後に最終的に上部胴体に形成されたフラン
ジ９と下部胴体に形成されたフランジ１０とがボルトで
結合されて一体化される。

蒸気発生器内のＮａ３は、Ｎａリングベツダー４から入
り、Ｎａ出口ノズル５から流出する間に、蒸気リングヘ
ッダー６から伝熱管（図示せず）に入って蒸気出口フラ
ンジ７から出る水あるいは水蒸気と熱交換される。

Ｎａ３の自由液面上部には、カバーガス注入ノズル８か
ら注入されるカバーガスが充填されている。

これらの液体Ｎａあるいはカバーガス中のＮａミストが
蒸気発生器の外へ漏洩しないように上部フランジ９と下
部フランジ１０の間にはシールが施されている。

フランジのシールは、一般にはシリコンゴム等の非金属
物質や銅、ニッケル、インコネル等の金属物質による０
リングやパツキンが用いられる。

しかしながら、これらの非金属物質や金属物質による０
リングやパツキン’、４％＞ Ｎ ａとの共存性に難点
があったり、使用温度が高いことから、長期間のシール
に適さず、健全性が保ちにくい。

また、フランジ径が１０００〜３０００ｍｍφもあるこ
とから、製作しにくい。

従って、長期間使用するＮａ収納容器のフランジのシー
ルは、金属あるいは非金属によるＯリングやパツキンを
用いることは少ない。

即ち、従京よりＮａ収納容器に用いられるフランジのシ
ール方法は、上下フランジ９，１０を溶接する方法であ
る。

これを、第１図のフランジ部分の拡大図である第２図に
より説明する。

蒸気発生器の胴体１，２はフランジ９，１０を締結する
フランジボルト１１で結合されており、上部胴体１と下
部胴体２の中心軸がすれないように、上下フランジ接触
面１４は段違い（３０で示す）になっている。

フランジ部のシールは、第２図すに示すように、フラン
ジ接触面１４の外側全周に、接触平面の延長上に鍔１２
．１３を設け、この鍔１２．１３に合わせて、この先端
部分のみを溶接（１５）することによって得ている。

この鍔１２１３はシールを目的として設けたもので、こ
の溶接によるシールはリップ溶接の通称で呼ばれている
。

このシールの溶接施工は、まず上下胴体１，２のフラン
ジ９，１０の全周をフランジボルト１１で連結してから
所定の範囲のボルト１１を取外しで、外した部分をリッ
プ溶接し、該範囲の溶接終了後、ボルト１１をはめて連
結し、他の位置に移ってボルト１１を取外し、溶接、ボ
ルト取付けを順次繰返してフランジの鍔の先端全周を溶
接することにより行なわれる。

蒸気発生器の検査、補修、解体に際しては、フランジボ
ルト１１を取外し、鍔１２．１３の先端のリップ溶接の
溶着金属１５を切削することによって、上部胴体１と下
部胴体２とを分解し、胴体内部の要素を取出す。

なお、第２図に示すリップ溶接は、溶接継手の分類上、
へり溶接継手と呼ばれるものである。

上記したようζど、リップ溶接によるシール方法は、シ
ールが簡単で、分解に際してはリップ溶接部を切断する
ことによって容易にフランジを分離することができ、か
つ０リングやパツキンに比べてシールが確実であるとい
う利点がある。

しかしながら、リップ溶接による得られたシール部は、
Ｘ線による非破壊検査が出来ないという欠点がある。

このため、ヘリ溶接の際に、溶着金属の融込み不足やグ
ローホール等が生じた場合、あるいは溶接後の使用によ
りシール溶接部に割れが生じた場合、Ｎａが漏洩し始め
てからシールが不完全になったことがわかることになる
。

特に、中間熱交換器の様な１次系のＮａが漏洩した場合
には、補修そのものが容易でない。

従って、Ｘ線検査のできないフランジ部のリップ溶接は
、健全性が確認されないという極めて大きな欠点がある
。

その他の欠点として、リップ溶接部は隙間腐食によって
割れを生じやすいという欠点があり、この割れによって
接触面に生じた亀裂により、リップ溶接部に過大な応力
が集中し、溶接部に割れを生じやすいという欠点もある
。

