JPS5928768B2 - 軟かい材質の加工物をつなぐ連結固定要素 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、予め成形されている加工物の盲孔の中にさ
し込み、孔内で固定される比較約款い質の加工物、とく
に板や木製部品のための納（はぞ）形の連結固定要素に
関する。

木材加工工業においては個々の木製加工物をつなぎ合わ
せるために柄が広く用いられている。

例えば、戸だな、箱、本だななどを製造する際に固定す
べき相互のものに予め孔をあけ、その孔のなかに柄を接
着剤で接着して固定する。

この目的のために天然の木材製の柄ばかりでなく、プラ
スチック製の柄も用いられる。

最も多用されているのは溝形断面のぶな製納であろう。

工業的にはこの柄を自動機械によって木板なとの前壁に
あけてられている孔に全自動でさし込むのが普通で、そ
の際、柄には予め接着剤をつけておく。

これにより柄は孔の中で十分に接着される。

このように、柄を先ず板の前面にさし込むのは、こうす
ることによって板を柄で妨げられずに上下に積み重ねる
ことができるからである。

そして、必要に応じ板を半製品倉庫から取り出し、型で
孔をあけた側壁とプレスにより家具体に組立てる。

・ 家具体を組立てる際には、相手の板の孔内に機械
や手で接着剤をつけて置き、これによって柄を相手の板
に接着する。

しかし、この場合、つける接着剤の量が多すぎると、柄
を孔にすべり込ませたとき余分の接着剤が孔から押し出
され、板の接、着面の外にはみ出るので、後からこれを
除去しなければならず、余分の手間がかかる。

又、量が少なすぎると接着力が弱い。

このため、多くの場合安全を考慮して必要以上に多くの
柄を使う。

これと言うのも納により確実に連結されているかどうか
は壊して見なければ判らないからである。

プラスチック製の枯も使われる様になったが、これとて
も接着剤で接着するので、上記のような問題点がつきま
とう。

その上、プラスチック製相は割型を使用して射出成形す
るため、型の合わせ目のずれなどで所要の形態にはなら
なくなることがあり、機械によって納を差込む際に詰っ
たりする問題もある。

この発明は接着剤をつけなくても在来の納と同様に固着
を行うことができる連結固定要素に関するもので、金属
板を円筒形に丸め、その両端部には各端から内方に離し
て軸方向のスリットを円周方向に間隔を保って形成した
中空ピンを含み、この中空ピンの各端部を軟かい材質の
加工物の盲孔に挿入して軸方向に突くことにより上記ス
リット間のウェブが半径方向外向きに折れ曲って盲孔の
孔壁に喰込む軟かい材質の加工物をつなぐ連結固定要素
において、上記中空ピン４１のスリット２５・・・、２
６・・・間の各ウェブ２γ、２８には軸方向に突いたと
きにウェブが半径方向外向きに折れ曲がる位置を決める
ために半径方向内向きに凹んだ溝２９．３０を円周方向
に横断して設けると共に、この溝２９．３０から各端部
に向けて軸方向の補強溝３１．３２を設け、上記中空ピ
ンの内周には中空ピンの金属板と一体で、ピンを成形す
る際に、重ねて一緒に円筒形に丸めた補強筒があり、補
強筒の軸方向の各端は上記ウェブ２７，２８にある溝２
９，３０に沿っていることを特徴とする。

この発明による固定要素は周知の納と同様に木または類
似材料製の加工物の孔の中に全自動式にさし込むことが
でき、加工や自動ラインでの変更は必要がない。

それにもましてこの発明による固定要素の大きな利点は
接着剤をつけること自体が必要なくなることにある。

そして加工物はこれまでと同様にたとえば在来のプレス
で組立てられる。

プレスによって中空ピンは縮められ、予め成形してあっ
た端部は湾曲させられて孔壁に喰込むので非常によい固
着が行われる。

この発明による固定要素は、接着剤を付けることも、接
着剤が硬化する待ち時間も不要なため製造、組立コスト
が安くなる。

このため、例えば、家具工業では従来の製造方法だと接
着剤が固まるまで側壁を蓋や底に対し押付けて置くため
に後壁をプレスで針留めする必要があったが、もはやそ
の必要は無くなる。

