JPS5928142Y2 - 斜板式圧縮機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は駆動軸に固定された斜板の傾斜回転に基づい
てピストンが往復動するように構成され、車輌の空調用
等に使用される斜板式圧縮機に関するものである。

このｊうな斜板式圧縮機における潤滑油供給装置として
、従来は駆動軸の回転によって作動されるトロコイドポ
ンプを使用していた。

このトロコイドポンプはケーシング内に設けた回転体が
そのケーシング内周向を転勤することにエリ、回転体と
ケーシング内周面との間のオイルを給送するものである
ため、必然的にポンプ直径が大きくなってその設置に大
きなスペースを要するものであり、小型の圧縮機におい
ても必要スペースは変らず、他の機器類等のために十分
なスペースを確保することが困難であった。

そればかりではなく、前記回転体は駆動軸の回転によっ
て回転されるものであるため、このトロコイドポンプは
実際のところシリンダヘッド内において駆動軸端に連結
するしかなく、しかも駆動軸の一方の端部は車輛エンジ
ンに連結されるので、車輛エンジンと反対側の端部にし
か連結できない。

従って、このポンプの設置場所はシリンダヘッド内の中
心部にしか設置できず、このためシリンダヘッド内の冷
媒通路が複雑になって冷媒の流通効率が低下する欠点が
あった。

又、トロコイドポンプはその構造上、オイルの吸入口及
び吐出口がケーシングの側面に設けられるものであ′Ｐ
）りめ、余分な配管を避けて給油系統を簡略化するため
には駆動軸に対しその軸心方向に平行な孔を貫設してオ
イル通路とする必要がある。

従って、駆動軸の工作が難しくなるばかりでなく、該駆
動軸の強度が不足するおそれもある。

さらに、トロコイドポンプはその単価がかなり高いもの
であって、これ音便用した圧縮機全体のコストアップを
招来するものであった。

この考案の目的はこれら従来の圧縮機における幾多の問
題点を解消できる斜板式圧縮機を提供することにある。

以下、この考案を具体化した第一実施例を第１図〜第４
図に基づいて説明すると、図面中１はこの圧縮機のシリ
ンダブロックであって、リヤブロック体２と、フロント
ブロック体３とを対接固定して構成されている。

４は第２図に示すように、前記シリンダブロック１内に
形成されたボアであって、第３図に示す、ｚ５に、１２
０度の等間隔で合計３個形成されている。

５，６，７は前記各ボア４間に形成された断面扇形状の
空洞であって、上部２つの空洞５，６は壁部８によって
各ブロック体２，３ごとに分割されて、一方の空洞５の
２つの分割室は冷媒吸入通路５ａ 、ｓｂに、他方の空
洞６の分割室は冷媒吐出通路６ ａ 、６ ｂにそれぞ
れなっており、又、下部の空洞７は潤滑油のための一つ
のオイルパンになっている。

９，１０は前記各吸入通路５ａｔ５ｂ及び吐出通路６ａ
ｔ ６ｂにそれぞれ設けられた吸入口又は吐出口であ
る。

１１．１２は前記リヤブロック体２及びフロントブロッ
ク体３にそれぞれバルブプレー１−１３ 。

１４を介して固定されたりヤシリンダ−＼ラド及びフロ
ントシリンダヘッドであって、前記吸入通路５ａ、５ｂ
からの吸入冷媒が送込まれる吸入室１５と、前記各ボア
４からの吐出冷媒が送込まれる吐出室１６とが形成され
ている。

１７は前記吸入通路５ａ 、５ｂ及び各ボア４と対応す
る。

ｒ５に、バルブプレー）１３，１４に設けられた吸入口
であって、吸入冷媒の通過のみ會許容するバルブ１７ａ
ｋ有している。

１８は前記吐出通路６ａ。６ｂ及び各ボア４と対応する
ように、バルブプレー）１３．１４に設けられた吐出口
であって、吐出冷媒の通過のみを許容するバルブ１８ａ
食有している。

従って、第３図に矢印で示すように、前記吸入口９から
の吸入冷媒（実線の矢印）は吸入通路５ａ 、ｓｂから
吸入室１５を経てボア４内に吸入され、ボア４からの吐
出冷媒（点線の矢印）は吐出室１６及び吐出通路６ａ、
６ｂｋ経て吐出口１０から吐出されろ。

