JPS5932191B2 - 都市ごみ類からの紙の分別方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、都市ごみ類の中から紙類を分別し回収する紙
の分別方法に関するものである。

風力分別は水を利用する湿式分別に比し、水処理が不要
で簡易であるという利点を有するが、都市ごみを破砕し
た後に全体を混合したまま風力によつて紙を分別しよう
とすると、都市ごみ中に含まれる厨芥は大部分が軟弱物
質であるため破砕した際に微小片となり易く、厨芥の実
質比重は紙の比重よりも大きいにも拘らず、微小片の厨
芥は風の影響を大きく受け紙類と共に吹き飛ばされ、こ
のような微小厨芥と紙とを風力により分別することは困
難であつた。

しかもかかる軟弱な厨芥が爾後の紙の精製におけるバル
パーに混入すると、他の不純物即ち金属、ガラス、プラ
スチック、木、せんいなどと異り、紙パイプとの分離が
容易でないのみならず、水汚染の源となり公害の原因と
もなるおそれがあつた。本発明は、粉砕・篩分工程によ
り都市ごみから先ず軟弱な厨芥類の大部分を除いた後に
風力分別を行なうことにより、従来のものの上記の欠点
を除き、厨芥の混入が少なく純度の高い紙の回収を行な
うことができる都市ごみ類からの紙の分別方法を提供す
ることを目的とするものであり、これによりさらに紙精
製における装置負担をできるだけ軽減することも目的と
するものである。

本発明は、都市ごみ類から前段の破砕・篩分工程により
脆弱な物質並びに軟弱な厨芥類を大部分除去し、後段の
該破砕・篩分工程の中に含まれる加湿工程で対象物質群
中の紙の含水率を調整して破砕・篩分すると共に、その
篩下分の紙の含有率の高い紙系物質群の一部あるいは全
部を対象物質群とし、この対象物質群から風力分別工程
により最適比重差となつた紙類を風選別通路で分別する
ことを特徴とした都市ごみ類からの紙の分別方法である
。

本発明を実施例につき図面を用いて説明すれば、第１図
においてＡは破砕・篩分工程を同時に行なう破砕篩分装
置の一例を示し、回転する円筒スクリーン１の内部でこ
れと異なる速度で回転する破砕子２、円筒スクリーン１
の外側に区分された排出口４，５及び円筒スクリーン１
の両端に開口する投入口３、排出口６が備えられ、外部
に備えられた軸受９により破砕子２を装着した回転軸７
がプーリ−８を介して回転し得るように支承されている
。

円筒スクリーン１は駆動モーター１０により回転される
よう支えられている。１１は水を噴出するスプレーノズ
ルで、回転軸７に設けた導水孔１２により水が供給され
る。

円筒スクリーン１の前段１ａにて篩分され排出口４より
排出されるグループを第グループ、後段ａにて篩分され
排出口５より排出されるグループを第グループ、残部の
排出口６から排出されるグループを第グループと称する
。

１３は破砕篩分装置Ａにて抽出された物質のうち第グル
ープ物質を風力分別装置Ｂに導びく輸送路である。

風力分別装置Ｂは縦型の第１ジグザグ通路１４と第２ジ
グザグ通路１５を有し、それぞれその下部から上部に向
かつて空気流が流れるようブロワ１６，１７が接続され
ている。第１ジグザグ通路１４の上部に近い部分には輸
送路１３により運ばれた第グループ物質を投入する投入
口１８が開口し、下部は落下した物質を取り出す排出口
１９を備え、上部はサイクロン２０に連なつている。サ
イクロン２０の上部はブロワ１６の吸込側に連なり、下
部は第２ジグザグ通路１５の上部附近に開口している投
入口２１に連なる。第２ジグザグ通路１５の下部には落
下物を取り出す排出口２２が設けられ、上部はサイクロ
ン２３に連なつている。サイクロン２３の上部はプロワ
１７の吸込側に連なり、下部に排出口２４を有する。こ
のように構成された実施例の作用、効果を説明すれば、
投入口３から破砕篩分装置Ａに投入された都市ごみは破
砕子２の破砕作用により先ず脆弱なガラス、陶磁器類及
び軟弱な厨芥類が微小粒径に破砕されて円筒スクリーン
１の前段１ａの篩分作用により排出口４よりグループＩ
物質として排出される。次いで円筒スクリーン１の内部
を移動した残部の物質はスプレーノズル１１から供給さ
れる水により、後述の理由により紙分の含水率が約６０
％以上７５％以下の範囲に、好ましくは約６８％前後に
なるように加湿される。加湿によつて強度が低下した紙
は同様に破砕紙２の破砕作用により選択的に破砕され円
筒スクリーン１の後段ａの範囲の篩分作用により排出口
５より第グループ物質として排出され、さらに残余の物
質は排出口６より第グループ物質として排出される。排
出口５より排出される第グルーブ物質は相当に高い紙純
度（紙の含有率）を有するが、なお若干比較的強靭な厨
芥や金属片、木片、プラスチツク小片などのような紙よ
り重い異物（−１と称す）及びプラスチツクフイルムの
ような紙より軽い異物（−３と称す）を含んでいる。こ
のような紙の含有率の高い紙系物質群である第グループ
物質を比較的風速の早いジグザグ通路１４に投入すれば
上向きの空気流を受け、比較的重い紙よりも重い物質は
落下して排出口１９より−１物質群として排出されるが
、紙類およびそれより軽い物質は上方に吹き上げられサ
イクロン２０に入り空気と分離され、比較的風速の遅い
第２ジグザグ通路１５に投入する。紙類よりも軽い物質
は浮上してサイクロン２３に入り空気と分離して排出口
２４より−３物質群として排出され、排出口２２からは
極めて強度の高い紙類が−２物質群として取り出すこと
ができる。破砕・篩分装置として上記の実施例において
は破砕工程と篩分工程とを同時に行なうことができる装
置を示したが、必ずしも同時ではなくてもよい。