というのはこの発明の固定要素によればプレスするだけ
直ちに最終強度の固着が行えるからである。

そのほか、この発明による固定要素は剪断、引張り強度
が大きいので加工物にあける孔の数をできるだけ少くす
ることができる。

この発明の固定要素は裁断片ないし打抜片から容易に成
形できる。

つまり、長方形の打抜片を望ましくは円筒形に曲げない
しは巻き、両縁の継目を円の胴面の母線に平行させるの
である。

従って、この発明による固定要素は割られたスリーブ形
をしている。

この発明による固定要素の孔内に入る成形部分は、突か
れることによって半径方向外側に変形して孔内に固定を
行う様にする。

この端部の成形と望ましい効果の達成のためには種々な
やりかたが考えられる。

この発明では、端部にいくつかの平行なスリットを互い
に間隔を置いて配置し、端部の端から所定の間隔で外側
に曲げられるウェブを相互の間に形成する。

こうして形成されたウェブは、固定要素を適当に軸方向
に突いたとき外側に曲げられないしは外側に折られ、孔
壁にくい込む。

ウェブを所定の位置で確実に外側に折れるようにするた
めにウェブには半径方向内向きに凹んだ溝を円周方向に
設ける。

この溝はウェブの折れ目を特定するので固着効果を発揮
するのに望ましい位置を変形させて設けるべきである。

更に、ウェブを望ましくさせるためウェブには各円周方
向の溝からピンの端部に向かって軸方向の補強溝を設け
る。

そうすると、ウェブは突かれたとき外側に変形して、一
種のアンダーカットが生じ、それによってとくに好適な
固着効果が得られる。

端部が外側にではなく内側に変形する危険を防ぐために
は、内装補強筒が一定の長さにわたってピンの端部内に
あり中空ピンでとり巻かれる様にする。

こうして内装補強筒はピンの端部が半径方向外側に変形
されることを保証する。

この発明によれば内装補強筒は中空ピンを形成する部分
と一体につながった状態で打抜き、これをスリーブ状に
形成して金属薄板製とすることができる。

この場合、補強筒となる打抜片の部分は、他の部分を中
空ピンに成形する前に、中空ピンとなる部分の面上に重
ね、それから一緒に丸める。

この発明ではもう１つのやりかたとして、補強筒となる
打抜片の部分に、中空ピンにする部分と同じ長さを持た
せ、補強筒となる部分を中空ピンとなる部分の面内に折
重ねる前に補強部となる部分の外側部を折返し状に折っ
て置いてもよい。

これによって、次に補強部となる部分と中空ピンとなる
部分を折重ね、それから円筒形に丸めると、巻き込まれ
た外側の折返し片によって固定要素は更に補強される。

この場合１．折返した折れ目、つまり補強筒の各端を、
ピンを端部から突いたときにウェブが折れる所要の折れ
位置に沿わせて置けば、ウェブはどうしても内側にでは
なく、外側に所要の位置で変形される。

又、円筒形の中空ピンとして形成されるこの発明の固定
要素のさし込みを容易にするため、中空ピンに巻くとき
に少くとも一端は少し円錐形にテーパさせてもよい。

以下、この発明を図示の実施例に付き説明する。

第１図に分解状態で示した板片製の家具体１０は２枚の
側壁板１１，１２、後壁板１３、ふた板１４、底板１５
から組立てられる。

ふた板１４と底板１５は前面１６に、夫々盲孔に差込ま
れて突出する３個宛の納１７を備えている。

上記納の寸法と間隔に合わせて側壁板１１，１２には盲
孔１８があけである（ここでは側板１１にあけたものだ
け見える）。

納１７の構造は以下に述べる。第２図は比較約款かい金
属薄板からの打抜片１９を示す。

この打抜片はほぼ長方形をなし、平行な側縁２３，２４
に対し直交する一点鎖線２２によって分けられた２つの
部分２０，２１から成る。

−半部２０には、側縁２３と２４から一定距離だけ離れ
ると共に上記側縁に対し垂直に向き且つ相互間に間隔を
保った２列の平行なスリット２５．２６を備えている。

スリット２５，２６は側縁２３，２４に向いた端部は少
し先細で、他端部が丸いペン先形をしている。

そしてスリット２５の相互間に形成されるウェブ２７、
同じく２６の相互間に形成されているウェブ２８の夫々
略々中央部にはスリットを横切る方向の横溝（つまり円
筒形に丸めたときに半径方向内向きに凹んだ円周方向の
溝となる溝）２９，３０がある。

又、各ウェブ２７は横溝２９から側縁２３に向かって延
びる半径方向内向きに凹んだ軸方向の補強溝３１を有し
、同様にウェブ２８も横溝３０から側縁２４に向かって
延びる半径方向内向きに凹んだ軸方向の補強溝３２を有
す。