１９はシリンダブロック１の軸心部に設け７を軸受筒２
０にニードルベアリング２１を介して支持された駆動軸
であって、フロント側のバルブプレート１４に形成した
透孔２２内を通過してフロントシリンダヘッド１２の筒
状部２３内に突出した端部において車輛エンジンと連係
されろｊ５になっている。

２４は前記筒状部２３と駆動軸１９との間に介装された
シャフトシールであり、該シャフトシール２４はシール
室５５内に収容されている。

２６はシリンダブロック１の内部中央において、ボス部
２７が前記駆動軸１９に固定されるとともに、スラスト
ベアリング２８によって前記軸受筒２０に支承された作
動部材であって、外周には駆動軸１９の軸心に対して傾
斜した円板状の斜板２９が一体形成されている。

３０は前記作動部材２６を覆うように、その作動部材２
６と前記吸入通路５ａ 、ｓｂ、吐出通路６ａ 、６ｂ
及びオイルパン７との間において、前記軸受筒２０と一
体に形成されたカバーであって、吸入通路５ａ 、 ５
ｂの部分には連通口３１が、オイルパン７部分の下面に
はオイル落とし孔３２がそれぞれ透設されている。

従って、このカバー３０は前記壁部８をも構成し、又、
この実施例では上面側に図示したが前記連通口３１はカ
バー３０のいずれの位置に設けてもよい。

３３は前記各ボア４内において前後に往復動可能に設け
られたピストンであって、鋼球３４及びシュー３５會介
して前記斜板２９を抱持し、その斜板２９の駆動軸１９
を中心とした回転により往復動されて冷媒をボア４の前
後から吸入して圧縮吐出するようになっている。

３６はオイルパン７のフロント側において前記カバー３
０及び軸受筒２０と一体に形成されたポンプハウジング
であって、駆動軸１９の軸心と平行な収容孔３７が貫設
されている。

３８は前記収容孔３７のリヤ側とオイルパンツ下部との
間に貫設されたオイル吸入通路である。

３９は第４図に示すように、収容孔３７のフロント側に
設けられた第一チェックバルブであって、収容孔３７の
段差面３７ａとバルブプレート１４との間で移動不能に
保持されたバルブケーシング４０と、そのケーシング４
０内に挿入された鋼球４１と、ケーシング４０内に設け
られ、鋼球４１に作用してバルブ閉塞方向へ附勢するス
プリング４２とエリなり、リヤ側からのみのオイル通過
を許容するようになっている。

４３は収容孔３７のリヤ側に摺動可能に挿入された第二
チェックバルブであって、前記第一チェックバルブ３９
と収容孔３７の段差面３７ｂとの間を移動可能なケーシ
ング兼用のプランジャ４４と、そのプランジャ４４内に
挿入された鋼球４５と、プランジャ４４内に設けられ、
鋼球４５に作用してバルブ閉塞方向へ附勢するスプリン
グ４６とエリなり、リヤ側からのみのオイル通過音許容
するようになっている。

そして、プランジャ４４には前記オイル吸入通路３８に
開口する開口部４７が形成されるとともに、リヤ方向へ
向かって従動部４８が形成され、その従動部４８が両チ
ェックバルブ３９．４３間のスプリング４９によりリン
グ５６を介して突出方向へ附勢されていて、前記作動部
材２６のボス部２７前面に形成したカム面５０に係合さ
れ、作動部材２６の回転に基づくカム作用によりこの第
二チェックバルブ４３が前後に往復動されるようになっ
ている。

なお、スプリング４９はフランシャ４４内のスプリング
４６よりも強いバネ力を有している。

従って、駆動軸１９０回転に基づく作動部材２６０回転
によって第二チェックバルブ４３がフロント側へ移動さ
れると、第一チェックバルン３９の鋼球４１と第二チェ
ックバルブ４３の鋼球４５との間のオイルが鋼球４１を
押退けてフロント側へ移動する。

そして前記カム５００回転がさらに進むと、スプリング
４９の附勢力によりプシンジャ４４がリヤ側へ移動し、
両鋼球４１，４５間が負圧となってオイル吸入通路３８
内のオイルがスプリング４６の附勢力に抗して鋼球４５
を押退けて両鋼球４１．４５間に移動する。

これが繰返されてオイルパン７内のオイルが脈動的に吸
弓されるのであり、この収容孔３７内の第一、第二チェ
ックバルブ３９，４３によってプランジャポンプ５１が
構成されている。

