JPS5931720Y2 - カ−ブ付伸縮性細巾織物 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、一方に湾曲した伸縮性のある細巾織物に関す
る。

この種一方に湾曲した細巾織物は既に多数提案されてお
り、その形成手段としては湾曲の内側と外側とも■緯糸
の打込本数を変える、■経糸の密度を変える、■伸縮性
経糸のテンションを変える、■伸縮経糸のモジュラスを
変える、■これらの絹合せなどが開示されている。

しかし、以上のような従来の方法は、その装置ぺ製織時
における作業工程が複雑であり、非能率のであった。

しかも完成品は湾曲の内側と外側とではその厚みが異な
り、幅方向の反発性、堅さ、柔軟性等において均一性を
欠く原因となっている。

更に上記■〜■のような従来の方法で形成出来る湾曲の
大きさは、長さ１ｍに対しせいぜい５〜６ｃｎｎが限度
である。

ところがミニスカートの様にウェストの位置が極端に下
がるような場合や、ウェスト部分のうち局部にだけ使用
するような場合では１０〜１５ｃｍといった非常に大き
な湾曲を有するものが必要である。

しかし、このような製品は従来の製織手段で作ることは
不可能であった。

本考案は、湾曲の外側、内外共に緯糸の打込本数、経糸
の密度、伸縮経糸のテンション、あるいはモジュラスな
どは変えず全部同一とし、経糸と緯糸との戊織構造によ
ってのみ大きな湾曲を付けた細巾織物を提供しようとす
るものである。

以下、図面に示す実施例により本考案を詳述する。

第１図においてＷは本考案に係る織物で、左側に湾曲し
ており、その中心Ｙより左側Ａが゛湾曲の内側、Ｂが湾
曲の外側である。

第２図はその組織図で、１はゴム糸やスパンテ゛ツクス
ヤーン等の伸縮性経糸、２は非伸縮性の経糸、例えば綿
、スフ、人絹、ポリエステル、ナイロン、アクリル系な
どであり、図示の実施例では非伸縮性の糸２が２本と、
伸縮性の糸１が１本人ったものが基本となっている。

３は緯糸で、経糸１，２に打込んであり、織ｖＯＷの中
心Ｙを境にして湾曲の内側Ａと、外側Ｂとでは図の様に
交叉している。

すなわち、湾曲の内側Ａでは、伸縮性経糸１と緯糸とが
１本ごとに浮沈して交錯する組織とし、また２本の非伸
縮性経糸２，２は緯糸３と２本ごとに浮沈して交錯する
組織に夫々織成すると共に隣り合う非伸縮性経糸２と２
の浮沈は、浮と沈又は沈と浮といったように互いに逆と
なるように織込まれている。

このため湾曲の内側Ａではこれを長さ方向（経糸方向）
に引っ張り、第２図の左右から見た場合の経糸１，２と
緯糸３の交叉状態図は第３図ａに示すような形となる。

すなわち、第３図ａでは２本の非伸縮性経糸２゜２によ
り作られた見かけ上の輪の中で、伸縮性経糸１に隔てら
れて、一対の緯糸３，３が左上と右下に夫々並んでいる
。

しかして、このような戊織構造は、製織中、すなわち伸
縮性経糸１が伸長されているときの緯糸３．３が輪の中
で左右に分かれて並ぶａの状態から、製織後テンション
が解かれ、伸縮性経糸１が収縮したとき、緯糸３，３は
夫々輪の中で伸縮性経糸１を中心にして上下に重なる同
図すの状態に変化する。

このように緯糸３，３がほは−列の配列状態から上下二
列の状態に変化したということは、それだけ縮みが大き
いということであり、従って湾曲の内側Ａでは伸縮性経
糸１の収縮力により織物Ｗは大きく収縮する。

これに対し、湾曲の外側Ｂでは、゛伸縮性経糸１及び非
伸縮性経糸２はともに、緯糸３と２本ごとに浮沈して交
錯する組織に織成するとともに互に隣り合う非伸縮性経
糸２と２及び非伸縮性経糸２と伸縮性経糸１の浮沈は夫
々緯糸３の１本分だけ、すなわち緯糸に対する２本越の
うち２分の１の長さ分だけ表裏同一側で交錯しており、
このようなパターンを巾方向に順次繰返して織成されて
いる。