打抜片１９の他方の両縁３３，３４は、−半部２０を１
対のスリン１−２５，２６に沿って切り離したのと同じ
様な形をしている。

このように成形する意味は、後述の様に丸めた場合に継
目にスリットを形成するためで、これは後に明らかにな
る。

他学部２１に示しである側縁２３，２４に平行な一点鎖
線３５．３６は、この線と切離線ないし折曲線２２によ
って限定される片３７，３８のための折曲線を意味する
。

第１図の柄１７を形成するには、切離線ないし折曲線２
２に沿って切り目３９，４０を入れ、両部２０と２１を
切り目で離し、次に線２２上のつながっている個所で両
部を折曲げると共に、折曲線３５と３６に沿い片３７と
３８を他学部２１の面内に折曲げ（第３図）、そして−
半部２０上に折重ねる。

それから次にこれを中空円筒状に丸めてピンにする。

第４図は丸めている途中の段階を示し、第５図は丸め終
ってでき上がった中空ピン、すなわち納４１を示す。

これにより一半部２０は外被を成すのに対し、他学部２
１の方は外被である一半部によってとり囲まれて補強し
ており、−半部２１の折り目４２，４３はウェブ２７，
２８の円周方向の溝２９．３０に沿う。

第４図と第５図で判るように、第２図による打抜片１９
から一部が三重壁構造の円筒形をした柄ないし中空ピン
４１が生じ、縁３３，３４（第２図）と、折曲線２２に
沿った折り目とは納４１の胴面上で胴の母線に沿って衝
合わさり、第５図で判るように、衝合わさった継目にも
スリット２５゜２６と同形のスリットが生じる。

納４１は丸める際に両端部に少し円錐形のテーパ４４，
４５を付け、第６図で示したように所定の盲孔の中に容
易にさし込めるようにする。

２枚の板片４６，４７には盲孔４８，４９を設けて置き
、柄４１の一方の端部は盲孔４８、他方の端部は盲孔４
９にさし込む。

それから図示してないがプレスによってこの２枚の板４
６，４７を押して近づけ、盲孔の底で柄を両端から衝く
。

これにより納は縮められてウェブ２７，２８は円周方向
の溝２９，３０の前で外側に張り出す様に折れる（第７
図）。

この場合、補強溝３Ｌ３２がある円周方向の溝２９，３
０よりも前のウェブ部分４８，４９は、補強溝３１．３
２によって円周方向の溝の後のウェブ部分よりも強く折
曲に対し抵抗するので、ウェブ２７，２８は円周方向の
溝の前後で均等に曲がらず、５０として示したようにア
ンダーカット状ないし頚付きフック状に曲がって板４６
，４７中にしつかりとくい込み、抜き出しに抵抗する。

そして折り重ねられている片３７．３８はウェブ２７，
２８が半径方向内向きに曲がるのを内側から支えて防ぐ
。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による固定要素で連結されて家具体と
なる壁板の分解斜面図、第２図はこの発明による固定要
素を成形するための打抜片の斜面図、第３図及び第４図
は第２図の打抜片を曲げている途中の状態の説明図、第
５図は曲げ終った状態の固定要素の側面図、第６図は連
結すべき２つの部材の向かい合った盲孔中に固定要素が
さし込まれている状態の説明図、第７図は第６図の状態
から固定要素を盲孔中で押し縮めた所を示す説明図。 なお、図において、１８，４８，４９は盲孔、１９は金
属板の打抜片、２０は打抜片の中空ピン成形部分、２１
は同じく補強筒成形部分、２５゜２６はスリット、２７
，２Ｂはウェブ、２９，３０は円周方向の溝、３１，３
２は補強溝である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金属板を円筒形に丸め、その両端部には各端から内
   方に離して軸方向のスリットを円周方向に間隔を保って
   形成した中空ピンを含み、この中空ピンの各端部を軟か
   い材質の加工物の盲孔に挿入して軸方向に突くことによ
   り上記スリット間のウェブが半径方向外向きに折れ曲っ
   て盲孔の孔壁に喰込む軟かい材質の加工物をつなぐ連結
   固定要素において、 上記中空ピン４１のスリット２５・・・、２６・・・間
   の各ウェブ２７，２８には軸方向に突いたときにウェブ
   が半径方向外向きに折れ曲がる位置を決めるために半径
   方向内向きに凹んだ溝２９，３０を円周方向に横断して
   設けると共に、この溝２９゜３０から各端部に向けて軸
   方向の補強溝３１，３２を設け、 上記中空ピンの内周には中空ピンの金属板と一体で、ピ
   ンを成形する際に重ねて一緒に円筒形に丸めた補強筒が
   あり、補強筒の軸方向の各端は上記ウェブ２７，２８に
   ある溝２９，３０に沿っている ことを特徴とする軟かい材質の加工物をつなぐ連結固定
   要素。