なお、オイルパン７は連通口３１およびオイル落し孔３
２さらには吸入口１７等を介して前記吸入室１５と連通
されていて、吸入圧力とほぼ等しくなっている。

５２は前記第二チェックバルブ４３と対応するように、
バルブプレート１４に透設されたオイル供給口、５３は
そのオイル供給口５２と前記シール室５５との間に形成
されたフロントオイル通路であって、オイル供給口５２
から送出されるプランジャポンプ５１からのオイルが前
記シャフトシール２５部に供給されるようになっている
。

５４はオイル供給口５２の一部からフロントバルブプＬ
／−）１２、オイルパンツ下部及びリャバルフプレート
１３を通ってリヤ側の前記ニードルベアリング２１に開
口する。

ｒ、うに形成されたりャオイル通路であって、オイルが
そのニードルベアリング２１に供給されるようになって
いる。

次に、このように構成した圧縮機の作用を説明する。

さて、駆動軸１９の回転によって作動部材２６が回転す
ると、斜板２９の傾斜回転の作用によりピストン３３が
ボア４内を往復動し、冷媒を吸入口９から前後の吸入通
路５ａ 、５ｂ及び両シリンダヘッド１１，１２の吸入
室１５を経て吸入する。

そして、ボア４内に吸入された冷媒はピストン３３によ
って圧縮されて、吐出室１６及び吐出通路６ａ 、６ｂ
ｋ経て吐出口１０から冷却回路に送られる。

なお、前記圧縮作用に基因して発生したブローバイガス
は、カバー３０内より主に連通口３１より吸入側へとも
たらされる。

一方、作動部材２６の回転によってプランジャポンプ５
１が作動されてオイルパン７のオイルがオイル供給孔５
２からフロントオイル通路５３及びリヤオイル通路５４
をそれぞれ介してシャフトシール２５及びリヤ側のニー
ドルベアリング２１に供給される。

シール室５５に供給されｆＣオイルはそこのシャフトシ
ール２４を潤滑した後に、パルププレート１４の透孔２
２からフロント側のニードルベアリング２１に至ってそ
のニードルベアリング２１を潤滑し、さらに１駆動軸１
９と軸受筒２０との間の間隙を通ってスラストベアリン
グ２８及びカム面５０とプランジャ４４の従動部４８と
の係合部會潤滑した後に、一部はスラストベアリング２
８の回転によって飛ばされて斜板２９に対するピストン
３３の抱持部を潤滑し、残りはオイル落とし孔３２から
オイルパン７に回収される。

又、リヤ側のニードルベアリング２１に供給されたオイ
ルはそのニードルベアリング２１を潤滑した後に、駆動
軸１９と軸受筒２０との間の間隙を通ってスラストベア
リング２８を潤滑し、一部は前記と同様に斜板２９に対
するピストン３３の抱持部全潤滑し、残りはオイル落と
し孔３２からオイルパン７に回収される。

この工うに、オイルパンの一部に設けたプランジャポン
プ５１によって駆動軸１９内にオイル通路音数けたりす
ることな（この圧縮機の各部を潤滑できる。

従って、前述した従来の圧縮機とは異なり、シリンダヘ
ッド内のトロコイドポンプのためにそのヘッド内の冷媒
通路が複雑になって冷媒の流通効率が低下したり、オイ
ル通路の７’ｎめに駆動軸の工作が難しくなったり、強
度が不足して信頼性が低くなったりすることはない。

又、このプランジャポンプ５１はカム作用によりプラン
ジャ４４が往復動してオイルを給送するものであるから
、その直径を小さくできるとともに、駆動軸の軸心位置
に設けろ必要はなく、実施例のようにオイルパン７の一
部等、適当な部所にコンパクトに配置でき、さらにプラ
ンジャポンプのストロークは比較的自由に設定できて、
それによってポンプ容量を自由に設定できる。

このため直径の大きなポンプ全駆動軸の端部にしか設け
ることができなかった従来の圧縮機に比較して、圧縮機
内を有効に利用して全体全小型化できる。

さらに、このプランジャポンプ５１の構造は簡単であっ
て、安価なものとし得、圧縮機全体のコストダウンを図
ることができる。

次に、この考案の第二実施例を第５図について説明する
と、この第二実施例は作動部材２６のボス部２７のリヤ
側にもカム面５０を設けて、オイルパン７のリヤ側にも
プランジャポンプ５１を設け、フロント側のプランジャ
ポンプ５１とは独立してリヤ側のニードルベアリング２
１に給油できるようにしたものである。