この様なリップ溶接の欠点を除去する手段として、リッ
プ溶接の代りに、第３図及び第４図に示すような突合せ
溶接を採用したシール方法がある。

第３図の例は、フランジの対向面に核部に対して垂直な
環状凸部１６を周方向に設け、これらの凸部１６どうし
を突合せ溶接（３１）Ｌ、たものテする。

また第４図の例は、前記環状突部１６の間にリング１７
を設けて、２ケ所を突合せ溶接（３２）したものである
。

第３図及び第４図により得られた溶接部は、環状凸部１
６あるいはリング１７の円周上に孔あるいは窓を設け、
この孔等からＸ線フィルムを挿入して突合せ溶接部の内
側に密着させ、外側からＸ線を照射することにより、Ｘ
線検査を行なうことができる。

また、第３図及び第４図により得られた突合せ溶接部は
、隙間腐食割れによる割れや溶接部への応力集中がない
。

しかしながら、第３図及び第４図に示した突合せ溶接に
よると、前記のようにＸ線検査のためにシール部分の円
周上の１ケ所ないしは複数ケ所にＸ線フィルム挿入用の
孔又は窓を設けなければならず、この孔又は窓は溶接終
了後にめくら板によって密閉し溶接しなければならない
が、しかしこのめくら板の溶接部分のＸ線検査を行なう
ことができないという欠点がある。

以上の説明を総合すると、従来のＮａ収納容器のフラン
ジのシール溶接部はいずれもＸ線による検査ができない
かあるいは完全に行なうことができず、シールの健全性
を得ることができないという欠点がある。

本発明の目的は、ＮａあるいはＮａミストを含むカバー
ガスの漏洩を防止するＮａ収納容器のフランジのシール
構造として、分解及び再組立てが容易で、かつシーＪし
部全周の溶接部をＸ線検査することができる健全性の高
いものを得ることにある。

この目的を達成するため、本発明においては、Ｎａ収納
容器のフランジにおいて、１つのフランジ外周に断面が
１字型のリング部をフランジ周方向に形成し、他方のフ
ランジの外周に断面が５字型のリングをフランジ周方向
に形成し、これらのリングの端部を突合せ溶接してＵ字
型のシール部を形成したことを特徴とする。

以下本発明の実施例を第５図ないし第７図により説明す
る。

第５図は本発明の一実施例を示すフランジ部の拡大図で
ある。

第５図において、フランジ９，１０の接触面１４より外
周側には、前記実施例と同様に間隙３３が全周にわたっ
て形成されており、該間隙３３が形成されている部分に
フランジボルト１１が取付けられている。

上部フランジ９の下ｍ（フランジ１０との対向面）には
、ボルト１１より内側の位置に、はぼ下向きに突出する
ように、断面１字型のリング部１８がフランジの全周に
わたって設けられている。

一方下部フランジ１０には、接触面１４形成部の上端外
周から半径方向に延びる水平部３４を全周にわたって形
成し、該水平部の外端から断面５字型のリング部１９が
その先端が前記リング部１８の先端に対向し、かつ該リ
ング部１８に沿うように設けられでいる。

これらの１字型リング部１８の端部と５字型リング部１
９の端部を突合せ溶接（２０）して断面がＵ字型のリン
グ状のシール部を形成する。

この溶接を施工するには、従来のリップ溶接による施工
と同様゛に、Ｎａ収納容器の全周をフランジボルト１１
で連結してから部分的にボルト１１を取外し、取外した
部分を突合せ溶接し、順次これをフランジ全周にわたっ
て行なえばよい。

Ｎａ収納容器の内部検査、補修、あるいは解体に際して
のシール溶接の取外しは、ボルト１１を取外してフラン
ジ外周側からグラインダーカッターにより突合せ溶接部
２０を切断すればよい。

シール溶接後のＸ線検査に際しては、第６図に示すよう
に、５字型リング部１９の内周側にＸ線フィルム２２を
密着させ、１字型リング部１８の外側にＸ線発生装置２
３をセットし、シールした突合せ溶接部２０を照射すれ
ば、該シール溶接部２０について、フランジ全周にわた
ってＸ線写真を容易に撮影することができる。

