JPS5941145B2 - 部分放電測定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、部分放電測定装置に関する。

近年電気機器の寿命予測に関連して種々な電気絶縁耐圧
試験がなされているが、なかでも部分放電試験は非破壊
試験であるために最も重要視されている。一般的な部分
放電測定法は、部分放電測定用供試物（以下供試物とい
う）を電源で駆動し、回路に直列に挿入した検出インピ
ーダンスにより部分放電信号を検出するものである。検
出感度を高めるためによく用いられている方法は、部分
放電信号が通常電源周波数よりも高い周波数成分を多く
含むことを利用し、検出インピーダンスを狭帯域フィル
タとして周波数成分の構成比の差によつて部分放電信号
を電源その他の信号と分離することである。しかし電源
が矩形波であるとか鋸歯状波である場合には、電源によ
る雑音信号の周波数成分が高いために前記フィルタを使
用する方法では十分に電源の雑音信号を消去することが
できない。本発明はこのような電源による雑音信号を消
去して部分放電信号を感度良く検出することのできる部
分放電測定装置を提供することを目的とするものである
。部分放電信号の特性としては、周波数成分が高いこと
のほかに部分放電開始電圧付近において部分放電が不安
定で間欠的であり、電源周波数の位相同期性も余りない
ことが知られている。

これに対し電源雑音信号は、部分放電開始電圧付近では
十分に安定であり、電源周波数との位相同期性が良いと
いう特徴がある。これらのことから電源周波数の任意の
１周期を考えた場合には、部分放電開始電圧付近の電圧
においては部分放電信号は存在するか存在しないかのど
ちらかであるか、或は存在していても次の１周期に存在
する位相とは異なる位相に存在する可能性が大きい。一
方電源雑音信号はどの１周期を取り出してもほぼ同振幅
、同位相にあると考えることが出来る。従つて任意に取
り出した２つの１周期の信号を減算処理すれぱ、電源雑
音信号は消去されて部分放電信号のみが残ることになる
。本発明は部分放電信号の上記のような特徴を利用して
特に部分放電開始電圧付近の電圧で感度の高い部分放電
の測定を可能にするものである。上述と同じ原理を利用
して出願人が先に出願した特願昭５１−１３０６１０号
（特公昭５５一４７３５０号）は、雑音が混在する部分
放電信号を一旦ディジタル信号に変換し、電源電圧に同
期した第１及び第２の周期に存在する第１及び第２のデ
ィジタル信号を得、この第１のディジタル信号から第２
のディジタル信号を減算することにより、前記雑音を消
去することを特徴とするものである。

このために、Ａ−Ｄ変換器、記憶回路、電源と同期した
制御パルスやタイミングパルス発生装置を含む複雑な回
路構成が必要となる。一方又、アナログ的な遅延回路、
例えば遅延線や遅延コイルは、一般的に周波数特性や位
相特性が悪く、入力信号よりも波形がくずれた出力信号
しか得られない欠点がある。

又、電源周期の整数倍の遅延についても、遅延回路の製
作上の困難がある。本発明は、クロツク発振器の出力に
より遅延時間が制御される遅延回路を用いることにより
、簡易な回路構成にもかかわらず、雑音信号の制御能力
が高く、部分放電信号の逐時観測が可能な部分放電測定
装置を提供することを目的とするものである。

以下図面を参照して本発明の実施例を説明する。

図は本発明の部分放電測定装置のプロツク図である。図
において１はクロツク発振器で、その出力は分周回路２
により適宜分周され電源３を励磁すると共に遅延回路６
に加えられ、遅延回路６に入力される信号を一定時間遅
延させる。供試物４は前記電源３で駆動され、検出イン
ピーダンス５により出力信号が検出される。検出インピ
ーダンス５に得られた信号を２つに分け一方は直接減算
回路７に加え、他方は前記遅延回路６を通して減算回路
７の他方の入力に加え、検出インピーダンス５の出力信
号とそれを遅延させた信号とを減算回路７で減算処理す
る。部分放電信号のない場合にこの減算処理出力が零に
なるようにするため遅延回路６の遅延時間が電源周波数
の１周期の整数倍となるように分周回路２の分周数と遅
延回路６の定数とを決めると共に、遅延回路６を通した
信号と遅延回路を通さない信号との振幅を一致させてお
くと、部分放電が発生したとき減算器７の出力には部分
放電信号のみが出力されるので、これを表示器に加え部
分放電を測定することができる。次に上述の装置を使用
して実際に部分放電を測定した実験例を以下に示す。実
験には供試物として１ｋＨｚで動作するＤＣ−ＤＣコン
バータ用のトランスを用い、又遅延回路として５１２段
のＢＢＤ素子（松下電子工業（株）製）を用いた。

このとき遅延を１周期とすれば遅延時間は１ｍｓ、分周
は２５６分の１とする必要がある。水晶振動子を用いて
２５６ｋＨｚのクロツク発振器を構成し、分周回路で１
ｋＨｚに分周した後、ＤＣ−ＤＣコンバータトランスの
一次側励磁回路に加え、二次高圧巻線を励磁した。トラ
ンスの場合には供試物は厳密には二次側高圧巻線であり
、一次側励磁回路は一次巻線と共に電源を構成すること
になる。コンデンサと抵抗との並列回路より成る検出イ
ンピーダンスを二次高圧巻線に直列に挿入して出力信号
を取り出した。負荷としては抵抗を用い、二次電圧を平
滑して加えた。減算回路は差動増幅器により構成し、そ
の出力をオシロスコープで観察した。部分放電が開始し
ない電圧で減算回路の出力が最小となるように減算回路
への入力を調整した後、励磁電圧を増加させていくと、
ある電圧で明らかに部分放電信号が立ち上がることが観
察された。以上のように本発明の装置によれば、電源雑
音信号のない部分放電信号を観察し測定することができ
る。

又クロツク周波数を連続的に変化しても遅延周期はクロ
ツク周波数に同期しているため、検出インピーダンスの
変更をすることなく部分放電の周波数特性を容易に測定
することができる。又供試物はトランスに限らずコンデ
ンサその他の電気機器であつてもよい。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の部分放電測定装置のプロツク図である。 １・・・・・・クロツク発振器、２・・・・・・分周回
路、３・・・・・・電源、４・・・・・・供試物、５・
・・・・・検出インピーダンス ６・・・・・・遅延回
路、７・・・・・・減算回路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ クロック発振器の出力を分周した信号によつて励磁
   される電源と、前記クロック発振器の出力により遅延時
   間が制御される遅延回路とを有し、部分放電測定用供試
   物を前記電源により駆動し、その出力信号を検出インピ
   ーダンスを通して一部は直接減算回路の一方の入力とし
   て加え、他の一部を前記遅延回路により前記電源周波数
   の一周期の整数倍遅延して後前記減算回路の他方の入力
   として加え、該減算回路の出力を表示器に加えて部分放
   電を測定することを特徴とする部分放電測定装置。