要するに破砕、篩分工程とは廃棄物を破砕する工程と、
その結果生じた各種物質の形状の大小差を利用して分別
する工程とを併せ有することであつて、例えば篩分工程
は振動篩、円筒篩に止まらず形状の大小を利用して分別
する方式でさえあれば別の装置で代替できることは勿論
である。加湿値について発明者らの行なつた実験の結果
を説明する。一般に都市ごみ中の紙の含水率は、例えば
次表の東京都における例に示されるように季節によつて
差があるが殆んど６０％以下であり、６０％を越えるの
はこの例では僅かに７月のみである。

一方、第２図は第１図に示す如き方式によつて発明者ら
が行なつた実験結果の例を示すもので、横軸は風力分別
装置Ｂに投人する際の第グループ物質の紙の含水率を示
し、縦軸は風力分別後、−２グループ物質の紙純度（紙
の含有率）及び回収率を示す。Ｃは第１ジグザグ通路１
４を経た後の紙の回収率、［Ｆ］ｕ第２ジグザグ通路１
５を経た後の紙の回収率、Ｃｕ総合紙回収率を示し、５
は第１ジグザグ通路１５を経た後の紙純度、［Ｆ］は第
２ジグザグ通路を経た後の紙純度を示している。この結
果から明らかなように総合した紙回収率０及び紙純度［
Ｆ］は何れも含水率約６８％附近で最高値を示しており
、紙純度を８０％以上に維持するためには含水率を約６
０％ないし７５％の範囲に保つことが好ましいことがわ
かる。これは紙を吸湿せしめて適当の比重にすることに
より、他の異物との比重差を最適とすることに他ならな
い。なおこの最適含水率は同時に第１図の破砕篩分装置
Ａにおける紙の選択破砕に必要な含水率ともほぼ一値す
る。従つて加湿は第１図におけるが如く破砕篩分装置Ａ
の中で行なえば、選択破砕にも、後工程の風力分別にも
両方の工程に有利な効果を与えることができる。しかし
て前記のように都市ごみ中の紙類の含水率は殆んどこの
最適含水率を相当下廻つているので加湿することが好ま
しい。

本発明により紙類を分別することにより、比較的簡単な
工程により、厨芥の混入が少なく紙純度が高く紙回収率
の高い物質を分別回収することができ、廃棄物からの有
用資源回収上極めて大なる効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例に関するもので、第１図はフロー
シート、第２図は含水率と紙の純度、回収率との関係を
示すグラフである。 Ａ・・・・・・破砕篩分装置、Ｂ・・・・・・風力分別
装置、１・・・・・・円筒スクリーン、２・・・・・・
破砕子、３，１８，２１・・・・・・投入口、４，５，
６，１９，２２，２４・・・・・・排出口、７・・・・
・・回転軸、８・・・・・・プーリ一、９・・・・・・
軸受、１０・・・・・・モーター、１１・・・・・・ス
プレーノズル、１２・・・・・・導水孔、１３・・・・
・・輸送路、１４・・・・・・第１ジグザグ通路、１５
・・・・・・第２ジグザグ通路、１６，１７・・・・・
・ブロワ、２０，２３・・・・・・サイクロン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 都市ごみ類から前段の破砕・篩分工程により脆弱な
   物質並びに軟弱な厨芥類を大部分除去し、後段の該破砕
   ・篩分工程の中に含まれる加湿工程で対象物質群中の紙
   の含水率を調整して破砕・篩分すると共に、その篩下分
   の紙の含有率の高い紙系物質群の一部あるいは全部を対
   象物質群とし、この対象物質群から風力分別工程により
   最適比重差となつた紙類を風選別通路で分別することを
   特徴とした都市ごみ類からの紙の分別方法。 ２ 前記加湿工程が、対象物質群中の紙の含水率を６０
   ％ないし７５％の範囲に調整する特許請求の範囲第１項
   記載の方法。