ここで、１字型リング部１８と５字型リング部１９の板
厚が薄く、かつ１字型リング部１８と５字型リング部１
９の空間が狭ければＸ線写真は鮮明となるが、溶接はし
にくくなる。

従って、この実施例の構造を実現する場合、１字型リン
グ部１８と５字型リング部１９の板厚は例えば１．５〜
５．０朋程度であってかつ両リング間の空間が１．０ｕ
程度であることが好適である。

この様に、該実施例の構造とすれば、溶接部全周をＸ線
検査することができ、ＮａやＮａミストを含むカバーガ
スを完全にシールし得る信頼性の高いＮａ収納容器を得
ることができる。

また従来のリップ溶接によるシール構造にみられる様な
隙間腐食による割れや応力集中による割れのおそれはな
い。

なお、Ｘ線検査の方法としては、第６図に示した方法以
外に、Ｘ線源としてアイソトープ等の小型のものをＪ字
型リング１９部の内側にセットし、Ｘ線フィルムを突合
せ溶接部の外側に密着させて撮影する方法もある。

第５図の実施例においては、容器の軸心方向に１字型リ
ング部及び１字型リング部を設けた例について示したが
、第７図に示すように、フランジ接触面１４がフランジ
間空間３３のほぼ中央位置に位置するようにし、該接触
面１４の部分から容器の半径方向に延びる１字型リング
部１８と１字型リング１９部とを設けて両リング部の端
部どうじを溶接（２０）するようにしてもよい。

この場合のＸ線検査は、フィルムとＸ線源（小型のもの
としてアイソトープを用いたものが好適である）とをＵ
字型部分の上下にセットして行なう。

以上述べたように、本発明によるＮａ収容用の圧力容器
のシール構造は、一方のフランジに１字型リング部を設
け、他方のフリンジに１字型リング部を設け、両リング
部の端部どうじを突合せ溶接してＵ字型シール部を形成
してなるものであるから、シール溶接部をフランジ全周
にわたって完全にＸ線検査を行なうことができ、従って
溶接欠陥を残したまま容器が据付けられることがなくな
り、信頼性の高いＮａ収納容器を得ることができる。

また、本発明によれば、従来のリップ溶接によるものの
ような隙間腐食割れや応力集中割れのないシール構造が
実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はＮａ収容用圧力容器の一例として示したＮａ冷
却蒸気発生器の胴体部分の概略断面図、第２図ａは第１
図のフランジ部のシール構造を示す拡大図、同すはａの
Ａ部拡大図、第３図及び第４図は従来のＮａ収納容器の
フランジ部のシール構造の他の例を示すフランジシール
部の断面図、第５図は本発明によるシール構造の一実施
例を示すフランジシール部の断面図、第６図は第５図の
実施例において、Ｘ線検査を行なっている状況を説明す
るフランジシール部の断面図、第７図は本発明によるシ
ール構造の他の実施例を示すフランジシール部の断面図
である。 １・・・・・・上部胴体、２・・・・・・下部胴体、９
，１０・・・・・・フランジ、１１・・・・・・フラン
ジボルト、１４・・・・・・フランジ接触面、１８・・
・・・・１字型リング部、１９・・・・・・１字型リン
グ部、２０・・・・・・突合せ溶接部、３３・・・・・
・フランジ間空間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ナトリウムあるいはナトリウムミストを含むカバー
   ガスを収納する圧力容器のフランジにおいて、フランジ
   ボルトによって結合される一方のフランジのフランジボ
   ルト取付部より内側に、フランジ間で形成される空間に
   突出するように断面１字型のリング部をフランジの全周
   にわたって設けると共に、他方のフランジに前記リング
   部に沿うように断面５字型のリング部をフランジの全周
   にわたって設け、前記両リング部の端部どうじを突合せ
   溶接して容器内部のナトリウム又はナトリウムミストを
   含むカバーガスをシールするＵ字型のシール部を形成し
   たことを特徴とする圧力容器のフランジ部のシール溝底