従って、フロント側プランジャポンプ５１からリヤ側ニ
ードルベアリング２１ヘオイルを供給するためのオイル
通路は不要になる。

次にこの考案の第三実施例金弟６図について説明すると
、この第三実施例はプランジャポンプ５１のプランジャ
４４が斜板２９のフロント側端面に係合することにより
往復動されるようにしたものである。

従って、この場合は斜板２９のフロント側端面がカム面
５０となる。

なお、プランジャポンプのストロークを過大としないた
めプランジャ４４はカム面５０が最大に振れた付近での
み断続的に当たるようにするのが好ましく、またそのプ
ランジャ４４の少なくとも先端部には緩衝材を使用する
のが好ましい。

以上実施例で例示しタヨウに、この考案は駆動軸ととも
に回転する部分にカム面を形成するとともに、各部に潤
滑油を供給するポンプとして、プランジャが前記カム面
に係合してそのカム作用によって往復動することにより
給油動作を行なう少なくとも１個のプランジャポンプ會
使用したことにエリ、機内を有効利用して全体を小型化
できるとともに、コストダウン金回ることができ、しか
も高い効率と信頼性を得ることができるので、斜板式圧
縮機として優れた考案である。

なお、この考案は前記各実施例に限定されるものではな
く、例えばプランジャポンプを駆動軸の軸心に対して斜
状あるいは直交状にすること等、考案の趣旨を逸脱しな
い範囲内で任意に変更可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図はこの考案の圧縮機の第一実施例”（［
−示すものであって、第１図はオイルパンと吸入通路を
示す断面図、第２図はボアと吐出通路を示す断面図、第
３図はシリンダブロック体の側面図、第４図はプランジ
ャポンプを示す拡大断面図、第５図はこの考案の第二実
施例を示す断面図、第６図は第三実施例を示す断面図で
ある。 １・・・・・・シリンダブロック、１９・・・・・・駆
動軸、２９・・・・・・斜板、３３・・・・・・ピスト
ン、４４・・・・・・プランシャ、５０・・・・・・カ
ム面、５１・・曲プランジャポンプ０

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 駆動軸にその軸心に対して傾斜すす、ｃうに支持さ
   れた円板状の斜板の傾斜回転に基づいてピストンが往復
   動するようにした斜板式圧縮機において１．駆動軸とと
   もに回転する部分にカム面を形成するとともに、各部に
   潤滑油を供給するポンプとして、プランジャが前記カム
   面に係合してそのカム作用に、ｌ：って往復動すること
   に工り給油動作を行なう少なくとも１個のプランジャポ
   ンプを使用したことを特徴とする斜板式圧縮機。 ２ カム面は斜板會有するボス部の一側面に形成したも
   のである実用新案登録請求の範囲第１項に記載の斜板式
   圧縮機。 ３ カム面は斜板金有するボス部の両側面に形成され、
   グランジャポンプはその両カム面にそれぞれ対応するよ
   うに一対設けたものである実用新案登録請求の範囲第１
   項に記載の斜板式圧縮機。 ４ カム面は斜板の一部である実用新案登録請求の範囲
   第１項に記載の斜板式圧縮機。 ５ プランジャポンプはプランジャが駆動軸の軸心と平
   行に往復動するものである実用新案登録請求の範囲第１
   項〜第４項のいずれかに記載の斜板式圧縮機。 ６ プランジャポンプはオイルパンに連通ずる収容孔内
   において２つのチェックバルブを同じ向きに接続して、
   カム面に近接する側のチェックバルブに設けたブラ７．
   ・ジャがカム作用によって往復動することによりオイル
   パン内の潤滑油全脈動的に送出するものである実用新案
   登録請求の範囲第１項〜第５項のいずれかに記載の斜板
   式圧縮機。 ７ グランジャポンプはオイルパンのフロント側に設け
   ｒｔものである実用新案登録請求の範囲第１項、第２項
   、第４項〜第６項のいずれかに記載の斜板式圧縮機。 ８ プランジャポンプはオイルパンのリヤ側及びフロン
   ト側に設けたものである実用新案登録請求の範囲第１項
   、第３項、第５項、第６項のいずれかに記載の斜板式圧
   縮機。 ９ オイルパンはシリンダブロック内の空洞を利用した
   ものである実用新案登録請求の範囲第７項又は第８項に
   記載の斜板式圧縮機。