従って、湾曲の外側Ｂでは、これを長さ方向（経糸方向
）に引っばり、第２図の左右から見た場合、経糸１，２
と緯糸３の交叉状態は第４図ａに示すような形をとる。

すなわち緯糸３は、伸縮性経糸１を境にして２本の非伸
縮性経糸２，２と１対１で交叉するあたかも平織組織の
如き構成となる。

そしてこのような或織構造は、製織後経糸のテンション
が解除され、伸縮性経糸１が収縮すると、緯糸３は経糸
２，２との交叉回数が多いため伸縮性経糸１の収縮に大
きな抵抗となり、同図すにみられる構造となる。

このため湾曲の外側Ｂでは織物Ｗの収縮度が少なく、従
って湾曲の内側Ａと外側Ｂのこの収縮度の差が湾曲とな
って現われる。

すなわち湾曲の外側Ｂでは、緯糸３と２本の経糸２，２
は経糸１を境にして緯糸３と全体として１対１の交叉回
数となり、これに対し湾曲の内側Ａでは経糸２，２は経
糸１を境として緯糸３に対して２越の交叉回数となる。

この場合、緯糸３の打込本数は、Ａ、Ｂ共に向しである
から、緯糸３に対して経糸２の交叉回数の多いＢの方が
伸縮性経糸１の収縮に抵抗が大きくなって縮みが少なく
なり、緯糸３に対する経糸２の交叉回数の少ないＡの方
が伸縮性経糸１の収縮抵抗が少なくなってよく縮み、こ
の差が湾曲となって現われる。

以上のように本考案に係るカーブ付伸縮性細巾織物は緯
糸の打込本数も変えず、経糸（非伸縮性及び伸縮性糸）
の本数も変えず、又伸縮糸のテンションやモジュラスも
変えずに湾曲が得られるものであす、シたがって製織が
簡単であり、且つ生産性も高く能率的である。

しかも、完成品の湾曲の内側と外側の厚みや反発性、堅
さ、柔軟性も均一な製品が得られると共に長さ１ｍに対
し、１５〜２０ ｃｍといった従来の手段では作れなか
った大きな湾曲を形成することが出来、その効果は顕著
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る細巾織物の平面図、第２図は組織
図、第３図は湾曲の内側の経糸と緯糸の交叉を示した説
明図でａは製織時の伸ばした状態図、ｂは製織後の縮ん
だ状態図、第４図は湾曲の外側の経糸と緯糸の交叉を示
した説明図で、ａは製織時に伸ばした状態図、ｂは製織
時の縮んだ状態図である。 １・・・・・・伸縮性経糸、２・・・・・・非伸縮性経
糸、３・・・・・・緯糸、Ａ・・・・・・湾曲の内側、
Ｂ・・・・・・湾曲の外側。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 経糸に伸縮性糸１と非伸縮性糸２を用い、伸長せしめた
   伸縮性経糸１をその数倍の本数の非伸縮性経糸２の中に
   介在させ、これに緯糸３を織り込んで構成した伸縮性細
   巾織物Ｗにおいて、湾曲の内側Ａは伸縮性経糸１と緯糸
   ３とが１本ごとに浮沈して交錯する組織に、又非伸縮性
   経糸２と緯糸３とが２本ごとに浮沈して交錯する組織に
   夫々織成すると共に隣り合う非伸縮性経糸２及び２の浮
   沈は夫々逆となるように構成し、他方湾曲の外側Ｂは伸
   縮性経糸１及び非伸縮性経糸２の両者いずれの経糸も緯
   糸３と２本ごとに浮沈して交錯する組織に夫々織成する
   と共に互に隣り合う非伸縮性経糸２と２、及び非伸縮性
   経糸２と伸縮性経糸１の浮沈は夫々緯糸３の１本分だけ
   同一となる組織にしたパターンの繰返しで織成したこと
   を特徴とするカーブ付伸縮性細巾織物。